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故障・修理
更新日:2019.12.12 / 掲載日:2019.12.12

ガソリンエンジン車に軽油を間違って給油してしまうとどうなるのか

ガソリンスタンドでの誤給油は少なからず発生しているようだが、特に問題になるパターンはガソリン車に間違って軽油を入れること。セルフスタンドの台頭でドライバー自ら給油するようになってからは、軽自動車だから軽油を入れたというような、信じられない間違いも起こっているようである。ここでは、ガソリンエンジン車に軽油を間違って給油してしまうとどうなるのかについて解説する。

 本来、軽油はディーゼル車に入れるもので、軽油に関連して重油というのがあるのだが、イマドキの人というか、クルマやエンジンに興味がない一般の人にとっては、燃料の種類や色、ニオイなどは関係のないことなのだろう。
 だから、そういう方には、ガソリン、灯油、軽油、アルコールなどをビーカーで見てもらい、ニオイを嗅いでもらったり、着火させたり(灯油、軽油は液のままだと意外と火がつかない)などの実体験をしてもらうべきだと思う。
 そんなこんなで、ガソリン車に間違って軽油を入れたら、どんな症状が起こるか実験してみることにした。
 ディーゼルエンジンは圧縮で高温になった空気中に軽油を直接吹くことで燃焼させるが、ガソリンエンジンは混合気を吸い込んでスパークで着火する。おそらく、軽油分が混じれば、点火が困難になりエンジン不調になってくると考えられるが、濃度を変えながら走行してみた。

タンクからガソリンを抜いて……

リヤシートの座面を取り外して、中央のプレートをめくると燃料タンクの上部にアクセスできる。燃料ポンプや燃料計のユニットがあるので、配線と配管を抜き取り、ユニットを固定しているフタを緩めて、タンクから直接ガソリンを抜き取った。

低公害化が進んだ現在の軽油は薄緑に着色されている(昔は薄褐色)。ガソリンと密度は異なるが、なじみは良く混ぜても分離するようには見えない。

取扱説明書には、ガソリン以外の燃料を使わないように指示されている。これは以前ブームになったアルコール燃料を指すのか??

同じ原油から取り出すが、蒸留温度の違いで性質はまったく異なる。エンジン側も、ガソリンは火花着火、ディーゼルは空気の圧縮熱による自己着火という大きな違いがあり、双方に互換性はない。

軽油濃度10% 暖機されていたせいか、始動性、 加速性ともまったく問題なし。

空タンクに計量した燃料を入れて所定の濃度に調整。なお燃料経路はリターン付きなのでエンジン-タンク間でガソリンが循環する。

 まずガソリンに軽油を10%添加して走行してみた。タンク内でよく攪拌してから、エンジンを始動してみるが、これまでと同様にスタートした。空吹かしや発進加速もガソリン100%と同等で、レブリミットまでキレイに吹ける。これだったら、万一間違って軽油を給油したとしても、すぐに気づいて止めれば問題なさそうである。

軽油濃度30% 燃焼に影響が出始め、アクセル操作に ワンテンポ遅れるが、走行は可能。

軽油濃度が30%となると、若干軽油の燃えたニオイがするようになってきたが、テールパイプに近づいてようやく分かる程度である。

ランチテックジャパンのX431でアイドリング制御のAACバルブの開度をチェック。不調になれば、回転が同じでも開度が増加するはずだが、目立つ変化はない。

 軽油10%混合でも、冷機状態からテストすれば、始動性に違いが表れた可能性があるが、テスト中は暖機されているのでまったく分からなかった。そこで軽油の濃度を30%まで濃くした。
 エンジンはこれまでと同じように始動し、アイドリングも目立った不調はない。「意外にイケるんだなあ」と思いながら発進させてみると、明らかに出だしが遅く、少しクルマが重くなったように感じる。夏場にハイオク仕様車にレギュラーを入れた時のようで、特に2000rpmまでがモッサリしている。しかし、それ以上の回転数ではあまり変化を感じなかった。

軽油濃度50% 明らかなノッキングと失火が発生し、アイドリングもままならない。危険!

 このエンジンにはノックコントロールが付いているので、ノッキングが発生しても、回避された可能性がある。30%でも意外に走ってくれた。そこで軽油濃度50%に濃くすることにした。
 すると、エンジンはかかるものの、アイドリングから調子が悪い。失火が目立ち、排気音もボソボソと湿った状態で、誰が見ても異常と感じるもの。これをダマシダマシ走らせるのだが、加速初期にカカカンッというノッキングが発生し、吹け上がりは全域で鈍くなってきた。それでも、無理矢理引っ張ると5000rpm超えまで回ることは回る。何とか、修理工場まで自走できるかな~と思いながら、停止するとエンジンも自動アイドリングストップ!? 次の始動もやたら時間がかかり、かつ発進トルクが極端に落ちてしまい、回転を上げても発進に手間取るほどになってきた。これは危険な状態と言っていい。

軽油30%で低速域の出だしが鈍くなったのが分かったが、50%となると全域で不調を感じる。回ることは回るが、パワーが低下しているし、レスポンスも悪い。エンジンもストールしやすくなり、信号待ちでエンストするとリスタートできず立ち往生になる。

アイドルがメチャ不安定に

誰がみても不調と分かるくらい、アイドリングが不安定になり、常時空吹かしていないと回転が持続できないようになってきた。吹かしをしたからといって、吹け上がらないので、非常に扱いにくい。まるで水が入っているかのようだ。

マフラーから白煙が プラグは真っ黒!

マフラーからは白煙と黒煙が混じったようなグレー色のスモークが出てきた。テールパイプの水滴もカーボン混じりで真っ黒。プラグを外してみてビックリ。ブン回していたのに、電極が真っ黒にくすぶっている。これは燃えなかった軽油分なのかも。

ガソリン車に間違って軽油を給油した場合、仕様や季節にもよるが、10~15%の軽油濃度ならそのまま消費させる手も

 軽油混入で、ノッキングおよびミスファイアが想像されるが、症状の重さはエンジン仕様や季節、ベースのガソリンのオクタン価、などによっても変わるはず。このテストでは、大体15%程度の軽油濃度なら、ムリに抜き取らなくてもマメにガソリンをつぎ足していけば、実害は少ないと思われた。もちろん、パワー不足やノッキングが体感できるくらいだと、エンジン内にカーボンが大量に溜まったり、朝の始動性に影響が出る可能性もある。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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