マイカーを保有していれば、任意保険に入っている方がほとんどです。それは強制保険といわれる自賠責保険だけでは、補償が十分とは言えないからです。

車を売却したり買い替えたりした時に任意保険の扱いはどうなるのでしょう?
また、保険会社で行わないといけない手続きなどはあるのでしょうか?

この記事では、車を売却した際の任意保険の扱いについて詳しく見ていきます。

また、保険料に影響を及ぼす「等級」の取り扱いについても紹介しますので、これから売却しようと思っている方は参考にしてください。

車を売却した場合の保険等級の扱い

任意保険には1~20の等級があり、何等級かで保険料が変わってきます。保険料の割引率が高い等級を持っている方は、できれば引き継ぎたいところでしょう。

車の買い替えをした際に、今の等級を引き継るかについてまずは見ていきます。また、買い替えの際に必要な手続きについても紹介します。

車を売却しても保険の等級は引き継げる

車を売却しても保険の等級は引き継げる
もし車を買い替えることになった場合、現在の車両に適用されていた等級は引き継げます。車を乗り換えると、また最初の6等級からやり直しになることはありません。

等級がリセットされるのは加入している任意保険を解約した場合です。

加入中の任意保険の対象になる車を次に乗る車の情報に変更すれば、等級は引き継がれます。その際に行う手続きが「車両入替」と呼ばれるものです。

車両入替を行わずに新規で契約してしまうと、6等級からのスタートになってしまいますので、忘れずに行いましょう!

保険の契約期間に注意

保険の契約期間に注意
自動車保険の等級は、買い替えた場合でも引き継ぐことは可能です。ただし、自動車保険自体も同時に変更しようと思っている方は注意が必要です。

自動車保険の乗り換えをした場合、前の保険会社の等級は引き継がれます。しかし、一定期間内に手続きを済ませないと、等級がリセットされてしまいます。

前の任意保険の満期日の翌日と新しい保険の始期日との間に8日以上の空白期間があると、等級は引き継がれません。中途解約した場合はその翌日から8日以上となります。

もし車の買い替えと保険の乗り換えを同時に行う場合、保険の手続きも忘れないでください。前の保険の満期日の翌日から「7日以内」に済ませましょう。

今ではネットで手続きできるような保険もあります。なかなか店舗で手続きできない方は、ネットで手続きを進めるのがおすすめです。

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車両入替について

車を乗り換える場合、今の保険の等級を引き継ぐことは可能です。ただし、そのためには「車両入替」という手続きを行う必要があります。

その車両入替の手続きはどのように行うのでしょう?

必要書類やタイミング、手続きの流れについてみていきましょう。

必要書類

必要書類
車両入替の手続きをする際には、「車検証」が必要です。もちろん新しい車に関する車検証になります。

手続きをする際に、「登録番号と車体番号」を入力する必要があります。登録番号を入力する際には、間違いがないか確認しましょう。特にネットで手続きをする場合、タイプミスをする可能性があります。提出する前に見直すようにしてください。

保険会社によっては、今と次に購入する車の「オドメーター値」も必要となる場合があります。

オドメーター値とは、累計走行距離のことです。

まず現在の車両は、手続きをする時点の距離を提出します。購入する車は、中古車の場合販売店で確認してください。

新車の場合「0」のはずです。しかし、0kmでは手続きできないので「1km」で提出するのが一般的です。

手続きをするタイミング

車両入替の手続きをするタイミングは、「納車日前」にするのがおすすめです。この時、契約変更日を納車日に設定すれば、納車された瞬間から保険による補償を受けられます。

うっかり手続きを忘れて納車日以降に車両入替の手続きをすることになっても、問題はないでしょう。しかし、あまりに先延ばしにしてしまうと車両入替の手続きができなくなるかもしれません。

では、デッドラインはいつなのでしょうか?

それは保険会社によって異なります。一般的な目安と言われているのが、新しい車を取得した翌日から30日以内です。

ここで注意が必要なのは、取得(登録、名義変更)の翌日が起点であるということです。納車された翌日ではないので注意しましょう。

等級は一緒でも保険料は上がる可能性がある

車を買い替えた場合、今の保険は適用されますし、等級も引き継げます。そうなると「保険料も今までと一緒になる!」と思うかもしれませんが、それは間違いです。

自動車保険は、あくまでも車両を対象にしたものです。保険料も車両によって決められているので、対象の車が変われば保険料も見直されます。

普通車の場合は「型式別料率クラス制度」のルールのもとで保険料が算定されます。これは車の型式ごとでリスクを判断し、保険料を決めるというものです。

保険金の支払い実績の多い型式の車であればあるほど、保険料が高くなります。そのため、もし事故リスクの高い型式に乗り換えた場合、等級はそのままでも、保険料が上がる可能性があります。

保険料が高くなったら、差額分を請求されるでしょう。支払期日がありますので、期限内に支払いを済ませるようにしてください。

車両入替の手続き方法

車両入替の手続き方法
車両入替の手続きは、保険会社によってさまざまです。しかし、近年ではネットで手続きできる保険会社が増えています。

ネットの場合、来店の必要がありません。パソコンだけでなくスマホからでも手続きできるので、ちょっとした空き時間や外出先からでも手続きは可能です。

とある保険会社の調査によると、6割以上の方がネット手続きを選択しているようです。

パソコンやスマホをお持ちであれば、Webで車両入替の手続きを済ませましょう!

