愛車が事故車になってしまった場合、修復して乗り続けるか乗り換えるかで悩みます。
全損で修復困難な場合はあきらめがつきますが、まだ乗れる可能性がある場合は「どちらがお得なんだろう?」と考えるでしょう。
今回は事故車になった車を乗り換えるか修理(修復)するかの判断基準を紹介します。後半では乗り換えに必要な廃車や買取についても解説するので、参考にしてください。
事故車の状態や修理にかかる費用を元に「乗り換え」か「修理」を判断しよう
事故車を修復するか売却や廃車にするかの選択は、車の状態や修理にかかる費用を元に判断しましょう。
なお、事故車は車体の骨格部分(フレーム)に問題があり「修復」した車が該当します。具体的にはピラーやフロア、ルーフパネルなどです。
なお、骨格にあたらないドアやガラス、バンパーなどを直した場合は「修理」になります。修理の場合は事故車扱いになりません。
そのため、ここからは「修復歴がある車が事故車」という点を踏まえ、基準や注意点を紹介します。
事故車を乗り換えるか修理するかの基準
ここからは、事故車を乗り換えるか修理するかの判断基準として5つのポイントを紹介します。
一括りに「事故車」といっても、事故の規模や破損箇所により車の扱いが大きく異なります。自分の車がどの状態に当てはまるかを確認し、適切な対応を行いましょう。
修復費用が高額な場合は乗り換えがおすすめです。
例えば、修理に100万円以上かかる場合は中古車を購入する方がよい可能性もあります。
車の修理は破損箇所ごとにかかる金額が異なり、バンパーやガラスの場合は5万円〜15万円程度で済むケースもありますが、エンジンの場合は取り替えで50万円以上かかることもあります。
そのため、事故の規模によっては修理代が100万円を超える可能性もあるでしょう。
任意保険に加入していれば保険で補償できますが、等級が下がり一定期間保険料が高くなるデメリットもあります。
修理費用が高額な場合は現在の車を買い取ってもらったり、廃車手続きを行って、中古車を購入する選択肢も検討しましょう。
車の骨格部分に修復が必要な場合も乗り換えが適しています。
骨格部分が歪んだり破損したりすると修復費用が高額になる上、事故車として扱われます。
事故車は買取市場で減額の対象であることから、うまく修復できたとしても納得できる査定額には届かない可能性が高いでしょう。
また、車は年式が古くなるごとに価値が下がる傾向もあることから、事故車は早めに売却して新しい車の購入資金に充てる方法がおすすめです。
車が全損の場合は廃車手続きを行った上で乗り換えが必要です。全損は車が修復できない状態を指します。
また、ゲリラ豪雨や災害で車が水没した場合も廃車が適しています。水没の場合、乾燥したらまた運転できるように思えますが、電気回路に水がつき故障している可能性が極めて高かったり、シート部分が水没の影響でカビたり傷んだりしていることもあります。
車が再起不能の状態にある場合は廃車専門業者をはじめとした廃車手続きを担う箇所に依頼して車を手放しましょう。
年式が古い車も場合によっては乗り換えが必要です。例えば、20年以上前の車でパーツが流通していなかったり修理が難しかったりする場合が該当します。
古い車の場合、今と修理方法が異なったり別の知識が必要になったりして作業できる人が限定される可能性もあります。
さらに、登録から13年以上経過した車の税金は金額が上がるため、経済的にもデメリットがあります。年式が古い車で修復が難しい場合もまた乗り換えが必要です。
車が事故車かつ走行距離が10万kmを超える場合も乗り換えがおすすめです。車は一般的に10万kmが買い替えの基準とされています。
もちろん10万kmを超えても走行可能ですが、10万kmのタイミングで様々な部品の交換が必要です。一例としてはタイミングベルトやブレーキキャリパー、ブレーキローターなどが挙げられます。
いずれの部品も高額なため、交換するくらいなら新しい車に乗り換えようと考える方が多い傾向にあります。そのため、走行距離が長い場合は事故車を処分して、乗り換えが適しています。
乗り換え時にチェックしたい保険について
ここからは、自動車保険について解説します。
事故車を修理したり乗り換えたりする場合に欠かせない自動車保険は、強制加入の「自賠責保険」と、自由に加入できる「任意保険」があります。
自賠責保険は事故を起こした際、人に対して補償を行う特徴がありますが対物の補償はありません。そのため、任意保険で対物の補償を行います。
