昨今のあおり運転などの影響によって注目を集めているのがドライブレコーダーです。ドライブレコーダーには、事故などが起きた際の証拠となることに加え、あおり運転の証拠としても活躍するという側面を持っています。
ドライブレコーダーを取り付けたいと考えてはいるものの、まだ取り付けていないという方も多いかもしれません。
今記事ではドライブレコーダーを取り付けるメリットに加えて、今流通しているドライブレコーダーの種類、そして最近登場した自動車保険に付帯できるドライブレコーダー特約の特徴についても解説します。
ドライブレコーダーを取り付けることのメリットとは
ドライブレコーダーを取り付けることに、どんなメリットがあるのでしょう。
自己防衛の一環としてドライブレコーダーを愛車に取り付け、日々のドライブに活用するといった人が増えてきました。車を運転していると、交通事故に巻き込まれたり、あおり運転をされたりする可能性は誰しもあります。
ドライブレコーダーを愛車に取り付けることのメリットは、頼りになる部分と、あおり運転の防止、自分自身の安全運転の意識が向上するといった3つのポイントに絞って確認をしていきましょう。
ドライブレコーダーがあると役に立つタイミングは、やはり「交通事故が起きたとき」です。こういったときためにドライブレコーダーを購入し、愛車に取り付けているという方が大半のはずです。
交通事故などが起きた場合に事故状況が曖昧な状況下だと、自分自身が悪くないのに過失を問われてしまうということが過去の交通事故の状況からも数多く見受けられます。ドライブレコーダーが取り付けられていれば、交通事故が発生した瞬間を映像として残しておくことが可能です。その映像は、事故などが起きた際の状況を明らかにすることができる証拠として使用することができます。
交通事故が発生すると、事故に関係していた当事者は被害者も加害者も関係なく気が動転してしまうことでしょう。そういったパニックが原因で、事故の状況を鮮明に覚えているという人は多くはありません。そういった状況の場合、ドライブレコーダーはいわば「生きる証拠」となりえます。
交通事故が起きた瞬間の道路状況や周囲に何があったか、交差点内での事故であれば「信号の色が何色であったか」ということも鮮明に記録として残すことができます。事故状況が不明瞭な場合に、ドライブレコーダーの映像はきっと役に立つはずです。
あおり運転は、ニュース等でもよく取り上げられるようになりました。それに伴い、法律であおり運転を行った人に対する罰則が強化されました。
しかし、あおり運転については警察に通報をしたとしても「決定的な証拠」がなければ、警察も取り締まることができないのが現状です。ドライブレコーダーを取り付けておけば、あおり運転をされている瞬間を映像で記録することができます。そのため、被害に遭った際の状況証拠として提出をすることが可能です。
少し前まではドライブレコーダーは車両の前方のみを映し出すものが主流でしたが、あおり運転が世間で注目されてきたことにより、後方用のドライブレコーダーも発売されています。
これと同時に市場に流通するようになったのが、「ドライブレコーダー録画中」といったようなステッカーです。リアガラスにそのステッカーを貼り付けることで、あおり運転をされないけん制としての防衛策も登場しています。
あおり運転は、社会問題の1つとして認識されています。ドライブレコーダーを車に取り付けることで、自分自身に降りかかる恐怖から身を守ることも非常に大切です。
ドライブレコーダーには、前述した「交通事故などが起きた際の記録を鮮明に残すことができる」ことや「あおり運転が起きた際の証拠やあおり運転を抑止するための効力」といった2点に加えて大切な要素があります。それは、ドライブレコーダーを自身の車に取り付けたことによって生まれる、「安全運転をしよう」と思う自分自身への意識付けという効果です。
今まで説明した2つの点は主に、相手方への効果という要素が大きいです。ドライブレコーダーがあるという意識が自分自身に向くことで、あおり運転をしないことや、より安全運転をして事故や交通違反をしないように心がけるといった意識付けがされていくようになります。
例えば、信号の変わり目で少し加速すれば通過できそうな場面であっても、ドライブレコーダーがあることで、安全に停まれるようにしっかりと減速をするようになったりもします。
他にも、車線変更において無茶な割り込みをしなくなったり、急発進や急ブレーキ、急ハンドルといった、危険につながりかねない動きを抑制させるような効果をもたらすこともあるでしょう。
