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故障・修理
更新日:2019.06.25 / 掲載日:2019.06.25

ハロゲンライトとHID/LEDライトの違いとは

白熱球から段階を追って進化したライトバルブですが、高効率のHID、省電力のLEDが主流の時代へ移り変わり、ハロゲンヘッドライトに代わってHIDやLEDを採用する車が増えつつある。優れた照射性能を持ちながら、消費電力が少ないというのが大きな特徴だ。次世代ライトのレーザービーム採用車も現れた。

 馬車のようなスピードから出発した自動車は、速度が上がり、夜間の走行も求められるようになると前照灯を装着するようになった。初期には灯油ランプが使われたといい、その後、遠くまで照らすことのできるアセチレンランプに代わった。クルマに発電機が搭載され、電気が使えるようになると白熱球が用いられ、長い間、前照灯の主役を務めた。白熱球は家庭用のそれと基本的に同じもので、その光を反射板で前方に飛ばした。
 1980年代に入ると、ラリーカーやレースカーにしか用いられていなかったハロゲンランプが普及し始め、標準装備品へと変わっていった。そして2000年代になるとHID(High Intensity Discharge)バルブが採用されるようになった。ハロゲンバルブよりも明るく、耐久性に富み、消費電力が少ないという優れた特徴を持っている。標準装着車が増えているが、まだ高価なためオプション設定のクルマも多い。

 HIDに代わる次世代のライトとして登場したのがLEDだ。高輝度型の開発によって前照灯としての十分な照射性能が得られるようになったからだ。しかし半導体の冷却の問題、複数の光源が必要など、まだ課題は残っている。価格も高価で、採用するクルマは一部の上級車に限られていたが、最近は軽自動車で採用する例も現れた。LEDは普及の緒についたばかりで、まだまだ進化の余地を残している。

電線を熱したり、空間に放電させる方法から半導体へと進化。

 白熱球は不活性ガスを封入した電球内のフィラメントに電気を流し、発熱させ、その熱を光に変える。ハロゲンバルブも同じ原理だが、バルブ内部にはハロゲンガスも封入している。フィラメントのタングステンは高温になると昇華し、白熱球では消耗が進む。ハロゲンガスを加えることによって、昇華したタングステンが化学変化によって再びフィラメントに戻る。これによってフィラメントの消耗を防ぐことができるため、高温にすることができる。ハロゲンバルブが白熱球より明るいのはこのような理由によるものだ。

 対してHIDバルブはハロゲンバルブのようなフィラメントを持たない。プラスとマイナスの電極に2万ボルトを超える高電圧をかけ、その間を放電させる。いわば家庭用の蛍光灯のようなものだ。
 バルブの内部にはキセノンガスが封入され、高電圧パルスによって活性化し発光する。発光によってバルブ内の温度が高まり、ハロゲン化物が蒸発し、アーク放電を起こす。これによってさらにバルブ内の温度が上昇し、金属ヨウ化物が蒸発、分離し、金属原子が放電し、白い光に変わる。キセノンガスを封入していることから別名キセノンライトともいわれる。

 LEDの発光原理は、これまでの光の概念を覆すものだ。電圧をかけると発光する半導体を使っている。正孔が多いP型半導体と電子が多いN型半導体を一体にし、電圧を加えると、電子と正孔が移動し、電流となる。この時、正孔と電子がぶつかって結合する。結合によってエネルギーが増加するのではなく、反対に減少する。行き場のなくなったエネルギーは光となって発光する、というわけだ。
 LEDは単位面積当たりの発光量が多く、温度が上昇すると効率が低下するという欠点を抱えている。そのためヒートシンクという冷却フィンが必須の装備となっている。

進化によって省エネを実現。LEDはハロゲンの約3分の1。

 消費電力はWで示される。時間当たりの電圧と電流を掛け合わせたものだ。ハロゲンライトのロービームは55W、ハイビームは60W。ハイビームでは約5アンペアが流れていることになる。この値はクルマの電装品の中でも、エアコンのブロワに次いで多い。ヘッドライトの消し忘れではあっという間にバッテリーが上がってしまう。

 HIDでは消費電力は削減され、35Wというものが多い。プロジェクターの手前に可動遮光板を設け、一個のライトでハイビームとロービームを使い分けられるものもあるが、こちらも35W。55Wのハロゲンライトより約30%の省電力となる。

