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故障・修理
更新日:2019.09.09 / 掲載日:2019.09.09

目指せ30万km! オンボロジムニー快適化計画 その12

ひと通り手を入れて快適になったジムニーだが、唯一気になる部分がボディの錆だ。AMガレージには鈑金のためのツールはあまり揃っていないし、担当者もほとんど知識がないため、プロに教わることにした。

1981年に登場したSJ30型から引き継いだ四角いボディを持つJA22W。パーツの少ないコイルバネと、ギヤ比の高さが災いしてマニアからはそっぽを向かれた不人気モデル。この取材時の走行距離は238,457km。

リヤクオーターパネルの後端部、今までバンパーで隠れていた部分には大きな錆が。

左側は大きな穴が開いてしまった。

昔ながらの方法がボディには一番いい

 エンジン、サスペンション、ハブ、内装とひと通り手を入れて、購入時とは比べ物にならないくらい快適になったが、ボディ周りは全くの手つかず。19年落ちのジムニーにしては錆が少ないほうかもしれないが、やはり気になるもの。リヤのバンパーをステンレスのバータイプに交換するために純正バンパーを外したところ、今までバンパーで隠れていた部分に大きな錆の跡が。左側に至ってはすでに穴が開いてしまっている。「ワイルドなジムニーにはこれくらいの傷跡は当たり前サ」とうそぶいてみても、やっぱり気になる。できる限り自力で直すのがこの企画の趣旨だったが、AMガレージには鈑金修理の設備も道具も少なく、担当者本人もあまり知識がない。ここはプロの知識を借りよう。ということで、埼玉県川口市のボディショップ「サバイブ」に鈑金修理のコツを教えてもらいに行くことにした。

 クルマを持ち込むと、「直すのはここ?」と錆の箇所を確認し、すぐに作業に入る。作業してくれるのはサバイブの代表取締役・遠藤登喜造さん。この道50年の大ベテランだ。ロータリーブラスターにブラシを取り付け、サビを落としていく。ある程度サビを落としたら、ベルトサンダーで腐ってしまった部分を削り落とし、サビ穴を整形する。この穴を塞ぐために1mm厚の亜鉛メッキ鋼板を切り出し、穴の形に合わせて微調整。ぴったりはまったらこれをMig溶接するのだが、点付けするように少しずつ溶接する。これは一気に溶接してしまうと熱で鉄板が歪んでしまうためだ。隙間を埋めるように一周溶接したあとは、ベルトサンダーとディスクグラインダーを使って余分な部分を削り取る。この上にパテを盛り、下地が見えるまで削る。小さな凹みを埋めるためで、ほとんどのパテは削り落としてしまう。さらに仕上げ用のパテを塗り込み、平らに仕上げてサーフェイサーをスプレーしたら完成。あとはここに塗装を施せば完了だ。

まずは錆と腐った部分を取り除く。

ロータリーブラスターで大まかに錆を取り除き、ベルトサンダーで腐った部分を削り落とす。

ピタッ

穴の開いた部分は1mm厚の亜鉛メッキ鋼板で切り継ぎする。

1mm厚を使うのは、溶接したあとに平らになるまで削り込めるため。

穴に合うように鋼板を微調整していく。

少しずつ

点付けするように少しずつMig溶接する。一気に溶接してしまうと鉄板が熱で曲がってしまうためだ。

隙間を埋めるように、肉盛りして鋼板の周囲を溶接していく。

鋼板を溶接して穴を埋めたら、余分な溶接跡をベルトサンダーやディスクグラインダーで削り込んでいく。

なるべくパテ盛りを少なくするために、この時点で平らになるように削っていく。

パテはなるべく少なく仕上げる

「ちなみに右側は」

左側と同じように、右側にも大きな錆跡が。

右側より状態はよさそうだったが、ベルトサンダーで削ってみると、内部にまで錆は進行している。

結局左側と同じくらいの穴が開いた。

最初のパテは多め

最初のパテは表面の小さな凹みや傷を埋めるように、少し厚めに塗り込んでいく。プロは厚さを均一に塗ることができる。

発泡スチロールの箱で練習すると上達する。ヘラを上手に使って、厚さを均一に塗り込めるようになるには相当な練習が必要だ。

厚めに塗ったパテをオービタルサンダーで削っていく。

パテは小さな傷や凹みを埋めるために使用し、なるべくパテを残さないように仕上げるのが遠藤氏流のやり方。

仕上げ用のパテを薄く塗り、それを平らに削ったら、サーフェイサーを吹き付けて修理は完了となる。

完成

これで板金修理は完了。どこに穴があったのか分からない。これに塗装を施せば修理完了となるが、塗装はまだお預け。

ボディカラーがシルバーなので、このままでも目立たないのでとりあえずOK。

長く乗り続けたいならきちんと修復すること

 次に気になっているのはリヤフェンダーの錆。ジムニーはフェンダーの内側にライナーなどは一切付いていないため、フェンダーの折り返し部分に泥が溜まり、それが原因で錆が発生する。我がジムニーは左側には錆がないのだが、右側のリヤフェンダーは塗装がプツプツと盛り上がり、一部には錆が見える。一見大したことはなさそうだが、内部は大変なことになっていたのだった。

