残価設定クレジットやフルローンでは、ローンを組む際に頭金を納める人が多いです。
「頭金がなければローンを組むことができないの?」と、疑問に思う方もいるかもしれませんが、頭金を入れることによって月々の返済額が違ってきます。そして、ローン審査へも少なからず影響があると考えられています。
では実際に、頭金を入れる際のメリットやデメリットはあるのかを見てみましょう。さらに頭金ありとなしでの利息の差額や頭金の金額による利息の差なども比較していきます。
車のフルローンでは頭金は必要なのか?
頭金というのは、高額なものを分割で購入する際に最初に支払う、ある程度まとまった額のお金ことを意味します。
車を購入するのにカーローンを利用する場合、頭金を準備しなくてもローンを組むことはできますが、一般的には頭金を多少なりとも納める人が多いのが現状です。
とはいっても、頭金はカーローン契約で絶対必要、というわけではありません。頭金をいくら入れるのかという金額も特に決まりがなく、自由に決めることができます。
そして、頭金を納めることでカーローンにおいてはローンの残額が減ります。そのため、月々のローン返済の金額が安くなるので、多少なりとも経済的に楽になるなどメリットがあるのも確かです。
カーローンを組む際は頭金を入れた方が良いのか、入れなくても問題ないのかをまずはじっくり考えてみましょう。
カーローンにおいて、頭金を入れてローンを組む際のメリットは以下の通りです。
月々の返済が始まる前に頭金を納めると、頭金の分が全体の借入額から差し引かれます。そのため、ローンの総額は減り、月々の返済額も減額となるため、経済的な負担が少し減らせるというメリットがあります。
ローンを組む前に審査が行われ、収入状況や借入、債務状況などを調査してローン返済可能かを判断されます。
審査に通らなければローンを組むことはできません。まとまった金額の頭金を入れることで、車購入のために計画的に貯金できるという経済力が証明されることになるでしょう。
そうなると、審査で返済能力があると判断される可能性が高まると言われています。
ローンの借入可能額は、収入などによって決まっています。頭金を入れても借入可能額はその分減ることはありません。
そのため、頭金の分で車のグレードを上げる、ナビやオーディオ、エアロパーツを付けるなどオプションを付けることも可能となります。
ここからは、頭金を入れることで逆に生じるデメリットを紹介します。
頭金は額は決まっていませんが、ある程度まとまった額を納めるのが一般的です。貯金がほぼない状態だと、まずは資金を貯めなければなりません。
頭金用の資金がない場合、貯金をするなりしてお金を用意しなければなりません。すぐには車を購入できないでしょう。
人によって必要な期間は違いますが、すぐに新車に乗りたい、車が必要な人は困る可能性があります。
頭金を振り込む際に、振り込み限度額が決まっていると数回に分けて振り込まなければならないので、支払いに少し手間がかかります。
頭金を入れないでローンを組む際のメリットを紹介します。
頭金は決まっていませんが、通常購入額の何割かが必要となってきます。貯金を頭金で使ってしまうと、残金が残らず急な出費があると不安になるものです。
頭金を入れないでローンを組むことにすれば、貯金が残せるので安心でしょう。
頭金用の資金がなくても、いつでも必要な時や欲しい時に新車を購入できるので都合が良いと言えます。車の急な故障や事故などはいつ起こるかわからないものです。
また、特に中古車の場合は、いつも同じ価格で同じグレードの車があるとは限らず、タイミング次第なところがあります。頭金が貯まるのを待っていたら絶好の購入機会を逃すことになりかねません。
頭金を入れずに即契約することで、逆にお得な買い物ができる場合もあります。
車両本体価格が安い中古車などは、頭金を入れてもあまり利息が変わらない場合もあります。手元のお金を無理して減らしてしまい、その後の生活に困窮するよりも、頭金なしでローンを組んだ方が良い場合もあるでしょう。
ここからは頭金なしでローンを組んだ場合のデメリットを見てみます。
頭金を入れることでローン審査時に信用度が増す場合もあります。ローン審査は収入や借入状況、過去の借入に対する返済状況などを調べ、総合的に返済能力があるかを判断します。
