新車の購入方法として残価クレジットはスタンダードになりつつあります。

通常のローンよりも月々の支払額がグッと抑えられるのが特徴ですが、ローン商品なので一定の審査に合格する必要があります。また、残価クレジットには気をつけたいポイントがあります。

そこで今回は、残価クレジットと通常ローンの審査の違いやローン利用時における注意点、審査に落ちた場合の対処法について解説していきます。

また、残価クレジットよりもお得に利用できる可能性のあるローンについても紹介します。

残価クレジットの審査の仕組みと審査内容

残価クレジットの審査の仕組みと審査内容
残価クレジットは通常のローンと同様に、借り入れ時の審査を受ける必要があります。

この項目では、残価クレジットというローンの特性を紹介し、その審査内容と残価クレジットを利用する際の注意点について解説していきます。

残価クレジットの仕組み

残価クレジットは、あらかじめ決められた「残価」を支払いの最終回に据え置くことで、毎月の支払金額を抑えられるというメリットがあります。契約期間は3年~5年です。

残価の決定方法は、ローンを取り扱うディーラー系のローン会社が、対象車の市場価値から契約期間である3年~5年後の中古車としての価格を予想したものを算出して決めています。

残価クレジットの最終支払時には車をどうするか下記3つから選ぶことができます。

  • 車を返却する
  • 新しい車に乗り替える
  • 車に乗り続ける

また、残価クレジットには一定の基準が設けられています。その基準には「走行距離」「車体の外装や内装の傷や汚れの有無」「事故による修復歴がないか」といったものがあり、すべてをクリアしないと最終回で追加金が発生したり、車両の返却ができなくなったりすることもあるので注意が必要です。

審査内容はどうか

審査内容はどうか
ローン商品は、ディーラー系クレジット会社に「安心してお金を貸すことができる」と判断されなければ審査は通りません。これに関しては通常のローン商品と何ら変わりはないといえるでしょう。

残価クレジットを含めた自動車ローンの審査内容では「氏名」「生年月日」「住所」という基本的な項目のほか、「勤務先」「勤続年数」「年収」といった部分にも言及されます。

この審査内容には、数百万円という高額な買い物をしても毎月しっかりと支払いがされるかどうかを判断している背景があります。

他にも「家賃の支払いがあるか」「住宅ローンがあるか」という項目もチェックされることを覚えておいてください。

残価クレジットを利用する際の注意点

残価クレジットを利用する際の注意点
残価クレジットは、あらかじめ決められた残価を最終回の支払いに据え置くことで、毎月のローン支払額が軽減できるのが最大のメリットです。

しかし、残価クレジットを利用する際には注意すべき点があります。それは「負担する金利が通常のローンよりも高くなる傾向にある」ということです。

例えば、通常のローンと残価クレジットが同じ金利の場合、最終回にまとまったお金を据え置く残価クレジットの方が支払う金利が高くなります。

なぜなら、据え置かれる残価分に金利計算がされるためです。たとえ車両返却などで最終回の支払いをしなかったとしても、金利分の負担が大きくなってしまいます。

また、残価クレジットは基本的に「期間が終わったら乗り換えることが前提」の商品です。1台の車を廃車するまで長く乗り続けたいと考える人には向かない支払い方法ともいえます。

残価クレジットを利用する際には、毎月の支払額が抑えられるメリットだけでなく、自分に向いているかを理解したうえで利用することをおすすめします。

残価クレジットの審査で見られるポイント

残価クレジットを利用する際に行う審査でチェックされるポイントについて詳しく確認していきましょう。

残価クレジット以外でもローンを組む時に自分自身が審査に通るか通らないかの判断の目安にもなりますので、しっかり確認をしておくことをおすすめします。

基本的には信用情報で判断される

基本的には信用情報で判断される
車などの高額商品を購入する際に重視されるのは「信用情報」です。

信用情報とは?
その人が高額なお金を貸しても、ちゃんと期限内に返してくれるかどうかという点を総合的に判断できる情報のことです。

この情報は、金融機関などと提携をした第三者機関に集められています。信用情報は、利用者の他社からの借り入れ、クレジットカードの利用状況や滞納の有無といった、主にお金に関わる情報です。

これらの情報は、個人が時間を追うごとに蓄積されていきます。信用情報はすぐに蓄積される情報ではなく、時間をかけて積み上げていくことが必須となるため、年齢が若いほど判断がつき難いものです。

