事故に遭遇し、怪我や車の目立った損傷がないものの「いつもと走りが違う」「まっすぐ走らない」という場合は修理が必要です。
車がまっすぐ走らない場合はタイヤやホイールをはじめとした足回りの点検が必要です。
この記事では、事故車がまっすぐ走らない状態にある場合の原因やとるべき対処法を紹介します。
早めに点検・修理を行い安全な走行を心がけましょう。
事故車がまっすぐ走らない原因は足回りにある
車が事故を起こした後、走行時にまっすぐ走らない状態になったり、アクセルを踏んだ際に違和感を覚えたりする場合、足回りに原因が潜んでいる可能性が高いでしょう。
走行時の不調はタイヤやホイールの確認が先決です。それでも原因が見当たらなかった場合は修理業者に持ち込んで骨格部分を確認してもらったり、センサー部分を点検してもらったりしましょう。
車がまっすぐ走らない原因はいくつかありますが、いずれも放置すると重大な事故につながって自分や周囲を悲しませる原因になります。トラブルを防止するために早めの点検がおすすめです。
タイヤやホイールに問題がある場合
ここからは、車がまっすぐ走らない原因として確率が高い「足回り」のトラブルを紹介します。
まず始めに確認したいのはタイヤやホイールの問題です。事故で急ブレーキを踏んだり、乗り上げたりした際に破損や摩耗している可能性がある箇所です。
ホイールアライメントは車をまっすぐ走らせるために必要な仕組みです。
事故で縁石に乗り上げてしまったり、空気圧が急激に減ったりすると狂います。事故を起こさなくともタイヤのうちいずれかの空気圧がばらついている際もホイールアライメントの狂いは発生します。
修理工場やディーラーでアライメントの調整を行ってもらいましょう。修理費用は「サイドスリップ調整」「アライメント調整」の2種類で異なり、3000円〜2万円程度と幅があります。
事故でタイヤが摩耗したり割れてしまった場合も安定した走行ができません。
例えば、事故で急ブレーキを踏み、タイヤが急速に摩耗してしまった場合、走行時にフラフラとします。
また、もともとタイヤの劣化が進んでおり、事故の衝撃で割れてしまった場合も安全な走行を妨げます。
タイヤの場合は4本あるため、どれが走行時に支障をきたしているか判断がつきにくいでしょう。自分で判断できない場合は整備工場やディーラーに行き判断してもらいます。
タイヤを修理する場合、タイヤ1本あたりの値段に工賃として1000円〜5000円程度の費用がかかります。タイヤ交換は自分でも行えますが、事故車の場合はバランスを見るためにも業者に依頼するのがおすすめです。
ホイールハブベアリングはホイールの軸を支えるベアリングを指します。ベアリングがあることでホイールの軸回転がスムーズになり、部品の焼きつきを防ぎます。
しかし、ベアリングは徐々に摩耗し、やがて不具合を引き起こします。ホイールハブベアリングが摩耗するとタイヤの向きが勝手に変わり、安定した走行ができなくなります。
ホイールハブベアリングの不具合はベアリングを交換するため3万円程度の費用を見込みましょう。
ブレーキに問題がある場合
ここからは、「ブレーキ周り」が引き起こす走行への影響を解説します。
ブレーキが効かない状態では直線の走行が難しく、かつ制動距離が長くなる可能性があります。
ブレーキのトラブルは事故に直結する問題なので、原因の特定から修理をスピーディーに進めましょう。
ブレーキキャリパーは車のブレーキ機能をサポートしますが、汚れが溜まったり経年劣化したりすると、ブレーキを踏んだ状態の形で固まってしまうことがあります。
その場合は常にブレーキを踏んだ状態にあるため、まっすぐ走れなかったり、うまくスピードを出せなかったりするでしょう。
ブレーキキャリパーの修理はオーバーホール(清掃)を行うか、ブレーキキャリパーを交換します。オーバーホールで済む場合は一箇所あたりで1万円程度かかり、ブレーキキャリパーそのものを交換する場合は5万円前後の費用を見込みましょう。
ブレーキオイルにエアーが溜まっている状態も安定した走行ができなくなります。
ブレーキオイルはそこに圧力を加えてブレーキの作動を助けます。しかし、ブレーキオイル内にエアが溜まるとブレーキパッドに加わる圧力の伝達が遅れます。その場合、ブレーキが効きにくくなったり、走行が不安定になったりします。
このトラブルはエアを抜くことで改善し、エア抜きにかかる工賃は5,000円〜15,000円程度です。
車がまっすぐ走れない状態の場合、違和感を覚えながらも「走行はできているからいいだろう」と点検や修理を後回しにしがちです。
しかし、走行に違和感があるまま運転を続けると、ちょっとした衝撃で故障につながったり、新たな事故を起こしたりする可能性があるでしょう。