頭金を入れることで資金を貯める計画性があるとみなされ、審査に有利に働くかもしれません。もし過去に返済遅延などがある場合は、頭金を入れておいた方が審査に通る可能性が高まるでしょう。
借入額が大きい場合は、頭金を入れないと月々の返済額が減らず、しかも人によっては返済期間も長くなります。その分利息の支払いも増えるので、経済的な負担も大きくなると言えます。
一般的な車のフルローンにおいて、頭金をどのくらい準備しなければならないかは特に決まっていません。購入者が頭金として納めることができる金額を設定し、それに相手方が同意する形で頭金の金額が決まります。
ローンよっては頭金を入れてもらうよう頼まれる場合もありますが、強制ではありません。頭金の金額は、一般的には「車両本体価格の2~3割程度」が平均だとされています。
例えば、200万円の車だと頭金は40~60万円位が目安です。ただし、頭金なしでもローンは組めるので数万円程度でも納めることはできます。逆に、まとまった資金があれば車両本体価格の3割以上、いくらでも頭金を入れることは可能です。
残価設定クレジットは「残クレ」とも呼ばれ、車両本体価格からローン契約年数後の車の価値である残価を差し引いた残りの額で、ローンを組みます。
ローン契約終了時に車をどうするかは通常のローンとは異なり、3つの選択肢があります。
- ローンの最終回に残価分を支払って車を買い取る
- 下取りに出して違う新しい車に乗り換える
- 車を返却する
この中から自分の好きな方法を選ぶことが可能です。
もちろん、残クレでも頭金を入れずにローンを組むことができます。残クレの場合は、まとまった資金がないけれど数年で新車に乗り換えたいという人が利用することが多いです。
そのため、頭金を準備する人は少ない傾向にあります。むしろ頭金不要でもローンが組めるというメリットが取り上げられることもあるほどです。
頭金ありとなしの場合の残クレとフルローンの利息を比較
ローンを組む際に、頭金を入れた場合と入れない場合では残りのローン総額が変わってきます。また、月々の返済額が減るので利息の額にも差が生じると考えられます。
頭金ありとなしでは、どのくらい利息額が変わるのか比較してみましょう。また、残クレとフルローンでも頭金ありとなしとでは利息額がどう変わるのかも見ていきます。
「頭金なし」5年の残クレとフルローンの利息額(軽自動車編)
150万円の一般的な軽自動車を頭金なしで、5年の残クレとフルローンを組んで購入すると仮定します。
残価は約54万円と想定し、年利は4.9%で計算します。すると、「利息額は約25万円」で「月々の支払額は約2万1000円」です。
年利はやや高くなるので6%として計算します。すると、「利息額は約23万円」で「月々の返済額は約2万9000円」です。
残価設定ローンを組んだ車は買取に出せる?買取に出すための条件などを解説
「頭金あり」5年の残クレとフルローンの利息額(軽自動車編)
150万円の一般的な軽自動車を購入した際に、頭金を車両価格の約2割である30万円納めたとして、5年の残クレとフルローンを組むと仮定します。
残価は約54万円と想定し、年利は4.9%で計算します。すると、「利息額は約22万円」で「月々の支払額は約1万5000円」です。
年利はやや高くなるので6%として計算します。すると、「利息額は約20万円」で「月々の返済額は約2万3000円」です。
頭金の額を増やして60万円にした場合も見てみましょう。
「利息額は約17万円」で「月々の支払額は約9000円」です。
「利息額は約14万円」で「月々の返済額は約1万7000円」です。
「頭金なし」5年の残クレとフルローンの利息額(普通車編)
300万円の一般的な普通車のミニバンを頭金なしで、5年の残クレとフルローンを組んで購入すると仮定します。
残価は約96万円と想定し、年利は4.9%で計算します。すると、「利息額は約51万円」で「月々の支払額は約4万2000円」です。
年利はやや高くなるので6%として計算します。すると、「利息額は約47万円」で「月々の返済額は約5万7000円」です。
「頭金あり」5年の残クレとフルローンの利息額(普通車編)
300万円の一般的な普通車のミニバンを購入した際に、頭金を車両価格の約2割である60万円納めたとして、5年の残クレとフルローンを組むと仮定します。
残価は約96万円と想定し、年利は4.9%で計算します。すると、「利息額は約41万円」で「月々の支払額は約3万1000円」です。
