友人や知人のキャンピングカーを数日借りて運転したい時、自動車保険はどうすれば良いか悩む方も多いかもしれません。
1日単位で加入できる自動車保険もありますが、キャンピンカーも対象車両に含まれるのか知っておくと役立つでしょう。
この記事では、短期間でも加入できるキャンピングカーの自動車保険について見ていきます。また、他車運転特約は適用されるのかも説明します。
今後、キャンピングカーを運転する予定がある方は参考にしてください。
1日単位で加入できるキャンピングカーの自動車保険はあるのか?
短期間だけ、友人や知人のキャンピングカーを借りて運転する機会があるという方もいるでしょう。また、友人や知人のキャンピングカーで一緒にキャンプに出かけ、途中で運転を交代する場面もあるかもしれません。
そういう時に限って、交通事故に遭遇する可能性もあります。万一の事故に備えて、自分が借りている間だけでも短期で加入ができるキャンピングカーの自動車保険を把握し、手続きしておくと安心です。
通常、自動車保険は車を所有し、常用している時に加入しておくのが一般的です。しかし、臨時に短期間だけで加入できる自動車保険もあります。それが「1日自動車保険」や「ドライバー保険」などです。
1日自動車保険について
通常自動車保険は、年単位で契約して契約満了日までに更新の手続きをするものです。車を所有、使用する限り継続していくシステムになっています。
しかし、1日(24時間)単位で加入することができるのが、1日自動車保険です。
例えば、普段は車を運転しないけれど、たまたま知人や友人の車を借りて運転することもあるでしょう。このように他人の車を臨時で運転する時などに加入ができ、万一の事故の際も補償されるので安心です。
1日自動車保険の対象車両は、他人から借りた自家用の軽自動車、小型車、普通車の乗用車です。そのため、本人や配偶者が名義になっている車は対象外となります。
例えば、長い間乗っていなくて自動車保険未加入だった本人名義の車を、久しぶりに少しだけ乗るために1日自動車保険に加入することはできません。
また、他人名義であっても一部の外車やスポーツカーは対象外となる場合があるので注意しましょう。他にも、法人名義の車やレンタカー、カーシェアも対象外となっています。
1日自動車保険の補償内容は、プランによって違ってきます。
基本補償として、対人賠償保険と対物賠償保険はどのプランでもついています。
対人賠償保険は、契約車両を運転中の交通事故により、他人を死傷させた際に補償してくれる保険です。
対物賠償保険は、契約車両を運転中の交通事故により、相手の車や自転車、ガードレールや看板といった他人の財物を壊した損害を補償してくれる保険です。
契約車両を運転中の事故における車の搭乗者への補償は、オプションになっている場合もあります。また、契約車両が破損した場合に補償が受けられる車両保険についても、オプションでつけなければならない場合があるので気を付けましょう。
保険の契約期間は、1日単位で加入することが可能です。
1日単位なので、3時間、5時間といった短時間での契約はできない場合がほとんどですが、中には半日(12時間)から加入できる保険もあります。
契約期間は1日間から最長で7日間としている保険会社が多いようです。
保険料の一例を見ると、対人対物、搭乗者補償のみのプランが1日約800円、半日では約500円となっています。
対人対物、搭乗者補償に車両保険がついたプランが1日約1,500円、さらに弁護士費用特約がつくと1日約1,800円となるプランもあります。
プランや補償内容は各保険会社によって異なる場合もあるので、調べてみましょう。
友人のキャンピングカーを運転する際、1日単位で加入できる自動車保険は便利です。しかし、1日自動車保険ではキャンピングカーを契約対象外としている保険会社が多いので、注意しなければなりません。
キャンピングカーは、キッチンやベッド、シャワーといった設備がついているので、車両の時価が高額になる場合が多いです。そのため、車両保険をつけるとなると事故の際の修理代がかさむので、保険会社も保険料をいくらにすればよいか判断が難しくなります。
そのため、キャンピングカーでも加入できる保険を扱う保険会社は、2023年1月時点では1社のみです。
