故障・修理
更新日:2020.03.10 / 掲載日:2020.03.10

バッテリー&オルタネーター完全リフレッシュ 【3】

充電系チェック

電気的負荷をかけて規定の電流値か確認する キッチリ充電されるか確認する

エンジンが始動すると同時に発電が開始される

 バッテリーに蓄えておける電力の量には限りがあるため、エンジンが始動すると同時に必要な電力を賄うための発電が開始され、それと同時に電力を消費したバッテリーへの充電も行われる。

 その役割を担っているのが交流発電機であるオルタネーターで、発生される電気は交流ゆえ内蔵されたレクチファイヤー(整流器)で直流に変換してからB端子から出力されている。このレクチファイヤーは熱に弱く、劣化すると始動直後は問題なくても距離を走って熱がこもってくると充電量が低下するという症状が起こるようになる。

 そんな症状を放っておくと徐々に充電量が低下。最終的には走行中にバッテリー上がりを起こすことに。近年スピードメーターさえ電動なため必要な電力が供給されなくなるとコンビネーションメーターが「プッ」と突然沈黙して速度も確認できなくなる。さらに、電圧が低下すると電動パワーステアリングなどはエンジンが回っているにもかかわらず突然、ハンドルが切れなくなる(片手では回せないほど重くなる)ので要注意!

 キッチリ充電された状態にあるか点検しておきたい。

バッテリー電圧確認後、始動後に上昇するか確認!

テスターを直流電圧測定モードにセットし、バッテリーの端子間電圧を測定する。12.50V以上あれば健全。12V前後だったら補充電が必要だ。

エンジンを始動し。

回りだすと同時に電圧が上昇するか確認する。

オルタネーター端子にテスターをセット

ハンドテスターを直流電圧測定モードにセット。

赤テストリードをオルタネーターのB端子に接続する。

黒テストリードをバッテリー-端子に接続もしくはエンジン金属面にボディアースし、バッテリー電圧が表示されることを確認する。

テスターに電流計を接続し、400Aレンジにセットする。

クランプヘッドをB端子ケーブルにクランプする。

負荷をかけて、充電量をチェックする

エンジンを始動し、電動ファンが2回以上作動した後、無負荷3000rpmで2分以上暖機運転。ヘッドライトを点灯してハイビームにし、2000rpm一定でB端子の電圧が13.9~15.1Vの範囲にあるか確認

リヤデフロスターをON。

ファンスイッチをMAXにする。

エンジン回転数を2000rpmで一定にし。

電圧が13.5V以上、電流が60A以上あるか確認する。

オルタネーターを駆動しているベルトの張りを点検する

リフトアップ(もしくはリジットラックで持ち上げた状態で固定)し。

右フロントタイヤを取り外す。

タイヤハウス側面のカバーを外せばベルトまわりにアクセスできる。

このカバーはアンダーカバーと一体なため、そっくり外す必要がある。側面を固定しているクリップをすべて外す。

フロントバンパー下部前端に共留めされているクリップをすべて取り外す。

アンダーカバーを外し手前に引き出す。

プーリーとプーリーの中間部でチェック

張り点検はプーリーとプーリーの中間点で行うが、車種によってどのプーリー間かは異なる。このため、初めてなら整備マニュアル、もしくはディーラーに問い合わせて確認する必要がある。

モデルのモビリオの場合、クランクとA/Cコンプレッサーの中間だ。

まずはベルトのプーリーとの接触面を目視で確認!

プーリーと接する面が特に傷みやすく、劣化していたら張り調整しても滑りは収まらず、張りを強めれば切れる可能性も高まる。

このため、まずは裏返して亀裂や損傷の有無を確認!

もしも、細かなヒビ割れが生じていたらただちに交換したい。

指で押しただけでは正しい判断は下せない

Vベルトは指で押した時のたわみで張りを判断できた。ところが、近年主流のVリブドベルトは「10kgfの力で押した時のたわみ量を確認」と、押力が強いため素手では正確な判定が下せない。専用ゲージが不可欠!

一定の圧力を加えた状態で確認するため専用計器が必須!

これは汎用タイプの「ベルトテンションゲージ」。直読ではなく、表示された値を換算表に照らし合わせる必要がある。

ハンドルを左に回して押し棒を引っ込ませる。

目盛りが正面を向くよう測定箇所にはめ込む。

ハンドルを右に回してベルトにテンションをかけていく。

そして、押し棒側面の目盛りがハンドルの縁に合致するまで締め込む。

合致したなら測定値を読み取る。写真の場合、主尺から12、副尺から0.8の「12.8」が測定値。

この数値の近似値を換算表のベルト押力10kgfの列から選択。選択した数値の縦列の上部に表記された数値がたわみ量となる。モデル車の場合、ベルト押力10kgfにおける換算値は12.0。かなり緩んでいた。

オルタネーターの固定ボルトを緩める

オルタネーターの一端をエンジンに固定している「固定ボルト」を緩める。

写真で見ると右上の部分の穴が固定ボルトがとまっている部分。

エンジン横置きのFFは、この作業にかなり難儀する。

車体の下から作業しても、かなり作業しづらい。

アジャスターの「ロックボルト」を手で軽く回せる程度に緩める。

これでアジャストボルトを締め込めば張りが強くなる。

たわみ量を確認しつつ調整して規定値に合わせる

アジャストボルトを締め込んで「ベルトテンションゲージ」をセット。

ハンドルを締め込んで測定値を読み取り、張りが足りなければゲージを外して調整。再度ゲージをセットして測定値を読み取る。これを既定値になるまで繰り返す。

基準値はベルト押力10kgfで5mm。ゲージが14.8を示したところが、この値。基準値調整後、プーリー間張力のバラつきをなくすため、クランクシャフトを2回転以上回して再度測定。必要に応じて再調整する。

緩めた固定ボルトをキッチリ締め込んで終了

調整が完了したらアジャスターの「ロックボルト」をキッチリ締め込む。

オルタネーターの「固定ボルト」を締め込んで固定。アンダーカバーを元通り組み付け、タイヤを取り付けて調整完了だ。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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