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更新日:2018.02.02 / 掲載日:2018.02.02

【旧車趣味】NISSAN フェアレディZ その1

北米日産の主導のもと、世に送り出された初代フェアレディZは、彼の地でも高く評価されているスポーツカー。特にキャブ仕様の前期型は高値で取引されるなど、その人気にいささかの陰りも存在しない。

スタイルよし、走りよしで日本車の評価を一変させた

 フェアレディSR/SPシリーズの後継車として誕生したフェアレディZ。これまでのオープン2シーター(初期には3シーターがある)オープンボディのSR/SPから、ロングノーズ&ショートデッキのクローズドボディへと変更された。これは北米での販売を考慮したものだった。「Z-Carの父」とも呼ばれる当時のアメリカ日産の社長であった故・片山豊氏は、1960年からアメリカに渡り、DATSUN(当時の日産車の愛称)の販売に尽力していた。アメリカでは単なる安くて小さな車だと思われていた日本車を、購入後のメンテナンス・サービスを充実させることで信頼性が高く高品質な自動車だということを浸透させ、アメリカ全土で広く親しまれるようになった。先代のフェアレディであるSP/SRも発売当初からアメリカに輸出され、1964年には生産台数4350台のうち、2485台が輸出され、その比率は57.1%にまで及んでいた。その時、アメリカで求められていたのは「MorePower」。当時のアメリカのスポーツカーには大排気量のV8エンジンが搭載され、フェアレディがいくら小型車とはいえ、スポーツカーにしては物足りないと思われていたのだ。その要求に応えて登場したのがフェアレディ2000。最高出力は145psとなり、最高速度は205km/hを記録して大幅に性能はアップした。アメリカ市場への輸出はますます増え、1968年には輸出比率は90%を超えていたといわれている。
 フェアレディのモデルチェンジに際し、当時のアメリカ日産社長の片山氏からはアメリカ市場での要求を細かく伝えられたという。一つは、イギリス製スポーツカーのようなオープントップではなく、クローズドボディのグランドツーリングモデルとすること。二つ目は4人乗りはいらない。2シーターで十分だということ。三つ目は単一車種に絞るということ。これらの意見と年々厳しくなるアメリカの安全基準にパスするため、ライトウェイト・オープンスポーツから、クローズドボディのGTへと変化したのだった。アメリカでの発売は1969年10月22日。直列6気筒2393ccのL24型エンジンを搭載した240Zの1グレードのみで発売。初年度だけで4万5000台を売り上げ、人気を不動のものとした。
 日本でのフェアレディZの発表は1969年10月18日。北米仕様と同じL型ながら、排気量は1998ccのL20型を採用した。L型6気筒エンジンはもともとセドリック用に開発された静粛性を高めた実用エンジンであり、当初は重くて眠いなどと評された。実際に先代のフェアレディ2000SRと比べて出力も最高速度も低くなっている。しかしL型6気筒の素性はよく、その後の活躍はご存じの通りだ。用意されたグレードはベーシックモデル「Z」と、装備が充実した「Z-L」の2タイプで、価格93万円からと低価格だったこともあり国内でも爆発的なヒットとなった。出力130psのL20エンジンは975kgの軽量モノコックボディを走らせるには十分な性能を有し、優れたハンドリング性能によって今でも軽快な走りを楽しむことができる。また、当初からスカイライン2000GT-Rにも搭載されている、1989ccの直列6気筒DOHCユニット「S20」を搭載したモデル「フェアレディZ432」もラインナップされていた。「432」とは4バルブ、3キャブレター、2カムシャフトを意味し、S20型エンジンの特徴を表している。当時の価格はマグネシウムホイール装着185万円とベーシックモデルの2倍となっていた。

●SPEC:NISSAN’71FAIRLADYZ2.0Z(S30)
全長×全幅×全高:4115×1630×1285mm、ホイールベース:2305mm、トレッド(前/後):1355/1345mm、車両重量:995kg、乗車定員:2名、ミッション:4速MT、駆動方式:FR、エンジン:1998cc水冷直6気筒SOHC、ボア×ストローク:78×69.7mm、圧縮費:9.5、最大出力:130PS/6000rpm、最大トルク:17.5kg-m/4400rpm、最高速度:195km/h、燃料タンク:60L、最小回転半径:4.8m、ステアリング:ラックピニオン式、サスペンション(前/後):ストラット独立懸架/ストラット独立懸架、ブレーキ(前/後):ディスク/リーディングトレーリング、タイヤサイズ:6.45H-144PR