 ベルトサンダーで表面の錆を落とした時にはそれほどひどくないように思えたが、錆は内部にまで進行している模様。錆た部分を削り落としていくと、2か所に大きな穴が開いた。この穴に合わせて亜鉛メッキ鋼板を切り出して溶接するのだが、フェンダーの縁の部分にはプレスラインが入っている。このラインを再現するために、あらかじめ切り継ぐ鋼板にプレスラインを作る。小さな凹みであるプレスラインは、パテで再現してしまう場合も多いが、遠藤氏は極力パテを残さない鈑金を心がけているため、手間がかかっても鋼板でラインを再現している。もう一か所、後ろ側の錆はフェンダーの折り返し部分にまで達していたので、切り継ぐ鋼板もフェンダーの形状に合わせて製作。もちろんこちらもプレスラインを再現する。

 クオーターパネルと同様にパテを盛り、削り出す。この時、せっかく作ったプレスラインが潰れてしまわないように、パテを削って再現する。仕上げのパテを塗り、削って、サーフェイサーをスプレーして仕上げたら完成だ。最近の鈑金修理はある程度凹みを修正したら、厚めにパテを盛って仕上げてしまうことが多い中、昔ながらのやり方で修理を続けている。修理完了してすぐはどちらも同じような仕上がりに見えるが、長い年月とともにパテは痩せてしまうこともある。愛車を大切にする人や、旧車のレストアを依頼するユーザーには、昔ながらの直し方が合っている。

左のリヤフェンダーには小さな錆と塗装の浮き上がり見られたので、これも修理することに。

一見するとサビの程度はそれほどひどくなく見えるのだが……。

表面の錆と塗装を落としてみると、小さな穴が現れた。

ここはもう少し簡単な方法で修理してみようと思ったのだが、そんなに甘くはなかったようです。

大穴が

小さな穴なら真鍮のロウ付けで直すこともできる。ロウ付けのコツも学びたかったので、チャレンジしてもらったのだが……。

中まで錆が進行しているようで、ロウ付けでは直せないことが判明。

錆がなくなるまでベルトサンダーで削ってみると、ここにも大穴が。

プレスラインを作る

フェンダーの縁部分にはプレスラインがある。

貼り付ける鋼板にもタガネで叩いてあらかじめプレスラインを再現しておく。

歪まないように溶接は少しずつ。

貼り付ける端材を挟んで高さを合わせながら、溶接と削り出しを繰り返す。

フェンダーのプレスラインを再現する

フェンダー後ろ側の穴は爪の折り返し部分にまで錆穴が到達していたので、貼り付ける鋼板もフェンダーに合わせて折り曲げる。

「折り曲げて」

フェンダーアーチは曲線なので、鋼板を少しずつ溶接し、ハンマーで叩きながら形を整え、また少し溶接する。

これを繰り返してフェンダーアーチの形状に合わせ、最後に削り出す。

ここにパテを盛って、削り込んでいく。

仕上げ用のパテを盛ったあとは、赤外線ヒーターで温めて乾燥させる。パテが乾きにくい冬場に活躍する。

耐水ペーパーを貼り付けるサンディングブロックはほとんど自作。様々な曲面や細部も磨けるように数種類を自作している。

完成

サンディングブロックに#180の耐水ペーパーを貼り付け、パテを研ぎ出していく。

耐水ペーパーを折り曲げて、プレスラインを再現する。

サーフェイサーを吹き付けたら完成。プレスラインも綺麗に再現され、錆の痕跡はない。これを塗装すれば完成だ。できればオールペンをしたいと考えているので、とりあえずこのまま。

【オマケコーナーJA22通信】LEDテールランプがなんだか変だぞ?

 このジムニーには社外のバンパーを装着しているので、テールランプも社外品を取り付けている。ネットショップでフルLEDテールが安く売られていたので取り付けたのだが、なんだかおかしい。キーをACCにするだけで、スモールランプがぼんやりと光り出し、ブレーキを踏むとメーターパネルがほんのり光っている。なにか変だ。ボディアースではなく、マイナスをきちんと繋げてみたが改善は見られない。どうやら内部の回路がきちんと分離しておらず、どこかでリークしているようだ。スモール、ブレーキの配線にダイオードを挟むことも考えたが、ランプユニットはコーキングしてしまったのでバラすこともできない。このリークのおかげで燃料計も狂っているので、安全を優先してごく普通の電球タイプに交換することにした。

 どなたかフルLEDタイプのテールランプを装着して、同じ症状の方、対策法をご存じの方は教えてくださいませ。

キーをACCにしただけでテールランプはぼんやり光っている。スモールにするともう少し明るくなるのだが、謎だ。

フロントのスモールランプにもLEDを使用しているためか、これもうっすら光る。しかもブレーキを踏むと明るくなる。

燃料計は満タンにしても半分以下しか指さない。半分以上残っていても、エンプティとなってしまう。これが一番困った。

とりあえず電球タイプの汎用テールランプを購入。まだ装着していないが。MADE IN JAPANとの表記があるけど本当か?

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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