あおり運転が社会問題化し、ドライブレコーダーの重要性が注目を集めています。「ドライブレコーダーをつけたいけど、まだ車に取り付けていない…」という方も多いでしょう。
自動車保険の中には「ドラレコ特約」と呼ばれるものを用意しているところが出てきています。これはドラレコをレンタルさせてくれる特約のことです。
この記事では、そのドラレコ特約の特徴について詳しく解説していきます。特約をつけるかどうか迷っている方はぜひ参考にしてください。
自動車保険のドラレコ特約とは?
最近ではドラレコを車内に取り付けている方も多くなっています。また、自動車保険の中にもドラレコ特約を用意しているところがいくつかあります。
ここからは、ドラレコ特約の補償内容やメリット・デメリットなどの注意点を詳しく説明していきます。
ドライブレコーダーのレンタルを受けれれる特約
ドラレコ特約とは、保険会社からドライブレコーダーのレンタルを受けられる特約のことです。
ドライブレコーダーとは運転中の映像や音声を記録してくれる装置です。もし交通事故が発生した場合、その模様をしっかり記録してくれます。そのため、ドライブレコーダーの映像や音声は、発生状況の証拠として重要な判断基準となります。
ドラレコ特約でレンタルされるドライブレコーダーは、保険会社に自動通報する機能が備わっているのが特徴です。万が一交通事故が起きた場合、保険会社に速やかに通報されます。
事故後の解決をスムーズに進められるので、交通事故が心配であればドラレコ特約をつけるのも一考です。
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あおり運転の事故は増えている
ドライブレコーダーを車内に取り付ける方が増えていますが、その背景の一つに「あおり運転」があります。
あおり運転に伴う危険運転の被害を受けるケースは、ニュースやワイドショーなどでもしばしば取り上げられていて、知っている方も多いでしょう。
あおり運転による事故は、後を絶ちません。国も動き出し、2020年には道路交通法が改正されました。あおり運転を妨害運転罪に設定し、取り締まりの対象としています。
そのため、ドライブレコーダーをまだ取り付けていないようであれば、保険会社から貸し出されるドラレコ特約をつけるのも一考と言えます。
ドライブレコーダーを取り付けるのは、今や主流になっています。
ある保険会社のあおり運転の実態調査によると、54.7%の方が取り付けていると回答しています。この結果を見ると、ドライバーの過半数がドラレコを取り付けている計算になります。
購入したタイミングについても調査していますが、25%が1年以内と回答していて、最近購入した方が多いという結果です。
また、同じ調査でドライブレコーダーの普及であおり運転が減少するかについても質問しています。その結果、69.6%の人が減少すると答えました。この結果から、あおり運転対策のためにドライブレコーダーを取り付けている方が多いことがうかがえます。
これからの時代、ドライブレコーダーをつけるのは当たり前の時代になるかもしれません。
高性能のドライブレコーダーが借りられる
自動車保険のドラレコ特約でレンタルされるドライブレコーダーは、高性能のものである可能性が高いです。例えば、映像や音声だけでなく、位置情報や時間なども記録されるものが多くなっています。
また、通話機能が取り付けられているものが多いのも特色の一つと言えます。通話機能があれば、事故が起きた時に自分で保険会社に通報しなくても、事故対応スタッフが対応してくれるので安心です。
交通事故の際、双方の言い分が食い違うこともしばしばありますが、ドラレコをつけていれば映像が残っているので重要な証拠になります。相手が事実と異なる証言をした場合でも映像を提出すればこちらの言い分が通るでしょう。
高性能のドラレコが取り付けられていれば、事故が起きても冷静に対応ができて安心して運転できます。
ドラレコ特約を付けるメリット
ドラレコ特約をつけることによって、どのようなメリットが期待できるのでしょう?
