故障・修理
更新日:2020.10.19 / 掲載日:2020.10.19

台風から愛車を守るために取るべき対策は?車両保険の適用範囲についても解説

台風から愛車を守るために取るべき対策は?車両保険の適用範囲についても解説

近年、日本各地で自然災害による大きな被害が多発しており、車が被害対象になるケースが増えています。ニュース映像を見て不安になられた方も多いでしょう。

愛車が台風被害に遭わないためには、事前対策が必要ですし、保険の力を借りるのも大切です。

今回は、台風から愛車を守る具体策と、車両保険の補償に関して解説します。台風対策として必読です。水没した場合の脱出法や車の処分法などもお伝えしますので、万が一の場合に動揺しないよう、ご一読ください。

台風から愛車を守る方法は?

普段は「こんなところまで水は上がらない」「風で車は飛ばされない」と考えがちですが、このような思い込みがなければ、防げた被害もあるかもしれません。台風の被害を防ぐには、自分の置かれた環境で最悪の事態を想定して対策を講じましょう。

激しい台風や豪雨の際は、水没・浸水だけでなく、強風による横転、飛来物によるキズ・ヘコミなど、さまざまな被害が発生します。多くの方は気が動転してしまい、事前情報があっても冷静な対処ができないようです。

そのような台風被害から愛車と自分を守るためには、日頃の準備、情報を収集した上での落ち着いた行動が求められます。愛車を守る具体的方法を、「移動」「撤去」「保険」にポイントをしぼって解説しますので、ぜひ参考にしてください。

愛車を高い場所へ移動する

まず、高い場所へ車を移動しておきます。避難時の移動などに車が不要な場合や、駐車場が冠水する可能性のある場合は、早めに行動しましょう。ただし、自宅が高台にあり、ガレージなどの設備があるなど浸水・飛来物被害の可能性がほとんどない場合には、このような移動は基本的に必要ありません。

砂利敷きの駐車場や冠水しやすいエリアの場合は、車へのキズや浸水被害を防ぐため、近くの立体駐車場などに車を移動させると良いでしょう。どちらの場合も、雨風が強くなる前に車は移動させておき、暴風雨の時間帯とそのあとは外出を避けます。天候が悪化してから移動させるのでは遅すぎますし、そのような状況下での乗車・運転は危険です。

立体駐車場の地下や、地下に格納されるエレベーター式立体駐車場では、浸水する可能性もあるため、避けたほうが賢明です。

所有者がその場を離れてしまう立体駐車場やコインパーキングなどに車を移動する場合、盗難や車上荒らしによる二次被害のリスクが発生します。災害時に車の移動が必要になりそうな方は、駐車監視機能付きドライブレコーダーや、ハンドルロック などの防犯アイテムを装備しておきましょう。

もともと車にはステアリングロックというハンドルのロック機能がついていますが、 市販のハンドルロックを追加して防犯性を高めることをおすすめします。

また、コインパーキングのようにフラップ板が上がってタイヤがロックされる駐車場の場合は、停電が発生するとフラップ板のロック解除ができずに、しばらく駐車場から出庫できないことがあるので、注意しましょう。

愛車の周囲の飛ばされやすいものを撤去する

台風の際、風速は30~50mにもなるので、 重量のある車でも横転する可能性があります。また、周辺にある普段は風に飛ばされないものも飛ばされて、車にぶつかりキズやヘコミをつける可能性もあります。強風で飛ばされる可能性のある植木鉢・自転車・看板などは、あらかじめ家や倉庫など風の影響を受けにくい屋内に片付けておきましょう。

飛来物によるキズ・ヘコミを軽減するために、車にカバーをかけるのもおすすめです。車とカバーの間に段ボールや布団をはさんでおけば、緩衝材の役割を果たしてくれます 。ただし、カバーが風にあおられて逆にスレ・キズの原因になる可能性もありますので、取り付けは慎重に行なってください。

自動車保険に車両保険をつけておく

加入している自動車保険に車両保険はついていますか?車両保険は、台風などの自然災害による損害もカバーします。

ただし、車両保険対象外の車が一部ありますし、特約によっても補償範囲は違います。自分の車の補償内容に関して正確に把握していない方も多いようです。補償範囲などの詳細が不明で不安であれば、加入している保険会社に確認し、場合によっては契約内容を変更しましょう。

愛車が台風によって損害を受けた!車両保険は適用される?

