故障・修理
更新日:2018.10.05 / 掲載日:2018.10.05

ポンコツジムニーハコ替え計画 その5

JA22Wのボディをオープンのボディと取り替えたら面白いかも、という安易な発想からスタートしたこの企画。前回は穴の空いたフロアの張替えをはじめたものの、古いフロアを剥がすこともできずに終了したが……。

このJA22WにJA71Cのオープンボディを載せてしまおうというわけだが、ボディマウントの位置が違うとの噂を聞いた。大丈夫なのか?


フロアを剥がすのなんて 簡単だと思ってたよ

 ジムニーはラダーフレームの上にボディが載っかっている構造。JA22Wのクローズドボディをオープンのボディと交換したら面白かろう、という思いつきから1987年式のJA71Cを手に入れたが、思った以上に錆や腐りが多く、右のフロアは穴だらけ。シャシーから切り離したボディを、JA22Wのシャシーに組み込む前に、フロア周辺だけでも補修しておこうと、右前側のフロアを新品に張り替えることにした。室内側からフロアパネルを接合しているスポット溶接を、スポットドリルとタガネを使って一つ一つ剥がしたが、フロアを分離することができなかった。下側から手を入れないと剥がせない箇所もあり、リフトに乗せて作業しなくてはならないようだ。
 リフトに載せるにしても、シャシーから取り外してしまったジムニーのボディには、当たり前だがジャッキアップポイントはない。それどころか、ボディの中央部分にアームをかけてしまっては作業ができないし、それ以前にボディが短いのでアームがかけられない。かといって、前後の端にかけるにはアームの長さが足りないし、高さも異なってくる。どうすればいいのかと下回りを観察していると、フロントのホイールハウスとリヤのフロアパネルの高さがほぼ同じことに気がついた。ここに長い木材を挟んで持ち上げることにした。強度が心配だったが、パーツを取り除いたボディは軽いので、パーツが曲がることもなく持ち上がった。

剥がれるまでひたすらハンマーを振り続ける
この手作り台車では下に潜ることができないのでリフトに載せたいのだが、アームを載せる場所が見当たらない。さぁ、どうしたものか。

前側のホイールハウスと後側のパネルの高さがほぼ同じだったので、この部分に木材を渡してリフトアップした。

強度が心配だったが、ボディは軽いので大丈夫だろう。

室内からの作業では剥がすことができなかったスポット溶接部分を、外側からタガネで剥がしていく。

流石にフロアはがっちり付いている。

何気なく下回りを眺めていると、右側のサイドシル後方が大きく凹んでいるのを発見。走りに支障はないだろうが、直しておくべきか?

新しいパネルを重ねながら、どの部分が溶接されているのかを確認しながら剥がしていく。多くのパーツが下側から溶接されている。

エンジンルームから見た時に、バッテリートレーの下が錆びているのは確認していたが、バルクヘッド側までこんなに腐っていたとは思わなかったよ。

フロアに横向きに配されたサブメンバーはサイドシルとセンタートンネルに溶接されている。この写真、ハンマーで左手を叩く瞬間が見事に捉えられている(笑)


ようやくフロアパネルを剥がすことができた
フロアパネルの前側は折り返して溶接されている。うまくスポット部分が剥がれず、強引に引きちぎってしまった場所もいくつかあるのはナイショだぞ。