ここからは、主なメリットを4つ紹介していきます。
ドラレコ特約のドライブレコーダーを車につけて、万が一事故が発生した場合は、その映像が記録されて事故受付センターに自動的に通信されます。
そして、事故受付センターのオペレーターと電話のように話ができるようになるので、「どのように対処すればいいのか」「どういった事故状況なのか」をすぐに聞いたり伝えたりすることができます。
事故が起きた時パニックになる方もいるかもしれませんが、自動的にオペレーターと話ができるのは安心でしょう。
さらに、事故状況に関する映像や音声記録も自動送信されます。そのため、事故受付センターでもたちどころに事故の状況について把握できます。
位置情報も記録されているので場所をすぐに特定することもできます。救急車や警察の手配も事故受付センターで行ってくれます。
ドラレコ特約をつけることで、ドライブレコーダーが事故の状況をしっかり記録してくれるのもメリットの一つです。
前述しましたが、ドラレコの映像は保険会社に自動的に送信されます。保険会社も事故の状況を正確に把握できます。
映像が残っていない場合だと、当事者の証言などをもとに判断しなければなりません。中には全く異なることを相手が言い出す可能性もあります。相手の証言で示談交渉が惑わされることも、ドラレコ特約をつけていればなくなるでしょう。
保険会社ではドラレコの映像を元に、AIが事故状況を再現してくれます。そして過去の判例を元に過失割合を出してくれるので、正確な判断を下せるのです。
ドラレコ特約でレンタルできるドライブレコーダーは、高性能のものが多いです。ただ単に映像や音声を記録するだけでなく、運転診断サービスがついているのもメリットの一つです。
自分の普段の運転に関するデータが記録され、保険会社に送信されます。そしてそのデータを元に、自分の運転がどうなのか診断してくれます。
例えば、エコドライブができているか、安全に運転できているかなどもアドバイスしてくれるので、自分の運転を見直すことができます。危険な運転をした場合には、警告を発するサービスもあります。
自分の運転がどうなのか考える機会は少ないかもしれません。そこで、ドラレコ特約をつけて、自分の運転を見直してみるのも良いでしょう。
ドラレコ特約でドライブレコーダーのレンタルを受けることで、あおり運転対策ができるのもメリットの一つです。
あおり運転をされた場合、その状況をきちんと映像として残せます。どんな車か、ナンバーなども記録できるので誰にあおられたのか特定も可能です。
あおり運転をされると、場合によっては自分の身に危険が及ぶ可能性もあります。保険会社のドラレコには、ボタン一つで保険会社のオペレーターと通話できる機能がついています。オペレーターに通報すれば、どう対処すればいいかアドバイスしてくれるでしょう。
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ドラレコ特約を付けるデメリット
ドラレコ特約をつけることでメリットがある半面、デメリットもあります。
ここからは、どのようなデメリットがあるのか、主なものを4つ紹介していきます。
ドラレコ特約をつけた場合、その分の費用がかかってしまう点はデメリットです。
保険会社によって異なりますが、月額650~850円くらいになるでしょう。それほどの負担ではないと思うかもしれませんが、年間で見ると、10,000円くらいかかってしまいます。
販売店などでドライブレコーダーを見ると、10,000円を切る商品も少なくありません。そう考えると、自分でドラレコを取り付けたほうが長期的に見ればお得とも考えられます。
ドラレコ特約をつけると、それなりにコストもかかる点は頭に入れておいてください。コストとサービスの両面を考えて、サービスのほうが大きいと思えばドラレコ特約をつけると良いでしょう。
ドラレコ特約は、自動車保険業界においてまだ一般的ではありません。2022年時点でドラレコ特約をつけられるのは4社のみです。そのため、ドラレコ特約をつけようとすれば、選択肢が狭まってしまうのはデメリットと言えます。
その上、4社はいずれも代理店型の保険会社です。通販型の自動車保険は選択できません。
代理店型は通販型と比較して店舗の運営コストがかかるので、保険料は割高の傾向が見られます。つまり、特約をつける分だけでなく、通販型と比べると割高の保険に入らないといけなくなるということです。
選択肢が少ない分、自分の納得できる補償内容にならない可能性もありますので、留意してください。
ドラレコ特約では、保険会社からドライブレコーダーが貸与されます。しかし、ドライブレコーダーの機種は保険会社の指定するものになってしまうのはデメリットと言えるでしょう。
現在販売されているドライブレコーダーは多種多様です。多機能性の機種も出てきていますが、このようなドライブレコーダーが回ってこない可能性もあります。
保険会社の提供するドライブレコーダーは、それなりに機能性に優れているとされています。しかし、最高品質のものかというと、そうとは言い切れません。
