事故車は修復歴がある車を指しています。修復歴とは、車の骨格部分から修理が必要な場合を指し、車の走行性や価値に大きく影響します。
愛車が事故車となった場合、修理と買い替えのいずれかで悩むでしょう。そこで当記事では、事故車を直して乗る方法と買い替える方法の両者でメリットとデメリットを紹介します。
自分の車の状態はもちろん、数年後を見越して修理か買い替えかを選びましょう。
事故車を直して乗る場合は車の状態をチェックする
自分の車が事故車になってしまった場合、修理をして乗るべきか買い替えるべきかで悩みます。「できる限り費用を抑えたいから直したほうが良いのでは?」と考えますが、車の状態によっては新たに中古車を購入した方がお得な可能性もあります。
そのため、事故車を修理するか買い替えるかは、車の状態によって見極めましょう。修理業者にどれくらい費用がかかるのかを確認してもらってから判断しましょう。
事故にあった車はどうする?
ここからは、事故にあった車の扱いについて紹介していきます。
事故車は修理してもう一度乗るか、廃車してから新しい車に買い替えるかのどちらかを選ぶ必要があります。
1つ目の選択肢として、車を修理(修復)して再び乗る方法があります。車の損傷が大きいものの、修理をして乗れる場合はこちらを選びましょう。
一口に事故車と言っても全損に近い状態から骨格の歪みを直して乗れるものまで様々です。事故後に修理業者に持ち込んで修理可能であれば修理費用や具体的な期間を確認し、保険使用の有無なども決めましょう。
2つ目の選択肢は車の買い替えです。車が走行不能である全損の場合は廃車手続きをとり、車の購入が必要です。
なお、車の購入には新車購入と中古車購入があります。自分の出せる予算に合わせて選びましょう。
参考までに、修理費用が100万円を超える場合は車の買い替えがおすすめです。100万円であれば、中古車を購入できたり、廃車買取の売却資金をあわせて新車を購入できたりする可能性もあります。
事故車を直して乗るメリット
ここからは、事故車を直して乗るメリットを3つ紹介します。
修理すると費用を抑えられる可能性があり、かつお気に入りの車を手放さずに済むでしょう。
事故の程度が比較的軽く、車の状態も修理すれば乗れるような状態であれば、修理費用も抑えられるでしょう。
例えば、バンパーの割れや窓ガラスの破損など、取り替えだけで済む場合は少しの出費で修理可能です。
車に思い入れがある場合は修理がおすすめです。自分でコツコツお金を貯めて購入したり、長年少しずつカスタマイズを進めたり、思い出がある場合は事故後に手放すのは惜しいでしょう。
車に愛着がある場合は、まず修理できるか、費用はどれくらいかを確認して具体的な金額を把握しましょう。金額を見て、それでも車を手放したくないと考える場合は修理での対応が適しています。
新車でまだ最初の車検を受ける前の場合、メーカー保証を受けて車をお得に修理できる可能性があります。
車は購入から数年、または走行距離によって補償サポートがついています。車の修理や関連サービスをお得に受けられるので確認してみましょう。なお、保証期間はメーカーごとによって様々です。
事故後の車を直して乗る場合の注意点
ここからは、事故車を直した後に知っておきたい注意点を紹介します。
直した後、快適に乗れたとしても将来的に買取で不利になったり、故障頻度が増す可能性があります。今だけでなく、数年後の車をイメージして修理を行いましょう。
車を将来的に売却したいと考える場合、査定価格にマイナスの影響を与えるため注意しましょう。
事故車は修復歴がある車を指します。修復歴は修理とは異なり、フレーム部分やフロアなど車の基盤となる箇所を直したことを指します。
修復歴にあたる箇所は車の走行性能や安全性に直結するため、売却時もリスクが大きいと判断され、価格に反映されます。
なお、窓ガラスが割れてしまったり、ミラーが取れてしまったりすると事故の程度が大きく「修復にあたるのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、これは修理に該当するため、直してあれば査定額には大きく影響しません。
また、修復歴がある車の場合、査定時には申告が必要なので注意しましょう。
事故の程度によっては修理費用が高額になる可能性があります。
例えば、フレーム部分から修理が必要な場合やドアを複数枚取り替える場合、塗装を直す場合など組み合わせによって支払いが高額になることもあります。その場合、中古車を購入した方が費用を抑えられる可能性もあります。
修理費用は見積もりを出してもらうことが欠かせません。