フロアパネルの先端部分は内側から小さなパネル片で補強してあった。

うまく剥がすことができず、バルクヘッド側が切れてしまった。

前側の切り離しが完了したので、フロアパネルをぐいっと下に折り曲げ、ここからタガネを入れて後ろ側も剥がしていく。

フロアパネルの後ろの部分は、室内側のパネル、フロアパネル、外側のパネルの3枚重ねになっている、これを剥がすことはできそうにない。

そこで、後ろ側はカットしてしまうことにした。この部分の接着方法には工夫が必要だろう。周囲が錆びているので、サビの除去も必要かも。

前側、両サイドのスポット溶接を剥がし、後ろのパネルもカットした。

残るは右後ろのカーブした部分のみとなった。

エアカッターでは曲線部分を切ることができないので、エアカッターを使って切断。ようやく右フロントフロアを剥がすことができた。

フロアパネルを剥がしてみると、接合されていた部分の周囲には多くの錆が発生していた。場所によっては穴が空いている部分も。

タガネでスポット溶接を剥がしていたので、サイドシルの内側には亀裂や穴、凹みが多く発生した。隙間にスライディングハンマーを差し込んで修正。

ミッションが収まっていたセンタートンネル部分は、エンジンから漏れたオイルが伝わってきてベトベト。このままだとパネルボンドが付かないので洗浄しておく。

フロアパネルの先端部を補強するように付いていたパネル片を、取り外した古いフロアパネルから取り外していく。

切り離したパネル片はバルクヘッド部分に取り付けられるように、ハンマーで叩いて形を修正。

これを溶接して取り付ける。

溶接機が不調なのでかなり雑だが、ちぎれたバルクヘッド部分と補強のパネル片を元の位置に取り付けることができた。


下回りを見れば見るほど状態の悪さがわかる

 角材を挟んでリフトに載せることができたボディを、下から観察してみる。フロントはホイールハウスのパネルでボディを支えているので心配だったが、ボディを揺らしてみてもパネルが曲がることもなく、ずれて落ちてしまうこともなさそう。これなら下に潜って作業しても大丈夫だと判断した。
 フロアの切り離し作業を始める前に、下側からじっくりとボディを観察してみると、上側から見ていたより状態悪いことがわかる。接合部分を中心に錆が多く発生し、右のサイドシルは後ろの下側が大きく凹んでいることもわかった。また、エンジンルームから見た時に気がついてはいたのだが、バッテリートレイの下側と接しているバルクヘッドに錆が多く発生している。ブレーキペダルが取り付けられている部分は錆が進行して穴が空いているので、ここは補修しなければダメだろう。
 この位置から見ると、フロアパネルは多くの箇所で下側から溶接されているのがわかる。パネルを補強するために横向きに取り付けられているメンバーは両サイドがサイドシルとセンタートンネルに溶接されている。このメンバーが3本通っているので、これらを剥がさなければならない。パネル前方は折り曲げて溶接されている部分もあり、簡単に剥がすことはできないようだ。ボディの下に潜ってタガネをハンマーで叩くと、音が反響して耳にキンキン響く。難聴になりそう…。

ダメージを負ったサイドシルを補修する
取り外したフロアパネルと新品のパネルを並べて見る。後ろ側はダメージが少なかったので、前側だけ切り取って溶接すればよかったような気がする。あぁ、後悔。

割れてしまった部分を接合するため、凹んだパネルをデント棒で押し戻し、亀裂部分を溶接。

小さな穴や割れなどはこうして補修したが、大きな穴が空いてしまった部分もある。

状態が酷い部分は切り取って新しいパネルを溶接する。

酷い部分は範囲を広めにマーキングして、エアソーで切り取っていく。錆や腐りが酷い部分も同じように切り取る。

錆がひどかったサイドシルの前側を切り取ると、中から断熱材のようなものが出てきた。この上にスピーカーがあるので、どうやら吸音材として入れていたようだ。

ぽっかり穴が空いた。

切り取った部分にトレーシングペーパーを当て、ペンで形状を書き写していく。後で切り取ったパネルを修正するのでここは適当でもいい。

形を写し取ったトレーシングペーパーを切り取り、亜鉛めっき鋼板のパネルに形を開き写し、鈑金バサミで切り出していく。

サイドシルの下側なので、サイドシルの形状に合わせて折り曲げる。サイドシルと重ねながら、形状がぴったり合うように角度を修正。

接合する亜鉛めっき鋼板パネルは大きめに切り出しているので、ベルトサンダーでぴったり穴に合うように形を整えていく。

穴に合うように調整したら、マグネットで片側を固定して溶接を行う。パネルが歪まないように、点付で溶接していく。

溶接機が不調なので(ココ重要)、ちょっと雑ではあるが、穴を塞ぐことができた。他の部分も同様に作業をしておく。

割れていた部分や穴が空いていた部分を塞いだ。あまりきれいではないが、とりあえずはヨシとしよう。細かい部分はフロアをつけてから修正しよう。

右後ろのマウント部分には一枚薄いパネルが溶接されている。

ここが膨らんでいたので剥がして見ると、案の定錆だらけ。

フロアパネルの後ろ側はこのように下側のパネルの上に乗せるようにして接着することに。これなら位置もずれずに接着できるだろう。

下からググッと持ち上げると段差の部分もフィットして下から押さえつければ接着できそう。もう少し修正すれば行けそうだ、と思ったら…

右のサイドシル側には大きな隙間が! なぜ? ボルトの位置や右側のパネルの位置も合っているので、これはおかしい。今回も時間切れ。以下次号!


新しいパネルを嵌めてみると 何故だが隙間が空いてしまう

 ようやくフロアパネルが剥がれたので、ボディパネルを観察すると、フロアが接合されていた部分は見るも無残な状態。強引にタガネを突っ込んでスポット溶接を剥がしたために、タガネがサイドシル側に食い込んで穴が空いていたり、パネルが割れてしまっていたり、接合部の隙間に泥や水が入り込んで錆や腐りが発生していたり。このままでは新しいフロアパネルを取り付けることができないので、ダメージのある部分を切り取って、新たなパネルを溶接して補修することにする。
 ダメージの酷い部分は思い切って広めに切り取る。大体の場所をマーキングしたらエアソーを突っ込んでカットしていく。切り取っていると中から砂や埃がたくさん出てくるので内部の状態が心配だったが、切り取ってから中を見て見ると、錆はなく綺麗な状態。ブロアーで砂や埃を吹き飛ばし、パネル交換が済んだら防錆剤を吹き付けておくべきだろう。
 切り取った部分には亜鉛めっき鋼板を切り継ぎで溶接する。溶接機が不調でなかなかうまく付かないが、なんとか補修は完了。フロアパネルとボディをパネルボンドで接着するため、接合する縁の部分をハンマーでまっすぐに伸ばしておく。試しにどんな感じにパネルがつくのかを試して見ると、どうしてもサイドシル側に隙間が空いてしまう。フロアパネルはJA71用の純正なので問題はないはず。サイドシル側とセンタートンネル側のパネルが凹んでしまったのだろうか?
 次回こそフロアの修理完了か?


提供元:オートメカニック


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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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