自動車ローンは種類がいくつかあります。そして、それぞれに特徴があり、金利や審査の基準などが異なります。
ローンの途中で別のお得なローンを契約し直し、借り換えを行うという人もいます。
では、残クレからマイカーローンへの借り換えは可能か、借り換えで総支払額はどう変わるかなどを比較してみましょう。
自動車ローンの種類
自動車ローンにはいくつか種類があります。銀行や信用金庫などの金融機関が提供する銀行系マイカーローンと、車のディーラーが提供するディーラー系ローンにまず分けられます。
ディーラー系ローンのなかでも一般的なフルローンと、残価設定型クレジットに分けることができます。さらに、中古車販売店が提供する自社ローンも自動車ローンの一種です。
それぞれのローンでは金利に違いがあります。審査のスピードや厳しさなども違うので、各ローンを比較してみることが大事です。
銀行や信用金庫、信用組合といった金融機関が提供するのが銀行系マイカーローンです。金利は2%台からとかなり低いのが魅力となっています。
他に住宅ローンなどの借り入れがあっても、法律で定められた借り入れを越えなければマイカーローンを組むことは可能です。
また、新車の購入を始め、カーナビなどのオプション品の購入、免許更新や取得にかかる費用にも使えます。オートバイやキャンピングカーなどの車種を限定せずにマイカーローンを使うことができるのも魅力となっています。
繰り上げ、繰り越し返済も可能なのでまとまった資金ができたら早めに返済できるのも効率的だと言えるでしょう。
しかし、ローン契約をする際の審査基準は他のローンより厳しいとされています。他からの借り入れ状況や過去の債務状況、勤務年数や年収など様々な情報から返済能力の有無を慎重の調査をするため、審査が終わるまで2週間程度かかります。
ローン契約の手続きも自分で書類を揃え、銀行などの営業時間内に出向いて行わなければなりません。日中仕事をしている人は休んで手続きに行かなければならず、面倒で時間を要するのが難点だとされています。
ディーラーがクレジットカードの信販会社と提携し、提供するタイプの自動車ローンがディーラー系ローンです。金利は、4%台からが平均と言われていて、銀行系のマイカーローンよりは高めです。
ディーラーで販売されている車が対象となっており、オートバイや他のメーカーの車はローンの対象外となります。
ディーラー系ローンは、車購入と同時に手続きを進めることができるので、時間がかからずとても効率的です。ディーラーのスタッフがローン契約に必要な書類を揃えてくれるので面倒もありません。本人確認書類や月収証明書などを自分で準備するだけで済みます。
ディーラーの場合は車を担保にできるので、ローンの審査基準も銀行系マイカーローンよりも厳しくなく、通りやすいと言われています。審査にかかる期間も短いのでスピーディーに進められるのがメリットの一つです。
ディーラーが提供するローン形態の一つに残価設定型クレジットがあります。
数年後の車の価値「残価」を予めディーラー側が設定し、車両本体価格から差し引いた金額でローンが組まれ、分割返済をしていく形です。
残価はローンの支払い最終回まで据え置かれます。ローン契約終了時には、車を返却するか、下取りに出して別の車に乗り換えるか、残価分を支払って車を買い取り継続して乗るかを選ぶことができる仕組みです。残クレの残価はローン契約終了時まで保証されます。
金利は、銀行系マイカーローンと同じ位~やや高めの設定となっています。ディーラーのフルローンよりは低金利となっています。
残クレは月々の支払額がフルローンよりも安くなるというメ点がリットです。一方で、残価保証条件があるので、契約中の車に傷があると契約終了時の査定で減点となり、減点点数によっては追加金が発生するなどデメリットがあるのも否めません。
ただ、車の購入にまとまった資金が不要でかつ乗り換えしやすい点が重宝されています。
ローンの借り換えとは?