愛車が台風によって損害を受けた!車両保険は適用される?

車両保険はいざというときに頼りになる力強い味方です。この保険の区分と、災害の場合の補償対象、適用される具体的被害例を解説します。

車両保険に加入していれば自然災害の被害は補償対象になる

台風やゲリラ豪雨によって車が損傷して修理が必要な場合、車両保険から保険金が出ます。この保険には、「一般型」と「エコノミー型」がありますが、どちらのタイプでも、台風や豪雨による被害は保険金支払い対象です。

また、台風やゲリラ豪雨以外に、高潮・洪水・暴風などの自然災害で車が損傷したケースでも、車両保険の保険金受領は可能です。基本的に、自然災害は車両保険の補償対象です。

車両保険が適用される被害とは?

車両保険が適用される具体的な被害例は、次のとおりです。

・暴風で看板や瓦が飛んできて車にキズがついた
・ガード下の冠水により車が水没した
・機械式駐車場に停めた車が水没した
・豪雨による土砂崩れによって車が埋もれた
・暴風で木が倒れて車にキズがついた
・強風のあおりで車が横転した

車両保険のない契約の場合、当然ですが、いずれも補償対象にはなりません。自然災害の可能性が多いエリア在住で車両保険未加入の場合、加入を検討してみるのがおすすめです。

ただし、車両保険をつけると、基本的に保険料はグンと上がります。被害程度によっては、自費修理や廃車を検討したほうがいい場合もありますので、車の使用年数や自然災害の可能性などを総合的に考慮して判断しましょう。

また、車のトランクやキャリアに積んでいた個人所有物が損傷した場合、車内の身の回り品に関する特約をつけていれば、この特約から保険金が支払われます。特約の名称は保険会社によって異なりますので、この特約に興味のある方は、契約保険会社に確認してください。

車両保険での補償額はどのくらい?

車の修理費用に対して、保険の補償額(保険金額) がどれくらいになるのか、具体例を挙げて説明します。

基本は、車の損害額から免責金額(=自己負担額)を引いた金額が、車両保険金として支払われます。水没や土砂に埋まるなど、車の損傷が激しいときは「全損」扱いとなり、損害額・修理費が保険金額を超えます。

「全損」の場合、免責金額は引かれず車両保険金は全額支払われますが、保険金額以上の保険金は支払われません。

以下、「車両保険の保険金額200万円、免責金額10万円の場合」を例に説明します。

車の修理費が250万円

修理費用が保険金額を超えるため、全損扱い。免責金額は差し引かれず車両保険金として保険金額200万円全額が支払われます。

車の修理費が50万円の場合

全損扱いとはなりません。支払われるのは、免責金額10万円を引いた40万円の車両保険金です。

愛車が台風で浸水したときの対処法は?

愛車が台風で浸水したときの対処法は?

万が一、台風やゲリラ豪雨によって車が浸水被害に遭った場合の対処法について解説します。
あわてず、安全第一で落ち着いて行動してください。

エンジンを切る、エンジンをかけない

ボンネットまで浸水し、エンジンの吸気口まで水が来ている場合は、エンジンの吸気系が浸水している可能性があります。このような状態でエンジンをかけてしまうと最悪エンジン自体の損傷にもつながります。すぐにエンジンを切り、エンジンをかけないようにしましょう。水位がフロア面をオーバーした場合も同様です。

海水による浸水はさらに危険性が増します。海水には電気を通す性質があるため、電気系統のショートを招く恐れがあります。キースイッチを切っていてもバッテリーは接続されているため、電気は常に流れており、海水が引いたあとも電気系統は腐食が進みます。電気配線がショートして自然発火し、車両火災につながる危険性もあります。

