故障・修理
更新日:2019.12.17 / 掲載日:2019.12.17
車のクーラントの種類とは
エンジンは燃焼室内で燃料を燃やして発生する熱を利用して、動力を作り出しているが、燃焼時の熱をそのままにしておくと、シリンダーヘッドやピストンなどが過熱して壊れてしまう。そのため、適度な温度に維持するための冷却システムが付いている。このシステムには、ご存じのように空冷と水冷があり、車のエンジンではちょっと前のポルシェのような例外を除いて水冷システムが採用されている。
この水冷システムに欠かせないのが、クーラント(冷却液)である。ここでは、車のクーラントの種類や規格の紹介をはじめ、クーラントの規格表示やその内容などについて解説する。
クーラント(冷却水)の役目は、エンジンを冷やすというほかに、循環経路のサビや腐食の防止、ウォーターポンプの潤滑がある。また、内部で部分的な沸騰やウォーターポンプの撹拌によって発生しやすい泡を抑えるための消泡機能も必要になっている。
JISでの不凍液の種類(K2234)
日本の工業規格であるJISでは、不凍液という項目があり、そこで必要な諸性能が定められている。不凍液というと、一般には一冬しか使えない凍結防止剤としてとらえられているが、ロングライフタイプも含めた項目名となっている。不凍液には1種(AF)と2種(LLC)があり、大抵は2種のLLCを指していることになる。
不凍液の品質規格
不凍液は、エチレングリコールを主成分としたもので、水分の含有量が5%以下という規定がある。このため、レース用などで使われるポリプレングリコール系で諸性能を満たしていてもJIS適合品とはならない。また、薄目に作られた80%品やストレートタイプもJIS規格外となる。
クーラントの規格表示と内容
クーラントなどのパッケージに表示されている95や80とは?
カーショップやホームセンターに売っている製品で、95や80という表示を見たことはないだろうか? この数字の意味は、主成分の配合割合を指すものだ。水の割合が、95なら5%以下、80なら20%、50なら50%という意味だ。
仮にJIS認証工場で製造されていても、水が5%以上だとJIS規格外になる。なぜ80%品があるかというと、1つは販売戦略上安くできる。もう1つは可燃物扱いから外れるため、大量に保管するときに許認可の関係上扱いやすくなる意味もある。
ストレートタイプのクーラントはそのまま使えばイイが、95%品や80%品を使うときは、希釈割合の違いに注意。表のように、全容量6リットルで凍結温度マイナス15℃のクーラントを作る際には、0.4リットルの差が出る。仮に全容量5.5リットルなら80%品が2リットルでムダが出ないことになる。
ホンダの現行型(取材当時)では11年20万km対応クーラントを採用するが、ディーラーでは、それ以前の型にも入れるそうだ。また、アフター品も2車検や5年10万km対応品が増加。現状では長期対応品のJIS規格はない。