毎月ローン返済をすることは変わりありませんが、新しい借入先が前の借入先より低金利だと、毎月の返済額が減るので経済的な負担も軽くなるでしょう。
また、支払い回数を増やすことで、毎月の返済額をその分減らすことができます。
残価設定型クレジットを契約し、ローンを返済中にもっと低金利の銀行系マイカーローンに借り換えしたいというケースもあるかもしれません。その場合、残クレの契約約款に途中解約が可能だと明記されていれば、借り換えができると考えられます。
ただし、残価期間中の借り換えを禁止している契約もありますので、契約書をきちんと確認しましょう。
借り換えができる場合、ほとんどのケースでは途中解約するために、ローンの残りの返済分と残価分を一括返済することが条件とされています。ローンを完済すれば途中解約も可能になる、というわけです。
契約によっては違約金として別途支払いが必要となることもあります。
最終回の支払いに据え置いた残価を一括返済するために、銀行系のマイカーローンに借り換えすることは基本的には可能です。銀行に車の買取見積書を持参すれば、マイカーローンも利用できるでしょう。
銀行系マイカーローンはなんといっても金利が低いことが魅力です。低いところだと1.8%や1.9%などの1%台後半を打ち出している金融機関もあります。
残クレよりも低金利のマイカーローンに借り換えを行うことで、利息分の支払いが減るなどのメリットがあります。金利差はわずか数%の違いであっても、長い目で見ると利息は結構な金額差となって現れるはずです。
借り換えの大きなメリットはやはり「月々の支払額を少しでも減らせる」「利息の支払いを抑えられる」ところでしょう。
銀行系マイカーローンとディラー系ローン、残価設定ローンでは金利に違いがあります。
そこで、例として「返済期間5年の60回払いで250万円の車を購入した場合」を各ローンごとに支払額のシミュレーションをしてみましょう。
金利が低いので1.5%として計算します。すると月々の支払額は3万5000円で利息分が8万円なので「総支払額は208万円」です。
金利がやや高いので5%とします。すると利息分は10万円なので「総支払額は210万円」になります。
残価を63万6000円、金利を2.9%とすると、月々の支払いが約2万6000円です。利息は20万円ほどかかり「総支払額は約220万円」となってしまいます。
ローンの車種別支払いシミュレーション
銀行系マイカーローンとディーラー系ローン、残価設定ローンの車種別の支払額はどの位差額が生じるのかを見ていきます。
金利はそれぞれ以下の内容だったとしましょう。
- 銀行系マイカーローン・・・金利1.5%
- ディーラー系ローン・・・金利6%
- 残クレ・・・金利2.9%
総支払額は、銀行系マイカーローンで約174万5000円、ディーラー系で約185万3000円です
残クレでは残価を70万円とすると総支払額は181万円ですが、残価分を支払わず車を返却すると、160万円になります。
総支払額は、銀行系マイカーローンは約234万円、ディーラー系は約248万円の総支払額となります。
残クレが残価が約87万円となると総支払額は約242万円、残価を除くと約212万円です。
こうしてみると「低金利の銀行系マイカーローン」と「やや金利が高いディーラー系ローン」を比較すると、総支払額が10万円以上も差が出ることが分かります。
金利はディーラーや金融機関によって違うので、あくまでも一例に過ぎません。しかし、少なくとも数万円程度は差がつくと考えられるでしょう。
また、残クレの場合は残価を除けば総支払額は銀行系ローンよりも安くなりますが、残価を含めるとディーラーのフルローン並みになってしまうことが分かります。
残クレ契約中にマイカーローンへ借り換える際のデメリットは審査?
