メンテナンス・日常点検[2017.12.21 UP]

特集 不死鳥伝説 最先端スポーツクーペ MAZDA RX-7(FD3S)

唯一無二のスタイリングと乗り味は孤高のパワーユニットたるロータリーエンジンなしには語れない。

マツダが育て上げたロータリーエンジンを搭載するピュアスポーツカーがRX-7。オイルショックの影響がまだ色濃く残る1978年に初代がデビューして以来、代を重ねるごとにその運動性能を高めていく。3代目、そして現状最後となるRX-7はバブル景気後の1991年に登場する。スポーツカーらしい流麗なボディに切れ味鋭い乗り味を実現するシャーシを備えロータリーツインターボのハイパワーを有したFD3Sは多くのクルマ好きを魅了した。

関連情報

カビ・錆 旧車 車体 シート タイヤ・ホイール 内装 メーター ラジエーター

スポーツカーをとことん追求し進化を重ねた

 バブルが終焉を迎えた1991年10月、3代目となるFD3S型RX-7がデビューを飾った。初代と2代目はポルシェ924や944を意識したと思われるスタイリングだったのに対し、FD3Sは、コンパクトなロータリーでなければ実現できない低いフロントフードから流れる流麗なスポーツカーらしい誰もが美しいと感じるボディを身にまとう。
 そのエンジンは13Bをシーケンシャルツインターボ化した13B-REWで、1991年のデビュー時は255psを誇った。足回りはアーム類がアルミ製となる前後Wウィッシュボーン。しかもブッシュ類は一般的なゴムではなくピロボール型のブッシュを随所に採用した。コンパクトなロータリーエンジンをフロント軸よりも後方に配置するフロントミッドシップレイアウトと相まって、圧倒的なコーナリング性能を誇った。
 そんなFD3Sのすごいところは、生まれ持った基本性能の高さだけではなく、1991年のデビューモデル(1型)から2002年の生産終了時(6型)まで、スポーツカーらしさを求めて常に進化したこと。わかりやすいところではエンジンパワーが255psから265psを経て最終的には280psとなった。その途中にはスペックには現れない細かな改良も多数施されている。このように常に車両の進化を怠らずに各部を煮詰め、6型では多くのクルマ好きに最高のスポーツカーと認識させるに至った。

●取材協力:AS AUTO(アイエスオート)
FDを得意とするショップは数多いが、その多くはロータリーエンジンのチューニングショップとなる。そんな中FDを専門に扱う中古車販売店となるのがアイエスオートだ。自社で一般整備からエンジンO/Hまでをこなす高い技術力を備えているのも魅力のひとつ。なにかとメンテが必要なFDだが、購入後も安心して整備を任せられる。
所在地:埼玉県川口市江戸袋1-32-13
TEL:048-287-6651
URL:http://www.as-auto.co.jp/


エンジン本体の消耗と電子制御系の不具合を抱えた車両多し

レシプロとは明らかに異なるREの耐久性

 デビューしてから28年、最終生産モデルでも15年が経過したFD3S型RX-7。キレのある走りと唯一無二のロータリーエンジンのパワーが大きな魅力となる車両だけに、それに不具合があっては乗る価値も大きく目減りしてしまう。FD3Sの魅力を存分に味わうためには、間もなく2018年を迎える今どのようなメンテナンスが必要なのであろうか?ここではFD3Sの専門店として埼玉県川口市にショップを構えるASオート(アイエスオートと読む)の青木さんに、FD3Sのメンテナンスに関するお話を伺った。「まずはエンジンですが、今まで大きな整備を行っていない車両は、残念ながら完調なものは少ないというか、ほとんどないと思います。まずはエンジン本体ですが、O/Hが必要な状態となっているものがほとんど。そんな状況なので、ウチで販売する車両の多くは、O/Hしたエンジンに載せ換えています。もちろん直近にO/Hされたエンジンが搭載されていた車両など不具合がない場合はエンジン載せ換えは行いませんが、今までO/H経験がなく、走行距離を重ねている車両はO/Hしたエンジンに載せ換えて販売しています。
 またエンジン本体だけではなく、シーケンシャルツインターボをコントロールする制御ユニットに不具合が多く発生しています。パワーがないエンジンは、この制御系のトラブルをまず疑ってみる必要があります」

エンジン 本体のO/Hと制御系の交換が前提

255psから280psまで熟成を重ねた13B-REW

13Bにシーケンシャルツインターボを組み合わせた13B-REW型エンジンを搭載するFD3S。1991年のデビュー時は255psだった最高出力が1996年の3回目のマイナーチェンジ(4型)でECUを8ビットから16ビットに変更するなどし265ps(MTのみ)となる。さらに1999年の5型へのマイナーチェンジで280psに至る。ちなみにATは255psのまま。

