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故障・修理
更新日:2019.12.13 / 掲載日:2019.12.13

W123復活大計画「ミッション交換その1」Vol.19

今月の作業レシピ
・塗装の失敗箇所のリカバリー
・塗装の磨き
・スピードメーターケーブルの交換

カサカサだったベンツちゃんのボディは、プロ注目の最新ツールのおかげで、どうにか蘇らせることができそう。駆動系もボディも往年の姿を取り戻してきたハリー山崎のベンツちゃん。いよいよ、このレストア計画も大詰めを迎えつつあります!

1977年式 幸せの黄色いベンツちゃん復活大計画【Vol.19】 

ベンツちゃん=Mercedes-Benz 300D(W123)

 塗料の垂れや謎のクレーター状の塗膜の凹凸、そして極端なオレンジ肌(細かい凹凸)など、自信なさげに挑んだDIYボディペイントは、予想した以上に散々な結果になってしまった。
 施工時はやや気温が高かったことが気になっていたのだが、心配したとおり塗料に含まれたシンナー分の蒸発が早くなってしまったため、スプレーガン塗装で処理してもすぐに乾いてしまう。
 さらに夏が終わってもサウナのようにムシムシするガレージでの磨き作業を少なくしたかったので、塗装で艶を出そうと厚塗りしすぎた結果、塗料がトローリと垂れる悪夢のような状態に……。
 知り合いの鈑金塗装のプロに相談してみると、「クリアコートを塗らないで一発で艶を出すのは難しいからね。そんな状態になってしまったんだったら、とにかく磨いて艶を出すしかない」と厳しいアドバイス。さらに、磨きすぎて地肌が出てしまったら一度塗装し直して、クリアコートで艶を出す方法がいいのでは? と教えてくれた。
 現状のベンツちゃんのボディの大半はクリア塗装なしのソリッドカラーでビシッと仕上がっている。一体感という意味でもクリア塗装はやりたくない。やはりボディ磨きを丁寧にかけることで、リカバリーすることにします。

たくさん垂れてしまった塗装跡、 でも除去できれば問題ない! と思います……

「垂れる寸前の艶が最高」と聞いてはいたが、垂れてしまうトホホな結果に。後の磨き作業で楽をしようと思ったのが間違いだ。

垂れた部分の凸部だけを除去するのだが、周辺にもカッターの刃によって傷がついてしまう。これは難しいリカバリー作業だ。

知り合いの塗装メカから借りた「トレカット」。

大きなゴミ取り用のトレカットピンクだが、いい感じで凸部が削れる。

専用ブロックにトレカットを貼り付けて使用する。ブロックは硬質樹脂で硬いため、凸部の頂点だけ研磨できるので便利。

全体はホームセンターで購入した2000番で研磨。ただサンドペーパーだと、よほど注意しないと、深い傷がつくことが後で判明した……。

酷いオレンジ肌を平滑にするために研磨していると、謎のクレーター状の塗装の凹凸部分が。もしかしてこれはボクの汗のせいかも?

中途半端な研磨作業では、クレーターは消滅せず、さらに磨いていくとさらに目立つ結果に……。トレカットで修正して、研磨を繰り返す。

塗料の乾燥速度などの要因で、仕上がりは大きく影響を受ける。慣れないボクがプロのように一発で仕上げるのは無理があった……。

プロ御用達のスーパーバフレックスは、通常のペーパーと違って均一な研磨目のため、深いスクラッチ傷が入りにくい。やはり専用品がベターだ。

ペーパーもプロ仕様がベストっぽい。

塗装した部分は、バフレックスですべて研磨。このように艶消し状態になったが、果たして艶が戻るのか?

磨き技術がないボクのために最適な助っ人製品を発見

 磨き作業は、経験豊かな技術者であれば、塗装面の傷の深さに応じたコンパウンドを選び、塗装の艶の回復まで見極めながら仕上げることができるのだが、当然、そんな作業をすることは不可能(笑)。過去には電動ポリッシャーでボディの傷を消そうとしたところ、やり過ぎてしまってあちこちに地肌の山を築いてしまったくらいで、できればやりたくない。さらに今回は、塗装面の厚さは均一でなく微妙な凹凸が浮いてしまっている状況。自業自得なのだが、明らかに作業の難易度は高い。もし塗膜が薄いところに力がかかり過ぎて強めに磨いてしまったら、あっという間に地肌(プライマー)が露出してしまう。
 そこで今回は秘密兵器として、かねてから気になっていたオートマジックの「PC1-2-3 オートマジック・ペイントコレクションシステム(以下PC1-2-3)」を使ってみることにした。
 北米カーリテーリング用品の老舗として知られるオートマジックが開発したPC1-2-3のコンセプトは、“誰もが失敗せずにポリッシュ作業を行える”ということ。PC1-2-3には、傷の深さ(ペーパーの番号)に応じたコンパウンドと、コンパウンドと推奨パッドの組み合わせチャートの説明書が付いており、サンデーメカニックレベルの施工者であってもしっかりとした磨きができるようなセットが組まれているのだ。
 過去に苦い経験を持つボクであっても、PC1-2-3が教えてくれる正しい方法と手順でボディを磨いていけば、この苦境からリカバリーできるはずだ。
 なにはともあれ説明書に従い、磨き作業を進めていくと、あの見るも無残だった塗装面も平滑になり、艶も復活してきた。ただし艶が復活するにつれて、ところどころに深い傷も目立つようになってきてしまったのだが、この深い傷は最初にサンドペーパーでボディを研磨した時にペーパーに絡んだ研磨粉によって発生したものだろう。
 以前であれば、この深い傷を無理やりポリッシャーで消そうとしてあれこれ弄り回してしまって、地肌を出す無残な結果になっていたと思うのだが、PC1-2-3のおかげで自信を得た今となっては、「ポリッシュではなく研磨作業からやり直すべきもの」と思うことができる。正しい手順と道具選びこそが“成功の早道”であることを、改めて実感しました。

