車検・点検・メンテナンス
更新日:2018.02.23 / 掲載日:2018.02.23

【旧車趣味】TOYOTA ランドクルーザー その2

プロに聞く購入&メンテナンスアドバイス TOYOTA ランドクルーザー(40系)編

旧車を楽しむ上で部品の確保は重要。比較的探しやすいと言われるトヨタ車であっても、確かな知識とノウハウは必要だろう。今回はランドクルーザーを知り尽くしているエキスパートに、最新事情を聞いてみた。

ディーゼルエンジンのB型エンジンは丈夫なので、基本的にエンジンオイルと冷却水の管理を行っていれば壊れることはあまりないそうだ。

100万kmも視野に入るほどエンジン&ミッションは丈夫

「ランクル40はとにかく丈夫ですよ」と話すのは、愛知県名古屋市のランドクルーザー40専門店「ガレージMK」の代表、小林正紀さん。
「ランドクルーザーは世界中の砂漠や山奥でも活躍していますから、すぐに壊れるようじゃ困るんです。そういった地域の人々が選ぶクルマですから、信頼性は高いですよ。基本的にはエンジンオイルと冷却水の管理をしっかりしていれば、壊れることはまずありません。日常点検だけで大丈夫ですよ」
消耗部品などのパーツの供給はどうですか?
「もう二十数年乗り続けていますが、パーツで困ったことはありませんね。エレメント類の消耗品はもちろんですが、ホース類などもパーツが出なかったことはありません。現存するランクル40はほとんどがディーゼルエンジン仕様なんですが、このエンジンは元々トラック用ですから、きちんとメンテナンスすれば100万kmくらい走れますよ」
普段乗る上で気をつけるポイントはありますか?
「うーん、特にないです(笑)。ディーゼルエンジンは、ガス欠には気をつけてください。ガソリン車と違ってガス欠を起こすと燃料パイプにエアが噛み込んでエンジンがかからなくなります。ただ、エア抜きのポンプが付いていますから、慣れれば自分で対処できますけどね。あとは、始動時ですね。現代のディーゼル車と違って、きちんとグローを温めてからでないとエンジンはかかりません。80年代のモデルはグローのランプが消えるまで待てばエンジンがかけられますが、古いモデルはキーをセルと反対側に回して、インパネののぞき穴からヒーターが赤く光るのを確認してからかけてください。それでもかかりが悪い時にはグロープラグの交換が必要です」
ディーゼル車はNox規制で登録できない地域もありますよね。
「ランクル40のディーゼルはほとんどがNox規制対象車です。でも、最近は性能のいいDPFがありますから、規制に適合させることができます。以前に比べて価格も安くなりましたし、中古のDPFも手に入りますから、費用はそれほど高額ではありませんよ。ウチで販売するクルマは規制地域であれば施工して、ガス検を通して納車します。すでに他地域でお乗りの方で、移転登録ができずに困っている方はご相談ください」──他に気をつけるポイントは?「年式によって噴射ポンプは列式と分配式があるのですが、高年式エンジンの分配式のほうが燃料漏れは起きやすいです。ガスケット類の交換で修理できますので、漏れを見つけたら早めに対処してください。少しくらい漏れたところで問題なく走ってしまいますから、発見が遅れて症状が悪化することもあります。頑丈なエンジンですが、点検だけは定期的にしていたほうがいいですね」

古いクルマですが、クーラントのホース類やバキュームホースなどもパーツは問題なく供給されているので、安心だ。

取材車両にはオプションのパワステが装着されているため、この位置にパワステオイルのタンクがある。

エアエレメントやオイルエレメントなどの消耗パーツは純正パーツが出るので、問題なく乗り続けられる。

ブレーキやブッシュ類もパーツに困ることはない。ナックルのオイルシールは10万kmの耐久性がある。交換は10万kmごとでOK。

Nox規制地域であっても、性能のよいDPFを装着すれば車検に合格できるので、規制地域でも堂々とディーゼル車に乗れる。

ある程度の錆はあって当たり前気にしない強い心が大事かも(笑)

