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故障・修理
更新日:2020.10.23 / 掲載日:2020.10.23

TOYOTA COROLLA LEVIN AE86 車検整備のみの個体をプロに見せてみた1

新車から20年ぐらいまでなら
気張ったメンテなしでもOK!?
 デビューから37年経過した現在においても、いまだ衰えぬ人気を誇るAE86カローラレビン/スプリンタートレノ。その人気の理由は、FRという駆動レイアウトや、名機4A-G搭載、ドライビングの楽しさ、マンガ『頭文字D』など多数あると思われるが、大きな故障もなく現在でも日常使いできるという点も、長期間にわたりクルマ好きから支持されている理由となっているはずだ。
 今回、このページに登場いただいた1986年式のAE86レビンも、これまで大きなトラブルもなく、日常の足として活躍してきた一台だ。メンテナンスは年に2回ぐらいのオイル交換。車検は通検させるための最低限の整備。なにか不具合が発生すれば修理する。いわゆる一般的な方がマイカーに行うようなメンテナンスしかされてこなかった車両となる。
 クルマ好きやメンテ好きな方ばかりの本誌読者の皆さんからすれば、愛情をあまりかけてもらえなかったAE86と思われるかもしれないが、そういうわけではない。AE86というクルマは、新車から10年、いや20年ぐらいは、普通のメンテナンスを施していれば、特に大きなトラブルに見舞われることもなく乗れてしまうタフさを有していたのだ。
 しかしそれが30年を越えると、そこまで楽観できなくなる。このAE86もいろいろ気になる部分が現れ出した。そのタイミングでAE86に詳しい専門家に車両を見せてみると……。

オーナーが気になる症状 1
始動直後に
ガラガラ異音が
 エンジン始動からしばらくの間、ガラガラという音がする。エンジンが暖まれば出なくなるので、乗れなくなるようなことはないのだが、かなり大きな壊れそうな音なので、とても気になるそうだ。

オーナーが気になる症状 2
気がつくとリザーバータンク
の冷却水が空になっている
 リザーバータンク内の冷却水がなくなってしまうそうで、どこかから冷却水が漏れているようだ。駐車場の地面に冷却水が溜まったり、甘い匂いがするようなことはないので微量の漏れと思われる。

オーナーが気になる症状 3
エンジンのあちこちが
オイル汚れでドロドロ
 旧車に詳しい友人に指摘されて気になっているというオイル漏れ。エンジンの下回りや、カムカバーまわりが、漏れたオイルによって汚れている。しかし駐車場の床を汚すほどの漏れではないようだ。

オーナーが気になる症状 4
エンジンの振動が
気になる時がある
 恐らくエンジンマウントのヘタリによる振動増もあると思われるが、それよりも不整脈のような、不定期に発生する振動の変化があるそうで、なにかが壊れる予兆なのではないかと気になっているそうだ。

プロの診断は?

Garage Morimura 森村さん
「このまま乗っていたら
いつ大ごとになっても
おかしくない状態、
かなりヤバいですよ!」

取材協力:Garage Morimura

4A-Gをはじめさまざまなエンジンのチューニングを得意とするガレージモリムラ。ちなみにこのエンジンは、なんと220PSにパワーアップされた20バルブ4A-Gなんだそうだ。そういったチューニングで積み重ねたノウハウを用いた、かつてのN1レース用エンジンのような高性能ノーマルエンジンの製作も行っているという。

プロが見つけたヤバい部分は?

デスビからのオイル漏れ

4A-Gの定番オイル漏れ箇所となるデスビ。この車両もご多分に漏れずオイル漏れが発生していた。デスビ内にもオイルが浸入するため点火系にダメージが出てしまうこともあり。

汚れの激しいインジェクター

インジェクターも取り外してみるとノズル部にはカーボンと思われる汚れが堆積している。この車両では燃料漏れはなかったが、シールの経年劣化なので漏れている場合も多い。

無交換のフューエルポンプ

燃料ポンプも耐久性が高く、30年以上経った車両でも無交換ということが珍しくない。しかし確実に劣化はしており、吐出量が少なくなっていたり、突然止まる可能性は非常に高い。

だいぶ弱くなっているセル

セルモーターもこれまでに一度も交換されずに現在に至っているようだ。経年劣化によりバッテリーの電力消費が多くなっている可能性も高いので、回らなくなる前に交換しておきたい。

ウォーターポンプの冷却水漏れ

冷却水漏れは、ウォーターポンプ部とラジエーターのアッパータンクのカシメ部で確認できた。オーバーヒートよる大きなダメージを負う前に修理しておく必要がある。

経年劣化したエンジンマウント

エンジンを降ろすような整備を行ったことがある車両であれば交換している可能性もあるが、そうでなければ新車時のままとなるエンジンマウント。やはりゴムの劣化がかなり進行していた。

各シール部からのオイル漏れ

シリンダーブロックは油汚れが酷い。特にスカート部は長年の油汚れが蓄積してベトベトな状態。カムやクランクのシールからの漏れの他、オイルレベルゲージの差し込み部分からも漏れている。

異音の原因として疑うも
バルブクリアランスは
規定値内
冷間時のガラガラという異音の原因としてバルブクリアランスも考えられたが、計測してみると規定値内のIN0.2mm、EX0.25mmだったそう。冷間時のガラガラ音は油圧の低下やピストンの首振りなど、より内部の原因が考えられるそうだ。

壊れないが故に未交換の消耗パーツが多数ある

 今回、AE86の専門家として登場いただくのは、本誌としては異色?な存在といえる、いわゆるエンジンチューナーと呼ばれる方となる。ガレージモリムラの代表である森村さんがその人だ。クルマだけでなくモーターサイクルのエンジンまで含め、さまざまなエンジンのチューニング(高性能化)を得意とする。特に4A-Gは、得意とするエンジンであり、それを搭載するAE86を速くしたいというオーナーが、今でも多くガレージモリムラを訪れる。
 「2000年以前であれば、一般整備は僕の仕事じゃなく、チューニングだけ施せばよかったんです。しかしそれ以降、特にここ数年は、チューニングと併せてしっかりと整備もしないと、せっかく作ったエンジンを生かしてもらえないという状況になりましたね。これはノーマルのままAE86を楽しまれている方でもいえることで、そろそろ大掛かりなメンテナンスをされたほうがいいと思います。そうしておかないと、出先でエンストして帰ってこられなくなるなんてことが、いつ発生してもおかしくないですよ」
 今回お見せしたAE86の個体もやはりそうなのだろうか?
 「まさにリーチが掛かっている状態でした。交換したパーツの状態を見ると、いつ路上で立ち往生しても不思議じゃない状態でしたね。壊れないが故に交換されていないだけで、あくまで消耗パーツだということを忘れてはいけません」

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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