またまた軽自動車のレベルを引き上げた　ダイハツ ムーヴの驚き！！

【本記事は2006年11月にベストカーに掲載された記事となります。】新型ムーヴ、「凄いですよ」の検証！！「今度のムーヴは凄いですよぉ～」まだまだ新型ムーヴのデビューには相当の時間があった今年3月頃、（編）がダイハツの人から聞き出した言葉である。う～ん、果たして新型ムーヴは「どこが」、「どれほど」凄いのだろうか！？・ナンバーワン軽自動車を虎視眈々と狙う新型ムーヴ現在軽自動車の販売ではワゴンRがライバルから一歩抜け出してトップを独走中。これをムーヴが猛追し、タント、ゼスト、eKワゴン、ライフ、ステラなどが熾烈な3位争いを繰り広げているという状況。正直、超激戦区なのである。ムーヴは旧型の時から乗り心地や内外装の質感ではライバルを一歩も二歩もリードしていたのだが、販売力……、すなわち価格や販売店の営業力などの「力負け」で常に販売2位に甘んじざるを得なかった、苦い思いがある。ハードでもトップ、販売でもトップが新型ムーヴに課せられた使命なのである。それだけに新型ムーヴの開発にはなみなみならぬ力が込められているのである。

・広々室内空間！！ボディサイズはハイト系BOX軽自動車の定番的な全長3395mm、全幅1475mm、全高1630mm（カスタムRSは1615mm）。サイズ的には旧型と同じだが、プラットフォームから一新された新型ムーヴはホイールベースが10mm長い2490mmとなっており、これによりインパネが65mm前方に移動。室内長は旧型より190mm長い2110mmとなり、ワゴンRの1850mm、ゼストの1810mm、ステラの1805mmと比べても圧倒的に室内長が長いことがわかる。前席と後席の距離も旧型よりも125mm拡大されて1065mmとなっているが、これは軽自動車としてはダントツで、セルシオの1040mmよりも広いのだ。ちなみにワゴンRは865mm、ゼストは878mm、ステラは870mmとなっている。なるほど、255mmのロングスライドが自慢のリアシートを後ろいっぱいに下げれば、ふんぞり返って足を投げ出してもまだまだ余裕。シートを半分くらい前方にスライドさせても普通に座って膝が前席に当たるようなことはなかったし、一番前にスライドさせても実用可能。この広々したリアシートはムーヴの大きな武器となること間違いなしだ。

・で、どこが凄いの！？新型ムーヴにはわかりやすい飛び道具はない。例えば9月13日にモデルチェンジした新型eKワゴンには電動スライドドアという明確なアピールポイントがある。ちょっと古いが1月に登場しているホンダゼストは低床フラットフロアを使った「タントより高い室内高」という武器がある。三菱アイは専用開発のリアミドシップレイアウトというほかの軽自動車にはない個性がある。さらに同じダイハツからひと足お先に登場したソニカは、全高を低くしてターボのみとした思いきった挑戦がある。そういった意味では新型ムーヴには“これ”といい切れる目立ったアピールポイントがあるわけではない。じゃあ何が凄いのか！？ いやゴメンナサイ。これがまた言葉では表現しにくいんです。見ればわかる、乗ればわかる……、こう表現するほかないのだが、とにかく徹底的に質感を高めているのだ。例えばインパネ細部の仕上げ、手に触れるスイッチ類の操作感、シート表皮の手触り、シートクッションの沈み込み具合……。メーターパネルのデザインやレイアウトなども軽自動車の一般的なレベルを大きく上回っている。いや、コンパクトカー以上のクォリティといってもいいだろう。旧型ムーヴも内外装の質感の高さが自慢だったけど、新型はさらに上回っているのだから、ナルホドオドロキなのである。軽自動車は制約の多いボディサイズのなかでユーティリティを高めるために、リアシートの座面縦方向の長さやシートバックの高さなどを犠牲にするケースが多いのだが、ムーヴのリアシートは座面がちゃんと腿の4分の3あたりまで長さがあり、シートバックは肩口までの高さがある。ある程度の距離をリアシートで過ごすことを考えると、このシートのありがたみがよくわかる。

