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ミッション・駆動系修理・整備[2019.10.01 UP]

潤滑方式の種類と作動原理について解説

〔圧送式のオイル循環経路〕

エンジンを動かすためには、潤滑油をエンジンに供給することが必要だが、その供給方式には様々な種類がある。今回は、その潤滑方式の種類と、構成パーツの構造、作動原理までを詳しく解説していく。

国産のエンジンに採用されている潤滑システムを大別すると、次の4つになる。

 1.ウェットサンプ圧送式
 これはオイル・ポンプを備えオイルに圧力をかけて、エンジン各部を強制的に潤滑するもので、その経路は下のマンガに示したように、オイルパンのオイルをオイル・ポンプで汲み上げてオイル・フィルターを通した後、クランクシャフトやシリンダー・ブロックなどにあけられたオイル・ホールを介して、エンジン各部にオイルを圧送する。潤滑作用を終了したオイルは、重力によってオイルパンに戻り、再びオイル・ポンプの中に吸い込まれ再使用される。
 この方式は、エンジン各部を確実に潤滑することができるので、現在最も多く採用されているが、オイル・ポンプが故障すると全く給油できなくなるという欠点をも っている。

 2.ドライサンプ圧送式
 ホンダ1300に採用されていたもので、とくにオイルパンを設けず、エンジンの外にオイル・タンクを組み込んでいる。オイルパンの代わりにオイル・タンクを採用したほかは、一般的な圧送式と全く同様だ。つまり、潤滑を終了したオイルは、戻り用のオイル・ポンプによって再びタンク内に戻る。

 3.分離潤滑式
 これは多くの2サイクル・エンジンに採用されているもので、エンジンの外に取り付けたオイル・タンク内のオイルをプランジャ ー・ポンプでクランク室内に圧送するもの。このオイルは吸入混合気と混ぜ合わされエンジン各部の摺動部分を潤滑しながら消費される。ドライサンプのようにオイルを循環させないので、当然のことながらオイル・フィルターは不要になる。

〔トロコイド式オイル・ポンプとレギュレーター〕

 4.圧送式+分離潤滑
 ロータリー・エンジンでは、エキセントリック・シャフトなどの回転摺動部分は普通の4サイクル・エンジンと同じように、オイル・ポンプでオイルを圧送して潤滑する。ただし、アペックス・シ ールやサイド・シールに対しては別系統の潤滑経路を利用している。つまり、オイルをメータリング・ポンプでキャブレーターの中に送り込み、混合気といっしょに作動室に送り込んで、シール類を潤滑しているわけだ。ロータリ ー・エンジンの場合は、ハウジングの下にオイルパンを組み込んでいるのでウェットサンプ圧送式の一変種と考えてよい。
 現在の国産乗用車が採用している潤滑方式は以上の通りだが、一昔前までは、はねかけ式や圧送はねかけ式といったメカニズムもあ った。
■過去に用いられていた潤滑方式2種類

 1.はねかけ式
 これはコネクティング・ロッド下端のオイル・スプーンで、オイルパンのオイルをはじき飛ばしてベアリングやシリンダー壁を潤滑する方式である。メカニズムは非常に簡単で、オイル・ポンプもオイル・フィルターも不要になる。だが、給油が不均等になったり、こみ入った部分を充分に潤滑できないので、現在では全く用いられていない。

 2.圧送はねかけ式
 これは圧送式とはねかけ式とを併用したものだが、現在ではあまり用いられていない。

圧送式潤滑装置の構成部品と作動原理

〔ギア式オイル・ポンプ〕

 つぎに、圧送式潤滑装置を構成する各パーツの構造と作動原理を見てゆこう。

 1.オイル・ポンプ
 オイル・ポンプは、オイルパンに溜まったオイルを汲み上げてエンジン各部へ圧送する役目をもつ。オイル・ポンプの吸油孔には、ゴミを取り除くオイル・ストレーナー(オイル・スクリーン)が組み付けられている。オイル・ポンプのドライブ・シャフトはディストリビューターまたはカムシャフトのギアによって駆動される。
 現在、4サイクル・エンジンにもっとも多く採用されているのはギア式オイル・ポンプとトロコイド式オイル・ポンプの2種類の方式である。

 ギア式オイル・ポンプは、マンガで見るように、ボディとその中でかみ合う2個のギアで成り立っている。一方のギアがエンジンで駆動されて回転すると、そのギアとかみ合った反対側のギアは反対方向へと回転するようになる。すると、ギアとボディとの間にはさまれたオイルが入口から出口に向かって押し出される。このギア式オイル・ポンプは構造が簡単で作動が確実というメリットをもっている。
 トロコイド・ポンプは、イラストのように、ポンプ・ボディの中でドライブ・ローターとドリブン・ローターがかみ合った形状をしている。したがって、ドライブ・ローターが左方向に回転するとドリブン・ローターも同方向に回転させられるが、ドライブ・ロ ーターのシャフトは、やや偏心しているので、回転するに従って両ローター間の空間が変化する。
 オイルは、両ローター間のスペ ースが広くなる時にオイル吸入ポ ートから流れ込み、2つのロータ ーの間にはさまれたまま反対側に運ばれ、吐出ポートから押し出される。なぜなら、吐出ポートのところで両ローター間のスペースが最小になるからだ。