なんとかボディの垂れの修正は終了。あとはひたすら磨き続けるだけ

磨き作業の手順を分かりやすくシステム化した「PC1-2-3」ならボクでもできるはず。その評判の高さにすがりたい。

使うコンパウンドと推奨バフがセットになっている。告白すると、これまでバフの種類まで気にして磨いたことはありませんでした……。

使う順番と推奨バフの組み合わせがチャートになっているので、不慣れなボクでも正しく作業できるはずだ。

ダブルアクションポリッシャーを使用してステップごとに仕上げていく。重みだけで磨き上げるような感じでOKだ。

正しいサンドペーパーの番手、コンパウンドやバフの使い分けのおかげで、ボクの作業とは思えないほど、キレイに仕上がりました。

今回は天然カルバナワックスを手のぬくもりで溶かしながら塗り込む。脳内ではベンツちゃんへの愛情が同時に注がれています。

最初に普通のペーパーで磨いた部分に発生してしまった深い傷は、バフレックスで研磨し、PC1-2-3で修正しながら仕上げる。

色の違いはどうだろう? 色合わせに使ったフューエルリッドの色がくすんでいたせいか、神経質に見ればちょっと違うけど、十分許容範囲だ。

研磨作業中にエンブレム取り付け穴周辺の塗装が剥げたので、防錆塗料ノックスドール1100で錆止め処理を行う。

取り付け時に塗装が剥げる可能性もあるので、防錆ワックスを追加処理して、エンブレムを取り付ける。

ドア下部に軽度の錆を発見。この程度であれば浸透の高い防錆ワックスを塗布することで、錆の進行を抑制できるはずだ。

新ガレージで初となるメカ系作業だが、ガレージの床の状態は命にかかわる。コンクリの強度や傾斜をいま一度慎重に再確認してから行う。

ガレージの床傾斜は気になるが本格作業を再スタート

 立ち上げたばかりの新ガレージなのだが、謎の地盤沈下が……。最初は水平だったガレージのフロアも、わずかに傾斜し始めているような気がしてならない。今のところは問題を感じないが、今回のようにリジッドラックを使って作業をする場合だと、フロアの強度と水平度は命に関わるので、これ以上進まないことを祈っている(今回が初の本格作業なのに……)。
 ともあれ気を取り直して作業に挑む。今回行うスピードメーターケーブルの交換は、ファイアーウォールのメーターケーブルが通る穴部分の装着状態さえしっかり行えば簡単な作業。ファイアーウォールの装着穴にわずかな隙間があると、エンジンの高周波系のノイズ(カチカチというバルブ系ノイズやエキゾーストパイプからのノイズ)が、想像以上に室内に侵入してくるので、油断することなくしっかり行いたい。

ストップしていたメーターケーブルを交換、レストア計画もいよいよ大詰めです!

新ガレージで初となるメカ系作業だが、ガレージの床の状態は命にかかわる。コンクリの強度や傾斜をいま一度慎重に再確認してから行う。

40年以上前のベンツちゃんでも、このような消耗パーツが廉価で買えるのは本当に助かる。これもネットの普及のおかげです。

ケーブルのミッション側の取り付け箇所はアクセスしやすく、ケーブルを取り外してもATFは流れ出ないので作業は楽だ。

前回の作業時に、取り付けナットを締め付け過ぎて割ってしまった。だがこの部分が割れても、取り付けの信頼性には問題なさそうだ。

すでに割れてしまっているので、しっかりと締め付けても、これ以上割れる心配はない。ある意味、割り切った作業です。

何度か交換されていると思われるケーブル。その取り付け状態は分解前が正解とは限らないので、ネット画像でクロスチェックする。

ケーブル部分のOリングを付け忘れると、ケーブルを伝わってATFが室内に漏れることもあり得る。装着状態を再確認する。

電子化が進むクルマはスピードメーターケーブルがないので、なんとなく懐かしい作業に感じてしまう。

エンジンを始動したら足元にエンジンオイルが垂れてきた……。保護用のフロアマットの上でよかったけど、うっかりミスは怖い。

ファイアーウォールの貫通穴のグロメットは、しっかり装着しないとエンジンからの高周波ノイズが室内に侵入してしまう。

いい機会なのでメーター本体もリフレッシュ

 スピードメーター針のオレンジは、経年劣化の影響により退色がかなり目立つ。常に見えてしまうパーツなので、どうにかリフレッシュできないかとネットで調べてみると、プラモデルに使う「タミヤカラーのX6オレンジ」が、ベンツちゃんの純正色に近いという。さらによりオリジナルに近いマット系オレンジにするために「X21フラットベース」を艶消し剤として追加。その判断がよかったのか、ボクの作業とは思えないほどの仕上がりになった。

経年劣化で、オレンジ針がまばらに退色。解決策をネットで検索すると、プラモデル用のタミヤカラーを使ったレストア方法を見つけた。

タミヤカラーのX6オレンジに艶消し剤のフラットベースX21を10(カラー)対2(フラットベース)の割合で混ぜて使用。見た目もいい感じです。

メーターの黒い部分には絶対に垂らさないようにマスキングを行う。その後、筆で塗装すると、筆跡も目立たずいい感じだ。

塗装系作業が苦手な割にはとてもナイスな仕上がり。メーターに限っていえば、新車といってもいいかも。久々の会心の作業でした。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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