カー!といえばグーネットピット

無料整備工場検索&予約アプリ

グーネットピットアプリ

故障・修理
更新日:2019.10.01 / 掲載日:2019.10.01

水冷式冷却装置の仕組みと内部構造

 一般的に水冷式冷却装置というとオーバーヒートを防ぐ、つまりエンジンを冷却するためだけのメカニズムだと考えられているが、この考え方は正しくない。なぜなら、オーバークールを防ぐ、つまりエンジンを適温以上に保つという機能が見落とされているからだ。今回は、2種類ある水冷式冷却装置の概要と内部構造、必要となる機器について紹介する。

水冷式冷却装置には2種類ある

 さて、水冷式冷却装置を大別すると、エンジンの動力でクーリング・ファンを回転させるものと電動ファンを用いたものの2種類がある。しかし、いずれにしても水冷式冷却装置には、ウォーター・ジャケット、ラジエーター、ウォーター・ポンプ、サーモスタット、クーリング・ファンあるいは電動ファン、ラジエーター・ホースなどが必要だ。

1.ウォーター・ジャケット
シリンダー・ヘッドとシリンダー・ブロックにえぐられた冷却水の通路のことで、シリンダー・ブロックやヘッドの一部として一体鋳造されたものが多い。また燃焼室やシリンダー壁などの熱をもちやすい個所をうまく冷やせるような形状になっている。

2.ラジエーター
 ラジエーターは水という媒体が運んできた熱を空気を媒体として大気中に放散させる一種の熱交換器である。一般的なラジエーターは、アッパー・タンク、ロワー・タンク、そしてこの2つを結ぶラジエーター・コアとで成り立っている。
 ラジエーター・コアは、冷却水を通すチューブと冷却フィンを組み合わせたものでウォーター・ジャケット部で温められた冷却水の熱は、冷却フィンの表面を流れる冷却風によって大気中に運び去られる。なお、冷却フィンにはワニの背ビレのような形をしたコルゲート・タイプとプレート・タイプがある。フィンが耐熱面積を広げるための工夫であることはいうまでもない。
 最近では、ラジエーターの横にリザーバー・タンクを設けて、エンジンが作動中の冷却水の膨張スペースを大きくとったものがある。冷却水の温度が上がって水の体積が膨張すると、その分はリザーバー・タンクに送り込まれる。逆に、冷却水の温度が低くなるとリザーバー・タンクの冷却水がラジエーターに戻って無駄な流出を防ぐというわけだ。

3.ラジエーター・キャップ
 大気圧のもとでは、水は100℃で沸騰する。つまり、ラジエーターの内部と大気とが通じていれば決して100℃以上にはならない。だが、冷却効果を上げるには、外気温と冷却水との温度差をできるだけ大きくしたほうが有利である。
そこで、ラジエーターを密封式にし、冷却水の熱による膨張力を利用して冷却系統内に圧力をかけ、冷却水温が100℃以上になっても沸騰しないようにしたものがあらわれた。これが今日最も多く用いられていプレッシャー型ラジエーター・キャップである。
 このタイプには、ラジエーターを小型軽量化できるというメリットがある。なぜなら、外気との温度差が大きくなり冷却効果がアップするので、小型のラジエーターでも充分に間に合うからだ。
 このキャップには、加圧弁と負圧弁とが組み込まれている。冷却系統内の圧力が一定の限度(圧力1.3~2.0kg、冷却水温が110~120℃の時)を超えると、その圧力によって加圧弁が開き、蒸気はオーバーフロー・パイプを通じて大気中に逃げる。逆にエンジンが停止し冷却水の温度が低下して、冷却系統内の圧力が大気圧よりも低くなると、バキューム・バルブが開くことで大気が導入され、負圧がなくなる。

4. ウォーター・ポンプ
 これは冷却水に圧力を加えて強制的に循環させるためのポンプで一般的にうず巻ポンプが使われる。

5. サーモスタット
 冷却水温を80~90℃に保つために、冷却水の温度によって自動的に作動するバルブで、普通はシリンダーヘッドの水の出口に組み込まれている。サーモスタットには、ベローズ・タイプとワックス・タイプとがある。前者はエーテルやメチール・アルコール、後者はパラフィンの温度による体積差を利用したものだ。
 冷却水温が低いときは、サーモスタットが閉じた状態で、ウォーター・ポンプが回っても冷却水はラジエーターへは循環しない。そして冷却水温が高くなると、熱のためにエーテルやパラフィンが膨張してサーモスタットが開き、冷却水がラジエーターへと還流するようになる。

6.クーリング・ファン
 クランクシャフトによってVベルト(ファンベルト)で回され、ラジエーターのフィン部を流れる空気の流速を上げる一種の送風機である。現在では、エンジンが冷えている時や走行風を充分に利用できる高回転時にだけファンの回転を止めて馬力のロスを防ぐタイプとなっている。これがファン・クラッチ付のクーリング・ファンである。
 RR車または横置きエンジンのFF車などでは、ラジエーターの直後にクーリング・ファンを設け、そしてクランクシャフトでベルト駆動するというシステムをとれない。だから、このような車では、電動ファンを組み込んでエンジンを冷却する。また、温度センサーを組み込んで冷却水温の高低によって、電動ファンのON-OFFを自動的にコントロールするメカニズムが一般的に採用されている。

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

この人の記事を読む

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