車検・点検・メンテナンス
更新日:2017.12.07 / 掲載日:2017.12.07

【旧車趣味】日産 サニートラック その3

A型エンジンはかなり丈夫!壊れることは本当に稀だ

●取材協力:青葉オート TEL045-962-0671 神奈川県横浜市青葉区恩田町2073-6 http://aobaauto.com

 青葉オートは、「サニトラといえば青葉オート」と言われるほど有名なプロショップ。今回は代表を務める松尾義明氏に、サニー・トラックのメンテのポイント、購入時のチェックポイントなどを伺ってみた。

エンジンはB110サニーと同じですか?
「基本的には同じですが、1989年以降の最終モデルはキャブレターがECU制御になっています。排ガス規制のためにマフラーが触媒付きになっているのですが、これを補うように点火系もフルトランジスターに変更されています。燃費も少しだけ良くなっているんです」

ECUが壊れることはありますか?
「普通に乗っている分にはトラブルは出ませんが、電源ONの状態で電装の取り付けなのでショートさせてしまったという例はありましたね」

エンジンで壊れやすい部分はありますか?
「A型エンジン自体はとても丈夫で、きちんとオイル管理や水管理を行なっていれば30万km以上走れるエンジンなんですが、商用車ですのでそれができていないクルマも多いんです。それと、走行距離表示に10万kmの単位がないので、かなりの距離を走っている個体もありますね。中古車の走行距離はあてになりませんから、それぞれの状態をよく確認して欲しいですね」

1989年以降の最終型には、ブレーキブースターのマスターバッグが取り付けられている。ブレーキフルードの漏れをチェック。

エンジン自体はとても丈夫。きちんとメンテナンスをしていればオイル漏れもしない。

ーターホースからの漏れがあると、センターコンソール裏にシミができる。このように布メッシュが被っているホースは新車から交換されていない証拠。早めに交換した方がいい。

オルタネーターやセルモーターなどの補機類は、リビルド品が手に入るので早めに交換したい。

クラッチワイヤーはこの辺りでぐっと折れ曲がっているので、アウターとインナーワイヤーが擦れて切れてしまうことも。

こちらはもう切れる寸前のワイヤー。少しでもクラッチペダルが重くなったと感じたら、ワイヤーをチェックしたほうがいい。

ラジエターにはサブタンクがないので容量には注意したい。フィラーキャップから覗いて、コアの部分から人差し指の第一関節の高さくらいに水が入っていれば良い。入れすぎの個体も多い。

バッテリーのトレー部分が腐ってしまっているクルマも多い。トレーの下まで錆が回ると補修は厄介。バッテリー下はこまめに掃除して、泥や汚れが溜まらないようにしたい。

ホース類の劣化は要注意ポイントできれば新品に交換しておきたい

水回りで多いトラブルは?
「20年以上クーラントを交換していないクルマも結構ありましたね。しかも水だけを継ぎ足ししていたようで、あらゆるところに錆が回っていました。ここまでになるとエンジンを分解しても錆が取り切れないこともありますよ。冷却水が汚れていたら要注意です。ノーマルの状態であればオーバーヒートはまず起きないのですが、水温計が上がり気味のクルマも見かけます。これは本当に水温が上がっているのではなく、水温計がおかしいんです。水温計自体が壊れているのではなく、アース不良によって電圧降下が起きているんですね。バッテリーからボディにアースされている線の接点を磨いてやると直ることが多いです。少し前に流行ったアーシング処理をしているクルマにもよくあるトラブルです」

ラジエター自体のトラブルはありますか?
「ラジエター本体は昔ながらの真鍮製ですが、漏れなどのトラブルはあまり聞きません。錆が詰まって冷えにくくなることはたまにありますね。ヒーターコアやコックに錆が詰まっているのもよく見かけます。また、ヒーターホースは新車の頃から換えられていないクルマも多いですね。ホースに布製のメッシュカバーが付いているタイプは新車時から換えられていない証拠です。最終型だとしてもすでに寿命を迎えていますので、コックとホースは交換したほうがいいです」

