トレーラーを牽引するタイプのキャンピングカーを運転中に交通事故に遭遇したら、自動車保険はどうなるか分からないという方もいるでしょう。

このキャンピングトレーラーは「牽引車」と「トレーラー」から成るので、どちらかの自動車保険で補償できると思われがちですが、実際にはどうなのかを解説していきます。

また、キャンピングトレーラーの特徴や免許、ナンバープレートなどについても言及するので、購入時の参考にしてください。

キャンピングカーには色々なタイプがある

キャンピングカーには色々なタイプがある
キャンピングカーには色々な種類があります。

バスやワゴンの運転席から後ろの座席、トラックの荷台を改造してトイレやベッドなどの設備を施しているのが、自走式キャンピングカーです。

自走式キャンピングカーは、ベースとなる車によって種類が分かれています。

  • バスがベースの「バスコン」
  • ワゴン車がベースの「バンコン」
  • トラックがベースの「キャブコン」など

一方で、エンジンが搭載されていないトレーラーの中にキッチンなどを備えつけ、前の車と牽引させて走るタイプのキャンピングトレーラーもあります。これは、普通車にトレーラーを連結させるだけでキャンピングカーに変身するので、便利で使いやすいと人気が高まっています。

キャンピングトレーラーについて

キャンピングトレーラーについて
キャンピングトレーラーというのは、長方形の箱型のトレーラー内にベッドやテーブル、トイレやシャワー、ミニキッチンといった水回りの設備などを備えたものです。

窓やドアも設置できるため出入りも簡単で、トレーラー内だけで生活できるようになっています。

トレーラー自体にはエンジンは搭載されておらず、自走することはできません。そのため、牽引車と連結させながら走行します。

キャンピングトレーラーとはどのようなものですか?
キャンピングトレーラーは、箱型の居室の中にキッチンやダイニングテーブルといったキャンピングカー内部のような設備が備わったトレーラーのことです。トレーラー自体にエンジンは搭載されていないので、ヘッド車と連結させて牽引して走行します。
キャンピングトレーラーのメリット

自走式キャンピングカーとは違い、キャンピングトレーラーには運転席やエンジンがないので、室内がかなり広く、ゆとりのある空間が確保できるのが大きな魅力の一つです。

家具やインテリアなどを配置すれば、オリジナルな空間が作れます。また、キッチンスペースが広くとれるので、雨や風が強く屋外で調理できない日でも、トレーラー内で十分キャンプ飯作りが楽しめます。冷蔵庫も設置できるので、食材の保存や運搬にも便利です。

また、自走式キャンピングカーと比べると安く購入できるのも魅力です。トレーラーの本体価格は、新車でも170万~300万円前後が一般的です。自走式キャンピングカーは、安くても400万円位はかかります。

トレーラーの維持費も年に3万~5万円程度で済みます。

キャンピングトレーラーのデメリット

キャンピングトレーラーは、牽引するヘッド車とトレーラーを連結させて走行します。そのため、右折や左折をする時はトレーラーの動きにも十分注意しなければならず、慣れるまで運転は難しく感じるでしょう

特にバックの際は思うように車を動かせずに苦労する方もいるので、何度も繰り返し練習が必要です。

また、ヘッド車とトレーラーを合わせた全長は約9m~12mとかなり長いのも難点です。駐車スペースは2台分必要となります。

駐車場を借りる場合は、車庫証明の関係上、自宅から半径2㎞圏内で探すことになるため、なかなか難しい場合もあります。

そして、走行中はトレーラー内に人を乗車させてはいけないことが法律でも決まっているので、トレーラー内で過ごすことはできないので注意してください。

また、ヘッド車の車種によっては、トレーラーを牽引することで燃費が落ちる可能性もあります。

牽引免許の必要性について

牽引免許の必要性について
ヘッド車に連結させてトレーラーを牽引して運転する場合、トレーラーは複雑な動きをするため、運転技術が要求されます。そのため、普通運転免許と別に「牽引免許」が存在しています。