ブレーキまわりのトラブルはありますか?
「これといって目立つようなトラブルはありませんね。メンテナンスに関しても、ドラムブレーキのカップ類やマスターシリンダーのOHキットもパーツが出ますし、後期型のオプションだったディスクブレーキもオーバーホールできます。シューやパッドも手に入りますよ。ブレーキホースも今のところ問題なく純正パーツが手に入ります」
足回りで、他に定期的に点検するポイントはありますか?
「ブッシュ類が傷んできて音が出ることがありますが、特にランクル40特有ということもなく、古いクルマですから、ゴム類の痛みは出てきます。リーフの付け根部分のブッシュが傷んでくると乗り心地も悪くなりますから、交換したほうがいいでしょうね。あとはナックルのオイルシールは定期交換が必要ですが、大体10万kmくらいは持ちます。グリス漏れがひどくなったら交換が必要ですが、最初の整備で交換してしまえば10万kmは安心です。パーツ自体は安いので、早めの交換をオススメします」
他に足回りで気になるポイントは?
「大幅にリフトアップしているクルマは、プロペラシャフトに角度がついてしまうので、動きが悪くなっていることがあります。改造車の場合は注意してください。また、プロペラシャフトにはグリスニップルが付いているので、定期的なグリスアップが必要です。川の中や泥の中などを走った場合には早めにグリスアップしてください」
ボディまわりで錆が出やすいポイントはありますか?
「ランクル40は年式によってボディパネルの構造が違っているんですが、79年式くらいからパネルが薄くなるんです。ですので、どちらかといえば新しいモデルのほうが錆は出やすいです。定番のポイントはまずフロントフェンダーです。裏側に泥が付いたままになっているとそこから錆びてきます。オフロードを走ったらよく洗い流すことですね。フロントフェンダーにはウインカーとフロントマーカーが装着されているのですが、この根元の部分が錆びて穴が開いてしまい、ウインカーがグラグラになっていることもあります。次はリヤのフェンダーまわりですね。リヤフェンダー上のパネルはスポット溶接で接合されているのですが、この部分から錆びて穴が開くクルマが多いですね。あと、リヤフェンダーのアーチ部分から錆が進むことがあります。この部分は裏側に汚れや水が溜まりやすく、特に高グレードのクルマには室内側がパネルで覆われているので、水分が乾きにくく錆びやすい傾向がありますね。ランクル40はドアやルーフなどに隙間が多く、雨漏りを完全に防ぐことは難しいんです。雨の中を走ったら、早めに車内を乾かすようにしたほうがいいですね。それと、分厚いフロアマットを敷いていると水分が乾きにくく、そこから錆が進行してしまうこともよくあります。なるべくマットは薄くてゴムやビニール製がいいですね。定期的にめくってパネルの状態をチェックしてください」
他にチェックするポイントは?
「ルーフパネルはFRP製なので、金属ボディとの接合部分に汚れや水が溜まって、そこから錆が発生します。この接合部分には隙間が発生するので、ここから雨水が室内に浸入してしまいます。FRPが縮んでしまうのか、ほとんどのクルマに隙間があります。ドア部分にも隙間ができやすいです。ウエザーストリップを交換してもぴったり閉じないことがありますね。ドアの建てつけで調整もできますが、少しくらいの隙間は気にしないくらいがいいですよ。ランクル40を長く乗り続ける秘訣は、細かいことを気にしないことかもしれませんね」
錆びたパネル類の修理は可能?
「純正のボディパネルはさすがにほとんど出ませんが、パネル自体はほとんどが平らなので、切り継いで修理することは可能です。フェンダーやボンネット、ドアの外板パネル、ルーフなど、ほとんどの外装パネルは社外品のFRPパネルもありますので、錆びないパネルに交換することもできます。フレームがしっかりしていて、書類さえあれば、どんな状態でも修理することは可能です」
外装まわりで取り扱いに注意するポイントはありますか?
「古いので錆ることはありますが、ボディもいたって丈夫なので、乱暴に扱っても壊れません。ただ、エンジンルームの開口部にボンネットを閉めた時にキャッチするゴムがあるのですが、ほとんどのクルマはこのゴムが劣化してなくなっています。ゴムのキャッチがない状態で開け閉めを繰り返すと、ボンネットが接触して穴が開いてしまうこともあります。この部分は要チェックです」
これからランクル40を手に入れようと思っている方にアドバイスを。
「ランクル40は丈夫なクルマです。古いクルマだからと気構えずに乗ってほしいですね。ラフに乗ってもそれほど壊れることはありませんし、壊れても修理できます。エンジンはトラック用ですから、街の修理工場でも修理してもらえるはずです。ただ、癖のあるクルマですから、試乗してみることをオススメします」

1979年くらいを境にボディパネルの構造が変更されている。同時にパネル自体の厚みも薄くなっているようで、以前の年式のモデルに比べて錆が出やすいようだ。

屋内のガレージに飾っておくようなクルマではないので、錆が発生してしまうのは仕方がないことだが、泥汚れを早めに落とし、室内を乾燥させておけば錆を防ぐことも可能だ。

ボンネットの先端や縁の部分、パネル同士の合わせ目など、汚れや泥、水が溜まりやすい部分から錆が進行する。オフロードを走ったらよく洗い、乾かしておくことが大切。

ドアの下部分は錆発生の定番ポイント。これは隙間から水や埃が入りやすく、水分が抜けにくいから。内張りを剥がして中のドア下を綺麗にすれば錆は防げる。

フロントフェンダーは裏側に泥が溜まって錆びてくることが多い。ウインカーの付け根部分から錆が広がって、ウインカーのステーがグラグラになるクルマも多い。

リヤフェンダーのアーチ上部分も錆びやすいポイント。フェンダー内側の泥だけでなく、室内側に水が溜まって錆びてしまうことも。内装付きの高グレードは要注意。

ボンネットの先端部分はパネルが折り返されているので、ここに汚れや水分が溜まりやすい。また、ボンネットのキャッチがなくなると穴が開きやすいので注意したい。

ルーフはFRP製で接合部分から錆が発生しやすい。ドリップレールにも泥や汚れや溜まりやすく、そこから錆びてしまうことも多い。ドリップレールはマメに掃除しよう。

ルーフとボディパネルの繋ぎ目やドア部分から雨漏りすることも多い。隙間は完全に塞ぐのは難しく、割り切って雨が降ったら翌日によく乾かすことが大切。

オプションでウインチが装着されていた車両はこのように大きなバンパーが付く。ウインチなしのバンパーに交換すると構造変更が必要。

オプションのウインチは機械式のPTOのものが多い。電動ウインチは、パワーは劣るが扱いやすく軽量で人気が高い。

純正のウインチカバーがいい雰囲気。社外のカバーも数多く発売されているが、トヨタのロゴが入った当時もの。これだけでも貴重なパーツである。

フレームとボディの接合部も錆びやすいポイント。ここにも泥や砂などが詰まってそこから錆びてしまう。たまには下回りも綺麗にしよう。

ルーフはFRP製。壊れることはあまりないが、割れてしまってもFRPなので補修が可能。ちなみに遮音性は低い。

リヤフェンダーの内側、高グレードの車両にはこのようなカバーが付く。おかげでこの裏に埃や水が溜まって、フェンダーを内側から錆びさせる。




提供元:オートメカニック


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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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