1社でも利用できる保険があるので、加入はできますが、以前は全く扱う保険会社がなかったことから、一般的に普及しているとは言えないのが現状です。
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ドライバー保険について
ドライバー保険とは、自分の車を所有していない人が他人の車を借りて運転する時に、万一の事故に備えて加入できる保険のことです。
ここでいう「他人の車」とは、友人や知人などの他にレンタカーやカーシェアリングなども含まれます。
一般的な自動車保険は「人と物」の両方を対象としていますが、ドライバー保険は「人のみ」が対象です。そのため、自分の車の損害を補償する車両保険がないという点では、自動車保険とは大きく異なります。
ドライバー保険の内容について、詳しく見ていきましょう。
ドライバー保険の補償対象車両は、一般的な自動車保険と同様に自家用8種となります。
自家用8種とは、以下の車のことをいいます。
- 自家用軽自動車
- 自家用小型乗用車
- 自家用普通乗用車
- 自家用軽貨物車
- 自家用小型貨物車
- 自家用普通貨物車の車両重量0.5t以下
- 自家用普通貨物車の車両重量0.5t超2t以下
- 特種用途自動車(キャンピング車)
他にも2輪車や原付バイクも加入できます。
自家用8種に該当しても、記名被保険者やその配偶者、同居の親族が所有する車の場合は対象外となります。
さらに、記名被保険者が役員となっている法人名義の車も、補償対象外なので気を付けましょう。
ドライバー保険の補償内容は、1日自動車保険と同様に対人賠償保険、対物賠償保険、搭乗者への補償がベースとなっています。
対人賠償保険は、運転中の事故で相手を死傷させた場合の補償です。
対物賠償保険は、運転中の事故で相手の車や標識など他人の財物を壊した際の補償がカバーされるものです。
搭乗者補償は、車の運転手や同乗者が死傷した際の補償となります。
運転している車の損害を補償する車両保険は、ドライバー保険が「人のみ」を対象としているため、あらかじめついていません。
もし借りた他人の車の損害の補償も希望する場合は、オプションをつける必要があります。
ドライバー保険の契約期間は、原則として1年単位になっています。
運転者の年齢区分は、21歳未満もしくは21歳以上と区分けされている保険が多く、一般的な自動車保険のように細かく年齢が区切られていません。
保険料は、年齢区分や等級によって異なります。目安としては、21歳未満では1年で40,000~50,000円位、21歳以上では1年で20,000円~30,000円位となっています。
また、付帯させるオプションや保険会社によっては、保険料は違ってくるので、保険会社のホームページで見積もりを出してもらうといいでしょう。
他車運転特約について
他人の車を借りて運転する場合、自分や家族が自動車保険に加入していれば、他車運転特約を付帯させることで事故の補償をカバーできます。
他車運転特約とは、他人の車を運転中に事故を起こした場合、他人の車を契約車両とみなし、発生した賠償責任に対して保険金の支払いをしてもらえる特約です。
ただし、補償の対象者や対象車両などに条件があるので注意しましょう。また、他人の車であっても、運転状況などによって特約が適用されない場合もあります。
保険の補償が受けられるのは、主に契約車両を運転する記名被保険者やその配偶者、記名被保険者もしくは配偶者の同居の親族です。
さらに、記名被保険者もしくは配偶者の別居している未婚の子供も含まれます。しかし、既婚(婚姻歴あり)であれば対象外となるので注意しましょう。
記名被保険者の家事用務を除いた業務に就いている使用人も含まれますが、自動車保険の運転者の範囲に注意が必要です。
自動車保険では、運転者の範囲をあらかじめ限定して保険料を安くすることができます。
その運転者限定は、以下の3つがあります。
- 運転者を記名被保険者に限定する「本人限定」
- 記名被保険者とその配偶者に限定する「配偶者限定」
- 記名被保険者とその配偶者の家族に限定する「家族限定」
例えば、自動車保険が配偶者限定になっていると、同居の子供が他人の車を運転中に事故を起こしても、特約は適用されません。
また、自動車保険では運転者の年齢条件も設定できます。他人の車を運転した人が自動車保険の年齢条件に当てはまらなければ、同様に特約は適用されないので気を付けましょう。
