車検・点検・メンテナンス
更新日:2017.12.08 / 掲載日:2017.12.08
禁断のクルマ実験室 ブレーキ力を低下させ制動力をチェック
負圧なしと、パーキングブレーキのみで止まる実験
普通のエンジン車に付いているのが負圧式のブレーキブースター。これは吸気の負圧やカムシャフトで駆動する外部ポンプで発生させた負圧をブースターに作用させておき、ブレーキペダルを踏み込んだ時に大気圧の力で倍力作用を行うメカ。エンジンを止めたまま走るとブレーキが利かなくなって危険といわれるが、それは負圧が働かなくなると、倍力作用が失わわれて、ブレーキの油圧を高くすることができなくなるからだ。
どのくらい危険なのか、「パーキングブレーキのみで止まる」実験と合わせてテストした。
※専用施設等において専門家の指導のもと取材しています。
足踏みパーキングブレーキだけで止まってみる
まずはパーキングブレーキのみで停止。ブレーキのかけ始めにカツンという軽いショックがあるが、その後は滑走し続けてしまい、なかなか止まってくれない。ドライでこれなので、雨だともっと利かないだろう(上の写真の一番左のパイロンとクルマのノーズが並んだ時にブレーキ)。
ブレーキブースターの負圧を止めて、足の踏力だけで止まる
ブレーキブースターが作動しない状態も怖い。ペダル操作力が重くてストロークが浅いという違和感があり、特に初期の立ち上がりが弱いため、踏んでも全然効かないという印象だ。40km/h以下でこれなので、高速や下り坂ではスピードの制御がまるで利かなくなる(上の写真の一番左のパイロンとクルマのノーズが並んだ時にブレーキ)。
実験結果 FFのリヤブレーキだけでは0.3Gも出ない!
左のグラフは通常時のブレーキングデータで、43km/hからブレーキングすると停車まで1.5秒、10m。35km/h点からカウントすると6.2mとなる。Gは最大0.8とちょっと。真ん中と右は、負圧がない状態やパーキングブレーキのみの場合で、真ん中は減速G、右は車速変化。一番利かないのがパーキング。後輪がロックしても、0.28Gが最大で、全然利かない。負圧がない状態も、半分くらいの0.4Gとか慣れてきても0.6Gだった。ペダルを思いっきり踏んでもその程度なので、急に故障したらパニックに陥るだろう。
提供元:オートメカニック