特に、高額の車を購入する利用者が20歳前後の場合は、判断できる信用情報が少ないため、両親や親類に保証人になってもらう必要があるかもしれません。

信用情報に傷をつけないためのポイント

ローン審査に落ちてしまう人の特徴として、信用情報に何らかの「マイナス要素」があることが挙げられます。

マイナス要素とは?
他社のローン支払いなどで支払いの遅延が起きた場合に記録されることが多いです他には、年収と比較して他社からの借り入れが多い場合なども挙げられますが、担保がある住宅ローンなどは除外されるケースが多いようです。

最近では、他社から借り入れをしていないのにもかかわらずローン審査に落ちてしまう人が増えてきている事例もあります。その原因として挙げられているのが、携帯電話料金の支払い遅延です。

携帯電話の利用料金の支払い遅延が原因で、なぜ審査に落ちてしまうの?
近年の携帯電話の買い方として、携帯電話本体を分割支払いをする人が多く、こうした分割支払いもれっきとしたローン商品となります。そのため、「携帯だから、少しぐらい支払いが遅れても大丈夫だろう」と何度か遅延が起きたりすると、この時点で支払い事故になってしまいます。

たった数千円の支払いのせいで、車のローンが組めないといった人が多く出ているため注意が必要です。信用情報に傷つけないためにも、毎月の支払いは遅れることなくしっかりと行うようにしましょう。

残価クレジットの審査結果によって金利は変わるのか

残価クレジットの審査結果によって金利は変わるのか
住宅ローンを組んだ際にも起こることですが、ローンの審査が終わり結果が出た時点で、適用される借入金利が変わるというケースがあります。

残価クレジットを含む自動車ローンでは、審査の結果次第でローン金利が変わることはあるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

ディーラー系ローンは、審査の申し込みをする際にあらかじめ「金利何%」で審査をするようになっており、借入金額が高額であろうと少額であろうと適用される金利に変わりはありません。

金利が変動するケースとしては、自動車メーカーやディーラーなどで不定期に行われる「車種限定の低金利キャンペーン」があります。逆に、金利が高くなるというのはほぼあり得ないことなので、損をするローン金利の変化はないといえっていいでしょう。

そのため、通常金利よりも負担額が少なく、お得に買えるキャンペーン時期に車を買うのがおすすめです!

残価クレジットよりも金利が安い銀行ローンの利用法

残価クレジットよりも金利が安い銀行ローンの利用法
前述した通り、残価クレジットはあくまでも「5年以内に車を乗り換える予定がある人」、「定期的に車を買い替える人」向けのローンです。

1台の車を廃車寸前まで長い期間乗り続けたい人には向かない支払い方法ですが、こういった方々向けの支払い方法として「銀行など金融機関が提供しているローン商品」があります。

金融機関の自動車ローンは、昨今の超低金利時代を踏まえて、非常に金利を安く借り入れすることができるのが大きな特徴です。残価クレジットと同額の支払額にするためには支払期間を延ばす必要が出てきますが、期間を伸ばしたとしても金利を含めたトータルの支払額が残価クレジットよりも安くなる可能性があります。

ここでは、銀行などの金融機関から自動車ローンを借り入れるための方法を解説し、残価クレジットとの比較、さらに銀行ローンのメリットとデメリットも確認していきます。

銀行ローンの審査基準

ローンを利用するにあたり、避けては通れないのが「借入審査」です。

銀行ローンの審査基準は、基本的に残価クレジットなどのディーラー系ローンと変わりはありません。年収や勤務先、信用情報を確認するという点も同じです。

銀行ローンと残価クレジットの比較

残価クレジットと銀行ローンには、それぞれ特徴があります。これら比較をしていくと、明確な違いが出てきます。

残価クレジットの場合、車を買う店舗とローンを組む店舗が同一のため、銀行ローンと違い手間がかからないことが大きなポイントです。残価クレジットは、すべて同一の担当者で済む案件となるため契約がスムーズに進みます。

次のポイントとして、支払期間の違いが挙げられます。残価クレジットの場合は、3年~5年といった決められた期間でしか組むことができません。それに対し銀行ローンの場合、借り入れする銀行によって違いはありますが、最短半年~最長10年で借り入れをすることができます。

銀行ローンのメリットとデメリット
銀行ローンのメリットとデメリット
メリット

銀行ローンのメリットは、低金利で借りることができるよいうことと、車の所有者が自分自身になるという点の2つです。

特に後者の場合、残価クレジットを使用すると車の所有者欄にディーラーの名前が記載されますが、銀行ローンを利用すれば車検証上の所有者は自分自身となります。所有者が自分になることで、車を売却するときの手続きが楽になる等のメリットがあります。

