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車検・点検・メンテナンス
更新日:2018.02.19 / 掲載日:2018.02.19

W123復活大計画 「ヘッドライトの調整に挑戦!」

調べれば調べるほど、大小の不具合が発覚し続けるハリー山崎のベンツちゃん。極上と信じて購入したハリーには申し訳ないが、この個体は完全にハズレです(笑)。だが、そんなめげないハリーの情熱が通じたのか、車検取得まであと一歩のところまでたどり着いた模様。スムーズに公道デビューとなるのだろうか? 

1977年式 幸せの黄色いベンツちゃん復活大計画【 Vol.09】 
世界を駆け巡る! ハリー山崎のドタバタ旧車レストア記

ベンツちゃん=Mercedes-Benz 300D(W123)

今回のメニュー…●ヘッドライト調整&改修 ●エンジン調整 ●ユーザー車検

憧れの新品ライトに交換するもリヤコンビライトの光漏れが発覚

テールランプの光漏れはDIYで解決。無事、車検の基準をクリアできそう

 我が1977年式の黄色いベンツちゃんは、ディーゼル排ガス規制以前に製造された車両。通常の並行輸入車で必要になる“ガス検”は免除になるが、灯火関係は日本の規則に合うよう改善しなければならない。車検を通すためには、正規輸入を行っていたウエスタン自動車と同じような作業をしなければならないのだ。
 まずヘッドライト。ウエスタン自動車は本国仕様の“明るすぎる”60/55Wのヘッドライトを、当時の日本の規定の5万カンデラをクリアするために、わざわざ45/40Wの暗いヘッドライトに交換していたが、現在はこの作業は必要がない。だが対向車を幻惑させない左側通行用の配光特性を持つヘッドライトには交換しなければならない。幸いなことに北米仕様のW123型は丸型ヘッドライトが標準。日本で一般的に流通している丸型ヘッドライトを使うことができる。シビエの新品に交換することで、この問題は解決することができそう。
 その一方、「後退灯点灯時に他の灯器に光が漏れないこと」という項目の改善はかなり悩んだ。そこで参考になったのが、ネットのオークションサイトで見つけたW123型のテールランプ。その細部をズームアップしてみると、スポンジテープのようなもので遮光処置がされていることを発見した。ここはDIYの出番! というわけで、その画像を見ながら、あれこれ試行錯誤。数回のトライののち、改善することができたのだ。

北米仕様のシールドビームタイプは、ほんの一部分だけ右肩上がり用の(指で示す部分)のレンズカットになっている。

北米仕様の配光特性は、マルチレーンのフリーウェイを意識してなのか、中心重視で路肩(右)を照らすことはあまり意識していないようだ。

1980年代にバイト代を奮発して買ったシビエを思い出す。シビエでベンツちゃんの表情がどう変わるかも、楽しみだ。

ネット通販で購入したシビエ(右)と北米のシールドビーム(左)の取り付部分の爪の形状は同じ。互換性はありそうだ。

スモール側のベースに当たるが、スモールはウインカー側なので使用しないので大丈夫。(これが後に問題を引き起こすが……)

シビエの宝石のようなレンズカットで見ためは80’s風なクールさも漂う。夜のドライブが楽しかったあの時代が懐かしい。

日本仕様のヘッドライトと比較すると、控えめな左上がりの配光特性。道路環境の違いなのか? 北米仕様との違いは興味深い。

後退灯を点灯させると隣のブレーキランプの赤いレンズ部分に光が漏れる。これは日本の規制では問題になるため改善処置が必要。

反射板側の「遮光壁」は2重構造になっている。レンズとの間に2mmほど隙間があるために光が漏れているようだ。

ネットで見つけたW123の中古レンズを参考に、スポンジテープで隙間を防ぐ工夫をした。光の漏れはかなり減少した。

さらにマーカーで漏れ対策。これならほぼOKレベルだろう。ただマーカーの溶剤で、無数の微細なヒビが発生してしまった……。

施工前の状態と比較すると“光の漏れ”はかなり減少した。これなら大丈夫。ベンツちゃんの日本帰化計画はもう一息だ。

車検は万全なコンディションで挑みたい。気になっていた失火の小トラブルを解決する

気になるエンジン振動はクリアランス調整で解決できたかも?

