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故障・修理
更新日:2019.10.01 / 掲載日:2019.10.01

ロータリーエンジン用の潤滑システム

 ロータリー・エンジンの場合は4サイクルのレシプロ・エンジンとは違った独特の潤滑方式を採用している。
 潤滑は、主として各軸受け部とガス・シール類に対して行なわれる。これらのうち、エキセントリック・シャフト(偏心軸)やディストリビューター・シャフトなどの各軸受け部に対する潤滑は、4サイクル・エンジンと同じようにオイルをトロコイド・ポンプによって圧送して行なう。
 さて、ローターが回転運動をするロータリー・エンジンの潤滑のポイントは、アペックス・シールやサイド・シールへのオイルの供給にあるといえよう。なぜなら、これらのシール類への給油が不充分だと、作動室の気密が保たれないため、燃焼ガスの吹き抜けなどが発生することとなり、出力がダウンするからだ。
 マツダのロータリー・エンジンでは、シール類を潤滑するために、メータリング・ポンプ(計量ポンプ)でオイルの量を規制しながら、オイルをキャブレーター内に送り込んでいた。つまり、混合気中に含まれた霧状のオイルがエンジン内部に付着して、ハウジングとシールとの間に油膜を形成するわけだ。といっても、多量のオイルがエンジン内に入るわけではなく、ごく少量のオイルで潤滑した。また、オイルの量はエンジン回転数と負荷とによってコントロールされるようになっている。
 オイル・クーラーが必要であることもロータリー・エンジンの大きな特徴だ。ロータリー・エンジンでは、ローターの中にオイルを送り込んで冷却するため、どうしてもオイル自体の温度が高くなる。この高温のオイルを冷却して潤滑能力とオイルによる冷却能力の低下を防ぐのが、ラジエーターの下に組み込まれたオイル・クーラーである。

ロータリー・エンジンの潤滑装置の構造と作動原理

 つぎに、潤滑装置の構造と作動原理についてみてみよう。ロータリー・エンジンの潤滑装置は、オイル・サーモ・バルブ、オイルプレッシャー・レギュレーター、メータリング・ポンプ、オイル・ポンプ、オイル・クーラーで構成されている。

 1.オイル・サーモバルブ
オイル・クーラーとエンジンとは2本のホースで結ばれている。始動時などのように油温が低いときは、オイルをクーラーへ送らず、エンジン内部で循環させて温めたほうが効果的である。なぜなら、オイルの温度が低くて粘っていると、エキセントリック・シャフトが回転する時に大きな抵抗がかかるからだ。

さて、オイル・クーラーへのオイル通路の開閉をコントロールするのは、オイル・サーモバルブである。油温が低い時は、オイル・クーラーへの通路と直接循環への通路が2本とも開きっぱなしになっている。しかし、クーラー内のパイプよりも直接循環用のパイプの方が太いので、ほとんどのオイルは直接循環へと流れてしまう。ところが、油温が71℃になるとサーモバルブのペレットが伸び始め高温時には直接循環通路(バイパス通路)を完全に閉めて、全てのオイルをオイル・クーラーに送り込んで冷却する。

 2.オイル・プレッシャー・レギュレーター
ロータリー・エンジンでは、油圧が高過ぎると、サイド・シールなどからオイルが漏れる恐れがある。そのため、オイル・ポンプで発生した油圧のうち余分なものを逃すメカニズムが必要になる。それがプレッシャー・レギュレーターである。
このレギュレーターは、オイル通路の途中に頭を出したプランジャーをスプリングで押しただけのもので、5kg以上の油圧がプランジャーの頭にかかると、プランジャーが引っ込み、オイルがオイルパンに戻って、油圧が5kg以下に抑えられる。

 3.メータリング・ポンプ
 前にも述べた通り、ロータリー・エンジンでは、クランクシャフトのベアリングなどに給油するオイル・ポンプの他に、メータリング・オイルポンプが必要になる。このメータリング・ポンプは、エンジンの負荷と回転数に応じた適量のオイルをアペックス・シールやサイド・シールなどのシール部に送り込むためのメカニズムである。メータリング・ポンプの吐出量をエンジンの運転状態によって変化させてやれば理想的な潤滑作用が実現する。すなわち、エンジン回転が上昇すると、シール類の摺動スピードもアップするので、その分だけ余分のオイルが要求される。メータリング・ポンプはクランクシャフトから駆動力を受けて作動するので、エンジンの回転の上昇に比例して、ポンプの作動回数が増え、オイルの吐出量もアップするわけだ。

 オイルの供給は、エンジン回転数だけでなく、エンジンにかかる負荷に比例しなければならない。アクセルを踏み込むと、より多量の混合気が作動室内に吸入され、爆発圧力が高くなり、ローターを押しのける力が増す。
また、この時、爆発圧力はローターだけではなくシールにもかかる。つまり、アクセル・ペダルを踏み込むほど、ガス・シールが強い圧力でハウジングに押しつけられるから、より多量のオイルを供給しないとシールとハウジングが焼き付いてしまう。

 2003年に発表された新しいロータリーエンジン“RENESIS”では、サイド部分の潤滑を効率よく行うために、ハウジング部分に八の字型にオイル噴射孔を設け、オイルtを噴射、潤滑している。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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