装備類にもオドロキはたくさん隠されている。これまでの軽自動車では考えられなかった装備がこれでもか！！ と盛り込まれている。※プッシュボタン式スタータースイッチトヨタ車の多くで採用されているプッシュボタン式のスタータースイッチをムーヴにも採用している。ステアリングコラムの左側に配置されているのもトヨタの各車と同じ。※リバース連動リアワイパーワイパーを作動させている時にリバースにギアを入れると、リアワイパースイッチを入れていなくてもリアワイパーが作動する。ちょっとした実用お役立ち装備なのである。※リバース連動ドアミラーこれって高級車だけの装備だと思ってました。新型ムーヴではXとXリミテッドに標準装備。バックギアに入れた時に助手席側のドアミラーがキューンと自動で動くのはちょっとした高級車気分です。※シートヒーターメーカーオプションで付けられる。価格は1万5750円。※オートライトこれまたメーカーオプションで装着可能。リバース連動ドアミラー、プッシュボタンスターターとセットで4万7250円。※インテリジェントドライビングアシストこれは本気で驚いた！！ なんと、プリクラッシュセーフティシステムと車線逸脱警報機能がメーカーオプションで設定されているのだ！！ もちろん軽自動車では初めてのこと。プリクラッシュセーフティはレーザーレーダーと画像ECUカメラで前走車との距離を測定。追突の危険が生じた時に警告を発し、それでもドライバーが回避動作を実施しない場合は最終的には自動ブレーキで衝突時の衝撃を低減するというもの。オプション価格は36万7500円とちょっとお高い設定。※レーダークルーズコントロールもプリクラとセットで装着可

・で、走りはどうなの！？新型ムーヴに搭載されるエンジンはターボ、NAともに3気筒のみとなり、旧型にあった4気筒エンジンは廃止された。カスタムシリーズのみに搭載されるターボエンジンは、ソニカにも搭載される新開発されたKF-DET型（旧型ムーヴの3気筒ターボとはまったく異なるエンジン）で最高出力64馬力、最大トルク10.5kgmを発揮。トップグレードのカスタムRSにはCVTが組み合わされている。同じターボエンジン搭載車でもカスタムRは4ATとなっており、ドライバビリティ、燃費両面でCVTが一歩リードしている。ダイハツの社内データだが、40→80km／h加速タイムはCVTモデルが6.3秒なのに対し4ATモデルは6.7秒、10・15モード燃費はCVT車の21.5km／Lに対して4AT車は18.6km／Lとなっている。軽ターボの燃費は直噴ターボのワゴンR RR-DIが19.4km／Lで好燃費だったが、新型ムーヴはカスタムRSで21.5km／Lをマーク。ライバルと比べても一歩抜きん出た好燃費だ。いっぽうNAは、エッセに合わせて新開発されたKF-VE型を搭載。最高出力58馬力、最大トルク6.6kgmを発揮する。エッセでは3AT＆4ATの組み合わせだったが、新型ムーヴでは上級グレードのカスタムXリミテッドとXリミテッドにはCVTが、その他グレードには4ATが組み合わされており、3ATの設定はない。動力性能、燃費ともにターボ同様CVTが一歩リードしており、40→80km／h加速では4AT車の9秒フラットに対しCVT車は8秒8、また10・15モード燃費でも4ATの21.0km／Lに対してCVTは23.0km／Lとなっており、これはクラストップの数値。価格はトップグレードのカスタムRSが155万4000円、標準グレードのトップグレードとなるXリミテッド（NA）が123万9000円、売れ筋となるXが116万5500円、カスタムXが128万1000円となっている。ちょっと高めの価格設定だが、今後の軽自動車の「基準」となるか？

Check Point　NEWムーヴ居住性＆ユーティリティチェック特別新しい仕掛けなどがあるわけではないのだが、新型ムーヴの室内空間はとにかく広々！！ シートの表皮やクッションの材質もクォリティの高いものが使われており、とにかく快適な室内空間が作り出されていることに驚いた。ホイールベースが旧型よりも100mm長い2490mmとなり、室内長は軽自動車としては突出した2110mmを実現（ちなみにヴィッツあたりのコンパクトカーで1855mm）し余裕たっぷりの前後シート間となっているのもうれしいのだ。前席シートバックから後席シートバックまでの距離は1065mm。865mmのワゴンR、878mmのゼストを圧倒するばかりか1040mmのセルシオ以上。

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