キャンピングトレーラーを牽引して動かす場合、通常であれば牽引免許の取得が必要になりますが、キャンピングトレーラーの場合は車両重量が750㎏以下の小型サイズであれば、牽引免許は不要です。そのため、普通免許のみで牽引して走行させることができます。

小型キャンピングトレーラーでも3~4人は中で寝ることができるので、家族4人までの旅ならば十分快適に過ごせます。

ただし、車両重量750㎏を超える大型キャンピングトレーラーを購入する場合は、牽引第一種免許の取得が必要になりますので、注意しましょう。

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トレーラーのナンバー取得について

トレーラーのナンバー取得について
トレーラーにはエンジンが搭載されておらず自走しないので、ナンバープレートは不要だと思うかもしれませんが、実はそうではありません。

トレーラーにも車輪が備わっているため、牽引される形であっても公道を走行するので「車」として扱われます。そのため、トレーラーも車として登録し、ナンバープレートの交付を受けなければなりません。

トレーラーは、大きさや重量によってナンバープレートが3つに分けられています。

①黄色ナンバー(軽自動車登録)

牽引全長が3.4m以下、全幅が1.48m以下、全高が2m以下、最大積載量が350㎏以下

②白ナンバー(小型自動車登録)

牽引全長が4.7m以下、全幅が1.7m以下、全高が2m以下、最大積載量がトレーラーの本体の規定最大積載量

③白ナンバー(普通自動車登録)

牽引全長が12m以下、全幅が2.5m以下、全高が3.8m以下、最大積載量がトレーラーの本体の規定最大積載量

黄色ナンバーの軽自動車登録は、軽自動車協会で取得できます。

白ナンバーの小型自動車登録と普通自動車登録は、運輸支局で取得することができます。

キャンピングトレーラーの事故リスクについて

キャンピングトレーラーは、連結させたトレーラーをヘッド車が引っ張る形で公道を走行していきます。そのため、真っすぐ走行する分には問題ないでしょう。

しかし、右折や左折をする時は内輪差が生じます。感覚慣れしていないと、特に狭い道路の場合は曲がり角の塀や看板などにトレーラーをぶつけるリスクがあります。

また、一番運転で難しいのがバックです。バックしながらハンドルを左右に切っても、一般車両と同じような動きはしないので他の駐車中の車にぶつかるリスクも高まります。

練習して感覚をつかむことで運転には慣れてくるので、それまでは注意して走行しましょう。

キャンピングトレーラーの自動車保険について

キャンピングトレーラーの自動車保険について
キャンピングトレーラーを運転中に交通事故に遭遇した場合は、基本的に牽引しているヘッド車の自動車保険で損害が補償されます。

トレーラーに車輪はありますが、エンジンが搭載されていないので牽引されていないと走行することはできません。そのため、トレーラー部分の衝突であっても、牽引車の動きに起因した事故だとみなされます。

ただし、全ての損害に対して牽引車の自動車保険が適用されるわけではないので、注意が必要です。

事故でトレーラー部分が破損したら、自動車保険で補償してもらえますか?
キャンピングトレーラーを走行中の事故は、連結させたトレーラーを牽引しているヘッド車が加入する自動車保険で損害が補償されます。ただし、補償内容は対人賠償と対物賠償のみとなっており、車両保険は適用されないので注意が必要です。

牽引車の自動車保険でカバーできる補償について

牽引車の自動車保険でカバーできる補償について
トレーラーをヘッド車、つまり牽引車に連結させて、トレーラーを牽引中に交通事故に遭遇した場合、牽引車が加入している自動車保険で補償されます。

ただし、全ての補償が適用されるわけではありません。あくまでも、対人賠償と対物賠償のみなので注意しましょう。

対人賠償とは?

