故障・修理
更新日:2019.12.12 / 掲載日:2019.12.12

シートベルトの種類と規格

 衝突や転落などの事故が起こったときや、緊急回避で急ブレーキや急ハンドルを切ったとき、クルマに急激な減速や進行方向の変更が起こる。そのとき、ドライバーや他の乗員には大きな慣性力がかかり、そのままではシートから体が離れて、ステアリングやインパネ、天井などに体を強く打ちつけて、最悪の場合は、衝突によるケガや死亡事故、車外放出などにつながることになる。そこで、取り付けられるのが体を保持するためのシートベルトだ。

シートベルトは衝突時に乗員が飛び出してステアリングやインパネへ強打したり、車外に放出されるのを防ぐ拘束装置。後席ベルトの重要性が再認識されて装着が義務化。

シートベルトの種類(取り付け点数別)

シートの両サイドと肩の3点で保持する3点式。肩のベルトは衝突時に前方へ倒れるのを緩和する。後席は3点式がほとんどだが、現状(取材時)では義務化されていないので、一部ではセンター部2点式もある(2012年7月からは義務化される)。


2点式は肩ベルトがなく、腰だけの拘束を行うもので、バスなどに使われているのと似たようなタイプ。巻き取り装置がないものが多い。4点式以上のフルハーネスタイプは、安全性は高いが装着の面倒さなどから競技用に限られており、JISの規格外である。

 普通の乗用車に取り付けられるシートベルトには、2点式と3点式があり、保安基準では2点式を第1種座席ベルト、3点式を第2種座席ベルトとして規定されている。JIS規格では、それぞれを記号で示し、ロードリミッターを含む場合は記号の後にEを付けることになっている。
 シートベルトには、着脱や長さ調整のしやすさや、ベルトの伸び、強度、耐久性はもちろん、長期に渡って引き出しと巻き戻しを繰り返すためウェビング(繊維で作った帯。ベルト本体)の耐摩耗性、衝突時のエネルギー吸収率、耐熱・耐寒性など、様々な条件の試験基準がある。また、巻き取り装置の機能では、ベルトの引き出し力のほか、緊急時にロックするELRの機能試験があり、クルマの前後左右方向の傾き、ベルトの引き出し速度に対するロックの試験などがある。これは、ベルトを急激に引いたり、急坂で引っ張ってみるとロックされるので、クルマに装着された状態でも動きが分かる。

●シートベルトの規格

IS D4604 自動車部品-シートベルト

この規格は昭和41年3月1日付で制定され、以後改正と規格の統合などが行われてきた。運転席の2点式シートベルトが義務化されたのが、昭和44年4月1日から。

シートベルト各部の名称と役割

シートベルトの巻き取り部は、単なる収納部ではなく、緊急時にロックするELR(Emergency Locking Retractor)を装備し、クルマの減速度やベルトの引き出し速度、車体の傾きなどを検知して、衝突時にベルトが出ないようにする。また、最近では作動時にベルトを引き込むプリテンショナーや、衝撃を緩和するロード(フォース)リミッターなども装備している。

バックル部の形状の違い

形状の違いでは、ボタンの位置があり、比較的古い形状が包囲型押しボタンで、バックルの中央にあるボタンを押すタイプ。現在多いのは、非包囲タイプで、バックルの差し込み口側にボタンがある。これは、直径40mmの球でボタンを押したときに解除できる大きさ、形状になっている。また、ボタンは分かりやすように赤系色とするか「PRESS」か「押す」の文字が表示される。


2点式のタングプレートは長さ調整も兼ねる
バックルに差し込む部分をタングプレート(舌状の板)という。巻き取り装置のない2点式の場合は、長さ調整部も付いているが、この部分の滑り性(調整可能で、かつ衝突時に戻らないように)も規定される。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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