多くの場合、車の自賠責保険の詳しい内容はあまり意識されていない現状があります。では、改めて有効期限や補償内容などを確認したい場合はどうすればいいのでしょう?
ここでは、自賠責保険証書やステッカーを見るといった基本的な確認方法をはじめ、車検証によって自賠責保険の有効期限を確認することはできるのかという疑問にもお答えします。
また、そうした確認書類を紛失した際の手続き方法も紹介しますので、いざという時に役立ててください。
自賠責保険の内容を確認しておこう
ほぼ全ての車が自賠責保険に加入しているにも関わらず、その詳しい契約内容を意識することはほとんどないでしょう。しかし、場合によっては有効期限や補償内容を確認しなければならない時があります。
特に、原付バイクなどの車検が不要な自動車を購入した時や中古車の個人売買を行った時などは、自賠責保険に関する手続きを自分で行う可能性があります。そのため、あらかじめ契約内容を知っておくと役立ちます。
自賠責保険の知っておくべき契約内容とは?
自動車のドライバーでも存在を意識することが少ない自賠責保険ですが、契約内容を知っておくことは大切です。
特にどのような事柄を把握しておくといいのか、主な3つを挙げていきます。
車に乗っている人は、ごく一部の車両を除いて、必ず自賠責保険に加入していなければなりません。そして自賠責保険は多くの場合2~3年のスパンで「有効期限」が訪れます。
期限切れにならないよう折を見て更新することも大切です。そのため、この有効期限もあらかじめ知ってきましょう。
自賠責保険の有効期限は、運転の際に携帯が義務付けられている自賠責保険証明書や、原付バイクなどのナンバープレートに貼られるステッカーで確認できます。
ただ、多くの車は車検を受ける時に車検業者が手続きを済ませてくれるのが一般的です。車検さえきちんと受けていれば、自賠責保険の有効期限を気にする必要はありませんし、実際気にしている方は少数派でしょう。
自賠責保険の有効期限が切れていると車検を受けられません。また、有効期限切れの「無保険」の状態で公道を走ると、1年以下の懲役もしくは50万円以上の罰金が科され、違反点数6点で免許停止となります。
自賠責保険は「保険」なので、当然補償内容が決まっています。
自賠責保険の特徴としては、万が一事故に遭遇して補償し切れない損害が発生した時、その補償し切れない分が任意保険によってカバーされるということです。そのため、自賠責保険の補償内容も、自動車保険とあわせてきちんと把握しておくのがベストです。
まず、自賠責保険の保険金の支払い上限額は、「被害者1名」ごとに決められており、被害者が2名以上でも各自に上限まで支払われます。
その金額は、被害者1名につき傷害120万円、死亡3,000万円です。後遺障害については障害の程度に応じて第1級~14級までの等級が決まっており、常時介護が必要な場合は最大4,000万円が支払われるなど、内容が細かく定まっています。
自賠責保険の補償対象は「被害者」に限られている点も注意が必要です。事故によって車など「物」が壊れた場合や加害者が怪我をした場合は、自賠責保険では補償がされないので注意しましょう。
自賠責保険は法律にのっとって強制的に加入させられますが、実際には民間の損害保険会社との契約になります。
いざという時のために、自分が契約している損害保険会社がどこなのかは把握しておくことをおすすめします。
自賠責保険は車検業者や代理店が契約手続きを代行してくれることが多く、自分がどの会社と契約しているのかよく分からないケースがほとんどです。そのため、必要な場合は改めて自賠責保険証明書を確認しなければなりません。
自賠責保険の名義変更は必要あるの?手続きの仕方も教えます!
