自動車保険の中には、年間走行距離に応じて保険料が決まる仕組みになっている商品もあります。その中には、あらかじめ予想走行距離を申請するものもあります。
しかし、当初の想定よりも走行距離が延びる場合もあるでしょう。もし予想走行距離を超えてしまったら自動車保険の取り扱いはどうなるのでしょうか?ここで詳しく解説していきます。
自動車保険の予想走行距離を超えても補償は受けられる
予想走行距離を超えたからといって、それだけの理由で告知義務違反などにより自動車保険による補償が受けられない、解約されるといったことはありません。
ただし、予想走行距離を超えてしまったら、速やかに保険会社に連絡する必要があります。
自動車保険の保険料は、予想走行距離も踏まえて算出されています。そのため、走行距離が伸びれば、保険料の算出をやり直さないといけなくなります。
しかし、保険会社の中には申告しなくても問題ない商品もあります。もし走行距離によって保険料が変わる自動車保険に加入している場合は、通知義務の有無について確認しておくことをおすすめします。
また、予想を超える走行距離になる場合、追加で保険料が請求されると思っておきましょう。
通知義務があるところも
走行距離をベースに保険料を算出している保険会社の中には、予想走行距離を超えた時点で通知義務のあるものもあります。走行距離申告をした自動車保険に加入している場合には、確認しておきましょう。
保険会社によって走行距離の区分は異なります。
例えば、5,000kmごとに区分が異なるところもあれば、2,000kmごとにより細かく区分分けを行っているところもあります。また、3,000km超~5,000km以下、5,000km超~10,000km以下と区分によって範囲が異なるような変則的な保険もあります。
加入している保険の区分がどうなっているのか、今一度確認しておくと安心です。
申告するタイミングは、走行距離のオーバーが判明した時点です。走行距離がオーバーしたら速やかに連絡しましょう。
走行距離をオーバーしたら通知義務のある自動車保険の特徴を見てみると、これから1年間の走行距離を自ら予想して申告する方式が共通しています。そのため、年間走行距離が毎年変わる方におすすめと言えます。
例えば、前年度よく車に乗って、走行距離が長かったと仮定しましょう。しかし翌年あまり車に乗らない場合、短い距離で申請すれば保険料を安くすることも可能です。
しかし、予想走行距離を超えた場合は速やかに保険会社に連絡しなければなりません。そして、そのオーバーした走行距離分の保険料を負担する必要が生じます。
走行距離をオーバーした分の保険料を支払うタイミングは、保険会社によってまちまちです。一般的には、保険が満期を迎える際に精算する形になるでしょう。
通知義務のある自動車保険に加入している場合、予想走行距離を超えたタイミングで事故を起こしても、基本的に補償は受けられます。走行距離を超えたことが判明した時点で保険会社に自己申告しておけば、問題ありません。
走行距離は、オドメーターを確認することで把握できます。オドメーターは、運転席の前面にあるパネルの中にあります。数字のそばに「ODO」と表示がされていることが多いので、すぐに分かるでしょう。
虚偽申告をしていなければ、予想走行距離を超えても補償を受けられます。また希望すれば、翌年度も引き続き契約更新することも可能です。ただし、オーバー分の保険料は支払わないといけないので、覚えておきましょう。
通知義務のある自動車保険に加入していて、申告していた走行距離を超えてしまい保険会社に申告すると、オーバー分の走行距離をもとにして保険料の算出がやり直されます。
走行距離が長くなると、それだけ事故に遭遇するリスクも高まります。そのため、走行距離が延びるのであれば、その分の保険料を追加で請求されます。
もし予想走行距離を超えて追加で保険料の請求をされたら、自動車保険を見直してみるのも良いでしょう。もしかすると皆さんの走行距離の条件で、より安い保険料の自動車保険があるかもしれません。
インターネットで簡単に走行距離に基づいた保険料をシミュレーションできるサイトもあります。こちらで比較して、より安い自動車保険に乗り換えるのも一つの手です。
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予想走行距離を超えても申告不要な自動車保険もある
走行距離ベースで保険料を設定している自動車保険でも、通知義務のないものもあります。その場合、設定されている走行距離をオーバーしても保険会社への申告は不要です。
もちろん、申告しなくても告知義務違反などで保険が下りなかったり、自動車保険を解約されたりする心配もありません。