対人賠償保険は、契約車両を運転中に交通事故により他人を死亡させたりケガを負わせたりした時の損害に対して補償がされます。

賠償額は過失割合に応じて決まりますが、高額になるケースも多いため無制限となっている場合がほとんどです。

例えば、キャンピングトレーラーを運転中にトレーラー部分が歩行者に当たってケガをさせた場合であっても、牽引車の自動車保険の対人賠償から補償がされます。

対物賠償とは?

対物賠償保険は、契約車両を運転中に交通事故により他人の車や民家の壁、ガードレールなどの財物を壊した場合、損害に対する補償がされます。

対物賠償も被害の程度によっては賠償金が高額になるケースも多く、補償額を無制限としている保険もあります。

例えば、キャンピングトレーラーを運転していて左折する際に、トレーラー部分が民家の壁にぶつかり破損させた場合、牽引車の対物賠償から補償がされます。

人身傷害や車両保険について

人身傷害保険は、契約車両に乗車中の運転者や同乗者が交通事故により死傷した際の損害を補償します。例えば、キャンピングトレーラーを運転中に、牽引車やトレーラーが車と衝突し、牽引車の運転者や同乗者がケガをした場合に補償が受けられます。

車両保険は、契約車両が交通事故により破損した場合の修理代などを補償します。ただし、車両保険は契約車両である牽引車が破損した場合は補償を受けられますが、トレーラーの破損に対しては使うことができないので注意しましょう。

トレーラーの連結の有無と保険補償の関係性

キャンピングトレーラーはエンジンを搭載していません。車輪は備わっていますが、トレーラーが単体で自走することは不可能です。そのため、牽引車に連結させ、牽引する形でしかトレーラーを走行させることはできません。

事故により牽引車の自動車保険が適用されるのは、あくまでの牽引車とトレーラーが連結した状態で走行している場合のみとなります。つまり、連結が切り離された状態では保険が使えないので注意しましょう。

トレーラーが牽引車と連結していない状態で事故により破損しても、自動車保険で補償してもらえますか?
トレーラーと牽引車が連結していない状態、もしくは連結していても駐車中に事故が起きた場合は、牽引車の自動車保険では補償されません。そのため、トレーラーの破損を補償するには、トレーラー単体で車両保険に加入する必要があります。

牽引車の自動車保険で補償されないケース

牽引車の自動車保険で補償されないケース
キャンピングトレーラーが走行中に交通事故を起こした場合、牽引車の自動車保険では補償されないケースもあります。

ここからは、トレーラーが自動車保険で補償されないケースについて、詳しく見ていきましょう。

トレーラーが牽引車と連結していない状態での事故

牽引車とトレーラーの連結を外した状態での事故の場合、牽引車の自動車保険はトレーラーが起因する事故であっても適用されません。

連結状態であることが、保険適用の重要なポイントとなります。

例えば、トレーラーが牽引車から切り離した状態、単体で坂道に駐車されていた際に車止めがきちんとはまっておらず、トレーラーが動いて人や車に衝突したとします。この場合、牽引車の対人・対物賠償保険は使えません。

牽引走行中に連結が外れて事故になった場合

キャンピングトレーラーで走行途中に、連結が外れた場合はどうなるのでしょう?

例えば、トレーラーを牽引車に連結させた状態で公道を走行中に連結部分が外れ、トレーラーが民家の壁にぶつかったとします。走行時は連結状態であったにも関わらず、事故の直前に連結が切り離されています。

この場合、結果的にトレーラー単独での衝突事故となっているため、牽引車の保険は適用できないことになります。

トレーラーの連結が走行中に外れるというのは、まずないかと思いますが、何らかのトラブルで外れる可能性はゼロではないので、十分な注意が必要です。

駐車中の事故

牽引車とトレーラーが連結状態であっても、牽引車の自動車保険で適用されないケースもあります。それは、牽引車が走行中かどうかが大きく関わってきます。

例えば、牽引車とトレーラーを連結した状態で駐車中に、トレーラーのドアを開けたら隣に駐車中の車のボディにドアが当たってしまい、傷をつけたとします。

この場合、牽引車がトレーラーを牽引、走行中ではないので牽引車の保険は適用されません。つまり、牽引車がトレーラーと連結状態であり、かつ走行中であることが牽引車の保険適用の条件となるのです。

