軽自動車は一般的に普通車よりも値段が安く、小回りが利いて街乗りに適しているので人気があります。
軽自動車を購入する際に、自動車ローンを組むという人は多いはずです。その場合、軽自動車購入に残価設定型クレジットを利用するとどのような支払額になるか、メリットはあるのか気になるところでしょう。
各自動車メーカーではどのような残クレプランがあるのか知っておくと便利です。通常ローンとの比較も交えて紹介していくので、購入の参考にしてください。
残価設定クレジット(ローン)の仕組み
自動車ローンにはいくつかの種類がありますが、残価設定クレジットはディーラーが提供するローンです。残クレや残価設定ローンとも呼ばれます。
ローン契約年数の経過後、中古車としての車の価値を残価として設定し、車両本体価格から残価を引いた金額でローンを組みます。
残価はローン支払い最終回まで持ち越しとなります。
ローン契約終了時は、車を返却するか、残価を払って買い取るか、下取りに出して乗り換えるかの3つから選ぶことが可能です。
例えば、車両本体価格200万円の車を購入し、5年の残クレを組んだとします。残価率は一般的に3年後で車両本体価格の約50%、5年後で約30%です。そこで、残価は60万円とすると140万円で5年の60回払いのローンが組まれます。そして、残価は60回目の支払いまで据え置かれるということになります。
残価設定クレジットの特徴
残価設定クレジットはメリットもあれば、デメリットもあります。
残価設定クレジットは、月々の支払いが一般的なカーローンよりも安くなるというのが大きなメリットだと言えます。また、残価が最終回の支払いまで保証されているので、中古車市場の価格変動の影響を受けません。
残価設定クレジットの利息は、車両本体価格に対してかかるので、残クレの利息は高くなるというデメリットを知っておきましょう。また、ローン契約中に事故で車を損傷すると、契約終了時の査定で減点対象となり、場合によっては追加金が発生することもあります。
走行距離の制限があるプランも多く、制限をオーバーするとペナルティとして追加金の清算が必要となります。その他、契約終了後は車を返却もしくは下取りに出すということを前提に、カスタマイズが禁止されている場合もあります。
ホンダの軽自動車残価設定クレジットプランは、新車対応のプランと中古車向けの「Honda中古車限定 据置クレジット」の2つがあります。
全国どこの販売店でも金利が同じなのが特徴です。支払金額は最低3000円からとかなり低額で、数年後の車の買取額も保証されており頭金0円からでも契約可能となっています。また、一部繰り上げた早期一括返済などにも対応していて便利です。
一方で車の傷や凹みがあると契約終了前の査定で減点となり、査定減点数100点を超えると追加金が発生します。
また、1ヶ月の走行距離の上限も決まっており、1000㎞もしくは1500㎞を超えると同じく追加金が発生します。
新車でいう残価を据置額としており、契約終了時まで据置額は保証されません。中古車市場の価格変動によっては、査定額が据置額を下回ることもあります。その場合は、差額を納めなければなりません。
返済額は毎月3000円以上、返済回数は12~60回までで選べます。
ホンダの軽自動車の新車を通常ローンと残クレで購入した場合を比較してみましょう。
例えば、車両本体価格200万円の軽自動車を5年のローンで組んだとします。
ホンダは、通常ローンと残クレの金利が同じで、全国統一となっているのが特徴です!