プラグ、フラグコード、コイルは消耗品

プラグの消耗が激しいのもロータリーエンジンの特徴といえる。またプラグ以外にもプラグコードや点火コイルの劣化もサイクルが早いという。そろそろ点火コイルまで新品に交換してもいい時期といえそうだ。

不調の原因の多くは制御系の不具合

シーケンシャルツインターボをコントロールするバキュームユニットやソレノイドバルブが壊れやすく、ブーストが掛からず、エンジンの力がないという状態となっているクルマが多い。部品を交換しての修理となる。

ツインターボユニットは意外にトラブル少なめ

日立製タービンを組み合わせたツインターボユニット。特に壊れやすいということはないがシャフトからのオイル滲みは日常的にあり。

オイル漏れの定番はオイルパンのフランジ

構造的に漏れる場所は少ない。オイル漏れの定番箇所は、オイルパンの合わせ目とリヤエンドシールぐらいだそうだ。

発熱量が多いだけに冷却系はトラブル多し
エンジンルームには2つのラジエーターキャップがある。その前側のキャップの下はエア抜きタンクとなるが、樹脂製のため割れて水漏れを起こすので要注意となる。また2つのキャップは消耗品と認識しておこう。

ウォーターポンプは特に定番トラブル箇所ではないようだが、漏れを見つけたら交換となる。ラジエーターはタンクの劣化で水漏れが発生しやすい、また電動ファンが回しすぎでモーターが壊れることが多いそうだ。アフターパーツのファンコントローラーを装着している人は、設定温度次第では回りっぱなしになるので要注意。

インタークーラーからのパイピングの劣化
インタークーラーからのアウトレットパイプも交換されていない車両の場合、切れや裂けが発生してもおかしくない時期となっている。

エアポンプ不良が他の不具合に
エンジンの右側に装着されるエアポンプ。このポンプの不具合から、電装系の他部分に不具合が発生することがあるそうだ。

パワステ油圧ホースのオイル漏れ
パワーステアリングのポンプに繋がるホースからのフルード漏れは定番トラブルのひとつ。漏れていればホースを交換しよう。

エンジンマウントも交換時期に
エンジンマウントも交換時期となっていることが多い。エンジンを吊り上げないと交換が難しいので、O/H時に交換するのが得策だ。

駆動系 パワープラントフレームの亀裂に注意

ミッションはこれまで使用状況で様々

ミッションはシンクロが弱いそうだ。何速がというのは特に決まっていないようで、それまでの使われ方次第で、入りづらくなっているギヤがあるという。

クラッチマスターシリンダーのオイル漏れ
クラッチのマスターシリンダーもそろそろO/Hの時期を迎えている車体が多い。独立したリザーバータンクがないので見落としがちかも?

デフマウントの劣化が乗り味を損ねる
デフ自体は定番といえるようなトラブルもなく、ドライブシャフトが入るサイドシール部からのオイル漏れもほとんどないそうだ。

しかしマウントは傷んでいるものが多く、アクセルのオンオフでキックバックを激しく感じるようであれば、交換時期に達しているので、デフマウントを交換してやろう。部品の供給は今のところ問題なし。

パワープラントフレームの固定部に亀裂が入る
マツダ製のFRスポーツカーに採用されている、ミッション(エンジン)とデフを剛結するパワープラントフレームだが、FDの場合、パワープラントフレームとミッションやデフの固定部に亀裂が発生していることが多いそうだ。本来動かない部分が動いてしまうので異音や乗り味悪化の原因となるので、亀裂を発見したら交換となる。

ASオートでは強化品を用意する
ASオートではパワープラントフレームの亀裂が入りやすい部分を補強したものを、オリジナルの部品として用意している。

足回りは関節部にガタが出始めているのでリフレッシュ時期

パワープラントフレームのクラックに注意したい

 ボディや足回りなどはどうだろうか?「まずボディですが、年式相応のヤレはありますが、雪国で走っていたなどの特殊な例を除けば、サビによる劣化もそれほど多くはないです。もちろんサビやすい部分はありますが、ボディ本体でいえばサイドシル付近がサビやすいぐらいで、あとはそれほどサビが酷いということはないでしょう。それよりも樹脂類の劣化によるトラブルは多く発生しています。特徴のひとつとなるリトラクタブルヘッドライトの上部のカバーは取り付けステー部が経年劣化により割れてしまうことが多いです。同様にドアハンドルも樹脂の割れで機能しなくなることがあります」
 足回りや駆動系などはどうか?「足回りやブレーキは今までは定番といえるようなトラブルはなかったのですが、さすがに経過した時間も長くなっているので、たとえばピロブッシュにガタが発生している車両も多くなってきました。FD3Sならではのシャープなコーナリングを楽しみたいのであれば、ガタの出ているピロブッシュの交換をそろそろしてあげたほうがいいでしょう。
 駆動系はそれまでの使われ方が大きく影響します。特にミッションは走りを楽しんできたクルマの場合はO/Hが必要になっていることもあります。ミッションとデフを結ぶパワープラントフレームにクラックが入っていることもあるので、確認をして損はないと思います」

