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更新日:2019.06.25 / 掲載日:2019.06.25

JC08モードと10・15モードの違いとは

燃費計測に用いられるのがモード。もともと排ガス測定のために設定されたものだが、それが燃費計測にも用いられるようになった。旧表記の10・15モードもあったが、2013年4月からはJC08モードに一本化された。
ここでは、JC08モードと10・15モードにはどのような違いがあるのかについて解説します。
カタログの燃費データはどのように計測する? 10・15モードとJC08モード併記から一本化へ

もともと排ガス測定に使われていた走行モードだが、同時に燃費も計測される。これまで10・15モードが使われ、2011年からはJC08モードが導入されたことに伴って、その2つがカタログに併記されてきた。2013年4月からはすべてのクルマのカタログにJC08モードが表記された。

 クルマを選ぶ時の基準には様々なものがあるが、経済性も選択の際の大きな要素となる。カタログには10・15モード、JC08モードの2つが記載されていた。いずれも実際の走行を想定して、走行パターンをモード化したものだ。以前は60km/hで実際に平坦路を走行して、その時の消費ガソリン量から燃費を算出したが、モード燃費は排出されたHC、CO、CO2の量から消費ガソリンを換算して、燃費データとして公表している。
 モード燃費は排ガス規制が導入された1976(昭和51)年に10モードで計測され、排ガス検査が10・15モードで行われるようになると、それに伴って1991年から10・15モード燃費が公表されるようになった。
 長い間10・15モード燃費がクルマの経済性の物指しとなっていたが、10・15モードが現在の走行状態と乖離しているため、JC08モードが制定され、2011年4月以降に型式指定を受ける新型車のすべてがカタログにJC08モード燃費を記載することが義務づけられた。また2013年3月以降は、2011年4月以前からの継続生産車も含め、すべての車両の燃費がJC08モードで計測、公表された。
 ちなみに10・15モードは10モードと15モードを組み合わせたもの。JC08のJはジャパン、Cが試験をするシャシダイナモの頭文字を取ったもので、08は導入年を指している。

 10・15モードの走行パターンは1991年当時の主に市街地を想定したもので、加速、減速、停止の10種のパターンを3回繰り返し、最後に15種のパターンを1回行って終了する。JC08モードは市街地の走行に加えて、郊外での走行を想定したパターンを加えている。10・15モードのような、同じパターンの繰り返しはなく、複雑なアクセル操作が行われる。
 大きな違いは走行時間と最高速度。10・15モードが660秒で4.16kmを走り、最高速度は70km/h。対してJC08モードは1204秒で8.171kmを走り、最高速度は81.6km/hに達する。しかしいずれも停止時間が多くあり、平均速度は10・15モードが22.7km/h、JC08モードでも24.4km/hにすぎない。
 もう一つの違いは試験スタート時のエンジンの状態。10・15モードが暖機状態から開始するのに対し、JC08モードは実際の使用状況に即して冷機状態からスタートする。
 いずれのパターンの走行も実際のテストコースを走るのではなく、国土交通省管轄のの審査機関(独立行政法人交通安全環境研究所)が持つシャシダイナモ上で、車両重量区分ごとに負荷重量を変化させたうえで、燃費が計測される。

JC08モードと10・15モードの燃費データの違い

10・15モードは都市内の低速走行を想定。JC08モードは郊外での走行も付加。

 暖機状態からスタートし、40km/hまできわめて緩慢な加速を繰り返し、最高速度も70km/hの10・15モードと、冷機状態からスタートし、50~60km/hまでの加速を繰り返し、最後に81.6km/hに達するJC08モードとの間には燃費の違いがある。
 一般にJC08モードのほうが約10%低下するといわれている。2013年までのカタログには10・15モードとJC08モードが併記されているから、比較しやすい。例は軽自動車ピクシスのものだが、車重の軽い軽自動車で差が少なく、重量車で多くなる傾向がある。
 燃費の良否はユーザーに直接かかわることはもちろんだが、省資源、環境対策でも重要な要素となっている。アメリカ、EUでは燃費規制が行われ、日本でも省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)が施行され、国土交通省によって、JC08モード計測による基準値が設けられている。

