故障・修理
更新日:2020.05.11 / 掲載日:2020.05.11

マフラーの錆止めや錆落としの手順をご紹介!

マフラーの錆止めや錆落としの手順をご紹介!

エンジンから出る排気ガスを浄化してくれるマフラーは、車のパーツの機能面においても欠かすことのできない重要部品です。また、美しく光り輝くマフラーは見た目に関わる部品でもあるので、ドレスアップパーツとしても重宝されます。

しかし、マフラーは金属製であるため、放っておくとどんどん錆が広がってしまいます。錆びたマフラーが装着されると車自体がくたびれたように見えるので、できれば錆びないようにしたいところです。

そこでこの記事では、マフラーの錆止めや錆落としの方法についてご紹介します。

そもそもマフラーが錆びるのはどうして?

金属で作られているマフラーは、常に錆のリスクが付きまといます。
金属に錆が発生するのは、空気中の酸素や水分の分子と、金属表面の分子が化合してしまうからです。そして、金属と化合した酸化物の膜が、錆と呼ばれます。

車を構成する部品の約70%以上は、鉄鋼材料から作られているといわれます。
もちろん他の部品も錆が発生するリスクがありますが、大抵の部品は塗料やコーティングで覆われており、外気環境に露出していない部品が多いです。

一方、マフラーは車外に剥き出しの部品なので、走行中は常に空気中の酸素と触れる状態です。雨などの水分にも触れるため、他の部品と比べて錆びやすい環境といえます。
また、マフラーはエンジンからの排気ガスの影響を受け、高温になりやすい部品でもあります。さらに金属は、400℃を超える環境では「高温腐食」が起こりやすくなるのです。高温の環境下におかれた金属は、空気中の酸素と結びついて自然に酸化が始まります。

マフラーが錆びやすい環境とは

金属と空気が触れ合う環境であれば、それは錆が発生する環境といえます。また、錆が発生しやすい環境は「温度」と「地域」も大きく関係します。
まず、金属は気温が低いときよりも、高いときのほうが、錆の進行が早くなります。そのため、気温が低い「冬」の季節よりも気温が上昇する「夏」、「寒い地域」よりも「暖かい地域」のほうが、錆びやすいと考えられます。

ただし、寒い地域だから安心とは言い切れません。なぜなら寒冷地帯、特に積雪が多い地域で道路に撒かれる凍結防止剤が車の錆に大きな影響を及ぼすからです。
凍結防止剤の主な成分は、以下の通りです。

・塩化カルシウム
・塩化マグネシウム
・塩化ナトリウム

これらは金属に付着すると、錆の進行を早める性質があります。そのため、凍結防止剤処理をされた道路を走ると、マフラーが錆びやすくなってしまうのです。
また、海岸沿いに駐車場がある環境も注意が必要です。海風の塩分が同様の成分を含んでおり、錆の進行を早めるため、マフラーにとっては非常に過酷な環境といえます。

マフラーの錆を防ぐには?

マフラーを錆から守るには、空気や水、酸素などに触れないようにする必要があります。金属の表面に他の物質で皮膜を作り、直接外部に晒さないようにしましょう。
マフラーの表面にメッキや塗装でコーティングをしてしまえば、錆を防ぐことができます。

また、「さすがにそこまで大掛かりなコーティングはできない」という方は、専用のワックスを塗ってコーティングするのも1つの方法です。
ワックスであれば金属の見た目はそのままの状態で、錆の発生だけを防ぐことができるでしょう。さらに全体をコーティングすることは、マフラーを細かい傷から守ることにもつながります。

マフラーに発生する錆は2タイプ

マフラーに発生する錆は2タイプ

鋼材で作られているマフラーに発生する錆は、「赤錆」と「黒錆」の2種類に大きく分けられます。
一見すると、どちらもほとんど変わらないようにも思うかもしれませんが、実は大きな違いがあるのです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

赤錆

赤錆とは、その名の通り錆全体に赤みがかかっており、鉄を腐食していきます。赤錆の腐食を放置すると、あっという間にボロボロに朽ちてしまうので、非常に厄介な錆です。
また、自然に発生する錆でもあるため、マフラーだけでなく足回りや塗装が剥がれたボディなどで見かけることも少なくありません。

黒錆

一方の黒錆は、自然に発生する赤錆とは対照的に、高温にならなければ発生することはありません。黒錆は鉄の表面にできる酸化膜なので、表面をコーティングする効果があります。
黒錆によって赤錆の発生を抑えられるため、意図的に良性の黒錆を発生させることもあります。

マフラーの錆を放置するとどうなる?