ラジエターホースも交換したほうがいいですか?
「そうですね。明らかに劣化しているホースは早めに交換しましょう。燃料ホースも新車からのままだった場合、ホースに白いラインが入っているのですが、その場合は早めに交換したほうがいいですね。燃料漏れのトラブルも多いです。特に燃料タンクへのリターンで漏れることが多いです。満タンにした時にガソリン臭い場合はここを疑ってください。引火すると危ないです」

タンク自体の錆はどうですか?
「それほど多いわけではありませんが、錆や汚れでフィルターやポンプが詰まってしまうこともあります。この時代の燃料タンクは途中にストッパーなどがありませんから、ここから燃料をホースで抜いていたこともよくあったようで、ゴミが混入していることもありますね。フィルターの汚れ具合をみて、酷いようなら交換が必要です」

キャブレターのトラブルはありますか?
「シンプルな構造なのでそれほどトラブルはありませんが、タンクの錆や汚れによってつまりが起きていることもあります。分解してOHするのもいいですが、ウチではリビルド品への交換をオススメしています。あと、クーラーが装着されている車両では、アイドルアップのアクチュエーターが壊れているクルマもみますね。クーラーをいれた時にアイドリングが下がってしまう時はこれが原因です。パーツはまだ手に入りますから、交換してください」

ボディ周りで錆びやすいポイントなどはありますか?
「よく錆びるのがフロントウインカーの中の仕切り板です。というのも、ボンネットに降った雨がフェンダーを伝ってヘッドライト裏を通り、ちょうどフロントウインカーユニットの上に落ちてくるんです。ウインカーのパッキンが弱っていると中に水が入り、仕切り板や反射板が錆びてしまいます。ウインカーレンズの中に水滴を見つけたら要注意ですね。あとサニトラ特有なのが、リヤフレームのバンプラバーのマウント部分です。二重になっているマウント部分に泥や砂が蓄積して、そこから錆びてしまうことが多いですね」

他にボディ周りのトラブルは?
「フロントフェンダーは下の部分が折り返しになっていて、ここに泥が貯まりやすいです。たまにチェックして掃除してください。これはそれほど多いトラブルではないのですが、ドアの開閉が多い仕事に使われていたクルマは、三角窓の付け根部分にクラックが入っている事があります。ドアが下がっている事も多いですね。酷使されていた証拠です。」

1989年以降のモデルにはチャコールキャニスターが装備されている。キャブレターは電子制御になっているので、社外のキャブに交換した場合はガス検が必要になる。

キャブレター本体にトラブルが起きた場合、分解してオーバーホールするよりもリビルド品に交換してしまうほうが手っ取り早い。費用も5万9300円(税抜)とそれほど高くない。

ボンネットに降った雨はフロントフェンダーを伝ってヘッドライトの裏に落ちる。その下にはフロントウインカーがあり、その内部にまで水が侵入して錆びてしまう。

この角度から、左前のタイヤハウス内を覗くと、フロントウインカーの裏側やバッテリートレーの下側など、錆びているのかがよくわかる。

フロントフェンダー裏の下側はこのように折り返しがあるので、この部分に泥やゴミが詰まってそこから錆が発生する。表側の塗装がボコボコしていたら、かなり進行している。

リヤタイヤの上から手をいれ、ちょうどこの辺りにバンプラバーが当たるプレートがある。このプレートとブレームの上あたりに泥やゴミが蓄積して錆が発生する。

この辺りに泥やゴミが溜まって錆が発生する。酷い時にはフレームに大きな穴が開くことも。定期的に汚れを落とし、すみずみまで下回りの水洗いをするといいだろう。

リヤナンバーはこのようなフレームが付いているが、これが曲がっていたり、ちぎれていることも多い。以前はフレームがないと車検NGだったが、現在では無くても大丈夫。

フロントフェンダーにはこのようにプレスラインがあるのが正常だが、鈑金修理によってこのラインがなくなっているクルマも多い。ボディの程度を測る指針になる。

仕事で使われていたトラックだからしかたがないのだが、荷台部分が傷んでいることも多い。大きな穴や凹みがある場合、修復は大変。板やカバーが敷いてある時は剥がして確認。

1989年以降の角目ヘッドライトモデルに旧型の丸目ヘッドライト&グリルを装着するキットを開発。今では定番のカスタムアイテムになっている。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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