 過去に段階を追って基準値が設けられてきたが、現在は2015年度燃費基準が設けられ、メーカーは重量別に16の区分ごとの平均燃費(自動車の燃費値を出荷台数で加重調和平均をした値)を基準値以上(16.8km/L)にすることが求められている。また次の基準として20.3km/Lを求める2020年度燃費基準への改正が準備されている。
 基準値を前倒しで達成したクルマに対しては、見やすい位置に写真のような基準達成車のステッカーが貼付される。現在は多くのクルマがこの基準値を超える燃費を達成している。

1970年代は60km/h定値燃費をカタログに表示

 1970年代までの燃費は、一番高いギヤに固定して、無風状態の平坦路を60km/hで実際に走行した時のデータが採取された。排ガス規制が始まると、排ガス試験のための10モード走行時の燃費も1976年度から併記されるようになった。こちらはシャシダイナモ上で走らせ、当時の運輸省が審査を行った。60km/h定地燃費は現在のモード燃費のように、国交省が審査をするのではなく、自動車メーカーの自己申告によっていた。ハイギヤであれば有利となったが、実走行では駆動力が不足する。しかし定速走行は車両間の比較がしやすい。JC08モードに加え、100km/h定地燃費があれば、現在の交通状況を考えればおおいに参考になるはずだ。

EV/PHVにおけるJC08モード燃費の表示について

プラグインハイブリッドは独自の複合燃費を公表。電気自動車は規制外扱い。

 ハイブリッドの場合、モーターだけで走行できる距離は限られているので、JC08モードの燃費計測はガソリン車やディーゼル車と同様に行われる。しかしわずかとはいえ、モーターアシストが加わることによって、燃費データは有利なものになる。プリウスの場合、車重が1310kgのモデルが32.6km/L、1350kg以上のモデルでも30.4km/Lという優れた値を示している。

 プラグインハイブリッドではモーターだけで走行できる距離が長いため、ハイブリッド燃料消費率とプラグインハイブリッド燃料消費率がカタログに併記される。ハイブリッド燃料消費率とは、ハイブリッド車と同様に自主充電で走らせた時の値で、プラグインハイブリッド燃料消費率は、外部電源から満充電した状態で計測した燃料消費率とハイブリッド燃料消費率の2つを勘案して表したものだ。
 勘案とは曖昧な表現だが、プラグインだけでの使用パターンを想定し、ユーティリティファクターが最大公約数となるような比率としている。プラグインの走行比率が高いユーザーはカタログ数値を上回る燃費が得られるし、いきなり高速走行に入り、それが持続するような走り方の多いユーザーではカタログ数値より悪い燃費となる。
 ちなみにEVは燃料をまったく使用しないため、モード燃費、モード走行による排ガス検査という概念は成り立たない。効率を示す単位として一定の電力でどれだけの距離を走れるかを示す電費(km/kWh)が使われる。

外国の測定モードは?
アメリカではEPAが定めたシティモードとハイウエイモードで燃費計測が行われるが、日本のようにEPAがすべてのクルマの試験を行うわけではなく、メーカーの自己申告によっている。

EUではNEDCという走行モードが使われている。走行時間はJC08モードと大きな差はないが、ハイウエイサイクルでは最高速度が120km/hに達している。より実走行に近いモードといえる。

アメリカとEUは独自の走行パターンを使用

 外国でも燃費測定が行われ、そのデータが経済車かそうでないかの指標となっている。アメリカではEPA(連邦環境保護庁)がシティモードとハイウエイモードを定め、それに従って新車の燃費データが算出されるが、EPAがすべてのクルマのテストを行うわけではなく、自動車メーカーの申告によっている部分が多い。このため「カタログデータと実燃費が乖離している」として訴訟が起こされた例もある。ヨーロッパではEUがNDECという高速走行を採り入れたモードで計測を行っているが、国連では世界統一モードを導入しようという動きも現れている。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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