ほとんどのドライバーは、万一の交通事故に備えて自動車保険に加入しています。自動車保険には様々な取り決めがあり、契約の途中で運転状況などに変更が生じたら、速やかに保険会社に連絡しなければいけません。では、車のナンバー変更をした場合はどうすればいいのでしょう?
この記事では、車のナンバー変更が自動車保険にどう影響するのか、自動車保険における契約のルールと関連付けて解説していきます。
車のナンバーと自動車保険の関係
任意の自動車保険では、交通事故に遭遇した場合に保険金の支払い対象となる車両は限定されています。つまり、契約車両として契約書に記載した車両でなければなりません。
例えば、自分が自動車保険に加入していても契約車両以外の車を運転していて交通事故に遭い、ケガをしたり、車が壊れたりして補償が必要になっても保険金は下りません。
そのため、どの車と契約しているかを明確にするために、車の車種や用途、ナンバー(登録番号)などをきちんと契約書に記載し、契約車両であることを明らかにしておく必要があります。
車のナンバー変更が必要なケースについて
ライフスタイルの変化やトラブルにより、自動車保険の契約当時の車のナンバーを変更しなければならない場合もあります。
例えば、管轄する運輸支局が異なる地域へ転居した場合やナンバープレートの盗難、紛失により再交付してもらう必要が出てきた場合などが当てはまります。
ナンバーは転居や盗難などがなくても、手続きを行えば変更が可能です。どのようなケースでナンバーを変更するのか詳しく見ていきましょう。
引っ越しをして住所が変更になった場合は、車検証の住所変更を行わなければならないと道路運送車両法で規定されています。
車検証の住所変更を行うにあたり、住所地によってはナンバーの変更が必要です。運輸支局は管轄区域が決まっており、引っ越し前後で住所地を管轄する運輸支局が変わる可能性があります。運輸支局の管轄区を超えて引っ越しをした場合、ナンバーを変更しなければなりません。
例えば、東京都の足立区に住んでいて、足立ナンバーのエリア内で転居するならナンバー変更は不要です。しかし、足立ナンバーから品川ナンバーのエリアへ転居した場合、ナンバーも品川ナンバーに変更しなければなりません。
新車を購入した場合、運輸支局で新車登録の手続きを行うと、車検証とナンバープレートが交付されます。しかし、中古車を購入する場合は既に前の所有者のナンバープレートがついた状態になっているでしょう。
中古車の所有者を自分にするためには、車の名義変更手続きを行うことになります。車検証の名義人の氏名や住所などは変更されますが、登録番号に関してはそのままでも問題ありません。
しかし、もし名義変更を行う際に新所有者の住所地と旧所有者の住所地を管轄する運輸支局が異なる場合に関しては、ナンバー変更が必要になります。
例えば、購入した中古車が名古屋ナンバーで新所有者の住所地が大阪府だった場合、名古屋ナンバーのままで車を使用することはできません。
ナンバープレートの盗難に遭った、失くしてしまった場合もナンバーの変更手続きが必要です。
ナンバープレートを再交付してもらうことになりますが、以前と同一番号での再交付はできません。別の番号に変更しての再交付となります。
ナンバープレートの盗難や遺失の場合、まずは警察署で被害届や遺失届を受理してもらうことが必要です。その際に受理番号が出るので、教えてもらいましょう。運輸支局でのナンバーの変更、再交付の際に受理番号が必要になります。
運輸支局に出向き手続きを行いますが、前後1枚でもナンバープレートがついていない車は公道を走行することができません。一時的にナンバーを交付してもらえる「仮ナンバー」を取得し、運輸支局へ向かってください。
転居もしていない、ナンバープレートを盗まれても失くしてもいない場合であっても、ナンバー変更は可能です。
例えば、自分のお気に入りの数字に変えたいといった理由でも、手続きをきちんと行えばナンバーを変えることができます。
希望ナンバーには「抽選対象希望番号」と「一般希望番号」の2種類があります。
抽選対象希望番号は、「1111」や「7777」などのゾロ目や「1010」、「1122」などの番号が当てはまります。
一般希望番号は、抽選対象希望番号に指定されていない全ての4桁の番号です。一般的に誕生日や記念日などをナンバーにしたいという方が多いです。
抽選対象希望番号は、毎週抽選が行われて当選すればナンバーに使うことができます。一般希望番号に関しては、申請して変更手続きをすればナンバーが変更されます。
自動車保険の契約中に、新しく車を購入し乗り換えるという方もいるでしょう。この場合、前の車のナンバーを新しい車に引き継いでそのまま使うことはできません。
車の車台番号は1台ずつ違い、車を識別するための個体番号です。ナンバーはこの車台番号と連動しているため、車が異なれば同じナンバーを使うことはできないのです。車の乗り換えを行った場合は、ナンバーの変更というよりは新たにナンバーを取得することになります。
自動車保険では、契約車両を変更することを「車両入替」と呼んでいます。車が変わればナンバーや車台番号も変わるため、保険会社に連絡し、車両入替の手続きを行わなければなりません。
車両入替には、車検証と前の車と新たな車の累計走行距離が必要となります。保険会社によっては、ネットのマイページからアクセスし、必要事項を入力するだけで車両入替の手続きができるところもあります。
後日、自動車保険移動変更手続き完了のお知らせが届くでしょう。
自賠責保険の名義変更は必要あるの?手続きの仕方も教えます!
