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故障・修理
更新日:2019.12.17 / 掲載日:2019.12.17

エンジンオイルなしで走るとどうなるのか?

 

 エンジンオイルがエンジンの運動部分、回転部分を潤滑させてスムーズにしているのはご存じの通り。ではエンジンオイルが全くない状態でクルマを走らせるとどうなるだろうか?どのくらい走れるのだろうか?

 エンジンオイルはエンジン内部の金属と金属を油膜を作って直接ふれさせないことで摩擦をなくしスムーズに運動させている。エンジンオイルが全くないとなると、当然、金属部分同士が直接ふれあうことになる。するとエンジン内部では高速で回転したり摺動しているので、摩擦で熱を持ち、ついには焼き付きを起こしてしまう。 しかし、エンジンオイルが全くない状態というのは考えにくい。オイルを塗布しないで組んだエンジンをそのまま回すのならともかく、これまで使っていたエンジンであれば,オイルを全て抜き取ってしまっても少しは内部にオイルが残るし、それまでにできた油膜もある。つまりここでは、その残ったオイルと油膜でどのくらい走れるかを試そうというのだ。 テストに使うのはプレセア、これまでエンジンオイルの代わりに天ぷら油を入れてあったのを抜き、全くのオイルレスで走らせる。天ぷら油の油膜だからすぐに焼き付いてしまうだろうか?

■エンジンオイルなしで走行したらエンジンが焼き付いてしまった!

 

 天ぷら油を抜いてからエンジンを始動させると、テンショナーから少しカラカラ音というがして、オイルランプが点灯(時々消灯する)する状態だが、エンジンはごく普通に軽く回っている。 エンジンオイルがない状態なのだからといたわりの気持ちを込めて、ATの1速のみを使い、ダートの1周400メートルほどのコースを20km/h(2200rpm)の一定のペースで走らせる。しかし3km走らせても全くネガティブな反応はなく、焼き付く気配を見せない。そこで、速度を30km/h(3000rpm強)に上げて2km走らせるが状態は全く変わらない。オイルランプは相変わらず時々消灯する状態だ。 これはきっとオイルの抜き方が甘かったに違いないと推測、クルマをジャッキアップして、さらにオイルを抜いてやる。すると、オイル(天ぷら油の残りだね)がさらに200ml程度出てきた。今度はオイルランプは点きっぱなしになる。 コースに戻ってさらに2km走らせてみたが、エンジンはまだまだ快調そのものだ。そこで今度はDレンジ4000rpmまで回転を上げて走らせることにした。そのまま2km走ったが、それでもなお焼き付く気配は更々ない。ここまでエンジンオイル全くなしで9kmも走っているのだ。エンジンって案外丈夫にできているんだなぁ…と感心してしまう。 しかしこのままエンジンを生き延びさせてはオトコが廃る(?)、何とかこのエンジンを焼き付かせてやるぞと義務感のようなものまで芽生えてきた。 というわけでその後は、ダートトラックを高回転まで使って、レース風に走行(といってもそうはスピードは上げられない)。 そのまま走り続けることさらに6kmあまり、ついにエンジンがストップするときがきたのだった。エンジンが重くなって、焼き付き気味になってしまったのだ。それでもエンジンを1度止めて、しばらく冷やしてやると再始動する。しかし発進はできなくなった。走り始めてから15.4kmでのことだった。アァ、やれやれ、ついにやったぜ!というところ。 それにしても、エンジンは丈夫にできていると再度感心する。エンジン内部に残ったわずかなオイル(しかも天ぷら油ですよ)とそれまでにできた油膜だけで15km以上も走ってしまうのだ。まあ、精々5000rpmまでしか回していないということもあるが…。 後日このエンジンを分解してみると、カムシャフトの2気筒のキャップ部分に焼き付きが見られ、ピストン側面もやはり2気筒だけ軽いとはいえ明らかな焼き付きの症状があった。もちろん、このままで再使用は無理な状態だ。

■エンジンオイルなしの走行は丈夫なエンジンでも焼き付けを起こしてしまう

 

ユーザーの中には、オイルプレッシャーランプの点灯がエンジンオイルの補充時期だと思っておられる方がいる。オイルプレッシャーランプが点灯している情況は、エンジンの中をオイルが循環していないことだから、たとえオイルパンの中にオイルが入っていたとしても、ストレーナーからはオイルを吸い上げていない。つまり、ほとんどエンジンオイルがゼロに近い状態だ。 「エンジンからヘンな音がする」とか「アイドリングでエンジンが止まってしまう」というユーザーに「どれくらい前からランプが点灯するようになったの?」と質問すると「100kmくらい前かな?」なんて、シャラッとした顔で答える。エンジンっていうのは強いもんだ。でも、オイルなしで走った後の処置は、かなり大変。エンジンオイルなしの走行はエンジンに対する火炙りの刑なのだ。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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