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更新日:2018.04.27 / 掲載日:2018.04.27

カリーナGT &2T-Gエンジン

旧車の中でもトヨタ車は、整備がしやすく維持しやすいモデルといわれるが、それでもよいコンディションを保つためには、技術と知識、経験を有する専門家のサポートが不可欠だろう。今回はこの時代のトヨタ車を知り尽くしているエキスパートに、最新事情を聞いてみた。

名機「2T-G」は丈夫なユニット、普通のメンテで十分楽しめる

カリーナGTに搭載される2T-GはセリカやTE27レビン/トレノと同じもの。インジェクション化されて1983年頃まで生産されていた、DOHCユニット。

「2T-Gは基本的には丈夫なエンジンですし、気を使わずに乗れますよ」と話すのは、三重県の旧車専門店・ヴィンテージ宮田自動車の工場長・坂本尚紀さん。
「気難しいエンジンではないので、普段の足にも使えますよ。始動時もアクセルを2~3回踏み込んでからセルを回せば、チョークを引かなくてもエンジンはかかりますよ」
カリーナGTの2T-Gと、セリカ、TE27レビン/トレノのエンジンには違いはありますか?
「基本的には同じものです。ただ、2T-Gは年式によって細かい違いがありますので、乗っている車種より、年式による違いが大きいですね。エンジンが積み替えられている車両も多いですから、エンジンそのものを調べておかないと、パーツの注文が大変です。このカリーナGTも新車時のエンジンではなく、後期型のインジェクション用エンジンに載せ替えられています」
積み替えても車検は問題ないのですか?
「エンジン形式は同じなので、キャブレターなどを元のものに交換すれば、問題はありません」
トラブルが発生しやすいポイントはありますか?
「2T-Gでよくあるのが、チェーンテンショナーからのオイル漏れですね。以前は内部のシールが純正パーツで出ていたので修理できたようですが、現在では欠品です。ただ、社外品のテンショナーがありますので、修理は可能です。オーバーホール時は必ず交換する部品です」
補機類で壊れやすいものはありますか?
「オルタネーターやセルモーターが弱いですね。特にセルモーターはエキマニの下にあるので、熱で壊れやすいようです。冷間時には問題なく回っていても、しばらく走ってエンジンが暖まった後に再始動しようとすると、セルが回らないということも多いです。セルモーターもオルタネーターもリビルトが可能ですから、異常を感じたら早めに対処してほしいですね」
ウォーターポンプなどはどうですか?
「特に壊れやすいということはありませんが、古いので漏れが発生することもあります。新品パーツは欠品です。社外パーツはありますが、エアコン装着車のカップリングが付いているタイプはパーツが手に入りにくいですね。エアコンのコンプレッサーも修理が厳しいです。最近のクルマのコンプレッサーのブラケットを加工して、流用で修理することが多いですね」

このカムチェーンテンショナーからオイルが漏れることが多い。分解してシール交換しても漏れが止まらないことが多く、社外の新品に交換する。

キャブレターのリンケージはジョイント部分の樹脂パーツが割れることが多く、突然アクセルが踏めなくなることも。ひび割れを見つけたら要注意。

バキュームホースがひび割れて、2次エアを吸い込んで不調になることも多い。アイドングが不安定になったら、ホース類のひび割れをチェックしてみてほしい。

2T-Gの型式を判別するにはこの部分を見る。楕円のカバーなら前期キャブレター仕様2T-G、丸いカバーなら後期インジェクション仕様2T-GEU。

エンジンが不調と感じたらまずはキャブまわりを疑うべし

1970年代を代表するトヨタツインカムエンジン搭載車たち。セリカ、カリーナが1971年、レビンは1972年発売で、いずれも1600ccDOHCの2T-Gユニットを搭載している。

