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更新日:2017.12.07 / 掲載日:2017.12.07

スバルサンバーを懐走仕様! フロントダンパーOH

SUBARU Samber V-KV3[1995]

抜けてはいないがフニャフニャのフロントダンパーは非分解

 前号告知ではリヤブレーキホイールシリンダーOHとブレーキシュー交換を企んでいたが、実はパーツが間に合わず(発注遅れ)作業を始めていたフロントダンパー(ショックアブソーバー)のOHをやってみた。
 基本的にメーカー純正のダンパーは非分解式でオイルのへたりやシール部分のオイル漏れなどが発生した場合には、丸ごとパーツ交換するというのが通常で、サードパーティから発売されているものや、純正を使って機能を回復(向上)させるしか手がない。ただネットを徘徊して情報を集めたりしていると、多くのDIY情報が手に入り、その中で純正ダンパーのオイル交換をしているユーザーが結構いることに驚いた。
 サンバーのダンパーは純粋なオイル式で、現在主流になっているオイル・ガス併用式のものではない。ということはオイルだけ抜く工夫をすればいいことになる。非分解式ダンパーを分解することは、単なる破壊になってしまうので、分解することなくどこかに穴を開けて、そこからオイルを抜けばいいことになる。
 市販車の場合ほぼ全車両が耐久性を考えて、複筒式ダンパーの構造をとっているので、ダンパー底にベースバルブがある。その部分にはオイルが流れ込んでいて、バルブと底に若干の隙間があるはずだ。そこを狙って穴を開け、オイルを入れ替えてみようと企んだ。
 穴開けは比較的簡単だが、切削粉が内部に入り込んでバルブに引っかかったりすると厄介なので、できるだけ切粉を内部に落とさないようにネオジウムマグネットを貼り付け、ダンパーロッドを全伸び状態のまま作業をしてみた。
 ポイントはネジ切りを行うまでそのままの状態にして、穴が完全に出来上がったところでオイルを切粉と一緒に排出させることだ。できれば最初のストロークで内部に残った切粉を排出してしまいたい。
 22歳・17万キロを走行したダンパーオイルは粘度がほとんどなく、まるで水のように出てきた。おまけに真っ黒。以前オーリンズのダンパーOHの時に伺った話では、オイルのへたりは密閉された状態の中で動いているので酸化による劣化よりも、しゅう動による各部の摩耗したものが混ざり込むことが劣化の原因だと聞いてはいたが、さすがに22年も経過していると粘度がなくなってしまうようだ。
 問題は交換するオイルの種類と本来の量が分からないことで、ここからはトライアンドエラーになる。

KVの取り外したフロントストラットユニット。形状はTV系も全く同じで、取り外し方は5月号P102-103を参照してほしい。

スプリングを固定しているナットはヘキサゴンバーを入れて取り外す方法と、インパクトレンチで一気に緩めてしまう方法がある。

アッパーマウントは22年の経過を物語るゴム部分のヒビが多数見られたが、致命的なものはなく再使用する。予算があれば再交換。

伸縮で回転するスプリングを受け止めてくれるスラストベアリングは樹脂ながらスムーズで、グリスも綺麗だったのでそのまま使用。

スプリングは擦れた部分が多いのだが、折損や朽ちはないので、塗装がはげて錆が出ている部分はシャシーブラックなどで補修する。

1)ダンパーは見た目には損傷がなく、錆や汚れだけであり、オイル漏れなどの形跡がないので、オイル入れ替えができると判断した。

1)

重要!
2)シリンダーから飛び出ているシャフトの付け根部分にシールがあるが、ここからのオイル漏れがあった場合にはオイル交換が不能に。

サビ! サビ! ヒビだらけ!
3)アッパーマウント細部検証。

3)雨水や泥がスキマに溜まりやすいので、錆がかなり発生しているが、鋼板が朽ちていたりもろくなっている症状は見られなかった。これはワイヤーブラシとシャシーブラックでなんとか修復できそう。