いずれも事故車の扱いにおいて知っておきたいポイントのため、概要と使い方を把握しましょう。
自分が事故の加害者である場合、保険金は自身が加入する保険の「対物損害賠償保険」から支払われます。
金額は過失により増減し、過失の割合が10:0や9:1など、こちらに過失が認められる場合は支払われる金額が下がります。
自分が事故の被害者の場合、相手が加入する「対物損害賠償保険」から保険金が支払われます。しかし、相手の保険から支払われる場合はいくつか注意点があります。
1つ目は、相手の保険内容によっては保険金が少ない可能性があることです。保険金は商品により金額が異なるため、自分の保険商品の金額をイメージしていると「少ない」と感じるでしょう。
2つ目は相手が任意保険に加入していない可能性があることです。相手が自賠責保険にのみ加入している場合は保険金を受け取れないため別途、損害賠償請求が必要です。
損害賠償請求は弁護士に依頼して進めますが、自分でも裁判所にいったり書類を確認したりと労力がかかります。相手がいる場合は事故処理の場で連絡先や保険会社を確認し、早めの対処が必要です。
保険会社の商品によっては乗り換えの保険金よりも、修理で受け取れる保険金の方が高額なケースもあります。乗り換えと修理を検討する場合、保険会社の担当者に連絡してどちらがお得か見積もりを出してもらいましょう。
また乗り換えの場合、保険金だけでは資金が足りない可能性もあります。次に購入したい車が決まっているなら保険金で足りるか確認し、不足分はローンを組んだり貯金から捻出したり、明確に支払いプランを立てましょう。
事故車を修復(修理)するメリット
ここからは、事故車を修復(修理)して乗るメリットを3つ紹介します。
これまでは事故車を乗り換える場合の説明をしてきましたが、車に思い入れがあったり、目先の出費を極力抑えたいのなら修復や修理が適しています。
なお、修復や修理をする場合は保険を使う判断もあわせて必要です。
修理をすると思い入れのある車に引き続き乗れたり、今の状態を維持できるでしょう。
苦労して購入した車やカスタマイズしてお気に入りの車の場合、廃車や売却にためらいを感じますが、直すことで乗れるのであれば修復を前向きに検討しましょう。
また、車の運転が苦手で新しい車に慣れるまで時間がかかる場合も修復がおすすめです。
任意保険に加入している場合、保険を使った修復が可能です。
骨格部分から修復が必要な場合、数十万円の費用がかかります。まとまった資金を用意できる場合は自費で修復すると、保険の等級を維持できますが「急にお金を準備できない」というケースがほとんどでしょう。そんな時に保険が使えます。
修理に保険を使うと1年や3年など、一定期間等級が下がり、支払う保険料が高くなりますが、まとまった出費は不要のため今すぐお金を準備できない場合は保険を活用しましょう。
事故車を修理するデメリット
ここからは、事故車を修理する場合に知っておきたいデメリットを3つ紹介します。
保険を使うと高額な出費を抑えられる点がメリットですが、修理に保険を使うと一定期間等級が下がり、翌年の保険料が高くなります。
一般的に、保険を使うと1年間や3年間保険料が高くなるため、修理に保険を使う場合は「上がった分の保険料が修理代よりも安いかどうか」を確認しましょう。保険料の増額分が修理代を上回る場合は自費で修理をした方がお得です。
なお、自分で判断が難しい場合は保険会社の担当者や修理業者に相談がおすすめです。専門家のアドバイスを受けながら少しでも出費を減らせる方を選択しましょう。
事故車の定義は修復歴の有無です。修復は車の骨格部分から直すことを指します。
事故の中でも縁石に乗り上げてバンパーを破損したり、事故の衝撃で飛んできた部品がガラスにあたり割れてしまった場合は修理で済みます。
車の修理が修復まで及んでしまった場合は、買取時に注意が必要です。買取において修復歴がある車は事故車とみなされ、通常の査定金額から大幅に減額されます。
減額される金額は新車や中古車などで大きく異なりますが、10万円〜数十万円と大きな金額です。そのまま廃車にするよりもお金を受け取れる可能性は高いですが、自分の想像よりも低い金額を提示されることもあるため、あらかじめ認識しておきましょう。
乗り換えとあわせて知りたい買取について
ここからは、事故車の処分方法のひとつである買取について解説します。