また、ドライブレコーダーで録画した動画を見ることで、自分自身が危険な運転をしていないかということを振り返ることもできます。
ドライブレコーダーの種類を確認してみよう
ドライブレコーダーといっても、さまざまな種類が発売されています。カー用品店に見に行けば、なぜこんなに値段が違ったり、種類がいっぱいあるのかと思うかもしれません。
特にカメラ性能が非常に高くなったり、小型化したり、1つのカメラで全方位を録画できるようになっていたりと、進化のスピードが非常に速いジャンルのカー用品でもあります。
ここではドライブレコーダーの種類を「一体型のドライブレコーダー」と「分離型のドライブレコーダー」の2つのジャンルにわけて確認していきます。
主流となっているドライブレコーダーは、撮影した動画が記録されたり、ドライブレコーダー本体と撮影するカメラ部分が一体化しているタイプです。カー用品店などで売られている現行モデルの多くはこのタイプとなっています。
このタイプのメリットは「取り付けが簡単」ということです。多くのドライブレコーダーは、カメラを取り付けるための土台をまずフロントガラスに取り付け、そこにカメラを設置するようになっています。
ドライブレコーダーを動かすための電源は、シガーソケットから確保します。よって、シガーソケットからフロントガラスまでの線の取り回しを考えればいいだけなので、非常に簡単です。
この一体型ドライブレコーダーのベースとなるのは、車両の前方を撮影するタイプです。
価格に違いがあるといった要素は「画質」に関係しています。カメラの画質が高ければ高いほど、鮮明な画像が取れるようになります。また、夜間の撮影にも強くなるといった点もメリットです。
これに加えて車両の前方だけでなく、車内全体の撮影も同時にできる「全方位タイプ」も販売されています。こちらは駐車時のセキュリティを高めるという効果も追加されています。
一部のドライブレコーダーには、撮影するカメラと記録・制御をする本体が別々になっているものもあります。こちらは一体型のドライブレコーダーと比べると商品数が少なく、あまり見かけたことがないという人も多いかもしれません。
このタイプのドライブレコーダーの特徴としては、一体型のドライブレコーダーと比較して取り付けが面倒であるといったデメリットがあります。一体型のドライブレコーダーとは違い、分離することが可能なためカメラが小さく設計されているからです。
一方メリットとして挙げられるのが、「ドライブレコーダーが取り付けられている」ということが相手方にわかりにくいという点です。このドライブレコーダーの使い道としては、後方用として活用するという方法があります。
本体と分離しているため、カメラ部分だけをリアガラスに取り付け配線を運転席の方に引き込むことで、後方で撮影している映像を運転席にいながら確認することができます。本来であれば前方用にしか使えないように感じますが、ちょっとした工夫であおり運転防止用のカメラとしても使うことが可能です。
最近登場した自動車保険のドライブレコーダー特約
自動車保険(任意保険)に登場して話題になっているのが、「特約としてドライブレコーダーが付いてくる」というものです。
ドライブレコーダー付きの保険特約というものは、すべての損害保険会社で選択できるというものではありません。主に大手損害保険会社が取り扱っている特約の1つとなります。
そもそも自動車保険にドライブレコーダーが必要なのか、という疑問を感じる方もいるでしょう。ここではドライブレコーダー付き自動車保険の概要と特徴とさらにそのメリットとデメリットについて確認をしていきます。
ドライブレコーダー特約付き自動車保険の概要と特徴
自動車保険の特約として用意されているドライブレコーダーは、保険料に上乗せの費用を支払うことで、保険会社からドライブレコーダーが提供されます。
一般的にカー用品店などで買うことができるドライブレコーダーとの決定的な違いは、保険会社から提供されたドライブレコーダーには「事故が起きた際に、自動的に保険会社に映像が送信され提供される」という機能が備えられているところにあります。
前述した通り、交通事故などが起きてしまった場合は、被害者加害者問わず事故の当事者にとっては気が動転したり、交通事故の報告や処理などでやることが非常に多いです。特に、交通事故の状況報告をする際に上手く伝えることは容易ではありません。
この特約を付加することで、ドライブレコーダーに備え付けられたGPS機能を使い、録画した情報を自動的に保険会社に送信することが可能です。事故の状況報告(何月何日の何時ごろ、どこで発生した事故かなど)の手間を軽減することができます。