マフラーの錆を放置するとどうなる?

マフラーに発生した錆、特に赤錆を放置すれば、どんどん腐食が進んでいきます。そして最終的には穴が空いたり割れてしまったりと、修復不可能な状態になることも考えられます。
また、穴が開いたり割れたりしたマフラーをそのままにしていると、その部分から排気漏れが起こり、騒音が発生することもあります。

排気漏れの場所によっては、「触媒によって浄化される前の有害な排気ガス」が車内に侵入する可能性もあり、非常に危険です。そのため、穴が空いた状態で車検を受けると、排気漏れを指摘されて車検を通すこともできません。

錆びたマフラーを復活させる手順

錆びたマフラーを復活させる手順

ここまでの流れを見てみると、錆が侵食したマフラーは取り返しがつかないと思うかもしれません。
しかし、錆が進行したマフラーでも、穴や割れがなければ進行遅らせることができる可能性は残っています。

マフラーを復活させる手順は、以下の通りです。

1.マフラーの錆を削り落とす
2.錆取り剤で完璧に錆を除去する
3.マフラーを塗装する

順に詳しく解説していきます。

手順1:マフラーの錆を削り落とす

まずは、表面に付着した錆を落とす作業から始めましょう。
錆自体は金属の表面に付着している別の物質なので、研磨して落とすことが大切です。錆が進行しているマフラーであれば、240番など粗めのペーパーヤスリでしっかり落とすところから始めます。
錆を残してしまうと、残った部分から再び錆が進行してしまう可能性があります。時間がかかっても、徹底的に落とすことを心掛けましょう。

グラインダーやドリルにカップワイヤーを装着して磨くと、しつこい錆でも効率良く落とせます。
磨いている最中に多少マフラーを傷付けてしまっても、最終的にマフラー全体を塗装するため、問題ありません。
また、錆落としの作業中はたくさんの粉塵が飛びます。細かい粉塵は人体に悪影響を与える可能性があるため、防塵マスクやゴーグルを着用して作業しましょう。

手順2:錆取り剤で完璧に錆を除去する

手順1では粗めの研磨剤で大きな錆を落としましたが、細部に錆が残っていることも少なくありません。
大きな錆を削り落としたら、残っている細かい錆を錆取り剤で完全に除去してしまいましょう。

錆取り剤はホームセンターやカー用品店で様々な種類のものが販売されています。錆の大きさや程度によって、適したものを選んでください。
錆取り剤はマフラーの錆全体にしっかり塗っていきましょう。錆取り剤の塗りが甘いと、乾燥して効果が半減してしまいます。

全体にまんべんなく塗ったら、しばらく乾燥させて、最後に乾燥したタオルで拭き取ります。
錆取り剤の効果があれば、拭き取った際に錆を完全に除去することができるでしょう。もし錆が残っている場合は、最初からやり直してください。

手順3:マフラーを塗装する

錆を完璧に落とし終わったら、再び錆びが進行しないようにマフラー全体を塗装しましょう。
マフラーは高温になるため、ラッカースプレーでは溶けてドロドロになってしまいます。そのため、塗装の際は耐熱塗料を選ぶようにしましょう。耐熱塗料はマフラーなどの金属に定着しやすく、サラッとしているためキレイな仕上がりになります。

塗装時のコツは、一気に塗ろうとせず薄く何層にも分けて塗ることです。なかでも、溶接している部分は錆が発生しやすいため、念入りに塗装する必要があります。
ただし、反対に厚く塗りすぎると塗装割れを起こし、再び錆が進行してしまうことも考えられます。全体にしっかり塗料が乗ったと感じたら、それ以上の厚塗りはしないよう注意しましょう。

塗料を塗ったあとは、十分に乾燥させる必要があります。耐熱塗料は自然乾燥の状態だと半硬化状態になりますので、一定時間アイドリングの状態で焼き付けをしてあげる必要があります。
塗料によって焼き付けの温度が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

まとめ

今回は、マフラーの錆止めや錆落としの方法について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
マフラーはエンジンの性能を左右するだけではなく、見た目にも関わる重要な部品です。しかしマフラーは金属部品のなかでも比較的錆びやすく、一度錆が発生すると、どんどん腐食が進んでしまいます。

また、放っておくと見た目が悪くなるだけでなく、マフラーに穴が開いたり割れてしまったりと、性能面にも大きな影響を及ぼします。定期的にメンテナンスすることである程度錆を防止できるので、この記事を参考に、マフラーの錆対策について考えてみてはいかがでしょうか。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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