>クルマを真っ直ぐ心地よく走らせる基礎メカニズム Part.2-5
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故障・修理
更新日:2020.01.08 / 掲載日:2020.01.08
クルマを真っ直ぐ心地よく走らせる基礎メカニズム Part.2-5
左のリヤサスが 常に引っ張られている?
リヤサスを詳細にチェックすると、トーコントロールリンクのブッシュの左側に細かい亀裂が入っていた。このことからも、左のリヤが引きずられてサスペンションに常にストレスが加わっていたことが想像できる。リヤディスクローターも、パッドの摩擦部の段付き部をツメでなぞると、左のほうがツメが引っかかり摩耗が進行している。
アライメントデータとしては、リヤのキャンバーやトーはバランスが取れており、スラスト角は0度。セットバックはマイナス16mmあるが非駆動輪なので、極端な左流れの現象とは考えにくい。フロントはキャスターで12分、キャンバーで18分の差。SAI(キングピンで)36分の差があるが、これが左流れの原因ではないという判断だ。従来なら、この左右差を減らす方向で調整するところだと思うが、成田さんはアライメント以前の要因をクリアにすべきと考えているようだ。
リヤホイールを外し、ローターを回してみるとFFのリヤにしては確かに回転が重い。左右差はなく、電動パーキングの解除も行われているが、キャリパー自体の動きが悪いようにも思われる。そこで、ブレーキをさらに詳細にチェックし、引きずり要因をクリアにすることが先決という判定が下された。
リヤディスクの摩耗をチェック
発見その1 リヤディスクの摩耗が左右で違う
リヤディスクローターの摩耗による段付きや表面の状態が左右で違っていた。こちらの左のほうが円周方向の摩耗跡が強く、段付きも多かった。 こちらは右のリヤディスク。左にくらべ摩耗跡が弱い。左右とも一度リヤキャリパーは交換しているが、まだ完全ではないのだろうか? サスペンションブッシュの変形やヘタリをチェック
発見その2 左右でブッシュのヒビの状態が違う
サスペンションアームをいろいろな角度から観察していた成田さん。トーコントロールリンクのメンバー側ブッシュのヒビ割れが左右で違っていることを指摘。 矢印の部分にヒビを発見。ヒビといっても僅かなもので、素人は見落とすレベル。プロの観察力に驚かされた。 こちらが左側。ヒビがあることが確認できる。 こちらが右側。ヒビが少しあることが確認できる。 アライメントは基準値オーバーだが左右バランスはOKと判定
表示の赤い部分は、メーカーでの規定値から外れているものだが、たとえばキャスター12分差でグリーンとレッドが分かれるなどしている。規定値にこだわるのではなく、左右バランスが取れていることを重視。 トーを左右均等にしたが、SAIに36分の左右差。なお、フロントトーは初期のハンドルセット位置では左右差があるように見えたが、個別トーはアウト2.5mmのようだ。 リヤブレーキの引きずり点検/ESPオフでのテストを実施
アライメント測定後、リヤブレーキの引きずりが疑わしいので、ローターを手回ししてみる。 新しいクルマにしては、動きが重い。ただし大きな左右差は感じられなかった。 走行テストでは、ESPをオフにして確認。ここでも特に変化はなく電子制御も正常と判断。 電子制御との関連も考える/片輪ブレーキ作動での影響
現在のクルマでは横滑り防止装置が装備される。アンダーステアやオーバーステア時にリヤブレーキを片効きさせて安定性を得るもの。 しかし、ブレーキが何らかの原因で関係のない時に作動すると直進性が著しく悪化する。 今回はホイールアライメントの「調整」はなし!
成田さん「このクルマとタイヤの状態からアライメントより先にリヤブレーキ等メカ系の再点検を実施してください」
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