自動車保険は万一事故を起こした時に必要なものですが、保険料は継続的にかかるものなので少しでも抑えたいと思っている方もいるでしょう。
そこで、保険料は走行距離によってどの程度変わるのか知っておくと節約にもつなげられるでしょう。
この記事では、自動車保険における走行距離で保険料が変化する要因と算出方法、走行距離が超過した場合の対処法について詳しく解説していきます。
自動車保険の保険料は走行距離が影響する
自動車保険は運転者や契約者の事故リスクを基準にして保険料を決定しています。事故を起こせば保険会社は補償をする必要がありますので、リスクが高い方の保険料は高く設定され、リスクが低い方の保険料は低く設定しています。
走行距離で判断する理由も同様です。年間走行距離が多くなるほど車に乗っている時間が長くなるため、事故リスクが高くなることから保険料も引き上がります。
特にダイレクト型の自動車保険を採用している保険会社は、走行距離によって保険料の価格設定を行っているケースが多く、影響は大きくなります。
最近の自動車保険の多くが、リスク細分型の仕組みを採用しています。加入者における事故リスクを考慮しながら、保険料を算出している点は知っておくと良いでしょう。
自動車保険は走行距離以外にも保険料に影響する項目があります。具体的には以下の項目です。
- ノンフリート等級別料率制度
- 型式別料率クラス制度
- 記名被保険者の年齢別料率区分
- 地域区分
- 使用目的
- 運転免許証の色
- 年間走行距離の区分
上記の中で重要視されるのが、等級と車の型式と運転者の年齢です。
等級に応じて割引率が異なるため、無事故で長く運転している方は等級も上がり、保険料の割引率も高く設定されます。
また、運転者の年齢が10代や20代前半の方は事故率が高くなっているため保険料が引き上がります。
警視庁が公表している「令和3年中の交通事故の発生状況」によると、原付以上の運転者の10万人当たりの交通事故件数で16~19歳までが1043.6件、20~24歳が605.7件で特に多いため、保険料が高くなることにつながっています。
さらに、車の型式によっても保険料は変化します。
例えば、コンパクトカーとスポーツカーを比較してみましょう。事故率や盗難率を考慮するとスポーツカーの割合が高くなるため、保険料が引き上がる要因になります。
これは、損害保険料率算出機構が算出した型式別料率クラスを基準にしており、普通車は17段階、軽自動車は3段階で評価されています。
走行距離以外にも保険料に影響する項目はあるので、自分の車の使用状況に応じて自動車保険を選ぶことが大切です。
自動車保険の年間走行距離の区分について
走行距離の違いで保険料が変化する理由を説明しましたが、それはどのように区分されているのでしょうか?
ここからは、年間走行距離の区分について、保険会社に申告する内容も含めて詳しく解説していきます。
年間走行距離の区分については、保険会社によって分け方が異なっていますが、概ね5~8区分あります。
自分の年間走行距離の範囲にブレが大きいのであれば、範囲の大きい保険会社にすると良いでしょう。逆に年間走行距離がほぼ一定であれば、範囲が狭い保険会社が都合が良いと言えます。
以下では、とある保険会社の年間走行距離区分の一例を挙げておきますので参考にしてください。
- 3,000km以下
- 3,000km超~5,000km以下
- 5,000km超~7,000km以下
- 7,000km超~9,000km以下
- 9,000km超~11,000km以下
- 11,000km超~16,000km以下
- 無制限
上記の保険会社は7区分に分かれており、保険料に連動されます。
年間走行距離の申告方法はどのように行っているのでしょう?
