故障・修理
更新日:2020.09.29 / 掲載日:2020.09.29
インジェクター洗浄 後編 スバルサンバーを快走仕様!
洗浄が終了すると、真空パックで返送されてくる。錆発生を防止するためだ。乾燥剤まで入ってる。外されたOリングは同梱される。
全体に洗浄されてキレイになったのは誰でも分かるが、さすがに内部までは分からない。非分解で洗浄するノウハウは企業秘密とか。
必要となるOリング類は赤線部分の他にデリバリーパイプ外側に付くダンパーゴム。燃圧レギュレーターのOリングは交換しなくても可。
噴射状態の悪いインジェクターは均一の噴霧ができなくなって、マニホールドの中に濃淡ができてしまう。最悪タレも発生。
良好なインジェクターは均一に噴霧するため、空気と混ざりやすく理想的な燃焼状態を作ることができる(IRS提供)。
性能レポートを見ると取り外した段階で比較的良好だったが、洗浄後はバラツキがなくなり、全体で3ccほど噴射量が上がっている。
デリバリーパイプは本体返送までの間つけおき洗いを実施。一晩でかなりに汚れを取ることができた。パイプ内はエアブロー。
Oリングを入れ込む時は指先に薄くシリコングリスを塗って入れるとキレイにはめ込むことができる。新品の柔軟性は素晴らしい。
釜の内側のOリングが当たる位置や本体の周辺にもうっすらとシリコングリスを塗布する。ゴムの偏りもなく燃料漏れ防止も。
インジェクターを釜に入れる時には回転させて挿入するのではなく、一気に垂直に押し込む。位置が決まるとパチンと音がする。
洗浄した甲斐があってまるで新品のようだ。この状態がいつまで続いてくれるのかは心配だが、いい燃焼を願ってやまない瞬間。
本体固定キャップはダンパーゴムで若干浮くので均等に締める。細ネジなので強いトルクはタブー。クッと握る程度のトルクで十分。
エンジン本体のホールにはダンパーゴムがあるが、たいてい固着。ピックツールを差し込んで掻き出すように引き上げる。
全体にスラッジや汚れが堆積しているので、パーツクリーナーと綿棒でキレイに洗浄。密閉性が落ちると漏れやエアを吸ってしまう。
キャップの合わせ面は隙間なく閉まっていることを確認する。燃圧がかかると燃料漏れの原因にもなるので、必ずチェック。
ダンパーゴムは他と同様にシリコングリスを薄く塗って、デリバリーパイプ側に装着。グリスの粘度で、仮接着したような状態。
デリバリーパイプを固定したら、燃料ホースを元に戻す。しっかりと奥まで挿入。レギュレーターの負圧ホースを忘れずに差し込む。
インジェクターにつながるカプラーを全気筒差し込む。意外と音確認をしていないユーザーが多く、抜けかかって走行不能が多い。
ポンプカプラーを差し込み、IGオンで20秒ほど待ってエンジン始動。インジェクター周辺の燃料漏れを確認しプレートを付けて終了。
T#系サンバーのインジェクターはインマニ終端に付けられている。超初期にSPIが存在するが、それ以降NA/SCは全てMPI(気筒ごとにインジェクターがある)だ。取り外しはデリバリーパイプごと外してから、インジェクター本体を取り出す。主流のトップフィードタイプと違い、デリバリーパイプにある釜?に本体が収まる。
抜き出したインジェクター先端はかなりスラッジが付いていた。
(株)アイ・アール・エスのインジェクター洗浄サービスは、高額なインジェクターを再利用できるように洗浄をおこない、適正な噴射が得られるようにしてくれる。オプションで性能測定もあり、洗浄前・後の状態がはっきり分かる。不良品などがあれば告知してもらえるので嬉しい限りだ。在庫がある場合はそれを送付してもらうことにも対応してくれる。
洗浄だけであれば1個3,400円(税別)レポート&保証付き1個4,200円(税別)で、佐川急便であれば着払い対応である。洗浄後のインジェクターは真空パックで送付。ショップなどであれば分解して不動状態になるのを防ぐために、在庫としてストックもできる。
ちなみに新品は1個7,060円だから、半額程度で性能復帰はとても嬉しい。
送付したインジェクターは比較的良好だったようで、噴射パターンも問題なし。洗浄後のデータを見ると全体に3ccほどレベルアップし、ほぼバラツキなしという結果になった。
このサイドフィードタイプの場合、必要なOリングは特殊な形状なので、ディーラーでパーツを発注しておくといいだろう。なかなか分解することはないで、周辺のゴム類は一気に交換しておいた。洗浄のための期間は概ね中一日なので、不動状態が長く続くことはない。
組み込んで、まず驚いたのはエンジンが静かになったこと。そして走り出してみるとアクセルレスポンスが体感できるほど変わり、加速が非常に滑らかになったことだ。一皮向けたノーマルとはこのことだ!