金利は3.5%でボーナス払いを年に2回5万円入れるとします。月々の支払いが約2万3000円、総支払額は約223万円という計算です。
金利は3.5%で残価が62万円で計算します。ホンダの残クレの場合はボーナス払いが可能なので、ボーナス払いで年2回5万円ずつ支払うとします。すると月々の支払いが約1万5000円で総支払額は約228万円となります。
ホンダの場合はボーナス払いができるので、残クレも月々の支払額がかなり抑えらるでしょう。
スズキの軽自動車残価設定クレジットは「かえるプラン」となっており、3年と5年の契約があります。(4年契約もありますが、対象車種が限られています。)
実質年利は軽自動車は3.9%で、普通車の2.9%と比べるとやや高めの金利設定となっています。残価が契約終了時まで保証されている点や、契約終了時に車の返却か買い取り、下取りに出して乗り換えかを選べる点は、通常の残クレと同じです。
スズキの新車に乗り換える場合は、最大で5万円のキャッシュバック特典があります。さらに半年ごとの点検とオイル交換、エンジンオイルフィルター交換がサービスでついてくる、スズキの「安心メンテナンスパック」付きなのは、とてもお得です。
ただ、走行距離の上限があり、3年の残クレなら3年で4万㎞以内、5年なら6万㎞以内となっています。1㎞オーバーすると5円の追加金が発生してしまうので注意が必要です。
また、車両返却時の査定で、減点点数100点を超えると5万円の追加金が発生してしまいます。
スズキの軽自動車の新車を、通常ローンと残クレのかえるプランで購入した場合を比較してみましょう。
例えば、車両本体価格約110万円で5年のローンを組んだとします。
金利は6.8%で計算すると、月々の支払いは約1万5000円で総支払額は約112万円です。
残価は約30万円として実質金利も通常ローンと同様の6.8%として計算します。月々の支払いは約1万円で、総支払額は約114万円となります。
残クレの方が月々の支払額が、通常ローンよりも安くなることが分かります。ただし、スズキの場合はやや金利が高めなので、通常ローンも残クレも利息の支払い負担が大きくなってしまいがちです。
ダイハツは通常の自動車ローンはなく、「ワンダフルクレジット」と「ワンダフルツイン」の2種類があります。
一般的な残クレと内容的はほぼ同じで、3~5年ローン契約期間が設定されています。走行距離の上限が決まっており、3年だと4万㎞以内、4年だと5万㎞以内、5年では6万㎞以内です。
また、内外装や事故歴による減点は50点までと決められており、走行距離の上限オーバーと減点50点越えで追加金が発生してしまいます。
3年後の残価を設定し、車両本体価格から差し引いた額でローンを組む点は残クレと同様ですが、支払い回数は初回と3年後の2回のみというシステムです。走行距離の上限は4万㎞以内となっています。
ダイハツは一般的なカーローンはなく、ワンダフルクレジットとワンダフルツインという2つのローンのみです。
そのため、軽自動車の新車を残クレのプランであるワンダフルクレジットで購入した場合を見ていきます。
例えば、車両本体価格約150万円の新車を、5年ローンを組んだとします。ワンダフルクレジットの実質金利は3.9%、残価は約50万円と設定しましょう。月々の支払額は約1万9600円で総支払額は約170万円と計算できます。
月々の支払額も割と控えめなので、家計の負担も軽減されると言えます。
日産の軽自動車残価設定クレジットには、「日産テーガク5」と「日産ビックバリュー・クレジット」の2つのプランがあります。
5年の残クレで、メンテナンスサポートが特典としてついているのが特徴です。また、5年目までの年約2回の定期点検と3年目の車検が受けられます。
6ヶ月ごとのエンジンオイルの点検と交換、オイル交換2回に1回オイルフィルターの交換もついています。通常3年間のメーカー保証が5年間ついてくるのも安心です。
こちらのプランは走行距離の上限が決まっており、月1000㎞コースか月1500㎞コースかを選ぶことができます。ただし、対象車種が限定されているので確認しておいた方が良いでしょう。
3~5年の残クレで日産の全ての車種に対応しています。内容や条件などは一般的な残クレとほとんど同じです。
日産の軽自動車を日産テーガク5と通常ローンで購入した場合を比較してみました。
例えば、車両本体価格200万円の軽自動車を、5年ローンで購入したとしましょう。
実質金利が6%とします。月々の支払いは約3万8000円で総支払額は約230万円となります。
日産テーガク5では実質金利4.9%、残価を約80万円とします。月々の支払いは約2万6000円で総支払額は約233万円です。
通常ローンと残クレを比較すると、総支払額は3万円ほど通常ローンの方が少なくなります。しかし、月々の支払額は1万円以上残クレが安いことが分かります。
三菱の軽自動車残価設定クレジットは「スーパーマイカープラン」です。