細かな部分は保険会社によって異なりますが、車両入替手続きの大まかな流れを説明します。

  1. まずマイページにログインします。そして車両入替の申し込みフォームにアクセスします。
  2. 必要事項を入力してください。(車検証情報やオドメーター値など)
  3. 変更内容を確認し、問題なければ手続きは完了です。

場合によっては追加で保険料が発生する可能性もあり、その時は支払い方法を選択できます。

保険会社を乗り換える場合は等級の引き継ぎは可能?

保険会社を乗り換える場合は等級の引き継ぎは可能?
「自動車保険の見直しを!」というコマーシャルを見たことがあるという方も多いかもしれません。自動車保険を見直すと、今よりも保険料が安くなるかもしれません。

自動車保険を見直して保険会社を乗り換える場合、等級の扱いはどうなるのでしょうか?

基本的に等級というのは各保険会社に共通するものです。そのため、自動車保険を乗り換えたとしても原則として等級は引き継がれます。

ただし、保険会社を乗り換える際には「手続き期限」があるので注意しましょう。前の契約が切れた日の翌日から「7日以内」に手続きを済ませないと、等級はリセットされてしまいます。

また、共済に加入している場合は注意が必要です。共済によって等級が引き継げる場合と引き継げない場合があります。

教職員共済、自治労共済、トラック共済などは引き継ぎ対象外となりますので、注意してください。

車売却後に乗り換えない場合の任意保険の等級の取り扱いについて

車の乗り換えをする際に、車両入替をすれば等級を引き継げます。しかし、車を売却する方の中には乗り換えはしないという人もいるでしょう。

車を売却して、「しばらく車に乗らないという方」や「もう完全に車には乗らないという方」もいるかもしれません。

この場合の保険の取り扱いについて紹介しますので、参考にしてみてください。

車に一時的に乗らない場合

車に一時的に乗らない場合
転勤などによって、車を処分し一定期間運転しないという方もいるでしょう。このようにしばらく運転しないけれども、いずれまた運転する場合は「中断証明書」を取得するのがおすすめです。

中断証明書とはどのようなものなのでしょうか?

以下で詳しく紹介していきます。また、発行手続きの方法やその条件についてもまとめました。

中断証明書とは?

通常保険を解約して一定期間経過すると、これまでの等級は失効します。次に車を運転して保険に加入する場合、それまでの等級は関係なく6等級からのスタートです。

しかし、中断証明書を入手しておくと、再度任意保険に加入する時に等級は引き継がれます。中断証明書は10年間有効で、次に加入する保険会社が異なっても適用されます。

海外に転勤することになって車を手放す、都市部に引っ越したが地方にいずれ戻ってくる場合など、また車を運転する可能性があるでしょう。このようにいずれ運転する方の場合は、中断証明書を入手しておくのがおすすめです。

車を売却する際に、「また車に乗るかどうか分からない…」という方も、中断証明書を入手しておけば、車に乗ることになったときに等級が引き継げるため、保険料が安く済みます。

中断証明書の発行方法

中断証明書の発行を希望するのであれば、まずは加入している保険会社に連絡します。保険会社によって異なりますが、電話もしくはWebでの申し込みです。

中断証明書の発行にはいくつか条件があります。この条件を満たしているかどうか、まずは確認されます。

もし問題なければ、手続きの案内をされるのでそれに従って進めましょう。書類を郵送でやり取りするのが一般的です。

満期日が近づいているようであれば、早めに手続きをしてください。満期日を過ぎてしまうと更新されてしまい、余計な保険料を支払うことになりかねません。

中断証明書の発行条件

中断証明書を発行するにはいくつか条件があります。

まずは「7等級以上」あることです。ここで問題になるのは、中断証明書発行時点で事故を起こした場合です。この場合、事故後の契約が7等級以上あることが条件になります。

その他には、解約日もしくは満期日までに車両を「廃車」「他人に譲渡」「売却」「リース業者への返還手続き」が済んでいなければなりません。

また、解約日までに一時的に「抹消登録」していることも条件の一つです。

中断証明書の発行依頼書の提出にも期限があるので、注意しましょう。「満期日もしくは解約日から13カ月以内」に依頼をする必要があります。

中断証明書の適用条件

中断証明書が適用されるためには、いくつか条件があります。

まずは、中断証明書は10年間有効ですが、その期限内であることです。

また、新しい保険の開始日から直近1年以内に新規に取得した車が対象になります。車検切れや抹消登録してから初めて車検を受けた車も適用対象です。

車だけでなく、使用者にも条件があります。中断証明書に記載されている「記名被保険者」はもちろん適用されます。その他にも「記名被保険者の配偶者」や「記名被保険者もしくは配偶者と同居している親族」も対象です。