一般的にダイレクト型自動車保険に関しては「過去1年間の走行距離の申告」を基準にして、該当する走行距離区分を決定し保険料を算出しています。
このような算出方法を採用しているので、契約期間中に走行距離を超過してしまった場合は翌年の契約更新の際に再申告を行い、保険料に反映する方法を用いています。
保険期間内に契約変更をする必要がないので、安心して運転することができるでしょう。
ただし、注意点として過去1年間の走行距離を基準にするため、加入時に契約する車のオドメーター(走行距離積算計)の走行距離を確認して、間違いなく申告を行う必要があります。
一般的に初年度に関しては各保険会社の指定する初期設定値を記入し、更新後はオドメーターの値を申告する流れになっています。
保険会社の中には、これから契約する「1年間の予定走行距離」を基準に走行距離区分を行い、加入できるところもます。
年間の走行距離の目安が分かっている方には、利用しやすい自動車保険でしょう。
しかし、保険期間内に予定走行距離を超えてしまった場合は直ぐに連絡を行い、差額の保険料を支払わなければならない保険会社もあります。そのため、加入する前に確認しておくことをおすすめします。
申告内容を大幅に超えてしまうことも考えられますが、この方法を採用する保険会社でも、申告内容の変更に応じてくれるところもあります。結果的に気付いたタイミングで連絡して、保険会社の指示を仰ぐのが良いでしょう。
もし年間走行距離の変動が大きい場合は、走行距離が保険料に影響しない自動車保険を選択するのが良いかもしれません。
実際、過去1年間の走行距離・予定走行距離を申告しなくても良い保険会社も存在します。走行距離が保険料に関係しない自動車保険を採用しているのは、代理店型が多いです。
代理店型の自動車保険は保険料を全国一律で設定されているのが一般的です。そのため、仮に転居を行い地域が変わったとしても、保険料が変動するケースは少ないでしょう。
長距離運転を主としているのであれば、保険料が安くなる場合もあるので、走行距離の見通しが立たない方、長距離運転を行う方に向いていると言えます。
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申告した走行距離が超過した場合について
思ったより走行距離が伸びてしまい、申告した走行距離をオーバーした場合はどのような対応をすれば良いのでしょう?
ここからは、申告した走行距離が超過してしまった際の対処方法について、詳しく解説していきます。
まず、走行距離が超過した段階で保険会社に連絡することが大切です。連絡が遅れることで、補償を十分に受けられなくなってしまうことを防ぎましょう。
保険会社によりますが、走行距離を超過してしまっても、翌年自動車保険を更新するのであれば走行距離超過による追加の保険料を支払わなくてもいいケースもあります。
どのような状況でも、保険会社に迅速に報告することでその後の対処もスムーズにできます。連絡が遅れないようにだけ注意しましょう。
ただし、走行距離が超過した時点で連絡が必要なのは、1年間の走行距離を予測して保険料を決めるタイプの保険会社のみです。
過去1年間の走行距離を基準に保険料を決めるタイプの場合は連絡する必要はありませんので、間違えないようにしましょう。
契約時に申告した走行距離よりも実際の走行距離が少なくなった場合、保険料の返還はされないことが一般的ですが、一部の保険会社では翌年の保険料を引き下げてくれる場合もあります。
過去1年間の走行距離を申告するタイプの保険の場合は、翌年が少なかった走行距離で保険料が算出されるので、保険料を安くしてもらえる可能性が高いです。
具体的には、契約距離区分の上限キロ数より1,000km以上少なかった場合に、その差額保険料に相当する金額を翌年継続する保険料から割り引く方法を採用する保険会社があります。
また、思ったより年間走行距離が大幅に少なくなる時は、保険期間中に契約距離区分の変更を行うことで、保険料を返金できる場合もあります。保険会社によって条件が異なりますので、確認しておくと良いでしょう。
走行距離に応じて保険料が変動する場合、オドメーターの数値を実際よりも少なく申告すれば保険料が安くなることになります。
しかし、保険料を安くしたいがためにオドメーターの数値を少なく申告するような虚偽の報告を行うことはやめましょう。
事故を起こして補償を受ける際、保険会社の調査員が隈なくチェックすることになります。その時に虚偽の報告を受けていたとすれば、補償を拒否される可能性も否定できません。
走行距離は正確に申告し、万一の事故の際に対応してもらうことが大切です。
走行距離の違いで保険料はどのぐらい変動する?
ここまでで、走行距離による区分や、超過した場合の対処方法についてお伝えしてきました。それでは、年間走行距離が変わるとそれに伴いどのぐらい保険料が変動するのでしょう?