もし機能性にこだわってドラレコを取り付けたいと思っているのであれば、自分で購入することも視野に入れたほうがいいでしょう。
ドラレコ特約をつけると、ドライブレコーダーで記録された映像は保険会社に送信されます。そのため、運転中のプライベートな情報を見られてしまうのはデメリットと捉える方もいるでしょう。
保険会社が貸与するドライブレコーダーには、「テレマティクス」と呼ばれるIT端末が搭載されています。こちらの通信機能で、リアルタイムで車内の状況が保険会社に送信されます。
具体的にはドライブ中の映像や走行時間、走行距離、運転コース、速度などの情報です。いつどこを運転していたか保険会社に提供しなければならない上に、保険会社だけでなく、提携会社にもこれらの情報は提供されます。
プライベートな情報を保険会社に知られてしまう点は、あらかじめ理解しておくことが必要です。
ドラレコ特約を付ける際の注意点
ドラレコ特約をつけようと思っている方もいるでしょう。特約をつけるにあたって、いくつか注意点があるのでここで紹介していきます。
ドラレコの取り付けは誰が行うのか、特約に入っている時にドラレコが故障した場合はどうすればいいのか、などを解説しますので、参考にしてください。
ドライブレコーダーは車に取り付ける必要がありますが、特約をつけても保険会社はレンタルしてくれるだけなので注意してください。
ドライブレコーダーには取付方法が記載されている取扱説明書も同梱されているので、見ながら行えば自分でも簡単に取り付けられます。個人差はあるかもしれませんが、大体40~60分もあれば作業は完了するとされています。
ただし、配線をできるだけ隠そうとした際、ピラー部分にエアーバッグがある車種だと、自分で取り付けるのは難しいです。そのような車はカー用品店などの専門業者に取り付け依頼しましょう。その際、取り付け工賃として5,000~15,000円程度かかるので確認しておきましょう。
ドラレコ特約では、保険会社からドライブレコーダーが提供されます。このドラレコは、保険会社からのリースという形です。
もしかするとドラレコ特約の契約期間中に、ドライブレコーダーが故障してしまう可能性もあります。ドラレコが故障した場合、無償で交換してもらえるのが一般的です。
自分でドラレコを取り付けた場合、保証期間が終わったら自腹で修理するか買い替える必要がありますが、ドラレコ特約をつけている場合は交換してもらうのに追加の費用はかかりません。
もしドラレコの調子がおかしい、機能しなくなったら保険会社に問い合わせましょう。
ドラレコ特約で保険会社から提供されるドライブレコーダーは、あくまでもレンタルです。そのため、特約を解約すれば、使っているドライブレコーダーは保険会社に返却しなければなりません。
自動車保険を継続しても、ドラレコ特約をはずした時点でドライブレコーダーは返却する必要があります。返却期間も決まっている可能性があるので、保険会社の案内に従って返却してください。
もしドライブレコーダーを期間までに返却しない、紛失してしまった場合には違約金が発生する可能性があります。
あくまでも保険会社からの借り物であることを自覚して、大切に取り扱いましょう。
ドラレコ特約の選び方
ドラレコ特約をつけようと思っているのであれば、その内容で比較するのも一つのポイントです。
まずは「撮影範囲」がどうなっているのかチェックしましょう。できれば前方だけでなく、後方の映像も記録できるドラレコを取り付けられる特約がおすすめです。前方だけだと追突されたり、あおり運転をされたりした映像は記録できないので注意してください。
その他には「駐車時監視機能」がついているドライブレコーダーを提供している特約がおすすめです。駐車している時に車上荒らしにあったり、当て逃げされたりする可能性もあります。このような場合でも駐車時監視機能のついているドラレコであれば、その模様がしっかり記録できます。
また、事故を起こした場合に「現場駆けつけサービス」がついている特約をつけると、いざというときでも現場に来てくれるので安心です。
ドラレコ特約以外にも今後注目の自動車保険の特約とは?
ドラレコ特約以外にも、近年の自動車保険にはユニークな特約をつけられる商品もあります。そのため、特約の内容で自動車保険を選ぶのも一考です。
例えば、「車両新価特約」です。これは契約している車両が事故によって大破して廃車せざるを得なくなった場合、新車の購入費用を補償してくれる特約になります。
また、「代車費用特約」をつけられる保険もあります。これは事故を起こして愛車を修理に出す際、代車としてレンタカーを借りる費用を補償する特約です。
その他には、「車内身の回り品特約」もあります。これは割と一般的になりつつある特約ですが、車内の荷物が事故によって壊れてしまったり、盗まれたりした場合に補償してくれます。車両保険は車に対するもので車内の荷物は対象外となるため、荷物を車にたくさん積んでいる方向けの特約と言えます。