 LEDは25~30W。さらに省電力となるが、LEDは照射性能を確保するために複数の光源を必要とする。レクサスLS600hの場合、3個とパラボリック用の1個が必要になるから、合計すればハロゲンライトやディスチャージライトを上回ってしまう。このため、LEDの輝度の向上に伴って個数を減らす傾向にある。三菱i-MiEVではメインのロービームを2個にして、消費電力を抑えているし、レクサスRX450h、HS250h、プリウスでも同様に2個としている。いずれ1個ですむ時代が訪れるのだろう。
 耐久性も3種で異なっている。ハロゲンバルブは約1000時間、HIDが2500時間。LEDは3700時間を超えても耐久性の変化がないといわれている。

世界初のLEDヘッドライト装着車はレクサスLS600h
2007年、小糸製作所が製作したLEDヘッドランプが世界で初めてレクサスLS600hに採用された。

初採用はロービームのみ。配光パターンの異なる4つの発光源を組み合わせて機能させた。

小糸製作所が開発しレクサスLS600hに搭載

 アウトドア用ヘッドランプや電装品関係ではLEDは早くから普及していたが、こと自動車用ヘッドライトとなると採用が遅れていた。理由は遠くまで光が届かないことと、光源ひとつ当たりの光量が少ないこと。しかし2007年、小糸製作所はこれらの難題を解決し、レクサスLS600hのロービーム用として、世界で初めて実用化した。遠距離用、中距離用、近距離用、そしてさらにワイドな照射用として5種の光源を設定し、自動車用として十分な性能に仕上げたのだった。
 LED1個当たりの電力は11.2W。ワイド照射用は11.2Wと5.6W。青色LEDに黄色の蛍光体を加えることによって高輝度LEDとし、太陽光に近い自然な照射を特徴としていた。
 それ以後、トヨタはレクサスシリーズ、ハイブリッド車に採用車種を広げ、日産ではリーフに、三菱はi-MiEVに採用し、時代の先端にあることを主張するひとつのアイテムにもなっている。

ハロゲンライトとHID/LEDライトの照射のメカニズムの違い・比較

光をリフレクターで反射する。LEDは複雑な構造が採られている。

 光源から出た光は周囲に拡散し、そのままでは前方を照らすヘッドライトには使えない。そこで光源の背後に反射鏡を設け、光源から出た光を反射させて、前方の遠くまでを照射する。
 ハロゲンライトの場合、シンプルな半球形状の反射鏡を用い、一つのバルブでハイビームとロービームを併用するH4タイプではフィラメントの下部に遮光板を設け、配光を制御している。
 HIDは反射鏡で反射させた光を第2焦点に集め、それを凸レンズに透過させてから前方に照射する。HIDを採用したクルマのヘッドライトがコンパクトで、反射鏡が見えないのはこのためだ。HIDには凸レンズを通さないシンプルな構造のものもある。
 LEDもプロジェクターを介するということではHIDライトと変わらないが、高輝度になったといっても、まだ一個当たりの光量は低い。そのため遠方用、中間用、手前用というように、複数の光源が必要で、そのため、照射特性の異なるプロジェクターも光源に合わせて設けられている。

LEDヘッドライト 最新事情

進むハイビームのLED化

 高級車や時代の先端を行くEV、ハイブリッド車が主に採用してきたLEDヘッドライトだが、採用車種が増えればコストが下がり、一般車への採用拡大も期待できる。最新のLED事情はロービームだけではなく、ハイビームへの拡大採用と光源の数の削減だ。
 アウディR8は世界で初めてハイビームにもLEDを採用し、続いてA8にも設定した。主光源もLED1個当たりの性能の向上によって、2個のものもあり、いずれ1個の時代が訪れるかもしれない。
 AFSの機能に加え、可変遮光シェードを利用することによって、ハイビームを点灯したまま、対向車や先行車の部分のみを遮光するヘッドライトがクラウンに採用された。クラウンはHIDを用いているが、いずれLEDライトでもこのような機能が普及していくのだろう。またコンパクトなLEDはデザインの自由度が高く、これまでのクルマのフロントスタイルの概念を覆すクルマが現れるかもしれない。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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