 エアコンエバポレーターのクリーニング作業の際にヒーターホースを抜いていたので、改めてLLCを再注入。久しぶりにエンジンを始動してみた。
 ガレージ内とはいえ氷点下の気温のため始動条件はやや厳しめ。グロープラグの作動を示すインジケーターはなかなか消灯しない。もしかしたらグロープラグタイマーが壊れたのかと心配しながら、消えないインジケーターを見つめていると、W123のディーゼルエンジン修理を多く行っていた知人から「グロープラグが消えるまで、ゆっくりと葉巻に火をつけて待つのが流儀だったんだよ」といわれたことを思い出した。なかなか消えないグロープラグは「余裕が大切なんだよ」というベンツちゃんからのメッセージなのか? そんな葛藤の中、数回の始動失敗の後、バッテリーをフル充電して試みたところ、ようやくエンジンは目を覚ましてくれた。
 やれやれ……、と一安心。だがしばらくエンジンを暖機していると、突然ラジエーター注入口から異音が発生。アレっと思った瞬間、ゴボッ、ゴボッという音と共に50cmほどの高さの水蒸気爆発が発生。実はこのエンジンには冷却系のエアを抜くためのエア抜き用のボルトがあるのだが、それをうっかり失念していたことが原因。注入口をのぞき込んでいたら大やけどをするところだった……。
 その後、暖機が進むにつれて、アイドル振動が微かに増加する印象が……。40年前に製造された5気筒ディーゼルのメンテ経験がないボクにとって、この振動が正常範囲なのか判断が難しい。だが、カリフォルニアでトランスミッションのOH作業をしてくれたテッドさんが「アイドルが不安定なのは、“たぶん”バルブクリアランスの詰まりだと思うよ」と話していたことを思い出した。“たぶん”という言葉は少し気になるが、他に思い当たる原因もない。車検前にクリアランスの調整をすることにした。
 これまで分解し深部にたどり着くと、必ず想定外のビッグトラブルに直面してきた。だから正直なところ、バルブカバーを開けるのは怖い(笑)。
 そんな嫌な予感は今回も的中し、エアクリーナーに大きな隙間が生じ、機能を果たしていないことを発見。想定外のシリンダー摩耗があるのでは?と、心配の種が増えてしまった……。
 悩んでも仕方がないと、覚悟を決めてバルブカバーを開けてみると、内部はクリーン。40年&40万キロを走行したエンジンにしては「不自然なキレイさ」を感じるほど。懸案のバルブクリアランスも、3か所ほどクリアランスが詰まっていた箇所を発見。調整後、始動してみると、「これくらいのアイドル振動は5気筒ディーゼルとして正常範囲です」といわれたたら、納得できるレベルまでスムーズになった。
 随所に40年モノのアラさを感じるが、エンジン回転も振動も何とか我慢できるレベル。これ以上の深部をのぞいてトラブルを見つけるのも怖い(笑)ので、この状態で車検を受けることにしよう。

氷点下のハリーズガレージで凍てついた40年前のディーゼルエンジン。グロープラグインジケーターが消灯しない(汗)。

暖機中にLLCが減少したので補充。ヒーターはバルブは開いた状態にして、通常のエア抜きをしたつもりだが……。

次の瞬間、ゴボッ、ゴボッ、ゴーッと水蒸気爆発し、50cmほど熱湯が噴き上がった。初対面のエンジンのエア抜きに油断は禁物。

実はこのエア抜き穴を利用するべきだった。たかがLLC交換でも整備書を確認しないと、エンジンオーバーヒートの原因になると再認識……。

アイドル中にバルブカバー上にバーを立てようとしても振動で弾き飛ばされてしまう。ディーゼルとはいえ、振動が多いかも?

暖機後のアイドルは問題ないが、始動直後と空ぶかしをすると、一昔前の観光バス?と思えるほどスモークが目立つ。

インジェクターのパイプを緩め、一気筒ずつ失火させてアイドル回転の落ち込みを確認していく(バランステスト)。だが明確な違いは確認できない。

バルブカバーには調整の基準値を示すステッカーが貼られている。クリアランス調整でスムーズになれば幸いだけど……。

エアクリーナーに異常を発見!

異なった形状のエアクリーナーを装着したことで、ケース&カバーとの間に隙間が生じている。シリンダーの摩耗が心配だ。

吸気マニホールドに取り外したボルトやワッシャーなどが入ったまま始動すると、取り返しがつかない事態に。忘れずにカバーをする。

バルブカバーを外す時には、周辺の泥がエンジン内部に入り込まないようにブレーキクリーナーで徹底的に清掃。

スプレー缶がバッテリーの12V端子とブロックに同時に接触すると、ショートになる可能性も。大事故になるケースもあるので注意だ。

拍子抜けするほどクリーンで目立った摩耗はない。むしろ、この不自然なクリーンさが気になる。エンジン修理済みか?