他によくあるトラブルはありますか?
「よくある、というわけではありませんが、当時のフルトラなどに交換されている場合、トラブルが起きてしまった時にパーツが手に入りませんので、修理できないことがありますね。ポイントであれば今でもパーツが出ますので、修理やメンテナンスが簡単です。また、これはエンジンではないのですが、タコメーターが動かなくなるトラブルが多いですね。セリカで何台か経験したのですが、おそらくカリーナでも同じ症状が出ると思います。すでにパーツはありませんから、修理が困難です。メーター専門の業者でオーバーホールしてもらうしかありません」
キャブレターのトラブルはありますか?
「アイドリングが不安定になっている場合は、バキュームホースやベンチレーションパイプのホースが劣化してひび割れて、そこからエアを吸い込んでいることが多いです。放置するとエンジンがかからなくなりますよ。また、トヨタのソレックスはジェット類が緩みやすいような気がします。他の車種のキャブレターでもあるのですが、2T-Gのソレックスはジェットが緩んで不調になることが多いですね。定期的に緩みをチェックしたほうがいいです。あと、リンケージのジョイントパーツが樹脂製なのですが、ここにガタが出てしまうことが多いですね。酷い場合は割れてしまってアクセルが踏めなくなります。アフターパーツがありますので、交換すれば解決します」
他にキャブレターのトラブルはありませんか?
「トラブルではないのですが、トヨタのソレックスは同調の取り方が独特なので、きちんとセッティングされていないエンジンも多いですね。アイドリング時には同調が取れていても、回転を上げた時にはずれてしまいますから、キャブの整備に慣れた方にセッティングをお願いしたほうがいいです」
エンジン本体の不調を判断する方法はありますか?
「多少不具合があってもそこそこ走ってしまうエンジンなので、徐々に調子が悪くなっていても気がつかない方も多いですね。ブローバイが多くなって、オイル消費が多くなっていれば、明らかにオーバーホールが必要だと分かりますが、そうでなくても本来のパワーが出ていないことが多いですね。バルブクリアランスが詰まって調子が出ていないエンジンも多いです。2T-Gはインナーシム方式なのでバルブクリアランスの調整はできません。オーバーホール時にシム交換で調整を行うと、驚くほど調子がよくなりますよ。シムは社外品がありますので調整可能です。バルブクリアランスが詰まってくるとバックファイヤーが出やすくなるので、心当たりがある場合はエンジンのオーバーホールとバルブクリアランスの調整をお勧めします」
他にチェックするポイントはありますか?
「燃料ポンプは機械式なんですが、シール類が劣化して燃料漏れを起こしているクルマがあります。純正のシール類は欠品です。社外品のシールはあるようですが、苦労して機械式ポンプを修理するより、電磁ポンプに交換してしまったほうが簡単でメリットも多いです。あと、エキマニの上に冷却水のパイプとホースが通っているのですが、このホースがエキマニの熱で傷みやすいです。それと、先ほどもお話ししたセルモーターも熱でやられてしまいます。セルモーターはキャブレター仕様のエンジン用とインジェクション仕様のエンジン用では形が異なりますので、パーツ交換の時は注意してください。エキマニの熱はいろいろなパーツに影響しますので、社外のタコ足などに交換している場合は、バンテージなどを巻いて熱対策したほうがいいですよ」
ブレーキまわりはセリカやTE27レビン/トレノと同じですか?
「基本的にはセリカと同じなので、パッド類の消耗パーツやオーバーホールキットも手に入りますから、修理は可能です。マスターバッグもセリカと同じですので、修理できますよ。最近はTHサービスさんからアフターパーツが数多く出ていますので、以前より維持は楽になりました」
カリーナGTを維持する上で大変なことは?
「車両の現存台数が少ないので、ボディパネルなどの専用パーツの場合、中古パーツも手に入らないことですね。特に内外装のパーツは大変です。できるだけ壊さないように注意して乗って欲しいです。ただ、スイッチやつまみ類などの小物パーツは他車と共通パーツの場合が多いので、流用できるパーツもあります。普段からイベントや雑誌の写真などで流用できるか研究してください。ガレージセールやネットで中古パーツを発見したら、なるべく確保しておいた方がいいですよ」

ヒーターへ繋がる配管はエキマニの上を通っているので、この部分のホースが熱で傷みやすく劣化が早い。社外のタコ足を装着している場合はバンテージなどで熱対策をしたほうがいい。

社外のフルトラなどに交換してある場合、故障した時にパーツが手に入らずに修理不能になることも。ポイントなら今でもパーツが入手可能で、比較的修理も簡単だ。

エキマニの下にセルモーターがあるので、これも熱によって傷みが早い。冷えている時には勢いよく回っていたセルが、エンジンが暖まってからかけたら回らなかった、ということも。

キャブレターまわりのホース類は、切れるとエアを吸い込み不調になることが多い。劣化を感じたら早めに交換しておけば、出先で始動不能に陥る危険も少なくなる。普段からチェックを。

セリカのエンジンルーム。エンジンはプラグコードが社外のハイテンションコードに交換されている他はフルオリジナル。カリーナGTも本来であればこの初期型の2T-Gが搭載されている。

TE27カローラ・レビンのエンジンルーム。こちらのエンジンはヘッドが赤にペイントされ、社外のタコ足を組み込むなど手が加えられている。今でも2T-G用のチューニングパーツが手に入る。

【取材協力】
ヴィンテージ 宮田自動車
電話059-364-6666
所在地/三重県三重郡川越町当新田615
営業時間/10:00~19:00
定休日/水曜日
URL/http://www.japan-vintage.com

人気の定番モデルが充実することに加えて、マニア心をくすぐる希少車に強い。取材時のショールームには、めったにみかけない、1970年式のマツダ ルーチェ ロータリークーペが展示されていた。

このスバル360はただの360にあらず。ラインナップの中でひときわの人気を集めている、ファン垂涎の1969年式のヤングSSモデルだ。純正部品もほどよく残っているなど、価値ある1台。

1979年式の三菱・ジープ2.4は、内外装仕上げ済みという個体。夏場に嬉しいクーラーも備わっているなど、普段使いも何とかこなせる内容。ガソリン車のため、都内を含めた全国排ガス規制もクリアする。




提供元:オートメカニック



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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
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