トレーラー自体の自動車保険の加入について

トレーラー自体の自動車保険の加入について
牽引車の自動車保険では、トレーラーの破損を補償する車両保険が適用されません。つまり、トレーラーが事故で壊れた場合は、その修理費用が自己負担になるということです。

トレーラー内には、ミニキッチンやトイレなどの水回り設備や電気配線などが施されています。そのため、破損すれば修理費も高額になりやすく、経済的な負担も大きくなってしまうでしょう。

そのため、トレーラーの破損を保険でカバーするには、トレーラー専用の自動車保険に加入する必要があります。

トレーラーには車両保険をつけましょう

キャンピングトレーラーを運転中の事故は、牽引車の自動車保険でカバーできるといっても、全て補償されるわけではありません。

補償されるのは、対人・対物賠償、人身傷害のみとなり、車両保険は適用外です。そのため、トレーラー自体も自動車保険に加入しておくと安心です。

ただし、トレーラーは自走できないため、自動車保険のうち対人や対物、人身傷害はほぼ不要となるでしょう。そのため、トレーラーには自動車保険のうち車両保険のみをつけておくというのが、効率的かつ経済的だと言えます。

トレーラーに乗車中のケガは補償されない

トレーラーの自動車保険は、対人・対物賠償、人身傷害などの基本補償は付けずに、車両保険のみを付けるのが一般的です。

トレーラーは牽引されて移動するため、トレーラーが単独で動いて事故を起こすという事態は想定されていないため、トレーラー内に乗車中の事故により、同乗者が死傷した場合は保険では補償されません。

そもそも、牽引車がトレーラーを牽引して走行している時は、トレーラー内に人が乗車することは法律で禁じられています。とても危険なので気をつけましょう。

トレーラーの自動車保険料について

トレーラーの自動車保険料について
事故で破損した時のために、トレーラー単体で自動車保険に加入し、車両保険をつけておくことはおすすめですが、トレーラーの車両保険の保険料はどの位かかるか気になる方もいるでしょう。

以下に、一例を挙げるので見ていきましょう。

6等級で一般補償350万円の場合

免責10万円で、年間約72,000円
免責20万円で、年間約57,000円

6等級で一般補償450万円の場合

免責10万円で、年間約76,000円
免責20万円で、年間約60,000円

車両の時価や免責額で、保険料は変わってくることが分かるでしょう。

トレーラーの修理は高額になる場合もあるので、車両保険をつけておくと安心

キャンピングトレーラーを運転中の交通事故は、牽引車の自動車保険が適用されます。しかし、事故が起きても問題ないと思っていると、補償されないケースもあるのでリスクが高いと言えます。

トレーラーが破損した場合、特に水回りや電気系統などの設備が壊れると修理が高額になるかもしれません。また、牽引車の車両保険は適用されないため、トレーラー単体でも自動車保険に加入しておいたほうが安心です。

車両価格によっては、補償額をやや高めに設定しておくことをおすすめします。

まとめ

①キャンピングトレーラーは室内が広く、キャンピングカーよりは安価な反面、運転が難しいとされている
②キャンピングトレーラーを運転中の事故は、牽引車の自動車保険が適用される
③適用されるのは牽引車の対人・対物賠償保険と人身傷害保険のみで、車両保険は適用されない
④トレーラーの損害をカバーするには、トレーラー単体で車両保険に加入する必要がある
⑤トレーラーと牽引車が連結していない状態での事故は牽引車の保険が適用されない場合もある

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