自動車保険の通知義務について
自動車保険の契約には色々なルールがありますが、その中に通知義務も含まれます。保険期間内に運転者や車に関して何か変更が生じた場合は、保険会社に伝えなければならないというのが通知義務です。
通知義務を課している理由は、変更により保険料に増減が生じた場合、保険会社と契約者の利益が損なわれてしまうからです。
ナンバー変更時の保険会社への連絡方法について
ナンバーを変更すれば新しいナンバープレートも交付され、新しい車検証にも新たなナンバーが記載されます。これで手続きは終わりだと思うかもしれませんが、そうではありません。
自分が加入している自動車保険では、まだ前の車のナンバーで契約がされたままです。そのため、ナンバー変更をしたら、契約者が自動車保険の保険会社に連絡をする必要があります。
連絡方法は主に以下の2つがあります。
ネットからナンバー変更の手続きができる保険会社が増えています。
ネットなら帰宅後や休日、外出先や仕事、学校の休憩時間などを利用して手続きができます。場所も時間も選ばず、契約者の都合に応じて手続きすればよいので効率的です。
自動車保険会社のホームページにアクセスし、顧客専用のログインページからIDやパスワードを入力してログインしましょう。保険証券番号を入力するだけでアクセスできる場合もあります。
ナンバー変更を選んで、必要事項を入力して送信すれば手続き完了となります。
ネット以外にも、電話をかけて担当者にナンバー変更の旨を伝えれば手続きできる保険会社もあります。受付時間が決まっており、土日や祝日は平日とは受付時間が異なる、もしくは休みの場合もあるので事前に調べておきましょう。
直接担当者と話をして受け付けをしてもらえるので分かりやすく、ついでに他の質問もできるので便利です。
また、実際に自動車保険の代理店に出向けば手続きしてもらえる所もあります。書類に必要事項を記載し、署名や押印をするだけなので手続き自体はとても簡単に終わるでしょう。
自動車保険の保険料について
自動車保険の保険料は様々な要素に基づいて決められており、各保険会社によって金額差があります。
保険料決定要素として挙げられるのが、以下の項目です。
普通車と小型車、軽自動車などにおいて、事故実績に基づきクラス分けされています。
年齢条件には、全年齢、21歳以上、26歳以上、35歳以上というような区分があり、年齢が若いと事故リスクが高いとされているので保険料も上がります。
運転者の範囲によっても保険料が異なります。例えば、運転者を保険契約者本人だけにすると保険料が安く、運転者の設定を無しにすると保険料が高いです。
日常やレジャーなら事故リスクも低いので保険料が安く、通勤や通学目的、業務目的だと保険料が高くなります。
居住地域によっても金額に差が生じます。
今まで乗っていた車を手放し、別の車を購入して乗り換える場合は、ナンバーも新しく取得することになります。
その場合、前に乗っていた車とは異なる車種や型式、グレードの車を選ぶ可能性もあるでしょう。車の型式によって事故実績が異なるので、保険料にも差が生じます。そのため、車両入替の手続きをすると保険料が高くなる、もしくは安くなるかもしれません。
保険料は、車の型式ごとに定められた事故実績に基づく保険料の割増引率である「型式別利率クラス」を用いています。型式別利率クラスは損害保険料率算出機構が算出しており、毎年見直しが行われています。
自分の車がどの型式別利率クラスになるかは、損害保険料率算出機構のサイトでメーカーや車名などを入力するだけで調べることも可能です。
転居してナンバー変更を行うと、加入している自動車保険の保険料が増減することがあります。しかし、保険料は増減せず、全国一律の金額にしている保険会社もあります。どのくらい保険料が増減するかは各保険会社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
一般的に保険料が高くなるのは、保険金請求件数が多い都道府県です。交通事故の発生件数、死亡事故件数が多い地域は、どうしても自動車保険を使う頻度が高いため、保険料が高くなっています。また、寒冷地は道路が凍結したり、積雪があったりしてスリップ事故が起こりやすいので、温暖な地域よりは保険料が高い傾向にあります。
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保険金の支払いについて