車は様々な部品が精密に組み合わさって作られています。そのため、少しの歪みが大きな事故につながります。
現時点で何も問題がなかったとしても「ひょっとしたら事故につながるかもしれない」という考え方で、一度点検に出しましょう。
原因が分からない状態で無理やり触った場合、修理がより複雑になったり、部品の交換から必要になったりする可能性もあるので注意しましょう。
【足回り以外にもある】事故車がまっすぐ走らない原因
ここからは、車がまっすぐ走らない原因として、足回り以外で考えられる問題を解説します。
事故の衝撃で運転サポートのセンサーが故障している、車の骨格部分が歪んでいる場合も走行に支障をきたします。
近年の車は各メーカーが安全性能を高めるために様々なシステムを搭載しています。前方の車との距離感を保つ機能や、駐車時に警告がでる機能などがありますが、いずれもレーダーやセンサーを活用しています。
このセンサーが故障すると走行時に必要がない箇所で運転アシストが入ったり速度が安定しなかったりと、うまく走行できない状態につながります。
車の骨格部分が歪んでいる場合も車の走行が不安定になります。
車の多くはモノコック構造という事故の衝撃が一点に集中しないものになっていますが、その分フレームが歪みやすくなっています。
骨格部分の歪みは修理業者でミリ単位の微調整が必要なほど走りに影響を及ぼすため、事故の衝撃で歪んた場合に影響が出やすいでしょう。一見問題がなさそうに見えても歪みが生じている可能性もあります。
まっすぐ走らない車は公道の走行が認められない可能性もあります。
公道を走るには車検や点検を受けて間違いなく整備されていることが必須事項です。私たちが2年や3年に一度受ける車検は車の健全さを保証する役割があります。
そのため、事故で整備不良にあたる故障が起こった場合は公道の走行が不可で、罰せられる可能性もあるでしょう。
例えば、タイヤの摩耗が基準値以上だったり、ブレーキの効きが甘かったりする場合が挙げられます。知らないうちに整備不良で罰せられないためにも事故後は必ず点検を受けましょう。
まっすぐ走らない車はどうしたらいい?
ここからは、事故の影響で走行に支障をきたしている場合にとるべき対処法を紹介します。
本来の走行性能を発揮できない車は整備不良に該当するだけでなく、燃費が悪くなったり、タイヤの摩耗が進んだりなど維持費にも影響します。
まずは普段利用する修理工場やディーラーで点検・修理を検討しましょう。
修理で直るものであればコストを抑えて車の維持が可能です。タイヤの交換で済む場合はタイヤの本数と工賃のため数万円かかります。タイヤも価格をおさえた場合は5万円以下で修理できる可能性もあるでしょう。
なお、修理代が高額になる場合は自動車保険の利用も検討しましょう。例えば、修理費用が30万円程度になる場合、まとまった資金の準備に困る可能性があります。その場合は保険を使い修理しましょう。
ただし、保険を使うと一定期間、等級が下がるため、翌年の保険料が高くなります。保険を使う場合は保険料の増額が修理費用に見合うかを計算してから決定しましょう。自分で判断できない場合は保険会社の担当者や修理業者への相談がおすすめです。
修理に費用をかけたくない場合や年式が古くてちょうど買い替えを検討している時は買取がおすすめです。
走行に問題がある車の場合、査定額が減額され、車両として買い取ってもらえない可能性もありますが、使えるパーツだけを買い取ってもらえることもあるため、まずは査定に出してみましょう。
買取で価値がつかなかった場合や、明らかにお金にならない状態の車は廃車手続きを行いましょう。
例えば、水没した車や修復不可能な全損の車が挙げられます。修復できない車や自走困難な車は買取業者に持っていくだけでもレッカー移動が必要だったり、出張買取に来てもらったりと手間がかかります。
結果的にお金にならないことが予想される場合は解体業者や廃車専門業者に依頼して廃車を行いましょう。
なお、廃車手続きは解体してから陸運支局へ書類を提出する必要があります。お住まいのエリアにある解体業者に依頼し、車を引き取ってもらい解体した後に必要書類を揃えて陸運支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)で申請を行います。
事故車を買取りに出すポイント
ここから、事故車の買取において、減額をおさえるポイントを紹介します。
直せる箇所は修理を済ませたり、業者を適切に選定したりが欠かせません。
事故車であっても修理できる箇所は修理しておくと減額を最小限に留められます。
また、修理の際も直す箇所を限定し、直し方を工夫して費用を抑えることが欠かせません。例えば、ボディに凹みや傷がある場合にボディパーツを交換するのではなく、部分的に板金塗装業者に依頼して修理する方法が挙げられます。