補償対象車両は、一般的な自動車保険と同様に自家用8種となります。また、他人の車であることが条件となります。
つまり、記名被保険者やその配偶者、同居している親族が所有している車は当てはまりません。
また、友人や知人から臨時で借りている車というのも条件の一つです。長期に渡りずっと借りている状態は常用とみなされるので、特約の適用が受けられない可能性があります。
他車運転特約は、自動車保険と同様に対人賠償、対物賠償を基本補償としています。人身傷害や車両保険は任意設定となっており、自動車保険で加入していれば他車運転特約にも適用されます。
人身傷害は、他人の車の運転者、つまり自身と同乗者が死傷した際の補償です。
車両保険は、借りていた他人の車が事故で破損した場合の修理代などの補償となります。
車両保険で支払われる保険金は、車の時価が上限となっています。また、車両保険のタイプによっては、自損事故は保険の対象外となるので確認しておきましょう。
他車運転特約では、以下の場合は補償対象外となりますので注意してください。
- 踏切や信号待ちなどを除く駐停車中
- 自身の自動車保険に車両保険をつけていない場合
- 会社の車で業務中
- 無免許や酒気帯び運転
- 所有者に無断で借りた場合の事故
他車運転者特約の契約期間は、本契約である自動車保険の契約期間と同様です。契約が満了する満期を迎える前に更新手続きをすれば、引き続き特約も継続されます。
自動車保険は、1年契約で1年ごとに更新されていく形をとっている保険がほとんどです。自動車保険に既に加入済みで、他車運転特約を付帯させたいという方もいるでしょう。
しかし、ほとんどの保険会社では、他車運転特約は自動付帯となっています。つまり自動車保険に加入した時点で、自動的に付帯されているということです。
保険証券に記載がない場合は、約款を確認してみましょう。もし付帯されていなくても月々数百円程度で付帯させることができるので、保険会社に問い合わせてみてください。
自賠責保険のみでは補償が不十分
キャンピングカーも一般的な車両と同様に公道を走行する際は、自賠責保険への加入が法律で義務付けられています。そのため、万一の事故の際は、自賠責保険でも補償がカバーされます。
しかし、自賠責保険は交通事故の被害者救済を目的としており、人身事故における対人賠償のみが補償範囲となります。
その上、賠償額には上限が設けられており、高額な賠償責任を負った際は自賠責保険だけではカバーしきれないでしょう。
また、対物や人身傷害、車両保険といった事故に対する補償はありません。
そう考えると、自賠責保険に加入していても万一の事故には充分な補償を受けられないため、自動車保険に加入しておくのが安心です。
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キャンピングカーは車の特性から運転しづらい
キャンピングカーは普通車と比べても車高があるので、重心が高く走行中も不安定になりがちです。急にハンドルを切ると、カーブで横転するリスクもあります。
また、車幅が広く、全長も一般車両の1.5倍から2倍程もあるので、交差点で後方が死角となり、自転車や歩行車を巻き込む可能性もゼロではありません。後方が長いと、右折や左折時に後続車に接触する場合もあります。
さらに、速度を出しすぎるとタイヤがバーストすることもあるでしょう。また、特に車庫入れなどの際はハンドルを切るタイミングを誤ると、周囲の車などにぶつかることもありえます。
キャンピングカーは車の特性上、運転操作が難しく技術が必要です。時間をかけて練習して慣れることで、事故を回避することができるでしょう。
保険なしでキャンピングカーを運転するのは危険
運転に慣れているから大丈夫だろう、1日だけ運転するから問題ないだろうと、保険なしで他人のキャンピングカーを運転するのは危険です。
キャンピングカーは、トイレやキッチンといった水回りや電気系統などの設備が備わっているので、軽い衝突でも故障してしまう可能性があります。修理代がかなり高額になると、自分の負担が増えることになってしまいます。
事故は自分がどれだけ気を付けていても、いつどのように巻き込まれるか分かりません。
たとえ1日だけキャンピングカーを借りて乗る場合であっても、きちんと自動車保険に加入しておきましょう。