ここからは、走行距離の違いによる保険料の変動について一例を挙げて解説していきます。
年間走行距離でどのくらい変動があるか、ある保険会社の保険料の一例を見てみましょう。各条件によっても異なるためあくまで概算にはなりますが、参考にしてください。
年間走行距離 | 年間保険料 |
---|---|
3,000km以下 | 34,560円 |
3,001km~5,000km | 37,300円 |
5,001km~7,000km | 39,700円 |
7,001km~9,000km | 43,110円 |
9,001km~11,000km | 45,440円 |
11,001km~16,000km | 53,430円 |
16,001km以上 | 57,040円 |
※上記は、使用条件を記名被保険者とその家族に限定、35歳以上補償、6等級で新規契約、主に家庭用として、同一のコンパクトカーで走行距離に応じて算出しました。
3,000km以下と7,001km~9,000kmの保険料を比較すると、年間8,550円の差があります。走行距離が多くなると事故率も高くなるため、保険料も引き上がる傾向があることが分かるでしょう。
走行距離に応じた自動車保険の選び方のポイント
ここまでで、走行距離で保険料が変動することは理解できたかと思います。
それでは、走行距離を基準として考える場合、自動車保険の選び方はどのようにすれば良いのでしょう?
ここからは、走行距離を踏まえた自動車保険の選び方について詳しく解説していきます。ポイントとしては、使用条件によって基準を決めることです。
年間走行距離が3,000km以下であれば、近隣の買い物や送迎、週末に利用する頻度の方が対象になるでしょう。その場合は、走行距離が短い区分の保険が適しています。
一般的に、走行距離が少なければ事故に遭う確率も低くなりますので、保険料も抑えることができます。そのため、走行距離が少ないほど保険料を安く設定している自動車保険が適していると言えるでしょう。
実際、ダイレクト型自動車保険の多くは年間走行距離が3,000km以下の区分が一番安く設定されています。各保険会社の見積もりを比較して、自分の状況に合った保険を選ぶと良いでしょう。
走行距離が一定ではなく毎年変動する方は、走行距離に応じて保険料を算出してくれる保険が適しているでしょう。具体的には、過去1年間の走行距離で算出する自動車保険です。
走行距離が多くなると次年度は保険料が上がりますが、走行距離が少なくなると次年度の保険料が安くなります。
さらに、継続して自動車保険を利用するのであれば、若干の保険料の上下はあるかもしれませんが、事故を起こさずに保険を利用しなければ等級が引き上がります。その分も含めて、保険料を抑えることもできるでしょう。
また、特約として走行距離の上限を超えても、連絡や保険料の差額を支払わなくてもいい自動車保険も存在します。もし毎年変動が大きいケースであれば、保険会社に問い合わせて走行距離をオーバーした際の特約があるか、聞いておくと良いでしょう。
通勤や通学などで走行距離が多くなる場合は、走行距離で保険料が変動しない保険が適しています。
走行距離の区分がある保険であれば保険料が高くなる可能性があるため、走行距離を気にしながら運転しなければなりません。
一般的に走行距離の区分がある自動車保険は、走行距離が多くなってくると走行距離の区別がない保険に比べて割高になる傾向があります。そのため、年間1万km以上走行するのであれば、走行距離の区分がない自動車保険を選ぶのが適切でしょう。
走行距離が少ない場合は、走行距離で変動しない自動車保険だと保険料が高く感じるかもしれません。自分の走行距離に応じて判断すると良いでしょう。
実際走行した距離だけ、保険料を支払う保険も存在しています。それは「コネクテッドカー」と呼ばれ、インターネットへ常時接続機能を備えた車が対象となる保険です。
コネクテッドカーは、ネットワークを通じて自分の車の状態を周辺情報へ送ることができます。具体的にいうと、契約者のカーナビなどから取得した走行距離を送信して、走行距離に応じて保険料を算出する方法です。
保険料を1km単位で把握できるので、無駄のない保険料を設定することができます。走行距離に応じた的確な保険料で算出されるため、納得感があるでしょう。
もし自分の車がコネクテッドカーであれば、利用を検討しても良いかもしれません。
自賠責保険の名義変更は必要あるの?手続きの仕方も教えます!