車検切れで事故を起こした場合、任意保険は使えるのか

車の運転をしている人であれば、誰でも事故に遭遇したり、起こしてしまう危険性はあるでしょう。ではもしも車検が切れている車で事故を起こしてしまった場合、加入している任意保険は使えるのでしょうか？そもそも任意保険とはどのようなものなのかも合わせてご説明します。

この記事の目次

1. 任意保険とは
2. 車検切れの車で事故を起こした場合、任意保険で基本的に使用できる補償
3. 車検切れの車で事故を起こし、任意保険が使用できない場合とは？

任意保険とは

事故を起こしてしまうと、相手への賠償や自分の車の修理など様々なお金が必要になる可能性があります。特に相手への賠償はケガの大きさや、万が一相手を死亡させてしまったりすると億単位の賠償金になる事も十分にあります。自動車やバイクを運行する場合には、対人保険として被害者へ補償する自賠責保険への加入が義務付けられており、この保険からも補償を受ける事はできますが、金額に制限があるため、賠償金の額を補えない事態になる可能性もあります。また、自賠責保険では相手への対人賠償のみが対象になるため、相手の車両の修理費用などの対物賠償は補償されません。
同様に自分のケガや車両の修理費用に自賠責保険は適用されません。特に対人損害賠償では非常に多額のお金が必要になる可能性もあり、最悪の場合は賠償できなくて破産してしまうなどという事になります。そのような自賠責保険ではカバーできない損害を補償してくれるのが任意保険です。任意保険には「対人賠償」「対物賠償」「車両保険」など様々な補償があります。また、対人や対物に関しては賠償額が無制限の補償もあり、万一の際は賠償金の支払いで自身の生活が困窮してしまわないように、保険を使って損害賠償を行います。

では車検切れの車で事故を起こした場合、任意保険を使う事はできるのでしょうか？原則として任意保険は適用されます。しかし補償内容によっては変わってくる可能性がある場合もあるので説明します。車検切れの車で事故を起こした場合でも基本的に適用される補償は「対人賠償」や「対物賠償」と言った、相手方への補償になります。任意保険の考え方は、自賠責保険で足りない分を補償するというものなので、相手方への補償はこれに当たります。ただし、自賠責保険が失効している場合は、本来自賠責保険が補うべき補償範囲分は任意保険会社側にはないと判断されます。また、車両保険や自身のケガの補償である人身傷害補償も適用される場合もあります。

では車検切れの車で事故を起こした場合に任意保険が適用されないのはどのような場合なのでしょうか？約款で「無車検車での事故は補償しない」と明記されている場合は、適用外と判断されます。このように約款に明記をされていると対人賠償や対物賠償においても同様に適用される事が難しくなります。また、このように明記されていなくても任意保険が適用されない場合があります。それは「車両保険」や「人身損害補償」を使用する場合です。一般的に車両保険や人身損害補償は、契約者に重大な過失があった場合には補償外となる契約になっています。「重大な過失」というのは明確な規定があるわけではないので、その判断は、保険会社の判断、あるいは司法の判断に委ねられることになります。そのため、車検切れの車で事故を起こした場合、場合によっては、車両保険や人身損害補償は使用できない（適用外）という事態になる可能性も否定できません。このように約款に車検切れの車で事故を起こした場合についての明記がない場合には、「対人賠償」「対物賠償」は任意保険を使用できる可能性はあります。しかし、車検切れの車を運転する事自体が違反であり、どの程度の期間・頻度で車検切れの車を使用していたかなど、保険会社の判断による適用されるかはケースバイケースと言えるでしょう。車検が切れているのを知って運転する確信犯は論外ですが、うっかり切れてしまったという事がないよう、自分の運転する車の車検時期は日ごろからしっかりと確認をしましょう。