クリアランスが詰まった箇所を調整。だがよく見るとカムシャフトとロッカーアームに僅かながら段付き摩耗が発生している。

まだ“エキステンションロッドが立つ”スムーズさはないが、異常と感じるほどのアイドル不調ではないので、車検は大丈夫だろう。

ついに公道デビューなるか!ドキドキ&ワクワクの車検に挑む

少トラブルに遭遇するも何とか予備車検をクリア

 通関証明書を元に自賠責保険をかけて仮ナンバーを取得。車検場まで自走で移動をすることにする。これがベンツちゃんにとって、日本の公道デビューだ。
 友人の工場経由の10Kmほどの道のりは、何度も通りなれた道だけど道路の凹凸の伝わり方が普段乗り慣れているクルマとかなり違うことを実感。フワフワにも似た独特のフィーリングは、なかなか心地よい。本ナンバーを取得したら、とりあえずロングランテストに行こうと、やる気も高まる一方だ。 だが、そんな熱い想いに冷水をかけてくれた想定外の不適合判断。ウインカーに問題があるというのだ。
 どうやら北米仕様のウインカーの電球は、スモール灯と共用するダブルフィラメントのため、スモールやヘッドライト点灯状態でウインカーを作動させると光量が増減するのだが、これをウインカーが単独で点滅するように変更するように指示されたのだ。(ドイツ仕様を輸入したウエスタン自動車モノは、この改善は必要なかったようだ)。
 幸い、シビエのヘッドライトはスモールランプ取り付け可能タイプなので、ウインカーのスモール灯用の配線をヘッドライト側に接続すればどうにかなりそう。
ところがいざ作業を始めるとヘッドライトにスモールランプを取り付けた状態では、車体側の装着ベースにスモールランプのソケットが当たってしまう。再テストは明日に迫っているため、強引にホルソーで穴を開けて装着。こんな荒業を使って、ベンツちゃんの日本帰化手続きは無事完了したのだ。
 車検場からの帰り道は少し余裕ができて、ベンツちゃんの運転フィーリングをいろいろと確認できた。やはりエンジンから発する微かな振動が、どうしても気になってしまう。ガソリンエンジンであればコイルケーブルの点火系トラブルを疑うのだが、ディーゼルなので判断が難しい。できれば試走と点検を繰り返して問題解決といきたいが、ハリーズガレージは雪に埋まり春までは本格稼働は……。しばらく冬眠してもらおう。

できるだけ純正風にするために、ラベルプリンターを利用してクラクションを示すラッパマークを貼り付けた。

通関証明書を元に自賠責をかけて仮ナンバー取得。初めての公道走行。友人のショップまで無事到着できて一安心。

ブレーキまわりはほぼ新品部品が装着されているが念のため制動力の確認。パーキングブレーキも調整はバッチリだった。

前回のDIYトーイン調整状態ではIN側10mmと基準値外(想定内だが)なので、サイドスリップを基準値に再調整する。

調整ナットが破損しているのか、ヘッドライト調整が不能。まあこの程度は想定内のトラブル。応急修理で対処しよう。

通常のライン検査項目は一発合格。特に黒煙検査では限度値50%に対し15%とかなりクリーンなのでホッとした。だが……。

ウインカーは「“光の増減”ではなく“点滅”に」と指摘。配線の組み替えだけで対処できるか? 頭の中は真っ白になってしまった。

北米仕様のウインカーは、スモール灯と共用するため、点灯状態でウインカーを作動させると光量が増減する仕組み。

シビエはスモール灯用のソケットが取り付け可能。

だが、ソケットは車体のベースに当たるためホルソーで穴を開けてソケットの逃げを確保。配線は、ウインカー側のスモール用配線を切断し接続した。

仮ナンバー有効期間中の再受験を目指すため、突貫作業で対処した。

ヘッドライト内にスモール灯が点灯するようになった。この状態でウインカーは“点滅”するようになったので問題ないはず。

ロングストロークを感じさせる、独特な柔らかい運転フィーリング。だがエンジン振動がそのよさをスポイルしている。

錆対策はこれからなので、凍結防止剤の上は走りたくない。予備車検で春を待つことに。期限切れまでに本車検を済ませる予定だ。

一時抹消中の元祖ベンツ君「W202」は、ベンツちゃんの置き場所もあって、春がきたらいよいよ廃車にする予定。許して……。

次回予告

気になるエンジンの
プチ不良を徹底チェック
インジェクターの大清掃を行うつもりです!

提供元:オートメカニック

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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