別居している子供は対象外になるので、注意しましょう。

車を完全に手放す場合

車を完全に手放す場合
中には今乗っている車を売却して、今後乗るつもりがないという方もいるかもしれません。

この場合でも、今7等級以上持っているのであれば、中断証明書を発行しておくことをおすすめします。「もう車に乗らない!」と今思っていても、状況が変わる可能性はあります。

例えば、地方に引っ越すことになって、交通の足として車が必要になる場合などが考えられます。

中断証明書は10年間有効です。10年も経過すれば、自分を取り巻く環境も大きく変わってくる可能性は高いです。

また中断証明書の発行をするつもりがない場合、解約の連絡は保険会社にしておきましょう。年間払いをしている場合、「解約返戻金」が戻ってきます。

車を家族に譲る場合

車を家族に譲る場合
これまで乗っていたマイカーを家族に譲ろうと思っている方は、名義変更すると任意保険の引継ぎは可能です。

名義変更する際、任意保険には「契約者」「記名被保険者」「車両保有者」の3つ名義があります。

契約者は保険料を支払う方、記名被保険者は車を主に運転する方、車両保有者は車の持ち主です。名義変更手続きをする際には、それぞれ間違いのないよう変更をしてください。

等級も条件次第で引き継げます。等級を引き継ぐことのできるのは「配偶者」もしくは「同居の親族」です。

配偶者の場合、別居していても等級を引き継ぐことは可能です。しかし、それ以外の親族の場合は同居していることが条件になります。

例えば、大学進学して別居している子供には等級は引き継げないので、注意しましょう。

車売却時の自賠責保険の取り扱い

自動車に関する保険は、任意保険の他にも自賠責保険があります。自賠責保険は車の保有者は加入しなければならない保険です。

もし車を売却することになった場合、自賠責保険の取り扱いはどうなるのでしょう?

ここでは、車売却時の自賠責保険に関する手続きについて解説します。

タイミングによっては還付を受けられる可能性がある

自賠責保険は車検の時に、次の車検までの保険料を前払いする形です。2年に1回のペースで車検を受けますので、2年分の保険料を先払いしているということになります。

車検切れで車を売却する場合以外は、自賠責保険の残り期間がある状態で売るということになります。

では、この未経過分の保険料はどうなるのでしょう?

未経過分の保険料は払い戻される可能性があります。買取業者によって条件がありますが、基本的には「期間が3カ月以上残っている」場合が対象です。

そのため、期限が3カ月未満の場合、返金されません。3カ月を切りそうになっているのであれば、早めに売却手続きを進めたほうがいいでしょう。

買取の際に加算されることが多い

買取の際に加算されることが多い
3カ月以上、自賠責保険の期間が残っていれば未経過分の保険料は返金されるのが一般的です。しかし、保険料が単独で支払われることは少ないです。

保険料の返還は買取業者で行います。保険会社もしくは運輸支局などで手続きをして還付を受けるわけではありません。

通常は買取業者が車の代金を支払う時に、保険料を上乗せする形で支払われます。見積書などで、保険料がきちんと上乗せされているか確認しましょう。

もし自賠責保険料の返還が内訳で確認できないのであれば、買取業者のスタッフに問い合わせてください。納得できる説明がなければ、その業者で車を売却するのはおすすめできません。

返還してくれない業者もまれにある

ほとんどの買取業者は、自賠責保険料を変換してくれるでしょう。しかし、一部の業者は自賠責保険料の返還に応じてくれない場合もあるので、注意してください。

自賠責保険料の返還については、きちんとしたルールがありません。そのため、返還方法については業者任せになっているところがあります。

きちんと返還してくれる業者かどうか、査定表と査定額をよくチェックすることが大切です。そして、自賠責保険料がきちんと反映されているか確認しましょう。

自賠責保険料が反映されておらず、査定表が不明確であれば、担当者に質問してください。

もし保険料を返還してくれない業者であれば、手続きはキャンセルすることをおすすめします。

廃車にする場合には解約手続きを行う

廃車にする場合には解約手続きを行う
自賠責保険は公道で運転する車であれば加入義務があります。

もし、買い取りもしくは下取りに出した場合は皆さんの愛車は他の誰かに引き継がれます。そして、自賠責保険はその次のオーナーが加入することになるので解約する必要はありません。

基本的に自賠責保険は対象の車を廃車にする時だけ解約が必要です。

自賠責保険を解約すると、1カ月以上未経過期間があれば保険料は返金されます。買い取りの場合は3カ月以上なので、解約のほうが条件はゆるめです。

ただし、廃車にすれば自動的に自賠責保険が解約されるわけではありません。自賠責保険の加入先の保険会社に連絡しなければなりません。

保険料の還付金額は解約申請日を起点とします。そのため、抹消登録証明書が届き次第、速やかに手続きするのがおすすめです。

まとめ

①車を売却しても保険の等級は引き継げる
②引き継ぐためには車両入替の手続きが必要
③売却してしばらく車に乗らなければ中断証明書を発行する
④自賠責保険の場合は廃車にする時だけ解約の手続きをする

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