年利はやや高くなるので6%として計算します。すると、「利息額は約37万円」で「月々の返済額は約4万6000円」です。
頭金の額を増やして120万円とした場合も見てみましょう。
「利息額は約36万円」で「月々の支払額は約2万円」です。
「利息額は約33万円」で「月々の返済額は約4万円」です。
残価設定ローンを組んだ車は買取に出せる?買取に出すための条件などを解説
「頭金なし」5年の残クレとフルローンの利息額の比較まとめ
頭金なしにすると、残クレは利息額が約25万円、フルローンは利息額が約23万円となり、約2万円の差額が生じます。
頭金なしにすると、残クレは利息額が約51万円、フルローンの利息額が約47万円となり、約4万円の差額が出ます。
残クレの方が高いのは、利息が元本にかかってくるからです。そのため、1回の返済額はフルローンより安くても、利息は高くなってしまうのが難点でもあります。
「頭金あり」5年の残クレとフルローンの利息額の比較まとめ
頭金を30万円にすると、残クレは利息額が約22万円、フルローンは利息額が約20万円となり、約2万円の差額が生じます。
頭金を60万円にすると、残クレは利息額が約17万円、フルローンは利息額が約14万円となり、約3万円の差額が生じます。
頭金を60万円にすると、残クレは利息額が約41万円、フルローンは利息額が約37万円となり、約4万円の差額が出ます。
残クレの利息は元本にかかってくるので、1回の返済額はフルローンより安くても利息は高くなってしまうのがデメリットです。
そして、頭金ありとなしとでは「残クレとフルローンの利息の差額は変わりないですが、月々の支払額はかなり抑えられる」と言えるでしょう!
フルローンを利用するなら、頭金をできる限り多く入れるとその分、総借入額は減ることになります。同じ借入額でも、頭金ありと頭金なしとでは利息額を比べるとかなりの差が生じるのが分かるでしょう。
月々の返済額を変えずに、頭金を入れることで返済期間を短くすることも可能です!
「月々の返済を少しでも楽にしたい」「利息を減らしたい」と思う場合は、頭金を入れるのが効果的だと言えるでしょう。
残クレは一般的に頭金は不要だとされていますが、希望すれば頭金を入れることはできます。
頭金を少しでも入れておくことで総借入額は減りますので、月々の支払額もさらに少なくなり、フルローンと同様に長い目で見るとお得だと言えるでしょう。
残クレは残価分の支払いをローン最終回まで据え置かれますが、利息に関しては車両本体価格にかかってくるので、結果的に利息の支払いが多くなってしまいます。そこで、頭金を入れることで少しでも利息の支払いを減らせるのは有効的だと言えます。
また、頭金が準備できればローンの期間をより短く設定することが可能です。残価率は経過年数とともに下がっていくので、ローン期間を短くできればその分、残価率も高く維持されるためお得だとも考えられます!
頭金不要!毎月定額払いの「カーリース」という選択肢もある
車を購入するという選択肢の他に「カーリース」を利用するのも有効的です。
車の名義はリース会社となりますので所有権は自分ではありませんが、頭金も不要で毎月定額のリース代とガソリン代などの必要経費のみで車に乗れるため、ある意味経済的です。
リース代は残クレと同様に、車両本体価格からリース契約期間後の残価分を差し引いた額で決められます。また、リース代には「税金」や「車検費用」などの一部維持費も含まれていますので、車を購入するよりお得感があります。
まとまった資金がなくても、好きな車に一定期間内乗れる点ではカーリースも便利だと言えます。
車にかかる費用を計算しておくことが大切。計画的な購入を!
頭金を入れるにしても、頭金なしでローンを組むにしても、いずれにせよ車は高額な買い物になります。
もし頭金を入れるとなると、まとまった資金が必要になるでしょう。毎月の収支やボーナス、臨時の大きな出費などを計算して、いつ頃にいくら貯めることができるのかを計算しておきましょう。
また頭金なしでローンを組む場合も、家計の中で何割位が車にかかる費用として捻出できるか計算し、計画的に購入することが大事です。
さらに車には税金や保険料、メンテナンス代などの維持費も月、年単位でかかってきます。購入額だけではなく維持費もトータルで概算した上で「どのローンを使うのか」または「リースを利用するのか」を十分に検討してください。