事故車の場合、修理をしても数年後にトラブルが起こったり、走行性能が劣ったりする可能性があります。修理が必要な箇所を直したとしても完全に直せていなかったり、金属疲労で数年後に故障することもあります。
また、年式が古い車や走行距離が長い車の場合は事故の衝撃で経年劣化が早まる可能性もあるでしょう。
事故車を直して乗る場合、タイミングによっては修理期間が長くなることもあるでしょう。
例えば、冬タイヤの履き替えシーズンや車検や車の購入が重なる3月などは業者が混み合うため、修理にかかる期間も長くなりがちです。
また、部品を取り寄せになった場合はさらに時間がかかるため、数週間から1ヶ月程度車が返ってこないことも考えられます。
普段、通勤や通学に車を使っている場合は代車の手配が必要ですが、繁忙期は代車にゆとりがなくレンタカーを借りたり、公共交通機関を使う必要も出てきます。時期によっては修理に時間がかかると想定しておきましょう。
事故車を放置するリスク
ここからは、事故車を修理せずに使用するリスクを3つ紹介します。
事故車を放置すると走行中のトラブルにつながり、また程度によっては整備不良に該当して違反となる可能性があります。
事故車を修理せずに乗り続けた場合は走行性能に影響が出たり安全性が低下するので注意しましょう。
具体的には事故の衝撃でハンドルに何らかの問題が発生した場合、走行中に操作しにくいと感じます。また、自動ブレーキが付属している車種び場合、誤作動が起こり不都合を感じることもあります。
事故車を放置することで車本来の機能を発揮できないだけでなく、危険性も伴います。
事故の影響でブレーキが効きにくくなっていたり、ライトが破損したりしていると整備不良とみなされて減点や刑罰の対象になります。
車を走らせるには定められた保安基準を守る必要があり、この基準から外れた車は整備不良に該当します。
車検では保安基準を元に様々なチェックを行っているため、該当箇所を修理して車検が通れば事故車でも問題なく乗ることができます。しかし、事故車を放置するとそもそも整備不良に気づかないため、知らないうちに道路交通法に違反して罰則の対象になることもあります。
事故車が整備不良か判断する基準
ここからは、事故車において整備不良に該当するポイントを紹介します。
整備不良にあたる要因は様々ですが、特にライトやブレーキの指摘が多いでしょう。
整備不良のよくある例として灯類の不具合が挙げられます。
灯火類は一般的にライトを指しています。ヘッドライトはもちろん、バックライトやウィンカー等も含まれます。
ヘッドライトの場合、夜間の走行中に暗さを感じて不備に気づけます。しかし、後ろのブレーキランプはなかなか自分では気づきません。そのため、事故後は点検に出したり、自分で夜間に車を確認したりしましょう。
ブレーキの不具合も整備不良に含まれます。
ブレーキの効きが悪い場合、走行にリスクが伴うため整備不良と判断されます。事故後にブレーキを踏み、停止までの距離が長くなったと感じる場合やブレーキを踏んだ際に違和感をおぼえる場合は点検に出しましょう。
なお、事故によりブレーキパッドがすり減っていることもあります。ブレーキの効きが甘いと大きな事故につながる可能性もあるため早めに修理業者に相談しましょう。
整備不良にならないためのメンテナンス項目
ここからは、各パーツにおいて、整備不良に該当する例や点検のポイントを紹介します。
普段、特別なカスタマイズを施していない車であっても事故の衝撃で故障し、知らないうちに保安基準を満たせていないこともあります。
ヘッドライトやブレーキランプなど灯火類は明るさや色合いなどの基準が設けられています。
デザイン性を意識しすぎるあまり、保安基準を満たさない商品を取り付けると次の車検に通らなかったり、事故をきっかけに整備不良が発覚したりします。
ヘッドライトにおいては白色が保安基準として定められているため、青みが強いものや改造して自己流で取り付けたものは整備不良に該当します。
また、ブレーキランプは自分では球切れに気づきにくいため「知らないうちに切れていた」というケースもあります。普段から点検する習慣をつけたり、オイル交換のタイミングでチェックするなど確認する機会を設けましょう。
車検の制動装置に該当するエンジンルームも定期的な確認がおすすめです。
エンジンの基盤部分だけでなく、エンジンオイルやバッテリー液、ウインドウなどもエンジンルームに含まれます。制動装置においてはエンジンの不調だけでなく消耗品を切らしていることも整備不良になります。そのため、オイル交換を適正期間で行いチェックしてもらう習慣をつけましょう。
