車検・点検・メンテナンス
更新日:2018.04.27 / 掲載日:2018.04.27

足回りの達人 3:旧車でもお手軽リフレッシュ!

ハコスカにKYB調整式を装着
劣化したゴムパーツも同時に新品パーツへ!!

旧車のフロントストラットは車軸一体

 今回は旧車のサスペンションリフレッシュにトライ!作業するのは、ハコスカGT-Xで、過去にもキャブレターや5MTのOHで登場している車両だ。
 サスペンションメンテの履歴では、アッパーマウントがへたって中央部が突き出してきたために交換されているが、それ以外はオリジナル部品が多いようで、スタビライザーリンクのブッシュはヒビがスゴイ。
 また、ステアリング系もダストブーツの劣化が激しく、ゴムがグニャグニャに溶けている。触るとグリースと一体で変形するくらいで、これも変えたことがないと思われる。そのため、ショックアブソーバー、フロントサスペンションのブッシュ、ステアリングのダストブーツ交換を同時に行うことにした。 サスペンション形式はフロントがストラット、リヤがセミトレーリングアーム。リヤはショックアブソーバーが単体で付いているので非常に簡単。
 フロントは、現代の感覚だとちょっと難しい。当時のストラットはハブまで一体なので重く、脱着に苦労させられる。特に装着時にナックルアームと合わせるのがかなり大変だ。ショックアブソーバー自体も、オイルとシリンダー部分が内蔵されているので、ショックアブソーバー自体を取り出した後、オイルを抜き、新品のカートリッジを入れることになる。ショックアブソーバーはKYBの調整式をチョイス。
 旧車はゴムパーツの入手に苦労しがちだが、ハコスカなどはショップさんがオリジナルパーツを出しているなどしており、入手性は良い。アッパーマウント以外のブッシュ類は、リバイブジャロピーさんから購入したが、一部はオリジナル品。またスタビライザーリンクブッシュは強化品だ。

スタビライザーのリンクは、4つのゴムを串刺しで装着してあるが、ヒビ割れがスゴイ。このくらいになると、くっついているだけでも儲けもの、なのかもしれない。セミトレーリングアーム式のリヤサスペンション、ショックアブソーバーは単体で装着されているので、取り付け部のサビツキがない限りは簡単に交換できそうだ。

ステアリングギヤボックスはリサーキュレーティングボール(R&B)型。ジョイントが6ヶ所あるが、ギヤボックス側のダストブーツは溶けている。ストラット下もスゴイ!

分解はスタビライザー外しから
予めアンダーカバーは外しておく。スタビライザーのリンク部から分解。ボルトの上下にレンチをあてて緩める。支点を外してスタビライザーを外す。ストラットのアッパーマウントのセンターナットを緩める(外さない)。ストラット下のボルト2本を外す。この時代のストラット式は2人で作業したほうが安全。

KYBでは旧車用のショックアブソーバーもラインナップしており、ハコスカでは3タイプから選択可能と充実している。今回はシーンやタイヤ等に合わせて好みの乗り味が得られる、スーパースペシャルforストリートを装着することに。調整機構はフロント4段、リヤ8段。

ひとりがストラットを支えている間に、もうひとりがアッパーマウントのナットを外す。右の写真は取り外したストラットASSY(20kg/本)。重い!ハブスピンドルまで一体なので、このようにディスクローターまで付いた状態で外れる。

純正ストラット(フロント)の分解。スプリングコンプレッサーでコイルスプリングを縮める。純正SSTなので、均等で安全に圧縮できる。アッパーマウントのセンターナットを取り外しマウントを外すと、このようなベアリングが現れる。大型のモンキーレンチでトップナットを緩める。バットに横倒しにして、ピストンロッドを引き出す。内部にOリングがあるので取り出す。これがトップナットとガイドブッシュの間にあり気密性を保っている。