修理をしてできる限りよい状態で査定に出すことはもちろん大切ですが、修理費用が査定金額を上回っては損をしてしまいます。そのため、修理業者や板金塗装業者の見積りと買取査定の見積りを確認し、損をしないほうを選択しましょう。
事故車の場合、査定時に申告が必要です。業者から事故車であるかを書類や口頭で確認されるので正直に伝えましょう。
なお、意図的に申告を伝えなかった場合、告知義務違反と判断される可能性もあります。車の売買契約前に発覚した場合は契約ができなくなったり、契約後にばれた場合は瑕疵責任が発生するでしょう。
事故車の虚偽申告は多くの人を巻き込んだトラブルになりかねないので注意しましょう。
事故車の買取査定は複数社に依頼するのがおすすめです。1社だけの場合、買取相場が分からず損をする可能性があります。そのため、ネット上の一括査定を利用したり、休日に複数社を回ってみたりしましょう。
一括査定の場合は業者から連絡が来て、出張査定に進んだり話をしてより詳細な査定金額をだしてもらえたりします。数社の見積もりを比較し、買取価格がよい業者や対応が丁寧な業者を選択しましょう。
なお、事故車が自走できない場合は別途レッカー移動が必要です。レッカー代は自己負担の場合と業者負担の場合があるため見積もり時に確認しましょう。
なお、ネット上で一括査定する場合、車の年式や走行距離、車種などを入力するとまとめて数社の情報が手に入るため効率的です。仕事の合間や休日にスマートフォンで調べられるため、ぜひ検討しましょう。
事故車がまっすぐ走らない場合は廃車も検討しよう
ここからは、事故車の廃車を検討する際に知っておきたいポイントを解説します。
事故車のうち廃車を検討する基準としては下記が挙げられます。
- 修理費用が100万円以上かかる場合
- 事故車のトラウマがある場合
- 気になる車がある場合
買取不可で上記に該当する場合は早めの廃車手続きを行いましょう。
修理や修復に100万円以上かかる場合は廃車を検討しましょう。
100万円あれば比較的状態がよい中古車を購入できます。また、数十万円手出しできれば年式が新しい中古車の購入も可能でしょう。
年式が古い事故車の場合、安全に乗れる期間が短くなります。しかし、思い切って年式が新しく走行距離が短い中古車を買うと燃費がよかったり安全性能が充実していたりメリットが豊富です。
自分や家族が事故によりトラウマを抱えている場合は、廃車にしましょう。
車に乗るたびに事故の瞬間を思い出したり、事故現場を通る度に気分が悪くなったりする方も見られます。
車がトラウマやストレスとなり、体調不良や家庭の空気を悪くする場合は廃車手続きをとり、新しい車の購入が必要でしょう。
車は通勤・通学、旅行など便利な移動手段ですが、生活に浸透しているがゆえ、乗車時に不安を抱える場合は手放すことも検討しましょう。
廃車手続きは個人で行う他に、ディーラーや中古車販売店、廃車専門業者に依頼することもできます。ただし、ディーラーや中古車販売店の場合は手続きの費用が高くなる傾向があるため、廃車専門業者がおすすめです。
ディーラーは、関係が深い場合や丁寧なサポートを受けたい場合に適しているでしょう。また、中古車をすぐ購入する予定がある場合は中古車販売店を利用するとメリットがあります。できる限り廃車の費用をおさえたい場合は廃車専門業者がよいでしょう。
廃車専門業者は解体から陸運支局での手続きまで一貫して対応してくれ、かつ費用を抑えられます。業者によっては無料で手続きを代行してくれたり、レッカー移動の場合に費用がかからなかったりとコストを抑える取り組みが多く見られます。
ここまで廃車について触れてきましたが「廃車手続きはどうやって進めるのだろう?」と不安を感じる方もいるでしょう。
最後に廃車手続きの種類や流れをこちらで解説します。
まず、廃車には下記2つの手続きがあります。
- 永久抹消登録
- 一時抹消登録
事故車の廃車に該当するのは車を解体して二度と乗れない状態にする永久抹消登録です。なお、一時抹消登録は転勤や病気などで一定期間車の維持費(税金)を止めたい方が対象です。
永久抹消登録では、まず車を解体してその後に陸運支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)に必要書類を持参して申請を行います。
必要書類は車検証や印鑑登録書、所定の申請用紙など様々です。自分で廃車手続きを行う場合は国土交通省のホームページや軽自動車検査協会の情報を確認しましょう。
なお、申請書は各公式ホームページからダウンロードも可能です。廃車の大まかな流れを把握すると、作業の見通しが持てるでしょう。
事故の後、車がまっすぐ走らない場合は何らかの故障が疑われます。自分や周囲の人が安全に車に乗るために、必ず点検を行いましょう。