 2.プレッシャー・レギュレーター
 エンジン回転が上昇してくるとオイル・ポンプの回転数も上昇しエンジン各部に必要以上のオイルが供給されるようになる。だが、必要以上のオイル、つまり必要以上に油圧が上昇すると各シール類に悪影響を与えるので、何らかの方法で油圧(オイルの送油量を意味する)を一定値に抑える必要がある。そして、そのためのメカニズムがプレッシャー・レギュレーターだ。
 プレッシャー・レギュレーターは、バルブまたはスチール製のボールと、これらを押し出すコイル・スプリングとで成り立っている。
 給油量が適当なときには、バルブによってバイパス回路が閉じられている。しかし圧送されるオイルの量が多くなり過ぎると、油圧がスプリングの張力に打ち勝ち、リリーフ・バルブを押し開き、余分なオイルがバイパス回路を通ってオイルパン内に戻るわけだ。

〔全流式オイル・フィルター〕

今日では、ほとんどの車が全流式オイル・フィルターを採用している。
このタイプではフィルターが詰まるとバイパス回路が開き、
オイルが濾過されずにエンジンに圧送される。


 3.オイル・フィルター
 エンジン・オイルは使用しているうちに、どうしても金属の摩耗粉、空気中のゴミ、カーボンなどで汚れてしまう。これらの汚れのうち重いものは、オイルパンの底に沈んでしまうが、小さくて軽いものはオイルの中に浮遊しながらエンジン各部に送られ、摩耗を早めたり焼き付きを起こしたりする原因となる。
 このため、現在の4サイクル・エンジンでは、オイル・ラインの途中にオイル・フィルターを設けて、オイルの全部または一部分を濾過するようにしている。
 このうち、全てのオイルをフィルターに通すものを全流式(フルフロー・タイプ)、オイルの一部だけをフィルターに通すものを分流式(バイパス・フロー・タイプ)という。
 現在の4サイクル・エンジンのほとんどは、フルフロー・タイプを採用しているが、この方式ではフィルターが完全に目づまりすると、エンジンにオイルが全く送られなくなるので、それを防ぐためにリリーフ・バルブを備えたバイパス通路をもつ。
 このリリーフ・バルブは、フィルターの出口と入口に0.62kgくらいの圧力差があるときに作動し、オイルは全く濾過されないままバイパス通路を通ってエンジンに供給され、エンジンの焼き付きを防止する。

〔油圧計の種類と作動原理〕

 4.オイル・プレッシャー・ゲージ
 エンジンのシリンダーとピストンおよびベアリング部などは、オイル・ポンプによって圧送されたオイルによって潤滑されているが油圧が低すぎると潤滑が不完全になり、エンジンが焼き付く恐れがでてくる。
 オイル・プレッシャー・ゲージ(油圧計)は、エンジン内部のオイルの圧力を指示する計器で、潤滑系統のトラブルを発見するためになくてはならないものである。油圧を感知するセンサー部は、オイル・フィルター取り付け部に組み込まれている。
 さて、油圧計には、ブルドン管式とバイメタル式との2種類があり、表示方法としては、さらにメーター式とウォーニング・ランプ式とに分かれる。
 a.ブルドン管式
 これはクエスチョン・マーク状のブルドン管の中にオイルを導き油圧を指示させるもの。高い油圧がブルドン管の内部に加わるとブルドン管はまっすぐに伸びようとする。その結果ブルドン管の一端に組み付けられた可動片が指針のギアを回転させて油圧メーター上に表示するわけだ。
 b.バイメタル電気式
 バイメタルとは、同温度に対して膨張率の違う2種類の金属板を重ね合わせたもので、熱すると膨張率の大きい金属が小さい方へ湾曲する性質をもっている。バイメタル式プレッシャー・ゲージは、このバイメタルの性質を利用したものである。
 油圧がゼロに近い時は、ダイヤフラムに圧力がかからないから、ポイントは軽く接触している。だからイグニッション・スイッチを入れるとヒート・ワイヤーに電流が流れて、バイメタルがすぐに熱せられて上方に湾曲してポイントを開く。このため、ヒート・ワイヤーに流れる電流は少なくなり、レシーバー側のバイメタルもわずかしか変化せず、指針もほとんど振れない。
 しかし、油圧が高い時はポイント・アームがダイヤフラムによって強く押し上げられるので、ポイントが強く接触している。したが って、バイメタルが湾曲してもポイントが開くまでに長い時間がかかり、それだけ多くの電流が流れるから、レシーバー側のバイメタルが大きく振れて、高い油圧を指示する。
 c.ウォーニング・ランプ式
 油圧が低い時には、センダーゲージのポイントはスプリングによ って閉じているのでウォーニング・ランプが点灯するが、油圧が規定以上になるとポイントが開き、ランプが消えて油圧が正常であることを示すようになっている。

グーネットピット編集部

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車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、 自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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