そのため、ドライブレコーダーを付けることによって「交通事故の報告アシスタントが常に同席している」ということになります。
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ドライブレコーダー特約付きの保険のメリットとデメリット
それでは、自動車保険の特約としてドライブレコーダーを付加することによる、メリットとデメリットについて解説していきます。
自分自身が、ドライブレコーダー特約付きの自動車保険を契約した方が良いのか良くないのか、ということを確認していきましょう。
まずはじめに、ドライブレコーダー特約付き自動車保険を契約するメリットについて確認をしていきます。
最も大きなメリットとして挙げられるのは、「自分自身でドライブレコーダーを購入する必要がない」ということと「もしものときの状況説明などの手間が簡略化する」ということの2点です。
ドライブレコーダーが欲しくなりカー用品店に行ったとき、あまりにも種類が多くて困ってしまうといった悩みが生じる場合もあります。色々と悩んでしまうくらいなら、ドライブレコーダー特約を契約して保険会社からドライブレコーダーを提供してもらった方が時間の節約にもなりますし、何よりも楽です。
前述した通り、保険会社のドライブレコーダーは、交通事故などが起こった場合に保険会社に映像や日時、場所などの情報が自動的に送信されるシステムになっています。そのため、事故状況の報告の作業がなくなることは商品選びが楽になるだけでなく、精神的にも非常に安心で心強い部分でもあるでしょう。
また、保険会社によってはこの特約を付加することで、ドライブレコーダーがドライバーの安全運転の度合いをスコア化して評価をするというユニークな制度を設けていたりもします。知らず知らずのうちに安全運転の意識も植え付けられていくので、こうした面もいいポイントであると言えます。
次に、デメリットについて確認をしてきましょう。
ドライブレコーダー特約付き自動車保険のデメリットは、「費用面の問題」と「自分自身でドライブレコーダーを選べないこと」さらに「監視されているように感じる」の3点です。
デメリットのうち2つは、メリットの裏返しであると言えます。「費用面の問題」と「自分自身でドライブレコーダーを選べないこと」については、保険会社から提供されるドライブレコーダーよりも一部の市販のドライブレコーダーの方が高性能ということがあるためです。
もちろん費用面の負担が大きくなりますが、毎月1,000円程度の保険料がかかるのであれば、その分で自分好みの高性能なドライブレコーダーを購入した方が良いという場合もあるでしょう。
「監視されているように感じる」については、交通事故などが起きた場合の自動通報機能は便利な反面、GPSも付いているので保険会社に常に見られていると感じてしまうこともあります。実際は、リアルタイムで保険会社が契約者のことを監視しているということはありませんが、少し気分的に良くないと思う方もいるかもしれません。
ドライブレコーダー特約付き自動車保険に向いている人と向いていない人
自動車保険に付加できるドライブレコーダー特約の特徴とメリットデメリットなどがわかったところで、この特約を契約するのに向いている人と向いていない人について理解をしておきましょう。
ここでは双方の詳細を確認しつつ、自分自身がどちら側に該当するのかということをしっかりと認識することで、無駄に保険加入してしまうか必要な保険加入なのかが見えてきます。
ドライブレコーダー付き自動車保険の本質を見極める上でも必要な事柄ですので、チェックしてみてください。
まずはじめに、ドライブレコーダー付き自動車保険の契約に向いている人について確認をしてきます。
ドライブレコーダー特約を契約するのに向いている人は、主に以下の3つに該当する方です。
- 自分でドライブレコーダーを選べない人
- これからドライブレコーダーを買おうと思っていた人
- 事故時の対応や手続きを簡略化したいという人
最初のポイントとして、「まだドライブレコーダーが付いていない」もしくは「今のドライブレコーダーが古くなってきたため、新しいドライブレコーダーを取り付けたい」という人は検討の余地があるでしょう。
カー用品店に行ったりネット通販でドライブレコーダーを買うにしても、どの商品を選んだらいいか、どれが自分に向いている商品なのかわからない場合にも良いかもしれません。
そして、交通事故などが起きたときに事故などの状況をこと細かに伝えられない、または伝えることができないだろうと思う人にとっては、保険会社のドライブレコーダーの自動通報機能が非常に役立つはずです。