足回り ピロボールゆえによりガタの影響あり

タイロッドエンドやステアリングラックのブーツ切れ
サーキットを走っていた車両などはフロントロワアームのピロブッシュのガタを確認しておきたい。アッパー側はロア側に対して入力が少ないため、問題がない場合が多い。

タイロッドエンドとステアリングギヤボックスのブーツは破れていることが珍しくない。内部に水が侵入し錆びてしまうと交換費用もかさむので見つけたら交換しておきたい。

サスキットは社外品に交換されている車両が非常に多く、程度はまちまち。車両の程度を見極めて必要なら交換しよう。ちなみに純正ビルシュタインは人気が高いそうだ。

ASオートではO/H済みキャリパーを用意
ASオートではシールやブーツを新品に交換するだけではなく、キャリパーのボディをフラットブラック塗装で仕上げた、O/H済みのキャリパーを販売する。これがあればブレーキのリフレッシュも短時間で簡単に行えるのでありがたい。

ピロボールのガタが乗り味を悪くしている
リヤはトラクションロッドとロワアームの接合部がガタの多発ポイントとなる。これ以外にもロワアームの各ピロブッシュやトラクションロッドのボディ側も入力が大きく、特に激しく走っていた車両はガタが出ていることが多いので、同時に交換してしまうのがいいだろう。アッパーアーム側は前側同様、傷みは少ないようだ。

ブレーキは引きずりが定番のトラブル
ブレーキは前後キャリパー共にシールの劣化などが原因で引きずりが発生している車両が多いようだ。新品のシールでO/Hを施してやれば解決する場合がほとんど。またリヤはサイドワイヤーの張りすぎが原因で、不具合を起こしていることもあるそうなので、サイドワイヤーの張りも確認しておこう。

外装 サビは意外や発生箇所少なめ

サビが発生しやすい部分はこの2箇所
サビが発生しやすい部分は、サイドステップ下の部分。多くの車種のサビ多発部分なので、自分のクルマがサビていないかチェックしておこう。それからここはボディとはいえないが、リヤサスメンバーにサビが発生しやすいという。酷い場合はメンバーを交換すればいいのだが、交換が必要となる前に防錆しておきたい。

ドアハンドルが劣化して割れる
外側のドアハンドルの樹脂が、経年劣化でリンクに繋がるレバーが折れて、ドアを開けられなくなるという定番トラブルあり。

ベッドライトカバー部の取り付けステーの割れ
リトラクタブルヘッドライトのカバー部(ボディ面)は樹脂製で、ドアハンドル同様に経年劣化するため、ステー部が折れてカバーが外れてしまうというのもFDの定番トラブル。早めに新品に交換しておくのが得策だ。

カウルトップとゴムモールの劣化
カウルトップの樹脂が経年変化で縮むことで、ガラスとの間に入るゴムモールが外れてしまっている車両が非常に多い。

リップスポイラーの擦れ
ノーマル車高でもFDの最低地上高はかなり低い。それだけに純正リップをこすってしまうことは多く、痛みやすい部分といえる。

オートアンテナの破損が多い
アンテナを伸ばしたまま立体駐車場などに入ってしまいアンテナを曲げたり折ったりしたことでトラブルを抱えていることが多い。

内装 樹脂パーツの経年劣化によるトラブルが

タコメーターが振れる
メーター類はタコメーターの指針が振れてしまい、正確な回転数を示さなくなってしまうというトラブルが発生するそうだ。

エアコン風量ノブの軸部が割れる
エアコンの風量調整ツマミの軸が、経年劣化で割れてしまい、風量の調整ができなくなる不具合がかなりの確率で発生する。

シフトブーツの劣化サイドブレーキは問題なし
シフトブーツは消耗品。レザーが劣化してしまいボロボロになってくる。ちなみにサイドブレーキのブーツは劣化が少ないそう。

パワーウインドウスイッチとドアポケットの蓋の欠損
パワーウインドウ開閉の不具合の原因の多くは、パワーウインドウスイッチのトラブルが原因。壊れてから交換するのもありだが、トラブル前に交換しておけば安心だ。そのパワーウインドウスイッチの後方にあるドアポケットの蓋の部分も経年劣化で脱落しやすい。蓋だけの部品供給はなく、小物入れごとの交換となる。

シートサポート部の擦れとシートベルトガイドの割れ
撮影車は2シーターのZRなのでレカロのフルバケを標準装備。このフルバケほどではないが右側は乗降時に摩れるため、サポート部表皮が傷みやすい。またヘッドレストの窓側部分にはシートベルトのガイドが装備されるが、通常のリクライニングシートのものは樹脂製なので、経年劣化で脆くなっていて折れてしまうものが多い。


提供元:オートメカニック


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