故障・修理
更新日:2020.09.30 / 掲載日:2020.09.30
厄介なサイドシルの「錆」問題をDIYメンテで解決 3
鈑金のプロから「国産車のサイドシルは、入った水がすぐに抜けるように設計されているが、欧州車は基本的にサイドシルの内部に水が浸入しないように設計されている。水害が多い日本の気候も関係しているのかな~」という話を聞いたことがある。
実際、2003年式のアウディA4のサイドシルの内部を見ると、想像以上にサイドシルの防水処理がしっかりと行われていることに驚かされた。サイドシルの溶接の合わせ目の外側にはアンダーコートが塗布され、さらに内側にはキャビティーワックスが溶接の隙間を埋めている。この造りによってサイドシル下側の合わせ目から水が入り込むことを徹底的に防止しているようだ。
サンプル車のアウディA4の下回りには、表面錆が多く発生していたが、サイドシル下側のパネル合わせ目はアンダーコートで密閉されていたため、深刻な錆ダメージは見られない。
指で示す部分に穴が開いた排水用のグロメットが装着されるが、この部分は樹脂製のロッカーカバーで覆われるため、走行中に水しぶきはかからない。水は浸入しにくいだろう。
サイドシルの内部は、アルミ製フレームが前後に貫通し、SPR工法で接合されていた。軽量化と強度、それとも錆による強度低下の防止、どちらの目的で採用したのか?
サイドシル下側がキャビティーワックスで覆われていることが分かる。サイドシルを開けてみると、内部全体に結露の痕跡がある。でも錆は一切発生していなかった。
サイドシルの排水グロメットを塞いだ状態で水を注ぐと、フレーム側から漏れてきた。だがここもアンダーカバーで塞がれるため、水は浸入しない構造のようだ。
北海道江別市にて輸入車パーツの販売/整備を手掛ける株式会社北翔。整備担当の水谷氏によると、鈑金箇所を除けば、欧州車のサイドシルが腐る例は少ないそうだ。
サイドシルの設計は メーカーごとにかなり違う
左下の写真は黄色いベンツちゃんのサイドシル。フラットで整備書には「サイドシル下部のダメージを防ぐため、リフトで持ち上げる際は、サイドシルの横にある穴にジャッキアップ用アタッチメントを装着」と書いてある。昔から欧州車はサイドシル部分のダメージが腐食の原因になると考えていたようだ。
また凍結防止剤対策としてキャビティワックスが使われ、最近は溶接と接着剤(ウエルドボンディング法)を組み合わせ、防錆と剛性を向上させる例も多い。
黄色いベンツちゃんのサイドシルの水抜き穴に白いチューブを挿入。そろそろ、最新Cクラスの“チェックバルブ付き”防水グロメットを流用して、水抜き穴現代化に挑戦する予定。
ボルボV70(ベルギー生産)のサイドシルは、ウエルドボンディング法で接合(青い接着剤)。合わせ目はノックスドールのキャビティワックスがラインで塗布され、剛性と防錆力を高めていた。