自動車保険には、契約者が守らなければならない決まりが色々あります。具体的にどのような決まりがあるかは、契約する前に保険会社のスタッフから説明を受けるでしょう。また、契約書の約款にも明記されているので把握しておかなければなりません。
もし決まりが守られなければ、保険金の支払いが遅延したり、保険金自体が支払われなかったりすることもあります。最悪の場合は契約解除となってしまうケースもあるので、きちんと確認しておくことが大事です。
通知義務違反について
自動車保険を契約するにあたり、契約者は約款に記載された事項を守らなければなりません。その一つが通知義務です。
保険契約中に契約者や被保険者の運転状況に変更が生じた場合は、保険会社に速やかに知らせましょう。
もし通知をしない、通知義務違反の状態で交通事故の発生リスクに大きな影響を及ぼした場合、保険金を請求しても保険会社に支払ってもらえないことがあります。
また、知っていたのにわざと通知せずに事故の発生リスクが高まった場合などは、保険契約自体を解約させられることもあるので注意しましょう。
通知義務のある変更内容について
車を使用していると、運転状況などに変更は生じることがあります。些細なことなので問題ないと思う方もいるかもしれませんが、保険会社に通知義務のある変更事項、つまり通知事項が含まれている場合もあります。
ナンバーの変更の他にも車の使用目的や走行距離、運転者の範囲などが通知事項となっている場合が多いです。これらの内容について以下で詳しく説明していきます。
自動車保険に加入する際に、車の使用目的を選びます。
車の使用目的は主に以下の3つに分けられます。
- 買い物や通院、家族の送迎、レジャーなどの日常生活に使用するのが「日常・レジャー目的」
- 毎日の通勤や通学に使うのが「通勤・通学目的」
- 主に仕事で車を使う場合は「業務目的」
車の使用目的の違いにより交通事故の発生リスクが異なるため、どの目的を選ぶかによって保険料にも差が生じています。保険料は業務目的が一番高く、次いで通勤・通学目的、一番安いのが日常・レジャーです。
自動車保険契約中に、例えば契約時は日常・レジャー目的を選んでいたのに就職して通勤に車を使用するようになった場合、使用目的は通勤・通学に変更しなければなりません。
車の使用目的の変更も通知事項にあたる場合が多いので、遅滞なく保険会社に通知する必要があります。
車の年間走行距離に関しても、自動車保険では3,000㎞以下、3,000㎞超~5,000㎞以下というように一定の区分を設けています。契約時にどの区分にするか選んでいるでしょう。
ただし、保険契約期間中にライフスタイルが変化した場合、車の走行距離が増減する場合もあります。
例えば、転勤で新しい職場が遠方になり、遠距離通勤になってしまったケースなどが当てはまります。この場合、必然的に年間走行距離が多くなるので、その分運転する時間が増え、結果的に交通事故に遭遇する確率も高くなるでしょう。
自動車保険では交通事故の発生リスクが上がる場合、保険料も高くなるように設定してあります。年間走行距離は保険料に影響してくるため、変更が生じたら速やかに保険会社に伝えなければならないとされています。
自動車保険では、契約車両を運転する運転者の範囲についても契約時に指定しなければなりません。運転者の範囲は誰が運転するか、運転者の年齢に分けられています。
誰が運転するかに関しては、本人限定、配偶者限定、限定無しなどに区分されています。運転者が少ないほど交通事故のリスクが低いので、保険料も安いです。
運転者の年齢に関しては、21歳以上、26歳以上、30歳以上や全年齢などに分かれます。年齢が若いと運転歴が短いため運転技術が未熟だと予想されるので、保険料が高くなります。
契約の途中で運転者の範囲を変えたいというケースもあるでしょう。例えば、契約者本人が乗っていた車を免許取得した子供と共有で使うとなった場合などです。
そうなると本人限定にしていた場合は運転者の範囲が当てはまらず、年齢の条件も変更しなければなりません。運転者の範囲を変更せずに、運転者として限定されている人以外の人が運転中に交通事故を起こして保険が必要となっても、保険金が下りない可能性が高いです。
変更事項が生じたら早めに保険会社に連絡しよう!
車のナンバーや走行距離、使用目的などに変更が生じたら、保険会社に早めに連絡することが大事です。
それ以外にも、転居して住所が変わった場合など車検証の記載事項や、交通違反により検挙されて運転免許証の色が変わった場合なども保険会社に通知しなければならない事項があります。
そのため、保険証券をもう一度見直し、どういったことを伝えなければならないのかを確認しておきましょう。