契約内容の確認が必要になるケース
前項までで、自賠責保険の契約内容のうち、覚えておくべき重要な事柄を説明しました。
それでは実際に、こうした事柄の確認が必要になるシチュエーションとはどのような時があるのか、以下で説明します。
自賠責保険は交通事故に対する保険です。万が一事故を起こした場合は、被害者への賠償金の支払いとあわせて加入している損害保険会社を確認し、保険金を請求する必要があります。
この請求は、賠償額が完全に確定していない段階でも可能です。例えば、事故で怪我をした被害者が通院している場合、その都度、通院費用の支払い分を請求することもできます。
こうした一般的な契約内容や事故を起こした際に連絡すべき損害保険会社などは、自賠責保険証書によって確認可能です。
今説明したのは自分が事故を起こした場合です。もしも自分が交通事故の被害者になり、加害者が賠償をしてくれないという場合は、被害者自身が加害者の加入している損害保険会社に請求することもできます。
これを「被害者請求」といい、被害者請求をするためには加害者が加入している損害保険会社を知っておかなければなりません。事故の際に作られる事故証明書に記載されているので、確認しましょう。
自賠責保険証明書を紛失してしまったり汚損・破損して識別困難な状態になってしまったりした場合は、すみやかに再発行しなければなりません。もし自賠責保険証明書を携帯していないと、摘発される可能性があるからです。
原付などに貼る自賠責ステッカーも、経年劣化などで削れて識別困難になったら再発行が必要です。
いずれの場合も契約している損害保険会社に連絡することになるので、自身の契約会社は把握しておきましょう。
通常、契約会社は証明書に記載されているので、証明書を紛失していると連絡先が分からないかもしれません。その場合は手続きをした代理店に問い合わせる、コンビニなどで手続きをしたのならコンビニと提携している保険会社を確認するといった方法を取れば、連絡先も分かります。
どこの保険会社と契約したか全く不明で、手掛かりがないケースもあり得ます。その場合は、少しでも心当たりのある損害保険会社に片っ端から聞いてみるしかありません。
車検の有効期間が分からなくなった場合、自賠責保険の証明書で大体確認することができます。車検と自賠責保険の更新手続きは同時に行われることがほとんどなので、どちらか一方の有効期限が分かれば、その時期を把握できるということです。
ただし、車検の有効期間が分からなくなったということは、車検証を紛失したか、汚損・破損して識別不可能な状態になったことを意味します。そのため、別途陸運(支)局で車検証の再発行手続きが必要になるでしょう。
さらに言えば、車検証と自賠責保険証明書は多くの場合、メンテナンスノートなどと一緒にまとめて保管されています。「車検証がない」ということは、「自賠責保険証明書もない」という可能性は高いです。その場合、自賠責保険証明書も再発行が必要になるということです。
車検証も自賠責保険証明書も、それなしでは公道を走行できない重要書類です。紛失が判明したら、すみやかに再発行手続きを取りましょう。
定期的に車検を受ける車は、車検と同時に自賠責保険も更新されます。そのため、ほとんどの場合、更新時期をあえて把握しておく必要はありません。
しかし、車検を受けない検査対象外軽自動車は、更新時期を覚えておいたほうがいいでしょう。
原付などの検査対象外軽自動車は、自賠責保険の更新を自分で行います。必要に応じて自賠責保険証明書や保険標章をチェックし、更新時期直前に保険会社から通知ハガキが届いたら見落とさないように注意しましょう。
ここまでで、自賠責保険の契約内容の確認が必要になるケースをいくつか紹介しました。
仮に自賠責保険証明書をすぐに見られないような場合でも、保険加入の手続きをしてくれた代理店や車検業者に問い合わせれば、少なくとも契約先の損害保険会社がどこなのかはすぐに確認できます。
厄介なのは、ネットオークションなどの個人売買で車を購入した場合です。もしも自賠責保険の証明書が確認できない上に保険の名義変更が行われていなかったりすると、まずはその内容確認から行わなければなりません。
もちろん、車の前の持ち主と連絡が取れれば問題ないでしょう。しかし、それも難しかったりすると、あとは少しでも心当たりのある損害保険会社に一つひとつ直接問い合わせるしか方法はありません。
この時、必要になる情報はナンバープレートの番号(登録番号)、車検証や車両本体に記載されている車台番号です。該当する車両の契約がないか確かめてみてください。
契約内容の確認方法
ここまでで、自賠責保険の契約内容の確認が必要になるシチュエーションをいくつか挙げてみました。
では、実際にこうした状況に至った場合、どのような方法で契約内容を確認するといいのでしょう?