以上の人は、ドライブレコーダー特約付きの自動車保険の契約を検討してみるといいでしょう。車について詳しくない人や事故時の報告に自信がない人は契約すると恩恵を受けられる可能性が大きいと言えます。
逆に、ドライブレコーダー特約付き自動車保険を契約することに向いていない人について確認をしていきましょう。これに関しては答えは1つで「既にドライブレコーダーを取り付けている人」です。
基本的に、ドライブレコーダーは1つあれば十分です。また、保険会社から提供されるドライブレコーダーには自動通報機能が付いているからといって、市販のものよりも高性能ということではありません。
加えて、そもそもこの特約はお金がかかります。毎月1,000円程度ですが保険料が上乗せされてしまうため、年間12,000円程度が負担となります。こういった支出が生じるのであれば、2、3年分の費用を捻出することで、保険会社のものより高性能なドライブレコーダーを購入することも可能です。
特に、360度撮影できたり夜間性能が高いもの、カーナビと連動できるタイプなど、ドライブレコーダー+アルファの機能をドライブレコーダーに求めている人にとっては契約の意味がないと言えます。
そして、保険の契約は更新時に見直しをした場合に、今と違う保険会社と契約するかもしれません。ドライブレコーダー特約付きの自動車保険で提供されるドライブレコーダーはあくまでレンタル品のため、契約を解除したら返却する必要があります。よって、余計な手間がかかってしまうケースがあるということを覚えておきましょう。
ドライブレコーダー特約付き自動車保険で受けられる恩恵
最後に、ドライブレコーダー特約付きの自動車保険を契約することで受けられる恩恵について、再度確認をしていきたいと思います。
ここでは「事故が起きたときの保険会社への報告」と「相手方との過失割合の交渉」を例に挙げて、実際にあった事例をもとに確認していきます。
ドライブレコーダー特約付きの自動車保険の契約を検討している場合、契約した際にどのようなケースで活躍するのかというイメージが湧きやすくなるでしょう。
保険会社から提供されるドライブレコーダーを取り付けることで、事故の報告や状況をこと細かに説明する手間が簡略化します。実際に起きた事例を紹介します。
「あまり車に詳しくもなく、どちらかというと内気な女性」が交通事故に遭ってしまったときの事例です。この女性は、交通事故に遭ったことは今まで一度もなく、事故の処理方法について詳しくもありませんでした。
警察を呼んで保険会社に連絡をしてという基本的なことはわかるものの、特に保険会社への報告方法などは全くわからない上に、気が動転していてそれどころではなかったと言います。
しかし、ドライブレコーダー特約付きの自動車保険に加入しドライブレコーダーを取り付けていたことで、自動的に保険会社に事故の報告が入り、保険会社のオペレーターからの電話着信で事故の報告がある程度終わっていた、ということがありました。
この特約について特におすすめしたいのは、今回の事例のように車に詳しくないという人である場合です。他にも老若男女問わず、誰でも初めての事故で動揺してしまうことは十分にあり得ます。
毎月の保険料は負担となるかもしれませんが、「ドライブレコーダー特約を契約して保険料を納めていて良かった」と思えるケースでしょう。
ここの項目で紹介する事例は、ドライブレコーダー特約を契約していなくてもドライブレコーダーがあれば共通の恩恵となります。
交通事故において、必ずしも自分(相手)が100%悪いということ以外のケースが出てきます。例えば、交差点での「正面衝突」や「出会い頭の事故」、交差点以外では「車線変更や合流時の事故」といったように、お互いに悪いところがあるケースです。
こういった場合には、「過失割合が何対何であるか」という点について揉めることがあります。相手が100%悪いような事故であっても、こちらが少しでも動いていれば過失割合がついてしまうということもある上に、事故の当事者同士の主張が食い違いに加えて事故の状況がわかるような証拠がないケースでは、その判断が曖昧になってしまうこともあります。
こういったときにドライブレコーダーの映像があれば証拠になるため、過失割合の交渉時に有利になるでしょう。
これに加えて、弁護士費用特約を別途契約することで示談交渉に弁護士が入り、交渉が円滑に進むということも起こります。弁護士費用特約については、同居の家族が加入している場合は重複加入でも意味がなく「1家族で1契約」が基本となるため、確認をしてみることをおすすめします。
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