取材車両はベーシックグレードの「Z」なので、バンパーにはコーナー部分にゴムパッドは付かない。

ちなみに、フェンダーミラーは432を含めてすべて同じ形状。1976年以降のS31型は大型エアロタイプのタルボ型ミラーが装着されるようになる。

ベーシックグレード「Z」のリヤウインドーには熱線が入っていない。ちなみに青く見えるのは青いフィルムが貼られているから。フィルムのヤレ具合から当時のものだと思われる。

細身の純正ワイパーブレードは、今でも日産から純正部品が出る。

バックランプが独立しておらず、リヤコンビランプ内に入っているのが1972年までの前期型の特徴。

国内はおろか世界でも人気、全世界で55万台も販売された

 1969年11月から販売が開始されたフェアレディZは、L20型のSOHC1998ccエンジンを搭載した「Z」、その装備を充実させた「Z-L」、S20型DOHC1989ccエンジンを搭載した「Z432」の3タイプを用意。ベーシックな「Z」はボルグ・ワーナータイプの4速ミッションが与えられ、ホイールにはキャップも付かない簡素なグレードだった。「Z-L」はポルシェ式フルシンクロの5速ミッション、ホイールキャップ、バンパーゴムをはじめ、カーステレオやリクライニングシート、リヤ熱線など装備が充実していた。搭載されるL20エンジンはどちらも同じで、2基の日立SUツインキャブレターを装着し、最高出力130ps/6000rpm、最大トルク17.5kg-m/4400rpmを発生。5速マニュアルミッションを搭載する「Z-L」では最高速度195km/hを記録している。ちなみに今回取材した車両はベーシックグレードの「Z」。当時の販売台数自体も少なく、購入後にミッションの積み替えや装備の変更が行われた個体も多いため、素のままの「Z」グレードは非常に珍しい。
 1970年10月には最初のマイナーチェンジが行われ、「Z-L」に3速フルオートマチック・トランスミッションがオプション設定された。また、レギュラーガソリン仕様も追加され、出力は5psダウンとなった。1971年10月には国内でも240Zが発売となった。2000同様「Z」「Z-L」の2つのグレードと、「Z-L」にグランドノーズと名付けられた大型のスポイラーを装着した「240ZG」が用意され、同時にすべてのグレードで3ATが選択できるようになった。1973年9月、昭和48年排出ガス規制に適合するためのマイナーチェンジが行われた。同時にリヤ周りとコンソールのデザインを変更している。また、オイルショックと排気ガス規制の影響により、Z432の生産終了と240Zシリーズの国内販売終了が発表された。
 1974年1月にはホイールベースを300mm延長した4人乗りモデル「2/2」が追加された。当初よりオープンボディなど複数のボディバリエーションを計画されていたが、実現したのは2/2のみだった。翌1975年9月には昭和50年度排出ガス規制に対応するため、搭載エンジンをボッシュLジェトロ式インジェクション装着のL20Eエンジンへ変更。翌1976年7月には、排ガス浄化システムNAPSが装着され、この年式を境に形式がS30からS31へ変更されている。1978年に生産終了するまで約55万台が生産され、日本国内でも約8万台が販売される大ヒットとなった。

搭載されるエンジンは直列6気筒SOHCのL20型。撮影車両はフルOHが施され、まるで新車のような佇まいだ。

ツインキャブレター用のエアクリーナーは、今となっては希少な存在。エレメントは今でも手に入るとか。

日立製SUツインキャブレターを装着する。ソレックスより部品の手配が大変。

バルクヘッド付近の塗装にタレがある。これは新車時のもので、ボディが未再生であることの証だ。

左右対称でスパルタンな印象のインテリア。ドライバーの目の前には速度計と回転計の大型2連メーターを装備している。

シートはハイバックタイプのセミバケットタイプ。「Z」グレードはリクライニング機構も省略されている。

大型2連メーターは右がスピード、左がタコメーターとなっている。

センターの3連メーターは右から水温/油圧計、電流/燃料計、時計。

3本スポークのウッドステアリングが装着されている。センターパッドは「Z」。輸出仕様はこの部分が「DATSUN」となっている。

シフトノブもウッド。「Z」は4速マニュアルミッションが標準装備なので、シフトノブのパターンも4速のもの。これも希少。

センターコンソールには2本のレバーがあり、左はチョークレバー、右側はスロットルレバーとなる。キャブ車ならではの装備だ。

リヤトランクにはスペアタイヤが装備されている。この鉄ホイールが純正のデザイン。タイヤも当時のものだった。

助手席の足元にはコ・ドライバー用のフットレストが装備されている。おそらくオプションで用意されていたものだろう。

運転席、助手席の後ろにはそれぞれ収納スペースが用意されている。助手席後ろのボックスには車載工具が入っていた。

初期モデルのS30型フェアレディZは2シーターのみ。アメリカからの要望により、その容量はスポーツカーにしては大きめ。



提供元:オートメカニック


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グーネットピット編集部

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車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
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