故障・修理
更新日:2020.03.10 / 掲載日:2020.03.10

バッテリー&オルタネーター完全リフレッシュ 【4】

衝撃吸収ダンパーが切れて空回り。これが原因で充電不足になることもある
このように内周と外周にズレが生じたら、ダンパーが切れて空回りしていることは確実! ただちに交換する必要がある。

 クランクプーリーには衝撃を吸収するダンパーが内蔵されている。その材質は経年劣化するゴム。距離を走ると切れて空回りするようになる。張りが正常なのにベルト鳴きのような異音を発したら要注意だ。

ベルトの劣化は見られず、いくら張りを調整してもベルト鳴きが収まらない。クランクプーリーの側面に外周に向かって異物や飛散した痕跡が残っている。もしもそんな症状に見舞われた時は要注意!

疑わしい時はプーリー側面にマーカーで、端から端までを記入してエンジンを回してみる。

ズレがなければ問題ないが……。

駆動ベルトはVリブドベルトが主流!

 補機類の駆動ベルトには断面がV形状の「Vベルト」、V形リブを設けた「Vリブドベルト」といった種類があるが、前者を採用しているのは古いクルマ。平成以降のクルマでは伝達効率に優れて寿命が長く、屈曲変形や摩耗、伸びが少ないため張力の低下も少ない後者が一般的だ。

Vベルトを指で弾いた時に発生する音波の周波数で張りを判断する!?
カイセ/ベルト周波数チェッカー SK-8101 価格:39,800円(税別)

●仕様

表示:数字表示 8888、文字高12mm
電源:1.5V R6P(単3)電池2本
寸法・重量:本体 約170(H)×約42(W)×約30(D)mm、
センサー長 約300mm、約130g(電池含まず)
付属品:単3形乾電池(1.5V R6P)2本、取扱説明書

誰にでも簡単かつ正確に張力を測定することができる

 ベルトの張りは緩くても強すぎてもダメで、規定値にピッタリ合わせる必要がある。張り具合(張力)が、ベルトの寿命にも大きく関わってくるからだ。

 ところが、これまでの張力の測定方法は作業者の勘に頼る要素が多く、測定結果に個人差が生じる可能性を否定することができなかった。そこで、誰にでも簡単かつ正確に測定できることを目的に開発されたのが、ベルトを弾いた時に発生する振動数(周波数)で張力を判断するという方法で、ティーダ以降の日産車ではベルト張力の判定基準がHz(ヘルツ)に統一されている。

 カイセの「ベルト周波数チェッカー」は、その周波数を測定するテスターで、ベルトを弾くだけで、非接触でベルト張力を測定可能。しかも、フレキシブルプローブで音波センサーの位置も自在で、シンプル操作と相まって作業者に優しい扱いやすいテスターに仕上げられている。

測定データがなければ、自前で確認すればよい!

 従来のベルト張力の測定方法は煩雑で、基準線と合致した時のゲージの値を読み取るというきわめてアナログ。見る角度によっては基準線と合致する位置にズレが生じる可能性があり、作業者によってどの程度で合致したと判断するか異なる可能性もあり、誤差が生じやすかった。

 これに対し、周波数測定はベルトを弾くだけと簡単・手軽。しかも、誰がやっても測定値が大きく異なることはない。

 このため、非常に有用だが、基準となるデータが公表されているのは残念ながら日産のみ。他メーカーの車両はデータがないため使えない。しかし、データがなければ自分で確認すればよいだけのこと。従来の方法で既定値に調整後、その時点での周波数を測定すれば、以後、ベルトを弾くだけで調整できるようになる。

調整前

充電系チェックでベルトの張り調整を行った際、調整前の緩んでいる状態における周波数も測定しておいた。

測定値は「144Hz」で、たわみ量は押力10kgfで12mmという結果だった。

調整後

押力10kgfで5mmの既定値に調整した時の周波数は「274Hz」。念のため数回、測定したものの同じ数値で安定していた。

以後の調整ではこの数値に合わせればよいわけで、張りも容易に確認できて便利! 利用しない手はないのだ。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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