残クレの契約期間中に銀行系マイカーローンへの借り換えを行うと、予想外のデメリットが生じることもあるので注意が必要です。
ローンを途中解約すると「違約金」が生じる場合があります。その上、残りのローンを一括返済するのに手数料がかかることもあります。
トータルで計算すると借り換えには結構な諸経費がかかり、金銭的に損をするかもしれません。
また、金利と保証料を分けて表示してあるローンもあります。保証料と言っても実質金利と同じなので、保証料込の実質金利で金利が高いかどうかを判断しなければいけません。もちろん、保証料がないローンの場合は提示された金利を確認すれば済みます。
そして、借り換えのローン審査は基準が厳しく通らない場合もある上に、慎重に返済能力の有無を調べるので時間がかかることもあるでしょう。
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残クレ契約中にマイカーローンへ借り換える際の注意点
残クレから金利の低いマイカーローンへの借り換えを安易に行うと、手数料などがかさみ結果的に支払額が増えてしまうこともあります。
それを防ぐためにも、支払いのシミュレーションをきちんと行いましょう。シミュレーションをした上で借り換えの手数料がローンの残額よりも多くならないなら、借り換えもお得になると言えます。
しかし、そもそも借り換えの審査に通らなければ、借り換え自体できません。ローンの支払いに困らない収入が確保されていて、他からの無理な借り入れがないかなど、厳しい審査基準があります。
経済的に余裕がなければ、審査を通ることは難しいと言えます。
また、提示されている金利でローンが組めるかどうかも保証されていません。ローンの審査によっては収入に余裕があれば、最低金利よりも高い金利でのローン契約が提示されることもあるので注意してください。
ローン借り換えのベストタイミング
ローンの借り換えを検討するにはベストなタイミングがあります。
まず、収入や支出に変化があった時です。転職や不景気などで収入自体が減ってしまった時や、子供の教育資金に多額のお金が必要となった時などが当てはまるでしょう。
支払い回数を増やし、1回のローンの返済額を少しでも減らす目的で借り換えを考える人も多いです。
逆に、収入が増えた場合は1回の支払額を少し増やすことで、返済期間を短くできます。支払い回数が減れば、余分な利息を支払わなくてもよくなります。
さらに、家族構成の変化もローン借り換えのタイミングとなるでしょう。
家族が増えると支出も増える一方、妻が育休中で働けず収入が減るといった変化が見られることがあります。この場合はローン回数を増やし、月々に返済額を減らすための借り換えが有効的になる場合があります。
また、子供が独立して子供にかける費用が減ると、ローンを早く返済するために借り換えを行うという人もいます。
ローンの借り換えの流れ
ローンの借り換えの流れ、どのような手順で行うのかについて見ていきましょう。
契約約款で途中解約が可能かを確認します。必ず確認した上で、ディーラーに相談するようにしてください。最終回の支払いだけが残っている場合は、残価の一括返済を行う旨を伝えます。
そして、新たな借入先を決め、ローンの仮審査を受けなければなりません。仮審査に通ったら必要書類を整えて本審査へと進み、本審査が通った時点で新たな借入先とローン契約を結びます。
借入金で残価分の返済と違約金や借り換えにかかる手数料などを支払い、今度は新たなローンの返済を行うことになります。
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ローンの借り換えに必要な書類
ローンの借り換えをする際に必要な書類を知っておくことも大事です。
ディーラーで必要な手続きを代行してくれるので、手続きは簡単にできます。
必要な書類はほぼ自分で揃えなければならないので、覚えておきましょう。
- 運転免許証などの本人確認資料の写し
- 健康保険証
- 勤務先が記載された(ねんきん便など)勤続年数が確認できる書類
- 源泉徴収票などの所得証明書や車検証の写し
- 銀行の届出印 など
忘れずに準備してください。
また、借り換えたいローンの「返済予定表」や「通帳のコピー」など借り換えたいローンの返済状況が分かる書類なども必要となってきます。これらの書類は一般的に金融機関で借り換えの際に必要とされている書類の一例なので、全ての金融機関で必須であるとは限りません。
詳細は新たな借入先に確認しておきましょう!
ローン借り換えは事前の下調べが成功のカギを握る
車のローンの借り換えは、安易に行うと却って支出が多くなり損することもあります。
「借り換えが本当に得となるのか」「今やるべきタイミングなのか」を慎重に検討する必要性があるでしょう。
また、借り換え後はローンの返済回数や返済額は依然と比べると、どう変わっていくのか事前の支払いシミュレーションをきちんとやっておくことが大事です。
「どこのローンを利用するのか」借り換え先についての綿密な下調べも必要となります。新たな借入先を見つけたら、まずは簡単な仮審査をやってもらうのがおすすめです。
実際に自分が新たな借入先でローンを組む場合のローン返済額を計算してもらえます。自身の収入と照らしあわせてローン返済能力があるのか、無理なく完済できるかを判断してもらえるので便利です。
仮審査に通り、債務状況などの信用情報に問題がなければ本審査も通るでしょう。
また、金融機関やディーラーのホームページで公開している、ローンの支払いシミュレーターを活用するのも手軽にできるので有効的です。自身でもある程度ローンの支払い計画が立てられます。
経済的な破綻が起こらないように、上手な借り換えができるよう準備してください。