走行距離を超えた場合、申告義務のあるものとないものは半々くらいと思っておきましょう。
ただし、告知義務のない自動車保険の場合は翌年度以降の保険料が上がってしまうので、注意しましょう。一時的に車の利用頻度が増えて翌年度また元の頻度に戻った場合、割に合わない保険料になってしまうかもしれません。
告知義務のない自動車保険の特徴を見てみると、新規契約や契約更新する際に、前年度の積算走行距離を申告する点が共通しています。
この場合、申告した走行距離をオーバーしても申告する必要はなく、契約変更する必要もありません。
しかし、前年度の積算走行距離を申告するので、オーバーしていたら翌年の走行距離も伸びます。そのため、翌年度の走行距離に関係なく、保険料はアップしてしまうことになります。
自動車保険によっては、契約更新のタイミングでオドメーターの数値を提示しなければならない場合もあるので、契約更新が近づいてきたら、車のオドメーターを確認してすぐに申告できるようにしておきましょう。
通知義務のない自動車保険の場合、走行距離が超えたら翌年度の自動車保険の保険料は確実にアップします。もし走行距離のオーバーが確実視されるのであれば、更新時に自動車保険の乗り換えを検討すると良いでしょう。
オーバーした走行距離でシミュレーションしてみると、現在加入している自動車保険よりも保険料の安いものがあるかもしれません。そのため、更新時に自動車保険を乗り換えると、お得になる可能性もあります。
また、通知義務のある自動車保険に乗り換える方法もあります。一時的に走行距離が伸びてしまったが、今後はそこまで車を運転しない場合におすすめです。通知義務がある場合、前年度の走行距離に関係なく予想走行距離で申告できます。
このように乗り換えも視野に入れて、翌年度の自動車保険をどうするか検討しましょう。
予想走行距離に達しなかった場合
走行距離が超えてしまった場合、保険料がアップしてしまいますが、逆に走行距離が予想よりも少なかった場合は保険料が戻ってくるのかというと、払いすぎた分は返還されません。
そのため、最初から多めに予想走行距離を設定しないようにしましょう。余計に保険料を支払うことになり、返還もないので結局損をしてしまいます。
ただし、予想走行距離に明らかに届かないことが判明した段階で契約内容の変更のできる保険会社もあります。予想走行距離も少なくなることが決定的になった段階で、保険会社に問い合わせてみましょう。
また保険会社の中には、申告した走行距離より少なかった場合、翌年度の保険料が割引になるところもあります。そのような自動車保険を探してみるのも一考です。
自動車保険の走行距離の決め方について
自分で予想走行距離を申告する場合、どのくらいの距離にすれば良いのか分からないという方も多いかもしれません。
その場合、自分が主にどのような用途で運転するかを考えると良いでしょう。日常使いやレジャー、両方で使用すると走行距離も違ってきます。
それぞれのケースで目安になる走行距離を紹介しますので、申告する際の参考にしてください。
日常使いの場合、せいぜい年間走行距離は5,000kmが上限となるでしょう。毎日車に乗っていても近所を運転するので、それほど距離は出ないでしょう。
例えば、近所に日常品の買い物に出かける、まとめ買いをするのでそんなに車にも乗らないというのであれば、1,000km未満で申告しても超えないでしょう。
休日に近くのショッピングモールなどに買い物する際には1,000~3,000kmといったところで設定すると良いです。
2日に1回、平日休日関係なく近所に買い物に出かけるのであれば、もう少し距離が延びるかもしれません。この場合、年間走行距離は3,000~5,000kmの間で設定するのがおすすめです。
レジャーで利用する場合、遠方へのドライブが想定できます。そのため、年間走行距離を申告する際は少し長めに想定しておくことをおすすめします。
基本は近所の買い物に利用するけれど、月に1回くらいレジャーで使用する方であれば、5,000~7,000kmくらいの走行距離で申告すると良いでしょう。
ただし、これよりも頻繁にレジャー目的で車の運転をする場合には、もう少し長めに走行距離を申告したほうが良いかもしれません。例えば、毎週末ゴルフやアウトドアをするために運転するのであれば、7,000~10,000km程度の走行距離にしておくと無難です。
普段使いでもレジャーでも結構ハンドルを握る機会があるというのであれば、さらに走行距離は長めに設定しておくのがおすすめです。
平日は近所に買い物に出かけ、毎週末もかなりの頻度でドライブやゴルフ、アウトドアに出かけるために運転するのであれば、少なくても10,000km以上で申告すべきです。
