車検・点検・メンテナンス
更新日:2017.12.07 / 掲載日:2017.12.07
【旧車趣味】日産 サニートラック その3
A型エンジンはかなり丈夫!壊れることは本当に稀だ
青葉オートは、「サニトラといえば青葉オート」と言われるほど有名なプロショップ。今回は代表を務める松尾義明氏に、サニー・トラックのメンテのポイント、購入時のチェックポイントなどを伺ってみた。
エンジンはB110サニーと同じですか?
「基本的には同じですが、1989年以降の最終モデルはキャブレターがECU制御になっています。排ガス規制のためにマフラーが触媒付きになっているのですが、これを補うように点火系もフルトランジスターに変更されています。燃費も少しだけ良くなっているんです」
ECUが壊れることはありますか?
「普通に乗っている分にはトラブルは出ませんが、電源ONの状態で電装の取り付けなのでショートさせてしまったという例はありましたね」
エンジンで壊れやすい部分はありますか?
「A型エンジン自体はとても丈夫で、きちんとオイル管理や水管理を行なっていれば30万km以上走れるエンジンなんですが、商用車ですのでそれができていないクルマも多いんです。それと、走行距離表示に10万kmの単位がないので、かなりの距離を走っている個体もありますね。中古車の走行距離はあてになりませんから、それぞれの状態をよく確認して欲しいですね」
ホース類の劣化は要注意ポイントできれば新品に交換しておきたい
水回りで多いトラブルは?
「20年以上クーラントを交換していないクルマも結構ありましたね。しかも水だけを継ぎ足ししていたようで、あらゆるところに錆が回っていました。ここまでになるとエンジンを分解しても錆が取り切れないこともありますよ。冷却水が汚れていたら要注意です。ノーマルの状態であればオーバーヒートはまず起きないのですが、水温計が上がり気味のクルマも見かけます。これは本当に水温が上がっているのではなく、水温計がおかしいんです。水温計自体が壊れているのではなく、アース不良によって電圧降下が起きているんですね。バッテリーからボディにアースされている線の接点を磨いてやると直ることが多いです。少し前に流行ったアーシング処理をしているクルマにもよくあるトラブルです」
ラジエター自体のトラブルはありますか?
「ラジエター本体は昔ながらの真鍮製ですが、漏れなどのトラブルはあまり聞きません。錆が詰まって冷えにくくなることはたまにありますね。ヒーターコアやコックに錆が詰まっているのもよく見かけます。また、ヒーターホースは新車の頃から換えられていないクルマも多いですね。ホースに布製のメッシュカバーが付いているタイプは新車時から換えられていない証拠です。最終型だとしてもすでに寿命を迎えていますので、コックとホースは交換したほうがいいです」
ラジエターホースも交換したほうがいいですか?
「そうですね。明らかに劣化しているホースは早めに交換しましょう。燃料ホースも新車からのままだった場合、ホースに白いラインが入っているのですが、その場合は早めに交換したほうがいいですね。燃料漏れのトラブルも多いです。特に燃料タンクへのリターンで漏れることが多いです。満タンにした時にガソリン臭い場合はここを疑ってください。引火すると危ないです」
タンク自体の錆はどうですか?
「それほど多いわけではありませんが、錆や汚れでフィルターやポンプが詰まってしまうこともあります。この時代の燃料タンクは途中にストッパーなどがありませんから、ここから燃料をホースで抜いていたこともよくあったようで、ゴミが混入していることもありますね。フィルターの汚れ具合をみて、酷いようなら交換が必要です」
キャブレターのトラブルはありますか?
「シンプルな構造なのでそれほどトラブルはありませんが、タンクの錆や汚れによってつまりが起きていることもあります。分解してOHするのもいいですが、ウチではリビルド品への交換をオススメしています。あと、クーラーが装着されている車両では、アイドルアップのアクチュエーターが壊れているクルマもみますね。クーラーをいれた時にアイドリングが下がってしまう時はこれが原因です。パーツはまだ手に入りますから、交換してください」
ボディ周りで錆びやすいポイントなどはありますか?
「よく錆びるのがフロントウインカーの中の仕切り板です。というのも、ボンネットに降った雨がフェンダーを伝ってヘッドライト裏を通り、ちょうどフロントウインカーユニットの上に落ちてくるんです。ウインカーのパッキンが弱っていると中に水が入り、仕切り板や反射板が錆びてしまいます。ウインカーレンズの中に水滴を見つけたら要注意ですね。あとサニトラ特有なのが、リヤフレームのバンプラバーのマウント部分です。二重になっているマウント部分に泥や砂が蓄積して、そこから錆びてしまうことが多いですね」
他にボディ周りのトラブルは?
「フロントフェンダーは下の部分が折り返しになっていて、ここに泥が貯まりやすいです。たまにチェックして掃除してください。これはそれほど多いトラブルではないのですが、ドアの開閉が多い仕事に使われていたクルマは、三角窓の付け根部分にクラックが入っている事があります。ドアが下がっている事も多いですね。酷使されていた証拠です。」