左右とも40年分のスラッジが堆積!左右ともシリンダーの外壁の上端1/3程が汚れている。これはスラッジで内部のオイルが劣化して発生したもののようだ。監修の石川さんは、現役時に分解した10万km走行程度だと薄い汚れが付く程度。ここまでのヘドロは見たことがないと言うくらい。

ストラット内部のオイルを抜き内部が空になっているのをチェック。新しいカートリッジを入れ、付属のリングナットを100~120N・mで締め付ける。アッパーマウントとスプリングシートの間にあるベアリングは操舵の回転に影響する。回転は正常。古いグリースをできるだけ掻き出して新品グリースを詰め込んでおく。

スプリングシートやアッパーマウントを交換。スプリングシートとショックアブソーバーの上部をチェック。穴がD型になっているので向きを合わせる。アッパーマウントまで組み込み、ロックナットを締める。スプリングの下側を合わせる。ダストブーツをしっかり被せる。

ジャッキアップし、サスペンションが伸び切った位置からわずかに車軸を支えておく。上側のナットを緩める。アーム側のダブルナットを外し、ショック自体を縮めてから外す。上側ブッシュの残ったものを取り外す。新しいショックアブソーバーの下側ブッシュ。スタビライザーリンクと同じような組み付け方。リヤは本体側面に調整部がある。完成。フロントは見えなくなってしまうがリヤは外観からでも分かる。

トランスバースリンクのブッシュ&ブーツ交換。ナックルアームを分離するため、ロックナットの割りピンを抜きナットを緩める。タイロッドエンドプーラーで分離。車上の方がやりやすい。メンバー側のナットを緩める。後方のナット2本を外す。支点部を抜き取り、リンクを取り出す。ブッシュはゴムだけで簡単に抜き取れる。ボールジョイントのダストブーツは原型がない。ラバープロテクタントをスプレーして新ブッシュを差し込む。

古いダストブーツとグリースを取り除き、グリースを詰め、新品ダストブーツを被せる。ステンレスの針金でブーツの外周を固定する。ボールジョイントの下側にはグリースニップルがある。グリースガンでグリースを封入。実際には組み付け後に、ダストブーツに少し張りが出る程度に追加。トランスバースリンクを取り付ける。

アイドラーアームのブッシュ&ブーツ交換。アイドラーアームのダストブーツを外す。支点部と先端リンク部に2個ずつ。清掃後新品のブッシュを組み込む。指で簡単に交換することができる。ボディに付いている支点も清掃してグリースアップ。アイドラーアームを取り付ける。リレーロッドを取り付け、アイドラーアームやステアリングギヤボックス側のピットマンアームと接続。これらの作業ではロックナット部の割りピンも用意しておく必要がある。

フロントストラットを組み付け。テンションロッドを取り付ける際は、トランスバースリンクを水平付近の接地状態と同じ角度にしてから組み付けるとやりやすい。また、この時にトランスバースリンクの支点部ブッシュも締め付けておく。フロントのストラットを元に戻す。先にアッパー側を取り付け、ナックル部は角度を合わせるようにモンキーレンチなどで動かす。ナックルアームと合わさったら2本のボルトを締め付ける。テンションロッドの前側ナットを締め付ける。

旧車の怖さがなく楽しくドライブできる

 前後ショックアブソーバーとフロントのサスペンションブッシュを交換しただけあって、曖昧な動きやグラつきがなくなり、交換前よりも安心して運転できるようになった。ショックアブソーバーは出荷時設定の、フロント2、リヤ4で走り始めたが、馴染み前の状態ではかなりスポーティな印象。路面の継ぎ目もよく伝わってくるようになったが、前後とも1にしてみると、交換前と同等のソフトな乗り心地に変化。通常走行で乗り心地を悪化させたくないというニーズにも問題なく対応できる。逆にフロント4、リヤ8にすると、余分なストロークをビシッと抑えるものに変化。タイヤが細いので、コーナリングでもロールの前にタイヤの横のよじれが先に出るようになるなど、乗り味の好みを探すのが楽しい!これはオススメ!




提供元:オートメカニック


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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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