故障・修理
更新日:2020.12.19 / 掲載日:2020.12.19
路上復帰は先の話に!? ベンツちゃん復活大計画
OH&点検は無事終了だけど、コロナ禍の自粛で路上復帰は先の話に……。
念願の公道試乗手前で足踏み
逸る気持ちを抑えて最終チェック
前回、劣化していたサブフレームマウントを交換したが、その効果は絶大。半世紀前のスタンダードはこのようなものか……と思っていたボール&ナット式ステアリング特有の遊びの大きさが気にならなくなり、さらに直進性や操安性が劇的といえるほどカイゼンしたのだ。
これまで気になったハンドルのフラフラした感覚は、轍や段差でハンドルが取られるのを吸収する緩衝帯的な意味を持つ遊びであったと実感。よくいわれる“ハンドルの遊びは大切”とは、こういうことであると再認識してしまった。
これまでエンジン系やミッション系、足回りなどは失敗しながらも入念に手を入れてきたので、まず大丈夫なところまで仕上げることができたと思う。ほぼ完調といってもいいだけに最終テストも兼ねる公道試乗を行おうと思ったが、ここにきて水まわり関係の“漏れ系トラブル”が少し心配になってきた。
なにせこのベンツちゃんが生まれてきてほぼ半世紀。ヒーターコアやパイプ類は見た目こそ問題なさそうに見えるのだが、その内部の腐食や劣化の状態は完全に把握するのは難しい。
そこで今回は逸る気持ちを抑えて、最終点検(何回目?)を兼ねて、おさらいメンテ。冷却系をできるだけ洗浄しながら、基本パーツの交換を行うことにした。
公道復帰を前にして強制ストップが続くベンツちゃん。今回もコロナの影響により試乗も先送りとなりました。完全復活まであと僅かだが、まだまだその日が来るのは先になりそうです……。
ファンのクラッチが劣化するとオーバーヒートがしやすくなる。速度を上げると水温が下がる傾向を示すことも……。
ファンクラッチ内部の液体が漏れてしまうと徐々に劣化が進む。点検が難しいパーツなので、今回は交換することにする。
ファンクラッチのバイメタルを温めると、左のマイレ製の新品と反り具合が同じに……。もしや無駄な交換なのか(汗)?
バイメタル自体には劣化の兆候は見られない。開けると内部のオイル通路の開閉する“ヘソ”が確認できる。
ヘソ周辺は漏れたオイルで濡れている。ヘソが押されたり伸びたりすることでクラッチの抵抗を変える仕組みだ。
全バラすると内部の作動オイルは僅かで、クラッチの機能は失われつつあることを確認。交換してよかった。
ラジエーターのフィンが埃や砂で詰まっていたので、フィンを変形させないように車両前方に向けエアブローし吹き飛ばす。
作業の邪魔になるACポンプ。ポンプ取り付けボルトを抜いたらLLCが漏れてきた。破損?!と焦ったが、たぶん正常のはず。
オイルストーンで、取り付け面を平滑に仕上げる。
サーモスタットを交換する場合は、向きを示す矢印に注意すべし。
マイレの冷却系フラッシングツール(ハゼット製)は、圧縮エアと水流を利用して内部を洗浄する便利なツール。
ヒーターコアを洗うと細かい砂や錆が出てきて驚いた。
手順通りの冷却系のエア抜きは超重要。抜ける過程で天井まで吹き上がり大噴火することもある。火傷にはくれぐれも注意したい。
作業をしながらホース類の動脈硬化は確認できたが、ヒーターコアの劣化程度が心配。でも漏れても走れるので、考えないのが吉なのかも……。次回、完全復活へ!?