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更新日:2021.01.04 / 掲載日:2020.12.10

特定整備とは?分解整備との違いや認証条件について解説!

特定整備とは?分解整備との違いや認証条件について解説!

2020年4月1日から施行されている“特定整備”。一般のユーザーにとっては聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、自動車整備に携わる方はどのような対応が必要なのか気になるところではないでしょうか。

そこで今回は、特定整備と分解整備の違いや、認証条件について解説します。

そもそも分解整備って?

特定整備の解説に入る前に、まずは分解整備について簡単に解説します。自動車整備の経験がある方にとっては聞き覚えのある言葉かもしれませんが、「一体どのようなものなのかわからない」という方もいるでしょう。

分解整備の内容を知ることで、特定整備についてより深く理解できます。それでは見てみましょう。

分解整備の概要

まず、自動車整備士の行なう整備には、点検整備、緊急整備、分解整備の3種類があります。このうち分解整備は、最も高い技術が要求される整備で、自動車整備士のなかでも2級以上の資格を持つ人しかすることができない整備です。

道路運送車両法によると分解整備とは、「原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置または連結装置を取り外して行なう自動車の整備または改造であって国土交通省令で定めるもの」とされています。

引用:道路運送車両法 第49条第2項
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001332203.pdf

分解整備に該当する部分は自動車が安全に走るために重要なものばかりで、道路運送車両法による認証制度が設けられています。また、自動車整備工場で事業として分解整備を行なう場合は、作業場面積や設備、要員についての認証基準を満たして、地方運輸局長から認証を受けなければなりません。

分解整備に該当する部位

道路運送車両法では、原動機、動力伝達装置、走行装置、操縦装置、制動装置、緩衝装置、連結装置が分解整備に該当する部位として定められていましたが、具体的にはどのような部品を指しているのでしょうか。
この項目では、分解整備に該当する部品について、箇条書きで解説します。

原動機

原動機(エンジン)を自動車から外してから行なわれる整備や改造、エンジンの交換

動力伝達装置

トランスミッションやプロペラシャフト、クラッチ(小型自動二輪車のものを除く)、デファレンシャルなどを取り外してから行なわれる整備・改造

走行装置

フロント・リアのアクスルシャフトや、前輪独立懸架装置を取り外してから行なわれる整備・改造(小型自動二輪車を除く)

操縦装置

ステアリングのギヤボックスやリンク装置の連結部分を取り外してから行なわれる整備・改造

制御装置

マスターシリンダーやブレーキホース、ブレーキチャンバー、ブレーキドラム(小型自動二輪車のものを除く)、ディスクブレーキのキャリパー、バルブ類などを取り外して行なう整備・改造。また、小型自動二輪車のブレーキシューを取り外して、ブレーキライニングを交換する整備

緩衝装置

トラックなどに装備されているリーフスプリングやエアスプリングといった、シャシばねを取り外してから行なわれる整備・改造(コイルばね、トーションバースプリングを除く)

連結装置

けん引自動車、もしくはけん引される自動車の連結装置を取り外してから行なわれる整備・改造

分解整備に該当する部位はどれも、故障すると大きな事故に直結するものであり、整備するには専門の知識と技術が必要です。そのため、道具や設備も特別なものを使用なければいけません。

特定整備は何が違う?

特定整備は何が違う?

ここまで、分解整備について解説しました。分解整備は、自動車の安全に大きく関わる整備で、専門の知識と技術が必要です。
以降では、特定整備と分解整備の違いや、ユーザー目線での変化について解説します。

電子制御装置が新たに追加

2020年(令和2年)4月1日より、分解整備は特定整備に名前を変え、施行されています。大きな違いは、電子制御装置が新たに追加されたことです。

現在普及している自動車のなかには、ADAS(先進運転支援システム)を搭載しているものも多く、自動運転に関する技術も市販に向けて開発が進められています。当然、自動車の安全に直結する技術に含まれますが、分解整備の項目にはこれらの電子制御装置が該当していません。

すでにADASの不具合が原因となった事故も発生しているなか、電子制御装置の整備が認証を必要としないことが問題視され、法改正が行なわれることになりました。

電子制御装置って具体的にどこ?

電子制御装置に該当するのはどの部分か、以下に具体的にまとめました。

・自動走行装置本体を取り外して行なう、また自動走行装置の動作に影響をおよぼす可能性がある整備・改造
・自動ブレーキやレーンキープアシストに使用されるカメラやセンサーの取り外し、コーディングや光軸の調整など
・上記2つに関連する、カメラやレーダーが装着されているグリルやバンパー、窓ガラスの取り外し、もしくは取り付け

ユーザーにとっては何が変わる?