海水被害の可能性があるエリアで車を所有している場合は、海水被害を意識し、高台や立体駐車場への移動など、早めに行動を起こしましょう。

水没車の移動は自分でしない

水没車は、エンジンが漏電やショートを起こす可能性があり、大変危険です。 エンジンをかけて自分で移動をするのはNGです。JAFや加入保険のロードサービスなどを利用して専門業者に救援をお願いし、レッカー車で運んでもらいます。

通行の妨げになっているなど、やむをえない事情で車の移動が必要な場合、シフトレバーをニュートラルに入れて手で押して移動します。 ディーラーなど販売店に連絡し、車の処置などについて相談してください。

車での避難中に水没してしまったときの脱出方法

車で避難中に水没してしまったら、まずシートベルトを外します。水面より高い位置にウインドウガラスがある状態なら、窓を開け、車の天井に上がるようにして脱出します。 ガラスを割って脱出できるように、ハンマーなどを車内に備えておくのもおすすめです。ハンマーは1,000円未満から購入可能です。

水圧でドアもウインドウガラスも開かずハンマーもない事態でも、落ち着いて行動しましょう。車内と外の水圧差が縮まるとドアが開けやすくなります。そのタイミングを待ってドアを開けましょう。

窓を割って脱出できそうな場合、ヘッドレストを利用する方法もあります。ヘッドレストを取り外し、下部の金属棒部分をウインドウガラスのすき間に差し込んでください。手前にグイッと引き寄せると、「てこ」の原理が働き、力に自信がない方でも比較的容易にガラスが割れます。割った瞬間に水が押し寄せそうな状況なら、深呼吸して息を止めてから割りましょう。

台風で浸水した車でも値段がつく?

台風で浸水した車でも値段がつく?

もし台風で車が浸水しても、車の価値はゼロになるわけではありません。売値がつく可能性が残されていますので、あきらめる前に確認しましょう。

水没車の査定基準

水没車(冠水車)の定義に関して、日本自動車査定協会で以下のような基準が設けられています。

・レベル1. 通常の使用では発生しない箇所にさび・腐食がある
・レベル2. 通常の使用では付着しない汚れ・シミがある
・レベル3. ドロまたはカビの臭いがある

車内のフロア以上に浸水した場合、または上記のレベル1.~3.で複数の痕跡が確認できる場合、水没車として取り扱うとの規定です。この定義があるので、買取業者・車の所有者ともに、同じ基準で査定額を理解しやすくなっています。

水没車の買取価格の相場は?

日本自動車査定協会では、水没車の定義同様、商品価値加減点の基準も定められています。ただし、「減点率」は「減額率」とは違うので、はっきりした価格の基準にはならず、あくまでも目安です。減点は、「基本価格×減点率」で計算され、水没車の減点率は水没状況によって以下の3つに分かれています。

・フロアまで:減点率30%
・クッションの上部まで:減点率40%
・ダッシュパネルの上部まで:減点率50%

フロアパネル(床のパネル)まで水没している場合は、エンジンが床下にある車をのぞき、最寄りの中古車買取業者やディーラーに査定をお願いしましょう。車の状態によっては、ある程度まとまった金額になる可能性が残っています。

クッション、シートの上まで水没した場合、電気系統やエンジンの故障の恐れがあります。また、衛生面から考えても、水没車・事故車専門買取業者への売却を検討したほうが賢明です。

ダッシュパネル、ハンドルの上まで水没した場合、エンジンが浸水し、大きな損傷を受けている可能性があります。水没車・事故車の専門買取業者、あるいは解体工場に相談してみましょう。

まとめ

大切な車を台風の被害から守るためには、台風直撃前に車を高台に移動し、車にキズをつける可能性のあるものは撤去しておきましょう。自動車保険に車両保険をつけておくのも大切です。特約も含め、どのような契約内容になっているのか、しっかり確認しておきましょう。

車が浸水したときはエンジンを切っておき、エンジンをかけてはいけません。車を移動する際にもJAFや契約保険のロードサービスに依頼しましょう。車に乗ったまま水没した場合には、ハンマーやヘッドレストを使って落ち着いて脱出してください。

浸水した車でも、水没状況によっては買取価格がつく可能性がありますので、あきらめずに相談・交渉をしましょう。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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