デメリット

銀行ローンの最大のデメリットは、ローン審査と申し込みにかかる手間です。

残価クレジットやディーラーローンの場合、ローンの申し込みや審査、借り入れといった一連の流れはすべてディーラーで済ませることができます。しかし、銀行ローンの場合は審査や申し込み、借り入れはすべて銀行で行う必要があり、すべてにおいて手間がかかります。

最近はネット完結型の銀行ローンもありますが、店舗が営業している平日9:00~15:00までに行かなければいけない場合もあります。

さらに、必要書類も残価クレジットでは必要がなかった「源泉徴収票」や「印鑑証明」を用意しなければなりません。必要な作業ではありますが、こういった手間がかかることを知っておきましょう。

残価クレジットのメリットとデメリット
残価クレジットのメリットとデメリット
メリット

残価クレジットは、毎月の支払額をグッと抑えることができるのが最大のメリットです。

通常のローンでは買うことが難しかった、1ランク上の車に手が届くかもしれません。加えて、車を買う店とローンを組む店が同一のため手続きが1か所で済ませられ、契約が短時間で行えることも良い点です。

デメリット

残価クレジットのデメリットは、走行距離や車体の傷、事故歴などの制約があるというのが大きなポイントです。カスタマイズなども制限されるので、カスタマイズしたいという人には向かないでしょう。銀行ローンと比較をすると、金利が高くなる傾向があるのもデメリットです。

残価クレジットの審査に落ちた場合はどうする?

過去に支払いの遅延してしまったなどのローン事故が原因で、残価クレジットの審査に落ちてしまったという事例もあります。

これ以外のパターンだと、蓄積された信用情報が残価クレジットの利用基準に満たなかったり、自身の収入に見合わない金額の車を購入検討している際にも審査に落ちる可能性があります。

こういった場合は、残価クレジットを利用することができませんが、その他の方法として銀行ローンを利用し、長期の支払いにシフトすることで審査が通ることもあるので、諦めずに申請してみるのもひとつの手段です。

それでも審査が通らない場合には「クレジット系ローン」を利用する方法を検討しましょう。

クレジット系ローンの利用方法

クレジット系ローンの利用方法
クレジット系ローンとは?
いわゆるクレジットカードなどを取り扱っている会社であったり、大手信販会社が提供しているローンのことです。

クレジット系ローンは、ディーラーによって取り扱いがある場合もありますが、基本的に自分自身でインターネット等を利用して審査申し込みなどを行うことがほとんどです。

ディーラーで取り扱われているクレジット系ローンの場合は、専用の申込用紙に記入をするだけで、後は残価クレジットなどと手続きは同様でとても簡単です。

一方、自分自身で行う場合は、車の契約を行う前に自身で審査を行わなければいけません。その際には、借入希望額(購入する車両金額)をあらかじめ入力するなどの必要があります。その他の情報に関しては、残価クレジットなどとほぼ変わりません。

クレジット系ローン使用時の注意点

クレジット系ローン使用時の注意点
車のローン購入の最後の砦であるクレジット系ローン。これを使用する際には、様々な注意点があるということを覚えておく必要があります。

一番に覚えておかなければいけない点としては、適用される借入金利が大幅に違うという点です。

残価クレジットや銀行ローンの場合、高くても4.9%という金利が適用されますが、クレジット系ローンの場合はそれを大幅に超える金利を支払う必要があります。

具体的な数値は会社によって異なりますが、おおむね「8%台かそれ以上」の場合が多いようです。適用される金利がおよそ倍になるということは、それなりに支払金額が高くなってしまうというデメリットとなってしまいます。

しかし、その分借り入れ時の審査基準のハードルが下げられているというメリットもあるため、金利が倍になるということが一概にもデメリットともいえない可能性もあります。支払が可能かどうかを事前にしっかり確認しておきましょう。

残価クレジットやディーラーローン、銀行ローンが利用できない場合に、やむを得ず使用するという利用方法が良いかもしれません。

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まとめ

①残価クレジットとディーラーローンの審査内容に違いはなく、ほぼ同じものです。
②審査を通りやすくするためには、信用情報の蓄積が重要になります。
③携帯料金の滞納でローンが組めなくなる場合があるので注意が必要です。
④1台の車を長く乗るなら、残価クレジットよりも銀行ローンが適している場合があります。
⑤残価クレジットのローン審査に落ちても、クレジット系ローンを利用すればローン購入できる場合もあります。

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