分解整備から特定整備に変わったといっても、一般の自動車ユーザーには、どのような対応が求められるのでしょうか。

分解整備ではADASを含む電子制御装置は12ヶ月点検の対象外でしたが、特定整備が施工されたことで、2021年(令和3年)10月1日から新たに対象となりました。

電子制御装置の故障はもちろんですが、バンパーやグリルのカスタマイズをしてもらう場合にも、特定整備の認証を受けている自動車整備工場に入庫しなければなりません。

認証工場になるにはどうすれば良い?

認証工場になるにはどうすれば良い?

では特定整備の認証工場になるには、どのような条件が定められているのでしょうか。この項目では、新たに必要となる設備や道具、講習など、事業所に求められる対応について詳しく解説します。

必要な設備や道具は?

まずは必要となる設備や道具です。おもに以下の2つが該当します。

・水準器
・整備用スキャンツール

その他、点検や整備に必要な機器、法令や自動運転装置に関する情報を入手可能な形態をとることが義務となっています。

加えて特定整備には、以下の条件に沿った作業場面積が必要です。

電子制御装置点検整備作業場車両置場
間口2.5メートル3メートル以上
奥行き6メートル(屋内は3メートル)5.5メートル以上
天井の高さ点検・整備となる自動車のエーミング作業を行なうのに十分な高さ
床は平滑

エーミング作業は対象外?

次はエーミング作業についてです。エーミング作業とは、ADASなどに使用されるセンサー類の調整を行なう作業を指します。

このエーミングには、停車させた車両の周りにターゲットを配置して調整する“静的エーミング”と、車両を実際に走らせることで自動的に調整する“動的エーミング”の2種類があり、静的エーミングのみが特定整備の対象となっています。

ただし、調整が動的エーミングのみで行なえる車両でも、破損などでカメラやレーダーを交換する場合、交換した機器のコーディング作業は、特定整備に該当します。

整備主任者は講習が必要?

従業員に関する工員数、自動車整備士の最低条件は、分解整備のものと変わらずそのままです。しかし、整備主任者は資格要件が変更となり、新たに講習を受講することが必要となりました。必要な講習は当面の間、運輸支局長によって実施されます。

また、分解整備と特定整備どちらも行なう場合は、「1級自動車整備士」もしくは「1級二輪自動車整備士または2級自動車整備士」の資格を持ち、講習を受講している人だけが整備主任者として選任できるようになります。

講習の内容は、法令などについての学科とエーミング作業などを行なう実習の2つがあります。これを受講したあと筆記試験に合格することで、整備主任者としての選任が可能です。

2020年(令和2年)度以降に行なわれる自動車検査員研修や整備主任者研修で、学科の内容が含まれているものを受講した場合、学科講習を受けたことになります。
また、実習に関しては、自動車整備振興会やディーラーで実施されているエーミング講習や以前受けた経験のあるエーミング講習も、実習講習を受けたものとして扱われます。

経過措置について

特定整備には4年間の経過措置が設けられていますが、いくつかの条件が定められています。
2020年(令和2年)3月31日までに電子制御装置の整備を行なったことのある事業所は、2024年(令和6年)の3月31日までそのまま電子制御装置を整備することが可能です。

反対に、それまで電子制御装置の整備を行なっていない事業所の場合は、新たに認証を受けなければなりません。その他、前述の整備主任者の要件に関しても1年の経過措置が設けられており、以下の条件を満たしている必要があります。

・事業所内に、資格要件を満たした整備主任者が1人以上いること
・2021年までの間に、必要な講習を修了することを記載した計画書の提出をすること

なお、経過措置の間に講習を終了しなかった場合は、整備主任者の選任が解除されてしまうことに注意が必要です。

認証パターンについて

特定整備が認証されるには、いくつかのパターンがあります。それぞれ事業所の状況に合わせて、最適なものを選びましょう。

従来の分解整備のみを行なう

必要となる手続きは特にありません。

電子制御装置のみ整備を行なう

新たに認証が必要となります。

従来の分解整備、電子制御装置の整備の両方を行なう場合

新たに認証が必要となります。

まとめ

今回は、特定整備と分解整備の違いや、認証の条件などについて解説しました。特定整備では従来の分解整備に加え、新たに電子制御装置の整備が追加されています。まだ認証を行なっていない事業所は、経過措置期間のうちに認証を受けておきましょう。

一般の自動車ユーザーも、12ヶ月点検に電子制御装置が追加されていることを覚えておく必要があります。電子制御装置が故障した場合には、認証を受けた工場に入庫するようにしましょう。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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