3年・4年・5年から契約期間を選ぶことができます。走行距離の上限が設定されており、月1000㎞もしくは月1500㎞から選べます。
メンテナンスパックとして「助かる補償」が特典としてついているのが特徴です。窓ガラス修理補償は7万円まで、ドアミラー修理補償は7万円まで、タイヤの単独修理補償は1本につき4万円までという、3つ修理補償がついてきます。
また、事故修復歴についても一部補償してもらえます。査定額が10万円までは下落した分を補償してもらえるので、万一の事故の際でも安心です。
走行距離の上限も決まっており、月間1000㎞もしくは1500㎞から選べます。走行距離をオーバーした場合は、1000㎞超過ごとに1万円の追加金が請求されます。
三菱の軽自動車を、通常ローンとスーパーマイカープランで購入した場合を比較してみましょう。
例えば、車両本体価格132万円で3年のローンとします。
実質金利5%で計算すると、初回支払額が約4万円で月々の支払いも約4万円となります。利息は約10万円で総支払額は約143万円です。
マイカープランでは、実質金利は3.9%、残価は約60万円で計算します。毎月の支払額は約2万4000円となり、総支払額は約144万円となります。利息の支払いが約11万円です。
このように、残クレの方が総支払額も利息も高いことが分かります。ただし、月々の返済額は残クレの方がかなり安くなりました。
新車で販売した車を、3~5年という短期間の残クレを組んで乗った後に下取りに出してもらうのも、ディーラー側には大きなメリットとなります。
なぜなら、年式が新しい車は中古車市場でも需要が高く、利益につながるからです。
しかも、車を下取りに出せば新車に乗り換えることになるので、新車の販売台数も増えます。また、中古車市場で人気のある車種は、残クレの残価率も高い傾向にあります。
残価率が高ければその分、車両本体価格から引かれる金額が大きく、ローン契約終了時に下取りに出すとすれば、ローンの実質返済額も安くて済みます。
残クレをお得に利用するには、残価率の高い車を選ぶというもの大きなポイントとなるでしょう。
- 軽自動車は中古車市場でも人気が高い
- 特にエアロ仕様タイプは高値がつきやすい
- ボディーカラーはベーシックな黒やホワイトパール、シルバーが人気
- モデルチェンジ後の新型車が人気
- ミニバンやSUVなども中古車市場では人気が高いとされる など
軽自動車は残クレとフルローンどちらがお得?
軽自動車と残クレのローン総支払額を比較してみると、残クレの方が結果的に多く支払うことになります。
月々のローン返済は、車両本体価格から残価分を差し引いた額を分割で支払います。利息は残価分にもかかるので、その分利息が高くなり総支払額もフルローンより多くなるのです。
しかし、最終回の支払いを前に車を下取りに出し、乗り換えるという選択をすればまた違ってきます。結局残価分を支払わず、新たにローンを組んで新車に乗り換えることができるので、見方によってはフルローンよりも魅力が大きいとも言えます。
さらに、最終回のローン返済までにまとまったお金が用意できれば、残価を一括返済した後で中古車買取業者に査定に出して買い取ってもらうという手もあります。残価は中古車市場での価格変動に影響されないので、価値が上がっても残価はそのままです。
もし中古車としての価値が残価より高いなら、専門業者に売った方がお得になると言えます。
残価設定ローンとカーリースを比較すると

残価分が差し引かれるという点が残クレと似ていますね。また、リース契約終了後は「車の返却」「再リース」「別の車で新たにリース契約を結ぶ」という選択があります。契約終了後の選択肢があるという点も、残クレと似ています。
ただし、カーリースはリース代に税金や車検費用などの維持費が含まれているところが、残クレとは違う点です。月々の支払いはリース代の方が多いですが、維持費が含まれているのでトータルではさほど差額はないと言えるでしょう。
残価設定ローンを組んだ車は買取に出せる?買取に出すための条件などを解説
残クレで軽自動車を購入する場合の注意点
残クレは短いスパンで車を乗り換える人向けのローンです。軽自動車を残クレで購入する場合も、3~5年での乗り換えを前提に利用しましょう。
新車で購入して5年以上と長く乗るつもりなら、残クレは不向きです。5年の残クレ後も買い取ることはできますが、そうなると残価分の支払いが必要となります。
残価を支払うと、通常のフルローンよりも残クレの方が総支払額が多くなるので損です。また、一括返済できない場合は再クレジットを組むこともできますが、金利が高くなり支払額が多くなるので、結果的には損をすることになります。
軽自動車に長く乗るつもりなら、通常ローンを組んだ方がお得です。また、残クレを選ぶ場合は軽自動車の中でも中古車市場で人気の車種を選ぶことで、残価率が高くなります。
残クレのデメリットもきちんと理解したうえで、自身のカーライフと残クレの特性が合うかをよく考えてみましょう。