ここからは、その方法を5つ紹介します。
自分が契約している自賠責保険の契約内容を確認したい場合、まずは自賠責保険証明書を見ましょう。
証明書には、車の車台番号、種別、保険期間、保険料の金額、契約者の住所氏名、損害保険会社の管理店名と所在地など、ほぼ全てのデータが記載されています。
ただ、細かな契約内容までは載っていません。もともと自賠責保険の契約内容や保険料の金額体系などは全国一律で定められています。そのため、詳細を知りたい場合はWebなどで検索して確かめるといいでしょう。
原付バイクなどの検査対象外軽自動車の場合、ナンバープレートに「自賠責保険ステッカー」と呼ばれるシールを貼る義務があります。
このステッカーは正式には「検査標章」といい、自賠責保険の更新時期が見ただけで確認できるようになっています。
かつてこのステッカーは、青地にアルミ色の数字のみというデザインでした。しかし、2012年から7色のステッカーが交付されるようになり、色を見ただけで自賠責保険の有効期限が切れていないかどうかチェックできるようになっています。
自賠責保険の契約内容の確認方法として、「車検証を見る」という手があります。(検査対象外軽自動車を除く)
詳細な契約内容までは確かめられませんが、少なくとも保険の有効期限について見当はつくでしょう。
自賠責保険への加入は、その車が新車登録された段階からスタートします。その後、初回は3年、以降は2年の周期で車検が更新されていき、自賠責保険も車検の際に同時に更新手続きが取られます。
また、自賠責保険の有効期限は車検の有効期間よりも、ひと月分だけ長いことが多く(自賠責保険は月単位で契約可能)、必ずしも車検の有効期間イコール自賠責保険の有効期限とはならないこともあります。
しかし、自賠責保険は車検の有効期間をカバーする形で契約することが大半です。
自賠責保険の有効期限を確認するにあたり、車検証をひとつの手掛かりにするといいでしょう。
自賠責保険の契約内容を確認するために、「保険会社に問い合わせる」という方法もあります。
例えば、自賠責保険証明書を紛失・汚損・破損して、契約内容が分からなくなってしまった場合などに有効です。
自賠責保険は、損害保険会社に直接連絡しなくても加入・更新の手続きができます。ただし、事故に遭ったり証明書を紛失したり、また名義変更や車両入替をしたりする際など、保険会社に連絡しなければいけないケースは意外と多いので、自分の契約先の代理店は覚えておくといいでしょう。
先に少し書きましたが、自賠責保険は保険料の金額や補償内容などが全国一律で決まっています。
もし自分が事故を起こした場合に、どこまで補償してくれるのかなどを知りたい場合は、インターネットで検索すればすぐに確認できます。
ただし保険料については、過去の事故発生率に応じて毎年4月に改定されることがあります。値上げ・値下げのどちらもあり得るので、インターネット上で検索する際は、改定前の古いデータにアクセスしないよう注意が必要です。
契約内容を確認できないケースと対処法
前項までで、自賠責保険の契約内容を確認する方法を5つご紹介しました。
しかし、書類を紛失・汚損・破損したなどの理由で、契約内容を確認できないこともあります。
以下では、その考えられる状況と対処法について説明していきます。
自賠責保険証明書を紛失・汚損・破損して識別不能となった場合も、保険の有効期限だけなら車検証や保険標章によって確認できます。
また、細かい契約内容も、インターネットで検索したり、保険会社に問い合わせたりすることで分かるでしょう。
ただし、自賠責保険証明書の紛失・汚損・破損という事態になったら、すみやかに再発行手続きを取らなければなりません。これを携帯せずに公道を走ると、摘発を受けて処罰されるため、分かった時点ですぐに手続きを行いましょう。
原付バイクなどのナンバープレートに貼る義務がある自賠責保険ステッカー(保険標章)には、保険の有効期限が記されています。これを紛失・汚損・破損すると、パッと見ただけでは有効期限が確認できません。
ステッカーを紛失した場合、有効期限を確認するには自賠責保険証明書を見るか、保険会社に直接問い合わせることになります。
ステッカーがない・あるいは判別できない状態で公道を走るのも違反ですので、再発行手続きを行いましょう。
自賠責保険の有効期限や、事故の際に連絡すべき損害保険会社などは、自賠責保険証明書で確認できます。
有効期限だけなら、車検証で確かめることも可能です。先述した通り、車検の有効期間は自賠責保険の有効期限内に収まるようになっています。
車検証があれば保険の有効期限も推測できるのですが、車検証や保険証明書を紛失したり、汚損・破損によって識別不能になったりするようなケースもなくはありません。
例えば、車が丸ごと水没や焼失したといったケースが該当します。この場合は、車検証も自賠責保険証明書もすみやかに再発行しましょう。
契約内容は、車検と保険加入・更新の手続きを行ってくれた業者に尋ねればすぐ分かります。
自賠責保険の保険金請求や証明書・ステッカーを再発行する手続きのために、契約している損害保険会社に直接連絡を取らなければなりません。
しかし、何らかの理由でこの会社名が分からないこともあります。こうした場合は、加入・更新の手続きを代行してくれた車検業者に聞いてみましょう。
原付バイクなどの検査対象外軽自動車の場合も、やはり手続きをしてくれた販売店(代理店)などに確認すればすぐ分かります。
コンビニで自賠責保険の加入・更新の手続きを行った場合も、提携している損害保険会社は決まっているので調べればすぐ分かります。
郵便局の場合は提携先が地域によって違うので、手続きをした局に問い合わせましょう。
自賠責保険の名義変更は必要あるの?手続きの仕方も教えます!