さらに、中には年に何度も旅行に出かける、長期休暇ではかなりの確率で帰省するという方もいるでしょう。この場合、予想走行距離はかなり延びる可能性があります。
旅行や帰省先がかなりの遠距離になるのであれば15,000km以上、場合によっては20,000km以上の予想走行距離にしたほうが良い方もいますので、慎重に検討してください。
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自動車保険の予想走行距離の虚偽申告について
走行距離を少なくすれば、保険料も安くなります。しかし、だからといって虚偽に少なめの走行距離で申告するのは問題です。
予想走行距離を超えているのに申告しないといった虚偽申告を行っていると、告知義務違反に該当する可能性があるので注意しましょう。
自動車保険の契約をする際に年間走行距離の申告が実際よりも短い場合、告知義務違反に該当する危険性があります。
告知義務違反と保険会社が判断すれば、事故を起こしても保険金が下りない危険性があるので注意してください。
自動車保険に限らず、保険は他の契約者が支払う保険料から保険金を捻出するため、公平性を何よりも重視します。
自動車保険の場合、事故リスクの高い人は多め、低い人は少なめの保険料設定にして不公平性をなくす仕組みです。走行距離が長ければ、それだけ運転する頻度や時間が多い、つまり事故リスクが高くなります。
もし実際の走行距離よりも少なめに予想走行距離を設定している、超えているのに申告しないと公平性に反します。
あまりに予想走行距離と実際の走行距離がズレていると、虚偽申告とみなされるかもしれません。
予想走行距離を超えてしまった場合、速やかに保険会社に連絡してください。そこで差額の保険料を支払えば、事故を起こしても補償を受けることができます。
虚偽申告ではなく、想定外の事態が起きることで走行距離が延びてしまう場合も少なくありません。
例えば、転勤や転職で住む場所が変わって、これまで電車やバス通勤だったのがマイカー通勤になれば走行距離が予想以上に延びますし、車の使用条件を「日常レジャー使用」から「通勤通学使用」に変更する必要もあります。
また、引っ越すことで走行距離が延びてしまうこともあります。特に遠方へ引っ越すことになった場合、新しい住まいに移動するだけでもかなりの走行距離になってしまうでしょう。
しかし、走行距離が予想を超えると分かった段階で速やかに保険会社に連絡すれば、何の問題もありません。
自動車保険と走行距離の関係について
走行距離によって保険料が上下する自動車保険がありますが、一方で走行距離を保険料に反映していない自動車保険もあります。
ここからは、自動車保険と走行距離の関係がどうなっているのかについて、見ていきましょう。
自動車保険の保険料と走行距離は相関関係にあるのかというと、決してそうではありません。
2021年のデータによると、走行距離が保険料に直接反映される自動車保険は、約半数と見られています。
自動車保険の保険料は、事故リスクをベースにして設定されます。リスク要素には使用目的や記名被保険者の年齢、免許証の色、車種など様々です。
そして、このリスク要素の中で走行距離を採用している保険会社もあれば、採用していない保険会社もあります。そのため、頻繁に運転して年間走行距離が伸びている方は、走行距離をリスク要素として織り込んでいない自動車保険に加入すると、保険料がお得になるかもしれません。
自動車保険の中には、走行距離を保険料に反映しているものもあります。この場合、走行距離が長くなると保険料も高くなります。
走行距離が長いのは、それだけ長時間もしくは頻繁にハンドルを握っていると解釈できます。つまり、事故リスクも高まります。
極端な話、車を一切運転せず、車庫に保管していればまず事故に遭うことはないでしょう。事故リスクはほぼゼロなので、保険料も安くなります。
走行距離を保険料に反映している自動車保険は、実数値で決めているわけではありません。距離の区分で保険料を決めています。
走行距離に応じて保険料が決まる場合、どのくらいの差額が出てくるか気になるでしょう。保険会社によって変わってきますが、走行距離によってはかなりの差額が発生する場合もあります。
とある保険会社で、他の条件を一緒にして年間の保険料がどうなるかシミュレーションしてました。
年間走行距離が3,000km以下と15,000km超とで比較してみます。
3,000km以下の場合、年間の保険料は24,360円です。
一方、15,000km超の場合、年間の保険料は31,550円でした。
つまり、両者の年間保険料の差額は、7,190円になります。大きな金額差になりますので、走行距離をどうするかは慎重に検討しましょう。