なお、事故の衝撃でオイル漏れが起こっているケースも見られます。事故後にオイルの減りが気になったり、液体が漏れていたりする場合は速やかに修理業者に連絡しましょう。
車好きの方はエアロパーツのカスタマイズを行うこともあるでしょう。しかし、リアウィングやフロントスポイラーなど各パーツを正しく装着していない場合、車検に通りません。
また、事故によりパーツが損傷したり取り付け位置がずれたりしている場合も整備不良とみなされます。
ブレーキの整備不良は自分だけでなく、歩行者、周囲の車や物にも影響を及ぼします。
車検時は機械を使ってタイヤを回転させ、ブレーキを踏んでチェックします。この時にブレーキの効きが甘かった場合は車検不合格となります。
なお、ブレーキの検査ではサイドブレーキも確認されます。事故で急ブレーキを踏んだ車は部品が摩耗していることや、衝突によってブレーキの効きが悪くなっていることもあります。
ブレーキ効きにくい車は再び事故を起こす可能性があるため必ず確認したいポイントです。
運転席周辺の機器やパーツも確認の対象です。ワイパーの作動状態やサイドブレーキ、エンジンのかかり方などがあります。
ワイパーのチェックは軽んじられる機会が多いですが、雨や雪が降った時にワイパーが正常に作動しなければ前方が見えず事故につながる可能性があります。
事故後においてはエンジンのかかり方に問題がないか、また走行時に運転席周辺から異音がしないかを確認しましょう。
車の安全な走行に欠かせない足回りもチェックが必要です。
タイヤの空気圧や溝が適正か定期的に確認します。タイヤの溝は自分で確認できますが、空気圧はガソリンスタンドや自動車修理工場などで見てもらうのがおすすめです。ガソリンを入れる際に一緒に確認するとトラブルを予防できるでしょう。
また、冬タイヤと夏タイヤの履き替えを行う場合、履き替えのタイミングで空気圧も確認します。しばらく使っていないタイヤは空気圧が下がっているため、出来る限りチェックを行いましょう。
なお、タイヤの空気圧に異常がある場合、破裂のリスクが高まります。さらに、走行によりタイヤの溝がすり減っていると制動距離が長くなったり必要な時に停止できなかったり危険性が高まります。
車の乗り心地を保つ緩衝材のサスペンションも保安基準を守っていない場合、罰則の対象です。普段から車高を下げている場合は注意しましょう。
ある程度までの車高ダウンは許可されていますが、スプリングをカットしたり錆びついている場合は危険性が伴うと判断され、車検に通りません。
事故後においても衝突の衝撃でサスペンション部分に問題が起こっている場合は、乗り心地に違和感を感じたり、段差を乗り越えるタイミングでトラブルが起こる可能性もあります。
窓ガラスにおいても整備不良の条件がいくつかあります。運転席や助手席に透過性が低いガラスを採用していたり、カーテンやシールなど障害物をとりつけている場合は保安基準を満たせない可能性があります。
事故後においては窓ガラスが割れて自分で養生して視界を塞いだ場合に整備不良として指摘されることがあります。また、窓ガラスに小さな傷がついていた場合、放置するとヒビが広がって割れにつながったり、寒暖差で破損することもあるので注意しましょう。
シートに関しても、安全性が低いものは整備不良に該当します。購入時からシートを替えていない場合は問題ありませんが、スポーツカーによく使用されるバケットシートにカスタマイズしている場合は商品選びが大切です。
リクライニングがなかったり、シートの背面が保護されていなかったりすると、安全性が確保されていないとみなされ整備不良に該当することがあります。
また、事故によりシートのトラブルがある場合もまた整備不良で罰金や減点対象となります。
損傷の大きい事故車は買い替えを検討する
事故車は修理して乗ったとしても数年後にトラブルが起こったり、故障までいかないものの違和感が残ったりします。
また、事故の印象が強く残ってしまい車に乗るたびに不安を感じたり、フラッシュバックしてしまうこともあるでしょう。ドライバー自身は事故のトラウマがなかったとしても、同乗者にとっては辛い思い出になっている可能性もあります。
事故車においては物理的な損害の大きさはもちろん、乗る側への配慮も欠かせません。車を修理しても不安な場合や乗車するたびにネガティブな感情を抱く場合は買い替えを検討しましょう。
なお、買い替え前には事故車の廃車や売却手続が必要です。中古車買取業者や廃車買取業者などに依頼してスムーズに手続きを行い、新たな車選びを行いましょう。