3)問題はゴム部分のひび割れだが、硬化して薄い部分にクラックは入っているものの、再使用可能と判断した。

4)ベースバルブが付いていると思われるダンパーの最下部はがっちり溶接で蓋が。ネジを切るための板厚もありそうでココに穴開け決定。

5)シャフトを全伸び状態で固定するために、植木鉢の下部に穴を開け、安定させるために廃棄予定だったディスクローターをその上に。

6)一番膨らんでいる部分のたぶん?センターと思われる部分にドリル刃を当てるので、滑っていかないように強めにポンチを打つ。

ネオジウムマグネット
7)切削分をできるだけダンパーシリンダー内部に落とさないために、百均で売られているネオジウムマグネットを数種類用意してみた。

8)ポンチを打った部分からなるべく近いところにマグネットを2段重ねにして4か所に配置してみた。やってみるまで分からないが。

4mm→5.8mm、2度ケアする
9)垂直に穴開けとはいえ、ボール盤を使うわけではないので、2度開けで万全を期すことに。かなりの量の切削粉が吸着。

9)6ミリの汎用ネジを使うので、本来は5.3ミリの下穴になるが、手持ちがなかったので5.8ミリを使用して開けてみた。穴が開いたらドリルは上下に動かさず、すっと抜くのがコツ。

できるだけ垂直に!
10)タップはシャフトにもマグネットを貼り付けた。垂直の見極めがしにくいので、二人体制で見る方向を変えながら最初の切り込みを入れる。

オイルは粘度よりも量がダンパーの動きを決定する

 オイルの排出は計量できるものに残り一滴まで入れて、抜けた分を入れることにした。KVサンバーの場合162cc抜けたので、内部の残りを考えて165ccを目安に入れ替えてみることに。
 抜けたものを見て、できるだけシャバシャバに近い粘度のものがいいだろうと残っていたオイル類を見回したらCVTに使用するホンダHMMFがかなりシャバシャバだったので、とりあえず入れてみることに。これはオイルというよりはフルードと呼ばれる分類だが、とりあえずチャレンジ。
 量を多めに入れて、動きの変化を見ようと思い、200ccからチャレンジしたが、200ccはほぼリジッドで、乗り心地最悪! 20cc抜いた180ccだと動くには動くが、スポーツマシンに乗っているような減衰力。さらに10cc抜いてみると、かなりよくなったが、まだ硬さを感じる。さらに10cc抜いた160ccにしてみると、動きはいいのだが、ちょっと初期のバンプ時に硬さが残っている感触。グリップのいいタイヤならこれもアリだが、というところに落ち着いた。
 そこで、バイク用のサスペンションオイルを入手してみた。粘度がかなり広範囲で、メーカーによって表示と実粘度が違うというのもあって、一番汎用性が高そうなヤマハのG5を規定量と思われる165cc入れてみた。
 好みはあると思われるが、ノーマルタイヤとスプリングでのバランスはとてもよく、抜けたダンパーからは想像もつかないほど快適なフィーリングだ。なんだか他のオイルもどんどん試したくなってきた。これは楽しみ!

11)ネジ穴が完成した段階で、仮ボルトを入れてみてOKなら、初めてオイルを抜く作業に移る。一度目はなるべく一気にシャフトを入れる。

12)抜けたオイルは計量カップなどに入れて、全容量を把握するところから始まった。何度もシャフトを上下して最後の一滴までオイルを抜いていく。

12)ポタリとも出なくなったら、しばらく穴を下にしておいておくと最後の1滴まで拾えるだろう。オイルは真っ黒。

12)わずかに切削粉が出てきた。マグネットの効果は大きく、これだけで済んだ。

13)底板は6ミリほどあり、ノギスを差し込んでみると、突き当たりまで21ミリあったので、15ミリのボルトが使うことができると判断。

13)

14)穴の周囲などは切削分が溜まっていたりするので、パーツクリーナーを使って洗浄する。一度ボルトを仮入れして洗うという手も。

15)手持ちのシリンジが30cc用だったので、一度入れたらシャフトを上下して、エアを抜きながら内部にオイルを浸透させる。一気入れだと簡単に溢れる。

16)ボルトの固定はシール剤として信頼のワコーズのGMを使用。底部が平面でなく、漏れるとブレーキにかかるので、必ずシールする。

6×15mm、アルミワッシャー併用
17)ボルトには必ずアルミまたは銅ワッシャーを併用して固定する。シール剤の乾燥を十分に待ってからボルト部分を下にするように。

18)ストラットが組み上がった完成品。気分と車両の使用状態によってオイルを交換できるのでOHは大成功!?試走実験は追ってレポ予定!

今回ベストチョイスだったのはヤマハのサスペンションオイルG5だった。バイクパーツ屋などで簡単に手に入れることができる。

初めに使ってみたのはホンダHMMFでCVTフルードだ。かなりシャバシャバで、エンジンオイルの0W-20あたりも使えそうだった。

提供元:オートメカニック

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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