故障・修理
更新日:2019.09.29 / 掲載日:2019.09.29
20世紀の常識 vs 21世紀の新常識08「ディストリビューター vs ダイレクトIGN」
磁石発電機による点火方式はボッシュによって考案され1800年代のクルマに用いられたが、アメリカのケタリングによってコンタクトブレーカーの断続により高電圧を発生する方式が開発されたのが、今に通じる点火システムの始まりだ。1900年代に入るとアメリカでダイナモ、バッテリー、スターターモーター、点火装置という、自動車の電気化が完成し、以後ケタリング方式が長く使われてきた。
それも過去のものではなく、1970年代までは点火方式の主流だった。ディストリビューター内のポイントの断続によってコイル内に高電圧を作りだし、それをディストリビューターによって、各気筒の点火プラグに配電した。
シンプルな構造で、目視でトラブルを発見できるというAM的な利点はあったが、プラグコード部分での電圧ロス、プラグコードの劣化、ディストリビューター本体の劣化、レスポンスの問題などが指摘された。
それに代わって登場したのがダイレクトイグニッションだ。コンパクトなイグニッションコイルを各気筒分備え、直接プラグに装着する。こうすれば配電の面倒はないし、各気筒のプラグにロスなく高圧電圧を伝えることができる。またオーディオの雑音をなくするというメリットも現れた。
高熱を発するシリンダーヘッドに装着することから、開発初期は熱によるトラブルが見受けられたということだが、今では上級エンジンだけでなく、軽自動車のエンジンの点火システムとしても用いられている。
タコ足配線から電気の独立供給へ。21世紀の大きな電装進化項目の一つ
各気筒ごとの点火システムになると、いかに精密に点火を行うかが大きな課題となる。このために大活躍しているのが各種センサーだ。ディストリビューターの時代ではギヤでカムシャフトの回転と連動させていたが、現代はカム角センサーがそれに代わっている。クランク角センサーからの情報も点火精度を上げるために利用されている。