事故車の場合、まず廃車手続きが頭に浮かびますが、状態によっては買い取りも可能です。修復してまだ乗れる場合は一度買取査定に出してみましょう。
修復した事故車であっても走行可能な場合は一度買い取り査定に出してみましょう。
事故車は査定において減額の対象ですが、売却金が得られる可能性もあります。また、車両として売却が困難でも、使えるパーツのみ査定してもらうことも可能です。
事故車の乗り換えは新たに資金が必要です。ローンを組んだり貯金から捻出したりする場合、買取で少しでも資金を得られると支払いが楽になったりオプションをつけられたりするでしょう。
多くの業者が事故車の査定も行っているため、まずは一括見積もりなどを使い相場を確認してみましょう。相場を確認した上で対応可能な業者に見積もり依頼するのがおすすめです。
事故車をすぐ廃車にするのではなく、修復し買取査定に出すと従来の金額よりは低くなるもののある程度お金が返ってきます。
廃車の場合、無料で手続きできる業者もありますが、お金が返ってくる業者は少なかったり、返ってきてもごく僅かな金額だったりします。
車を買取に出すと、数万円や場合によっては十数万円のお金が戻ってきます。大切な車に少しでも価値がつく可能性がある場合はぜひ査定に出してみましょう。
なお、現地での査定が難しい場合はオンラインで概算査定も可能です。
事故車を買い取り査定に出す場合は申告が必要です。
事故車は修復してあってもトラブルが起きる可能性が高かったり、買い手がつきにくかったりします。そのため、市場に安く出回ります。
販売価格が低いと買取金額も減額されてしまうのですが、減額を避けたいからと言って修復歴を申告しなかった場合、後になって責任を追求されたりトラブルに巻き込まれたりする可能性があります。
気持ちのよい取引を行うために、事故車の査定では必ず修復歴があると申告しましょう。
買取が困難な場合は廃車が必要
ここからは、買取を断られたり、全損でどうにもならなかったりする場合に必要な廃車手続きについて紹介します。
廃車手続きは車を解体したりナンバーを返却したりして公道を走れなくすることを指します。しかし、税金の支払いがを止められる点がメリットです。
あまり経験する機会がないため、事前に流れを確認して見通しを持ちましょう。
廃車は大きく2種類に分けられます。
車を解体して二度と乗れない状態にすること。
車のナンバーを返却して公道は走れないものの、車体は自分で保管しておくこと。また、手続きすれば再度乗ることができる。
事故車の場合、解体して二度と乗れない手続きの永久抹消登録が該当します。一時抹消登録は車の所有者が海外転勤や病気など一定期間、車を使わないものの再度乗る見込みがある場合に選択します。
いずれも公道を走れず税金は発生しない点は共通していますが、車を残すか否かで選択が分かれるでしょう。
なお、いずれの廃車手続きも普通自動車の場合は管轄の陸運支局で行い、軽自動車の場合はお住まいの軽自動車検査協会で手続きを行います。
永久抹消登録では車の解体が必要です。車を解体すると解体を証明する書類をもらえ、他の申請書類とあわせて陸運支局に提出します。(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)
1つ注意したいのは、解体は自治体から認可がおりた業者でしか行えないことです。2005年の自動車リサイクル法改定から自動車の解体は許可を受けなければ行えないしくみになっています。
理由としては不法投棄やリサイクルの観点が挙げられます。そのため、解体は自分で行えません。
廃車手続きは自分で進められますが、前段階の解体は業者を選定して依頼が必要です。
なお、解体業者は自治体の広報誌やネット上で探しましょう。
解体は認可がおりた業者への依頼が必須ですが、廃車手続きは個人で行えるため時間がとれる場合やコストを抑えたい方は陸運支局や軽自動車検査協会の情報を元に進めましょう。
しかし、手続きの時間が取れなかったり、何からはじめていいか分からない場合は解体とあわせて業者へ委託がおすすめです。
解体業者の場合、書類の申請まで担当してくれるところと、そうでないところがあるため、事前の確認が欠かせません。しかし、廃車専門業者は多くが廃車手続きの代行まで請け負っているため安心して依頼できるでしょう。
廃車専門業者を選ぶ際はアクセスがよく、対応が丁寧なところを選びましょう。